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贖罪10改

改正版 続き

【贖罪】28 任務とナルト ※R表現あり

翌朝、未遂とは言え、女に穿った自分に溜息が出る。
ナルトと付き合う前までは、女が性の対象ではあったが…
まさか自分が寝込みを襲われるなど思ってもいなかった…

寝首をかきに狙ってくれる方が楽だったんだけどなぁ

なんて思いながら、任務のため墓に寄ってから
集合場所へと向かった。

「おせーってばよ」

「…あれ?なんでナルト?」

本日の任務は、予定ではサイとのツーマンセル。
それが、金髪の愛しい人と成り代わっている御蔭で気持ちは一気に浮き上がり
そして…昨夜を思うと一気にどん底まで落ちた。

「ん?あぁ、なんかサイの奴昨日の任務で怪我しちまって
オレが非番だったから代役だってばよ」

「…そう」

気まずいにも程がある。
押さえ込んでいた欲望を、昨日の接触でむき出しにされたと言うのに
これから出る任務は一週間も掛かるものだった。

「とりあえず行こうか…」

「おう!」

いつもの癖のように、ギュッと額あての結び目を強くすると
ナルトは忍の顔になる。

引き締まった横顔に、胸がギュッと締め付けられる。
いつも見ていたその顔は、いつの間にか愛しい顔に変わり
今じゃ、恋焦がれてどうしようもない衝動まで襲いかかってくる。

(あ~ぁ、無邪気な顔して…惚れた弱みとは言え
ナルトを悲しい顔にしたくはないんだけど
抑えれるかなぁ…)

なんて、思ったところで本人は全くその事に付いては無関心のようだ。

今回の任務は、元暗部の者と組むくらいに難易度は結構高い。
自分の代わりに任務に就いていたナルトではあるが
記憶をなくす前はかなりのドタバタ忍者だったのだが
少しでも、隠密行動もできるようになったのだろうか?

火の国根須の里と言う場所に、旅館がポツリと2棟建てられている。
そのうちの一つかなり古い建物なのだが、経営難のため
抜け忍を、船渡しする仕事をしていると情報が入って
その、調査に向かうと言うのが今回の任務。

実際調査を終わらせて、一般任務に降りるのだが
今回はその調査を任された。
と言うのも、カカシの昔の暗部時代に培った隠密行動が
今回の利点で、五代目もそれでカカシに今回は申し訳ないがと
申し出てくれたのだ。

一般人になりすまして宿泊するのだが、二人が普通の格好をするのはいい
男二人で年の差14。
忍同士としては、さほど問題のない男性同士の恋人と言う立場も
一般人としてはあまり受け入れれるものでもないだろうしと
カカシが頭を悩ませていると、ナルトが宿場近くで女性に変化しようかと
問いかけてきたが、術を使っては、これまた…もし抜け忍がいた場合の対処に困る。

「イヤ、師弟でいいんじゃない?」

「は?」

「オマエどうせオレの事、カカシって呼び捨てに出来ないでしょ?」

「…し、しようと思えば出来るってばよ?」

「いざと言う時にポロっと本音が漏れるのは不味いからねぇ…
お前はオレの生徒…ま、昔の恩師と旅行ってのでイイんじゃない?」

つまらなそうな顔で、分かったってば…と答えてナルトがすぐに表情を変え
にっしっしと笑った。

「なによ…」

「なんか、先生の忍の姿以外の格好ってあんま見た事無いからさ
変な感じだってばよ!」

言われてみれば確かに…
木の葉の里でトレードマークのような渦巻きが今はどこを探しても見当たらない
そんな格好。

黒をベースとした上下写輪眼を隠すために眼帯はしているものの
傷を負っている直線に、既に目が見えないと言う設定なのだろう。
但し、不測の事態と言う言葉がある限り油断はできないため
カカシの服装はすぐに動きやすいモノになっている。
ナルトは、相変わらず、ジャージ姿ではあるが、ホルスターも額あても
全てが取り払われた普通の人となっている。

と言っても、既に成人しているナルト
大人の男の色香も最近漂ってるなぁなんて
贔屓目で見なくても思ってしまう。

「さ、行くよ」

「おう!」

宿場に入ると、怪しい目で上から下まで見渡され
カカシがなにか?と聞くと女中がイエイエ…なんて頬を赤らめるもんだから
カカシ狙いと言うのは一目瞭然だ。

ナルトがそんなカカシを見て深い溜息を落とした。

部屋はひと部屋を取り、普通に旅行を楽しんでいる気分になってくる。

「カカシ先生!あれってなに!?」

ナルトは興味を引いた船に指を指すと
カカシが傍に寄り、あぁ、あれはね…と説明をする。
どこをどう見たって師弟関係で問題はなかった。

「仲の良いんですね?」

カカシに酒を勧めながら女が声を掛けてくる。

「はぁ…まぁ、そうですね
昔教えてやれなかった事を今いろいろと教えてやってますし
逆にこっちが教えられることも多々ありますしねぇ」

なんて、中居と仲良く話すカカシに心の中では苛立つが
それを絶対に表面になど出すものかと
ナルトは視線をそらした。

そんな中、ナルトが街をうろついて情報収集をしていると
絡まれた女をひょんな事で助けた。
と言っても忍だとバレずに潜入しているため、チャクラを練ったり
忍術を使ったりはしていなかったが、殴り合いになった時に
ナルトが敵の攻撃を交わして行くのが知れ渡り、強い男として
ナルトの存在が里に知れる事となる。

「オマエねぇ…自重しなさいってあれほど言ってたのに」

「う…ごめんってば」

「オマエは強いって認識されてしまってるからねぇ
この上、忍術なんか使ったら密偵の意味無くなるんだからね?」

久しぶりに、任務の事で叱られたナルトは
なんだか嬉しいと言う思いに支配されていた。

記憶を無くしたカカシは、本当に忍として使い物にはなってなかった。
実際後半には忍術も覚え、頭も使って戦ってはいたものの
ナルトはあくまでも先生としての扱いをカカシから受けていた為だ。

それが、昔のように自分を諌めてくれる存在に戻ってくれた事に
凄く悦びを感じていた。

2日目が過ぎると、昔のカカシと言う感覚に甘えを見出してしまったナルトは
何かに付けて問題を起こしてはカカシに小言を言われるようになっていた。
本来なら責任感から自分がどうにかしなきゃならないという状況のため
勝手な行動を謹んではいたが、今は
それを大きな腕で支えてくれる人が傍に居るから…

「ナルト…オマエ最近変よ?」

そう切り出されるまで、自分の行動に気が付いていなかったナルトが
やっと浮き足立っていた事に気が付いた。

「…ごめん、先生が先生だから甘えてた」

シュンとなりながら素直に言うと、言葉のおかしさにカカシがクスッと笑った。

「そんなこったろうと思ってたよ」

「う…」

「オマエ自分の責任分担減ったから、開放的になったんでしょ?」

「…う、そう…だってば」

「だーかーらー、前にも言ってると思うけど」

「任務の時は、地に足を付けるべし!だってばよ」

「そ」

良く出来ましたと、頭をグリグリと撫でるカカシの手に
ナルトがそっと手を重ねてきた。

「ナルト?」

無意識に伸ばした手…名を呼ばれて慌てて引っ込めた。

「え?あ…わっ、わりぃ」

バッと手を離して真っ赤になったナルト。
カカシも自分の手の上に重なった熱にしばらく己の手を見つめる事となった。

「カカシ先生?」

手を見つめたまま、動かないカカシにナルトが声を掛けると
その手がグッと握りしめられた。

「ナルト…ごめん」

「は?」

「隠して置いても良いんだけど…やっぱ、言っておく…わ、
オレさ先日ウズリに襲われて…先っぽだけ食われた」

「は?」

「浮気にならないよな?」

苦笑いで伝えてくるカカシに、ナルトは何を言い出すのだこの男は!
と、不思議そうな顔を向けていた。

「へ?ちょ、先生?」

「まさか、乗っかられると思ってなくてさ」

「……って、やったって事?」

「いや、寸手で写輪眼で眠らせたんだけどね、ちょっとだけ食われた…」

親指と人差し指で、1センチないし2センチ程の隙間を作り
ナルトに言う。

「…報告する意味がわかんねぇんだけど?
それに、オレと先生はもう…」

「別れててもオレはナルトを想い続けると言ったはずだけど?」

真っ直ぐな思いをぶつけられて、ナルトが息を飲む。

「せんせ…」

「オレが肌を重ねたいと願う相手は、いつの時も
うずまきナルトだから…今更気持ちが変わる訳もないし
変えるつもりもない、だからナルトとできないなら自分で始末する」

真っ赤になったナルトが、ポツリと口を開いた。

「な、生々しいってばよ」

「だってそうでしょうよ…溜まっちゃうモンなんだし」

「そ、そうだけど…」

「それとも何?オマエ彼女できて、すっきりしちゃってるとか?」

「は?」

「だから、自分で抜いたりしないのか?」

ズイっと顔を近づけるカカシに慌ててナルトが答えを返す。

「ちっ、違うし!オレってばそんな頻度で抜いたりしなくても
そんな溜まらないっつーか…いや、溜まるけど…その…」

真っ赤になって指先を自分の指で絡めながらオドオドと話すナルトに

「尻の穴まで見合った中で今更何照れてるんだか…」

と、スパッと切り込むと、更に真っ赤になってナルトが声を荒げた。

「ぶっ!身も蓋もねぇってばよ!」

そんな言葉の応酬に、部屋の空気が変わってしまい
ナルトにしてみれば居心地が悪いものになってしまった。
空気を変えようと、風呂にでも行こうかなと頭が切り替わった時だった。

「抜いて…あげよっか?」

カカシの言葉に、ナルトが目を見張る

「なに…言ってんの?」

「ん?いや、ナルトを感じたいだけ」

「いやいや、先生!奥さん拒んでオレって!」

「そ、オレの勝手な都合だから、オレはお前に挿れる事はしない
ただ、オマエまで我慢する必要はないでしょ?」

真っ赤になったナルトが、潤んだ瞳でカカシを見上げて
きゅっと唇を結ぶ姿に胸が高鳴る。

押し倒して、無理にでもこの体に自分を穿ちたい…そんな邪な心が首をもたげる。

甘い誘惑がナルトの心を揺さぶって、既に抱き込まれた体温に
気でも触れそうに成ってしまう。

「ダメだって…」

「だって、オマエこんなに敏感になってるじゃない」

耳元で囁かれた声に、ズキリと下腹部が痛みを伴うほど
脈を強めた。

「せんせ…っ」

彼の性を引き出し、息を荒げているナルトの頭をカカシはグッと己の胸に抱き込んだ。

「ナルト…返事はいらない…けど、言わせて…ごめんね…愛してるよ」

「……っ、」

背中に当たるカカシの雄に気が付かないわけではない…
けれども、手を伸ばしていいのか、そうすれば…
恐らく自分は繋がりを求めてしまう…
それはしちゃいけないしカカシもしないと断言している
だったら…何もしないで黙ってこの時間を自分の至福に宛てがっても良いのではないだろうか

「先生はずるいってば」

「解ってるよ」

「ずりぃ…」

カカシに抱きかかえられたままの頭をスリッと胸板へ押し付けて
甘える猫のように、カカシの熱を感じた。

「そうだね」

その頭を惜しげもなく愛おしい表情を向けて撫でるカカシ。

「バカ…」

「うん…」

「でも、許したオレも…ずりぃ…」

予想外の言葉に、カカシがナルトの顔をのぞき見ようと思ったが
自分の前に座って居るナルトの顔は覗き込むには至難だった。

「……ナルト?」

「だから共犯だってば」

「オレがお前を襲ったんだからそれはないでしょ?」

「逃げれた…それを逃げなかった…」

ナルトも同じ罪だと言いたいのだろう…けれど
この悪行は自分の欲に負けてしまったカカシの失態。
触れたくて、あんな話を振った。
少しでも嫉妬して抱いてと言い出してくれないかなという
そんな邪な期待と共に吐き出された言葉。

「いいか?これは浮気でもなんでもない、オレがお前を襲っただけ
お前はこの関係を壊したくなくて黙って委ねだ…ソレでいいから
それ以上は考えるな、解った?」

「……オレも悪者にしろって」

「解ったの?ナルト…解らなかったら、今度はお前が記憶喪失になっちゃうよ?」

紅い目が開かれている今…彼が何をするかなどナルトには手に取るように分かった。
逃れるかもしれないが…カカシの瞳術に贖う術は、既に無くなっている…
こんなに熱く抱きしめられ、囁かれているのだから。

「っ…わ、解ったってば」

「うん…」

ホッとしたようにカカシがサラリと金髪を撫でると
ナルトが上半身を反転してグッと抱きついて来た。

「ちょ、ナルト?」

「先生…あったけぇ」

「あぁ…我慢してるしね」

「そのまま飢えちまえっ!」

「ひどっ…前はもっと可愛くオレを誘ってくれたのに」

「昔と今は状況も立場も違うだろ!」

「うわぁ、なんかオマエの口から状況とか立場とか聞くと思わなかったけど」

「うっせーよ」

口での口論とは全く逆に抱きつく手も、それに触れる肌も熱を無くす事はなかった。


=============================

【贖罪】29 乾いた唇

零れ落ちたものを拾い集める自分の姿に苦笑いが生まれる。
そんな夢を見て目覚めたカカシが、任務期間中なのに
ナルトの香りと温もりに心底安堵し眠ってしまった失態に
前髪をクシャリと握りしめて肩を震わせて笑った。

なんだ…結局オレはナルトが居ればどこでも眠れるって事じゃない…

なんて、頭で思うと横に眠るナルトの髪をサラリと梳いた。

「そのまま飢えちゃったら…今度こそオマエを喰らうよ?」

クスクスと笑ってる顔とは真逆な言葉が吐き出されている中
ナルトは”ん…”と、寝返りを打ち背を向けていたカカシの方へと
顔が向けられる。

「キスしてって誘ってるみたい…」

そっ…手を頬に当て、親指で唇をゆるりとなぞる。
ソコへ唇を軽く押し当ててすっと体を離した。

これ以上触れれば、自分がどこまで暴走するか解らない。

カカシは己の唇にそっと指を這わせ甘い吐息を吐き出し
洗面所へと向かった。

それからやや暫くして、ナルトが目覚めると一緒に寝た温もりがない事に気が付いた。

「ん…せんせ?」

昔の自分に戻ったような錯覚。
手が彼の温もりを探し、抱き着こうとでも思ったのだろう。
空を切ったその手をギュッと握り締めた。

”ナルト、これは夢だとでも思いなさい…”

命令口調で彼は言った。
夢で終われるならどんなに心が楽だっただろう

既に彼は自分の心の半分を占めているのだから
そう簡単に夢で終わらせれる訳がない。
ダメだと、何度も思った…呆気なく果てて、すぐに離れれば良かったんだ。
怒ってもう、先生となんて…一緒に居たくないと…
嘘でもその言葉が言えたなら…

こんな繋がりを求めなかったのに…

「はっ、ガイ先生の昼虎を思い出すってば…」

あの時、随分ガイ先生に似合わない技の名前だと笑った記憶が蘇った。

「なによ…起き抜けに思い出す男がガイな訳?」

「ぬあっ!カカシ先生!」

ビクッと驚いて振り向くとカカシが言葉を続けた。

「ん、おはよ…シャワー浴びて帰って来たらお前の口からガイの名を
呟かれるなんてねぇ…オレよりおかっぱ熱血全身タイツが好き?」

クスクスと笑いながらカカシがナルトの顎のラインをスルリと撫でる
その動きにヒクっと体を強ばらせると、それを見たカカシが両手を上にあげた

「何もしないって」

「っ…誰もそんなこと」

「あら、真っ赤…」

その言葉にそっぽを向くとクスクスと笑いが溢れ落ち
ナルトがタオルで頭を拭いている姿をジッと見やった。

紅潮していた頬…色気のある濡れた髪…艶の乗った表情。
普段なら気が付かないように隠す癖に、自分を組み敷いた時
己を開放したあとのような表情につい…聞いてしまった。

「…抜いて…きた?」

「え?あ~…うん、バレちゃったか」

薄く微笑むカカシの表情はまるで凶器のようにナルトの心を抉ってくる。

「そ、そっか…」

本当なら、もっと深く交わって自分の中にカカシの欲を感じたい…
シクっと…いつも彼が繋がる場所が悲しげに収縮する。

「ほら、気にしないの」

「ん」

いつも体を気遣って、カカシはナルトを抱いていた。
中に吐射すれば、最後まで処理してくれていた…
そんな甘い思い出に浸る事を許さなかったのは…

『にゃっと~きゃきゃは』

(スイ…ごめんな、気持ちが抑えきれねえってばよ)

ガリッと頭を掻き毟ると、カカシがその腕を掴んで手を止められた。

「なんだってば?」

既に、表情はいつもの読みづらい顔に戻り、口布までも上げられていた。

「またオマエよからぬ事考えてるでしょ…
頭ハゲるよ~?若ハゲは、流石にオレも頂けないぞ~?」

「なっ!よからぬ事って…」

まるで付き合っていたあの時のように接してくるカカシに
ナルトは少なからず困惑を隠せずにいた。

「大丈夫だから…ナルトは黙ってオレに愛されてればいいの」

「…何だよそれ」

「ん?オレはオマエを忘れられないし、忘れる気もなければ手放す気もない
だって…オマエはオレの半身でしょ?」

クスッと笑いながら、言いのけたカカシにムッと眉間にシワを寄せる

「ほーら、任務行くよー」

「おう」

何か文句でも言いたかったが、今までこの男に言葉で勝った事がない。
己の思いを口に出し、自分の望み通り進んでいる時は必ずサポートしてくれる
雷影の時が良い例だ。
普通だったら、あんな所までヤマトまで借り出して行く事自体おかしいと
今ならば解る…解って欲しくて必死だった自分を必ず横で支えてくれる…

それが、オレのはたけカカシ…

悪い所は諌めてくれ、良い所は、無理をしてでも伸ばそうと努力してくれる
そんな感情が一気に溢れ出てくると、気付けば行動を起こしていた。

「アンタは世界一のオレの先生だってば」

グッと、背を伸ばして口布越しに、濡れる事ない口づけを落とした。

「あら、嬉しいねぇ…ってさ、どうせするなら、口布取ってよ」

「ダメだってばよ!ほら先生惚けてないで行くぞ!」

「惚けてって、キッカケ作ったのお前でしょうよ…ったく」

先を走るナルトの後を追いかけてカカシが飄々と付いてくる。
これから隠密で、この旅館の内部調査をする。
しかも、ナルトが影分身で自分とカカシを作り上げ
いかにも二人がそこに居ると言う設定上二人は顔を隠して動かなければならない。


屋根裏を伝って、埃まみれに成りながらも屋根裏から宿主の部屋らしきものに辿り着き
二人共気配を絶った。

ぼそぼそと声が聞こえる所を見ると、恐らくは
”誰か”と、宿主の会話なのだろう

言葉を必死に拾い集める。

「…で…だから…翌月の満月の夜…と、…で決行だ」

「人数は?」

「抜けた…で…だから…だな…」

「解った…誰だ!」

シュッと、天井に放たれたクナイ、ナルトがソレを難なく躱すと
すっと瞬身で二人共姿を消した。

「なーんか、随分ベタなエンシュツだってばよ」

「忍たる者、ベタなのも大事なのよ」

クスクスと笑いながらご飯をよそう中居に写輪眼で一瞬の瞳術を掛け
影分身と入れ替わった二人が瞳術を解き食事を口にすると
バタンと、襖が開けられた。

「あ…あの?なんでしょう?」

「お前ら…ずっとココに居たか?」

ジロリと中居を見やると、女はキョトンとしながら
おかわりのご飯をナルトに手渡し、おかわりをよそってましたが?
と返答すると、フンと鼻を鳴らして男は謝罪すらせずに
出て行った。

「なんなんだってばよ!」

「なんだろーねぇ~?」

「少しは怒れよ先生!」

「人でも探してたんじゃない?いいでしょ、ご飯も美味しいしね」

クスクスと笑いながら、サンマを突っつくカカシに
溜息を落としながらナルトも、おかわりをしたご飯を平らげにかかった。

これで、自分達の正体は気づかれる事はない。
情報は収集完了している以上、長居は出来ないと
朝飯の後に、宿を出る事にした。

日数を残し、カカシとナルトは木の葉に帰還することとなった。




「という事でした」

「やはりか…ランク的にはAか?」

「オレとナルトの気配に気付きましたからねぇ…
Aでも、かなりSに近いかと…それに、数人は集まるらしいですよ?
抜け忍が…」


火影の執務室で収集した情報を告げ合いながら、任務の重さを推し量る。

「Aで大丈夫だってばよ」

「オマエねぇ…そう簡単でもないでしょうよ…」

呆れてるカカシにニッと笑ったナルトが口を開いた。

「抜け忍2人、ほか一般人5人の計8人だろ?」

「…そこまで聞こえたんだ?」

「おう!」

「2人かぁ…」

カカシがふむと考えると、忍らしき人間があの旅館に二人いるのは
理解していたが一人はさほど実力も無さそうな気配すら消せないくノ一
もう一人は、二人の気配を感じたあの男…

「ま、Aで行けると思います…不安要素は多いのでやはりSに程近いAですから
特上忍より上のランクで行かせるのがセオリーでしょうかねぇ」

と、告げるとフム…と綱手が任務表に書き込み
ご苦労であったと解放された。

予定より2日も早い帰還に二人で一楽へと足を進めた。



=============================

【贖罪】30 囚われたナルト


秋風がひゅるりと音を立てて通り過ぎていく。
外蓑の身を包んだ3人の木の葉の忍がシュンと音を立ててその場から飛び散った。
月日は明け、カカシとナルトの隠密行動で得た任務を
他のチームが受け持つ。
ナルトは、現在位置として特別上忍と言う立場ではあるが実力は上忍以上と言われている…が
 
がだ…上忍試験の筆記だけには常に落ち続けるという異例な特上忍。

これには火影を始め、カカシ、イルカ、共に脱力するしか出来ないでいた。
無論、イルカに至っては上忍試験がどんなものかなど理解も出来ないが…。
かなり過酷な問題なのではないだろうかと思いを馳せらせるが…どうも
カカシの言葉によると、アカデミーで習ったものの応用なんですけどねぇ~
等とあっさりと言ってのける。

一方、そんな事を言われてるなど知らないナルトは
呑気にスイと遊ぶ毎日を送っている。

カカシの調査が最終段階になっている為、スイの散歩と称しては
家を出たりと多忙を極めている。

ただし、スイを連れ歩くときはカカシも目を離せないため
時折ナルトの休みや任務明けにぶつけて面倒を見てもらっていた。

「なっと!」

「ん~?どうしたんだってば?」

スイがトテトテとナルトの傍までやって来ると、グッと服を引っ張り指を指す。

「あっち…あっち!」

「ん~ダメだぞーあっちは怖ーいお化けがいるんだってばよ」

「おっけ?」

「お・ば・け!」

うるり…瞳一杯に溜めて重力に逆らって下瞼に溜まった涙に
ナルトが慌てて、ヨシヨシとスイを撫でる。
現在はナルトの家の中。
おもちゃなどの遊び道具もない御蔭でスイはナルトの修行部屋が気になっているのだ。
乱雑にクナイ等を置いてあるため、片付けるにも時間がかかるし
と、ナルトはどかっと腰を落とし、スッと目の横に段々と赤い縁取りが現れると
スイを抱きかかえて、ニッコリと笑った。

「オレの修行場所へ行くってばよ!」

「てばにょ~!」

キャハキャハと笑うスイを抱き上げ玄関を出るとスッとスイの目を閉じさせた。

「開けちゃダメだってばよ?」

小さな灰色の瞳をそっと指で伏せさせると

「めんめ?」

と、可愛らしい声が返ってくる。

「そ、ギュって閉じてみ?」

「ぎゅ!」

ナルトの腕の中でギュッと言葉と一緒に目を深くつぶり
眉間にシワが寄ってるスイを見てフッと笑うと、視線を前へと向けた
グン…と、スイの体が重力に従いナルトの体に密着する。

「きゃはははー」

速いと言う感覚でもないのかもしれないが、自分の体に感じる感覚に
余程嬉しいのだろう、キャッキャキャッキャと笑うスイの顔を
自分の服に押し付け更に加速する。

「なっと~きゃはははは」

「その呼び方、納豆みてーだってばよ…」

「なっとーてばにょー!」

なんて会話を紡げば、あっと言う間にその場所へと辿りついた。
周りは森に囲まれたそこは、奈良家の支配する森。

「おっき~てばにょー!」

「…スイ、オマエそれオレの真似か?」

「てばにょ~」

エッヘンと偉そうにふんぞり返るスイに、なんだかなぁ…とナルトが乾いた笑いを向けた。

「きゃうぅ!」

奇声に驚いてスイを見やると視線の先に…

「あ~あれはね…シカだってばよ」

「…しぃ~きゃ?ってばにょ?」

キョトンとして初めて見るシカに魅了されつつも自分の持っていた荷物をナルトに突き出した。

「あい!」

「え?オレに持てって事かよ」

ハーッと溜息を落としながら受け取ると、
キャハハハと高笑いしながら、スイが傍に駆け出す。
鹿は距離を保つために一歩下がってしまうのが面白くなくて、
スイは、その一歩を縮めようとまた、駆け出す。

既に二歳と言う年齢を目前に、スイは身体能力をある程度開花させていた。
普通の子とは違い、動きが早いのだ。

(流石、先生の子。ホントスイの動きが…速えぇよなぁ)

ヨタヨタとしていた一歳までは然程でもなかったのだが…
2歳を目前とすると段々違いが現れ、それに嫌気を差してるのが
ウズリだった…。
忍にはしたくない…と、子供を塾や音楽教室などに通わせようとしているらしい
カカシから聞いた話だが先日はダンススクールに見学に行って
スイが思いの外、踊りに興味を示したためそのまま入会しようかなと
悩んでる妻に、スイがやりたいと言い出すまではダメだと告げたのだと聞かされた。

確かに選ぶ権利をスイは持っているが、母の意向を組むか父の背中を追うかは
本人が決めれる時が来たら決めればいいとカカシが言う。

確かに忍と言う職は、一度身を染めると死ぬまで忍。
体全部が忍の証となってしまうため、カカシもこの里へと戻って来れたのだ。
ナルトのように最初から火影の血を継いで、九尾を封印されれば選ぶ権利もないのだが…
だから、それはスイが決めればいい…カカシはそんな事を言っていた。

「スイ、シカは触れねぇから、こっち戻って来いってば!」

「いにゃっ!」

「…いにゃって…嫌って事か?」

首をブンブンと上下に振って、いにゃいにゃ!と答えると
また、鹿に見入った。

と…急にナルトの体が熱を帯びだした。
チリチリと…焼けるような、胸苦しさにグッと喉の奥を鳴らして
膝を地に付けた。

「なんだって…ばよ…っ」

奈良家の結界が張られたこの場所で、自分にしかも気付かせずに
攻撃を仕掛けるなど出来るわけはない…。
だが、体調の変化は如実に現れていて、このままではいけないと
ナルトがスイを見やった。

「っ…スイ、逃げ…ろ」

伝えた所で、スイがソレを理解した所で…
その場所はナルトが自ら抱いて来た場所。
結界を越えれるのは、シカマルの許可がいる…と言う事は
シカマルの身近な人間で…己もよく知る人物がこの術を掛けているのだろうか?

「誰…だっ…」

っは…と息を絶え絶えに声を掛けてみるも返事は無く
ただ、鹿が珍しくスイに体を触らせている姿が目に入った最期の外の景色だった。



――ルト…

  ―――ナルト…

     ――― ナルトっ!


自分を呼ぶ声にゆるりと目を開くと、そこには…

「っ…なんで…」

「あの人の心返してよ…あの人は私のなの」

ポロポロと涙を落とし、スイを抱き上げた。

「あんま…めんめ…」

スイもその姿に心を痛めているようで
ナルトは唇を噛み締めて顔を背けた。

「どうやってここに入って来たんだってば…」

この森は本来シカマルの家の所有の土地であり、禁域の森でもある
普段は結界を張って人の出入りを遮断しているが
普通の人がこの場所まで迷う事なくたどり着けるだろうか…?
そんな事を瞬時に疑問に浮かんだナルトが聞くと…

「そんなの…どうでもいいでしょ?
返してくれないなら、無理にでも返して貰う!」

「ちょ!」

黒髪がサラリと風に揺れ、ナルトの胸の上に札が貼られ、その札を
剥がそうと手を伸ばした時、その人はナルトの体をドンと押し倒した。

「あの人は…記憶が戻ってる、アンタの事を思ってるのも思いだした…
だから、アンタが邪魔なの、彼は私の彼でなければスイが苦しむのよっ!」

「ウズリさんってば!」

ナルトが初めて彼女の名を呼ぶと、ビクッと乗り掛かった体を震わせた。

「説明してくれ…どうして、カカシ先生とオレが…
思いを通じ…合わせてたって…知ってんだ?」

ナルトの上に跨ったウズリが、スイの額をトン…と軽く触れると
気を失うかのように、スイの体がトサリとその場に倒れた。

「スイ!」

「アンタは…九尾の器、人柱力の癖に、男と交わる性癖を持った最低な奴ね
あの人は、普通の人だった…アンタが現れるまでは普通に女性と関係を持って
いずれ、その中の誰かと結婚したことでしょうね。
あの人は変わった…遊んでいた女とも手を切り、周りの人間に見向きもしなくなった」

グッとウズリの細い指がナルトの首を締め上げると、ヒュッと息を飲んだ。

「昔…から…知って…るって事…か?」

ニィと細く笑ったウズリがそうよ、だから死んでとナルトの首に掛けている手に
尻を浮かせて全体重を掛けた。

「こん…な…死に方…は、しね…ぇ…ってば」

グンとナルトは腰を押し上げると、下から突き上げてきて浮力の付いた体。
ソレを支える事が出来なくなって、手を離すとナルトがスッとその場を抜け出したが
やはり思うように力が入らない。

「動くな!」

ビクッとその声に視線を向ければ…

「っ…なんで!」

「動けば…どうなるか解るでしょ?」

「卑怯だってばよ!」

「卑怯?忍のアンタが、そう言う言葉を吐くなんてね…
卑怯でもいいわよ、私は彼が居れば良いの…もし動けば
この子に掛かってる術は解けないわよ」

ウズリが自分の子供に突きつけている千本…カカシの物を持ち出したのか
それとも、自分でどこかから調達したのか…
そんな事は、どうでもいい…ただ、ナルトには自分の子供に向けている刃が
許せなかった。

ピクッと動けば彼女の強い視線がナルトを射抜き
本気なんだと解る。
それに…

(チャクラの流れがおかしい…何だってばよ!)

心の声がクラマに届いたのだろう…
ナルトへクラマの低い声が聞こえる。

”わからんが黒い呪印のような物がオマエの中に蠢いてるぞ”

(呪印?)

”あぁ、ワシもその力に抑えられている…と言うより
その力は、お前よりワシに有効な…陰陽術かもしれん”

(陰陽術…?)

”忍より厄介だぞ、この手のタイプは…しかもかなりの力を持っとる”

(スイはどうなるんだってばよ!?)

”あのガキも…かなり黒い呪印で縛られておる。”

(クソっつ、憶測だけじゃわかんねぇ…直に聞くってば!)

「なぁ、アンタ…カカシ先生を大事に思ってるなら
その子供のスイをそんな扱いしちゃダメだってばよ!」

ハッ、と軽く笑うとウズリは髪を掻き上げた。

「スイは…あの人との子供、私とあの人との愛の結晶なの」

「…そこまでして生んだ子に、なんでそんな簡単に刃を向けられるんだってばよ!」

「また産めばいいじゃない」

「……なんだよそれ! 母親ってそんなもんじゃねぇだろう!」

叫んだナルトの声が、森の中をさわさわと揺れる木々のざわめきにかき消され
ウズリがクスッと笑った。

「お前は邪魔なんだよ…さ、スイの代わりにアンタが消えるなら
スイの術は解くわ、決めるのはアンタ…あの人の大事な子供をアンタは
生かすか殺すか決めなければならないのよ?どっちがイイかしらねぇ?」

グッと、スイの首に押し当てていた千本を押し込むと
ぷつり…と、刺さり込んだ先端を見てナルトが唇を噛み締めた。
けれど、正体だけでも掴まなければと、ナルトが声を発した。

「その前に…アンタは陰陽師なのか?」

ピクッと指先が動き、チラリと視線をナルトに向けると
グッと腕を巻くり、書き込まれている黒い線を見せた。
まるで刺青のように綺麗に書かれたそれは、何を意味しているか
一向に理解できなかったナルトだったが
その回答は…自分の腹の中から帰ってきた

”裏陰陽師、妖を専門に殲滅させる者をそう呼んでいた…
既に朽ち果てたと思ってたが…まさかここに来て出逢うとはな”

懐かしそうに言うクラマに、悠長に思い出してる場合じゃないってばよ!
と叫んだナルト…クラマがそれにニィ…と檻の中でほくそ笑んだ。

”前に戦った…マダラより相手が悪いぞ、奴は忍だったからな、
写輪眼でワシを操ったが、この女は違う…
能力はほとんど無効化されるし…お前のチャクラは乱気流状態
マトモな状態じゃない限り、あの女には勝てない…”

「そうさ、あんたの腹の中の妖狐が言ったのかい?
九尾の狐は、なかなか物知りだねぇ…だったら
お前が私に逆らえないのは解ってるだろう?
絶対に、あの人をお前になど渡すものか!」

「カカシ先生の気持ちは?どうするんだってばよ!」

ナルトが苦しそうに吐き出す言葉を鼻で笑い飛ばすと
ウズリは高笑いをして、ナルトの襟元を握った。

「お前が!あの人の気持ちを揺らしてるのは確かだ!
そばになど行かせやしない!あの人を縛ってでも、アンタの元には行かせない!
あの人の気持ち?狐が化かしている内は正気になど戻る訳がない!
オマエを使って…あの人の気持ちを変えてやる事だって出来るんだ」

と、そこまで言うと言葉を切り、薄く微笑むとナルトの腕を取った。

「あぁ、良い事を思い付いた…
凄く良い案だよ邪魔な狐憑き…この術は、日に日に弱っていくんだ
お前が命を落とすまで…ジワジワと苦しめてくれる
受け取って貰おうか」

ゾゾゾ…と、腕に書かれた文字と線が動き出し、ナルトの腕へと伝い
体の中に染み込んでいくと、ナルトの視界が急に暗転した。

「…見えねぇ」

「三重苦…今に口も聞けなくなるし、耳も聞こえなくなる
そして、その術はゆっくりと体を侵食し、最後は心臓まで巡って
お前は…     死んでいくんだよ  」


「カカシ…せんせ…」

名を…呼んでそのままその場に倒れたナルトを蹴り付けると
ウズリの目にはしっかりと見て取れた。
黒い呪印がナルトの目、耳、口へと侵入を果たしている事を。

「せいぜい苦しめばいい」

スイを抱き上げ、ウズリはそのまま姿を消した。

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