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【贖罪】34 石と術の正体
【贖罪】33 回想
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【贖罪】33 回想(一部TV放映のシーンの場所が出ます)
「ウズリ様!私もう…我慢できません!男同士で愛を育むなんて!
カカシさんは、そんな人じゃなかったのにっ!狐に化かされてるのよ!」
女性は総勢で4人…それにウズリと言う5人が何時も
カカシの事に付いて語っていた。
実際その4人の中には、カカシに愛された女も居たが
忍と言う職業柄時間も取れず長続きはしなかった…。
けれど忘れる事など出来ないと、ウズリと言う占い師に
相談を持ち掛けていたのだ。
それを統括していた彼女は、自分の手に落とそうなどとは
当時は思ってはいなかった…ただ、自分が助けて貰ったお礼と
そして、好きだったと…そう告げれれば幸せだと思っていた。
けれど、女たちはエスカレートしていくばかりで
あんな青臭い狐のガキに渡すぐらいなら、ウズリが妻になった方が良いと
散々言われ続けるうちに、そうなのかもしれない…と
自分でも思うようになった。
彼女達の思いは、カカシへの思いから…ナルトへの憎しみへと
直ぐに入れ替わり、あの子が居なければと…口を揃えだした時には
女の怖さがマザマザと見せ付けられた気がした。
「ねぇ、知り合いに中忍が居るんだけどさ…お金を渡せば
任務外でもやってくれるわ…あの子下忍でしょ?
ある程度痛め付ければ、カカシさんと離れてくれるんじゃない?」
そんな事を、ある一人が言うと、皆は何も言わずに頭を付き合わせ
その計画を実行に移すために言葉を紡ぎ出すのを、ウズリは黙って見ていた。
自分は、それに加担する気がなかったから…
けれど、もし…それであの子が彼から離れれば…
そんな期待も胸に膨れ上がったのも確かだった。
◇
「おい、うずまき」
額当てをした男がナルトの買い物中に声を掛けてきた。
「…なんだってばよ」
「お前さ、写輪眼のはたけカカシと付き合ってるって噂流れてるぞ?」
「は?…」
ナルトは、買い物カゴをレジに置くとその事に付いて何かを考えている素振りを見せた。
男達は、出口でナルトを待ち、買い終えたカップ麺片手に出てきたナルトに
更に声をかけた。
「なぁ、本当なのか?」
「…兄ちゃん方、何だってばよ!人の買い物中に!」
「いやな…噂が本当なら、少しお前と話をしなくちゃならないんだよっ!」
最期の言葉は強めに出され、それと共にナルトの腹部に拳がめり込んだ。
同じ忍装束で、額あてだって木の葉のモノを付けている。
油断した己が悪いとは分かっていても、同じ里の人間として
そこまで不審に思うことも無かったナルトが彼らの手に落ちた。
目覚めれば、チャクラを吸わせた縄に括られて、廃墟の中だろう
荒れた室内が視界に入った。
「目覚めたよ…」
「里の英雄様、お目覚めか?」
二人の男がニヤニヤと笑って傍にやって来ると
手首をその縄で吊るされ、上半身の体重がその手首に直接かかる
吊るされ方をしている事に気が付き、ナルトは下半身に力を入れた。
「離せってば!」
「残念ながら、狐憑きの排除が依頼なんだよねぇ…」
「排除って…なんで?オレ…」
愕然とした表情でナルトが項垂れると、ニィと笑った男がナルトの顎先を引き上げた。
「お前さ、ペインを倒して木の葉の英雄とか言われてるけど…
たまたまだったんだろ?弱った敵を倒して英雄とか言われても
お前だって素直に喜べないよなぁ~?」
クックックと含み笑いをされ、ナルトがギリッと奥歯を噛み締めた。
自分は必死に木の葉の為に、自分のために、何よりも、火影のため里の皆の為と
戦ったのに…それを、理解していないような発言に苛立った。
確かにあの時…木の葉は壊滅状態で自分でも里を九尾化してしまい壊した事は認める
けれど、命を張って、相手と対峙し…そんな自分を支えてくれたカカシや七班の皆まで
認めていない様な気がして、悔しさがこみ上げる。
「お前さ…最近はたけカカシと良い仲だって噂流れててな?
それを知った、カカシさんの事を大好きなおねー様方が大変お怒りなのよ。
それで、高額任務が来た訳なんだけどね?
お前に恨みはないし、任務だからやるけど…お前
カカシさんと別れてくれない?それを承諾さえしてくれれば
これ以上は何もしないで開放してやるよ?」
碧い瞳がギラリと奥底で輝くと、ナルトは笑った。
「なぁんだ…そんな事か…別れねぇよ、好きなだけヤレば良いだろ!
カカシ先生と別れるくらいなら拷問だって耐えてやるってばよ!」
その言葉に、男達が動いた。
バキッ…ドカッ…鈍い音だけが室内に響き渡り、ナルトの体は
あちらこちらから出血をしているのを確認すると
男が、顔の形が晴れ上がって変わってしまったナルトの顎先を掴んだ。
「別れるよな?」
「へへっ、そんなもんじゃオレは屈しねぇってばよ!」
幾度…その繰り返しをしただろうか
ナルトが気を失うまで続けられた暴行が止むと
横から女が一人、スッと出てきた。
「何やってるのよ!役に立たないわね!」
「ちょ、アイツの状況見てから言えよ!
アイツの根性が座ってるんだって!」
指を刺された先の肉塊は、手足に数本のクナイが突き立てられ
息も絶え絶え状態のナルトに女は唇を噛み締めた。
「忍が同胞の忍を拷問するのは…正直、頂けねぇ…
わりぃけど、これで最後にしてくれ」
と、男達はその場から立ち去った。
取り残された女が悔しそうに、ナルトに蹴りを入れて
踵を返し、室内が静まった。
「………う」
気が付いたのは、昼に捕まって丸一日が過ぎた頃だった。
体がギシギシと痛みを訴えるが、抜け出さない事にはどうにも処置ができず
ナルトはギシッと腕を拘束しているロープを見た。
「あ…チャクラが流れて…ねぇ…」
忍を拘束するには、チャクラを流して使うのだが
どうやら、拷問は一度きりで終わったんだと…ナルトが縄抜けをする。
流石にクナイでえぐられた場所は再生に時間が掛かりそうだったが
翌日の任務には、支障はないだろうと帰宅しながら思う。
と言っても、恐らくは壊れた里の復興が主な任務だろうけれど
カカシにこの怪我を悟られてはいけないと、ナルトはギッチりと傷口を縛り上げた。
付き合ったからといって、毎日会う訳でもないし、今日はナルトの休みに合わせて
休みを取ってくれていたが、緊急の任務に駆り出されてしまっていた。
そのため昨夜も訪れていないだろうと自宅へ戻ると
カカシの影分身が部屋を占拠していた。
「ぬわぁっ!なんで?」
「何驚いて…って、お前怪我してるのか?」
「あ、ちょっとさ…崖登りの業してたら
鳥が…飛んできて落ちちまった…」
「崖…かぁ、そう言えばオレも前にやったなぁ…」
なんて悠長に言うカカシをチラチラと伺うがオリジナルがそこに居る訳ではない。
ナルトは、ごまかせたか?とゆるりと視線を送ると、カカシが朝からいなかったから
出かける前にこれを残したんだけど…距離的にソロソロチャクラ維持が限界だと
あっと言う間に消えていった。
翌日、任務は普通にこなし、カカシも傷が癒えた頃に戻ってくると言うタイミングの良さに
ナルトが安堵していると
今度は、街を歩いていると、女たちの冷たい視線を感じるようになった。
――狐が化かしたんだ
――コイツが誑かしたんだ…
聞いてて気持ちいい物ではなかったが、あれ以来拷問と呼べるような物はなく
数人の酔っぱらいに絡まれたり、訳の解らない因縁を付けられることはあったが
一般人相手の場合は一切ナルトも手を出さず好きにさせていた。
それは昔からの習性なのかもしれない。
一方で、敬う事を吐き
もう一方で、蔑む言葉を吐く
そんな里の人間が信じられなくて闇を呼んだ事もある。
心にどす黒い感情が生まれ、それを必死に飲み込む。
それが2ヶ月ほど続いたある日、女から直々に呼び出された。
呼び出された場所は、木の葉の里の奥。
東側に位置する場所で、酒酒屋を通り過ぎた、貯水槽前。
アスマが昔に戦った場所で、その場所も結構有名になって
一時期、忍ファンの一般人が見学に来ていた…
と言っても、貯水槽前なんて何も物珍しいものもなければ
地面にクナイが突き刺さったのだろうか?と言うような
穴が数箇所ある程度の場所でナルトが辺りをジッと見回すと
2人の女が現れた。
腕を組み、鼻息を荒くする女性は色気と美しさを兼ね備えた
そんな女…
なぜ、男で立場的にも分が悪い己をそこまで警戒するのか…
ナルトは溜息を落として彼女達に声を掛けた。
「呼び出したのはおねーさん方?」
「ええ…そうよ!」
「カカシ先生と別れろとか、そう言うのだったら
オレは、別れるつもりはねぇってばよ」
その言葉に、女の一人がツカツカと歩み寄ってナルトの頬を平手で打った。
パーンと乾いた音が響く中もう一人の女は、先ほど立った位置から動こうとはしなかった。
「アンタに、子供なんか産めないじゃない!一生縛って生きるつもり?」
「……先生が別れたいと言うのと、ねーちゃん達が、別れろと言うんじゃ全然違うってば
オレは、カカシ先生が別れたいって言うなら、従う…けど、人に言われて
その通りにする程、オレの気持ちは軽くもない」
「そうやって誑かしたのね?あぁ、可哀想に…」
と、カカシを憐れむ物言いに、ナルトは内心苛立ったが
それを前に出してしまえば、カカシの事で揉めたのが直ぐに知れ渡ってしまう。
グッと腕に力を入れて堪えたナルトの横で女は尚も続ける。
「彼は里にとっても忍にとっても大事な人なんでしょ?
いつ死ぬかわからない任務が繰り返される中、アンタなんかに待たれても
あの人は心が休まるのかしら?温かいご飯…可愛い子供の声…帰ったらすぐに
お風呂が湧いていて、常に彼を待つ事が出来る?」
「出来ねぇけど…それでも、オレはカカシ先生を選んだし、カカシ先生も
オレを選んでくれた、それは曲げられねぇ事実だしオレは家庭って物を持ったことがねぇ
そんな…自分を認め愛してくれる人が出来た、
そしてそれがやっと出来た自分の大事な繋がりだから!
例え男同士でも先生が傍に居てくれる限り自分からは離れないしその努力はするってば」
ナルトが言い切ったと、同時に女は深いため息をつき
後悔するわよ?と言葉を吐くと、後悔するような思いは一切ないと
ナルトが言い切って、話にならないわ…と
女達がナルトを置いて帰っていった…
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【贖罪】34 石と術の正体
ナルトと、名を呟いたきり、手を握り締めるカカシに
ウズリは笑って告げた。
「ねぇ、アナタは私を殺せる?」
その回答は、あっさりとカカシの口から吐き出される。
「あぁ…良いよ、けど、ナルトを治してからだけどね」
その回答に、ウズリは眉間にシワを寄せた。
「まだ、アレの解除方法を掴んでないのかしら?
とすれば、後一日も持たないわよ?
まだ、私に分があるようね…カワ、貴方はスイの父親よね?
あの子の母の私を平気で殺せるの?」
「父親だよ…けれど、ウズリ、君は今のオレには他人以外の何でもない
記憶が戻らなかったとしても、オレはナルトに惹かれ始めてたしね」
飄々と言ってのけたカカシにウズリが声を荒げた。
「うそ!」
「ホーント…ホラ、記憶のないオレが書いたモノだ」
シュルリと巻物を開くと、ナルトの記述の所で指を止めた
「な…ん…でよ! どうして私じゃダメなの?」
バンと机を叩いて立ち上がると、カカシのクナイがチャキ…と音を立て
周りに人の気配が現れた。
二人の暗部が、ウズリの両サイドを固めたのだ。
それをキョロキョロと見回して諦めの溜息を落とし…
「いいわ…貴方に記憶を戻してあげる、私を愛した記憶
そして、この里に戻ってからのアナタの記憶を…
タンスの裏にある、小さな石があるわ、黒っぽい石よ…
それを割ったらアナタの記憶がもどる…余す事なく全て
私を愛した、一緒にまどろんだあの時の記憶を思い出しても
私を殺せる?」
目を潤ませて言う彼女に表情一つ変えないでカカシは答えた。
「殺せるよ…オレは精神訓練は出来ているからね…。
ま、そんなオレでも、唯一殺せないのが…お前が手に掛けたうずまきナルトだよ
さて…戯言はここまでだ、ウズリオレを見るんだ…」
カカシの指先がウズリの顎をグッと持ち上げると
ゆるり…ゆるりと視線が上がり、カカシの紅い瞳と交わると
その目に引き込まれるようにウズリの体から力が抜け落ちた。
暗部両名が、片腕づつを持ち、カカシの方へと体を向けると
虚ろな瞳がカカシを見つめる。
それを確認してカカシが口を開いた。
「さぁ、言って、あの術の解除方法を…教えてちょーだい」
目は何も映さず、ただカカシの言葉に素直に言葉を吐き出す。
「…あの術は、解けない私の術ではない…」
ゆっくりと語りだされた予想外の言葉に息を飲んだ。
「ちょ、ここに来て協力者が居るとか勘弁して欲しいんだけど」
「…違う、協力者じゃない…」
「なっ…!じゃあ…何がナルトを苦しめてる?」
「私は、目口耳を塞いだに過ぎない…」
その言葉を最後に、ウズリの体がガックリと項垂れ
力が全て抜け落ちた彼女を見てカカシが舌打ちをした。
あとは拷問の部署でしっかりと聞き出してくれるだろうが
ナルトは一刻を争う事に違いはない…
カカシの額から、滅多に見られない汗が一筋の線を描いていた。
◇
「ナルト!しっかりせんか!」
医療施設の整ったその場所で、綱手が本を見ながら術を施すも
殆ど効き目が見られず、唸りながらのたうっているナルトを
シズネと暗部のサスケが支えていた。
人手が足りないからと、緊急招集がかかり
サスケが到着した時には既に、ナルトの状態は悪化の道を辿っていた。
はぁはぁと、荒ぶる呼吸、ダラダラと額から流れる汗が
どれだけ彼を苦しめているかを如実に語っている。
サクラも医療忍術でチャクラを流したり、何か手段はないかと試行錯誤するも
綱手同様の結果しか産まなかった。
「ねぇ、サスケくん…これって…何かの文字に似ていない?」
気が付いたのはサクラだった。
ナルトの右腕に黒い墨で書き出されたような…文字のような絵のような模様。
「これは…梵字か?」
サスケがナルトの腕を持ち上げ、ジッと見ると
「子の梵字だな」
と、サスケが言う。
「子の梵字?」
全く理解できないサクラがハッと思い出したのが…
自分達の結ぶ、忍の印を覚えた時の…十二支
その時に、梵字にもそれに纏わる文字があり、国外の者は
そう言う語源を使う者達も多く居るという…物だった
「子の守護は…千の慈眼と慈手で、
延命・滅罪・除病などの功徳をもって一切の悩みを救う
と、されているが…それの逆という事か?」
サスケが眉間にシワを寄せ込み、深く思考していると
横でバン!と大きな音を立てて本が開かれた。
「サスケ!お前腕の文字が分かったなら、この本に書かれた文字は
読み取れるか?」
綱手が開いた、顔よりも大きな本にサスケが視線を向けると
徐に口に出してそれを読んでいった
「…子、卯…寅、酉、酉、申、子、寅…」
サスケの言葉に、綱手がその印を組み、ナルトに向けてみるが
それは、無駄に終わってしまった。
だが、サスケは難なく読み、その言葉を口にしたのが気に掛かり
綱手が口を開いた。
「なぜお前が読める?」
「…うちはでは、幼い頃からこの文字での印業でしたから」
と、サスケの言葉に綱手がそうかと納得し、ナルトの次なる解術の手法を探る。
「ううっ…うあぁ…」
声さえ自分で出しているのかも…きっと解らないであろうナルトが
必死に術と戦っていると、キィ…と、ドアが開かれ
カカシが中へと入ってくるなりウズリの捕獲報告をする。
「なにか聞けたか?」
「…ナルトの事は…聞けませんでした。
ただ、自分が掛けた術ではないと、意味が解らないことを
言っていましたが…イビキの所に預けたので、直ぐにでも…」
「カカシ!しっかりせんか!」
「え?」
パンと綱手に頬を殴られて、視線が綱手を初めて捉えた。
「お前らしからぬ…だぞ?」
「あ…すいません」
ナルトが気になって、綱手の表情さえ見ないままナルトに見入ってた己を制し
カカシは再度綱手に視線を向けた。
「スイは、アカデミーのイルカ先生に預かって頂いています。
それと、先日コチラに預けた石は…何処にありますか?」
綱手が、その言葉に執務室だと伝える。
「割ると、私の失った2年間の記憶が戻るそうです…
どうか、割る許可を頂けませんか?」
「…よかろう、それで何かを思い出すかもしれんしな。
付いてこい!シズネ!ナルトは頼んだぞ!?」
ハイと言う返答を待って、カカシと綱手が部屋を出て行った。
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