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怖かった…
こんな思い初めてだった
ってか、何処まで匂い追尾できるのよ!!!!
レンが怖いわっ!
家に帰ると、父と母が心配そうに私を見ていた。
平賀は、お疲れ!と、まるで一仕事終えたように帰っていったが
うん、確かに一仕事だ。
レンはまだ怒ったままだし…
私のせいじゃないのにっ!
結局犯人は解らない。
レンはもう一度匂いを嗅げば解ると言うが
それが犯人だと断定できるのは声しかない
証拠が圧倒的に少ないのだ。
梅木が裏で手を引いているのか?とも思ったりもしたが
学生の彼女が出来る範囲って、正常で言えばナイ。
自宅に戻って一息付いた。
今思い返してもすごく怖い。
病院へ行けと言われたが、そこまで酷くないと断った。
「レン…バナナある?」
「今日は…ダメ」
「え?」
「バナナダメ」
「まだ怒ってるの?」
「脱いで」
「え?」
「あの男の匂い、脱いで」
「あー…うん、お風呂入って来る」
カウチに腰掛けていたのに、ソコから立ち上がれなかった。
「あれ…?……ってうおぉっ!レン」
彼は私を抱き上げると、風呂場にそのままで入りお湯を出した。
「ちょ、服脱いでないし、冷たいって!レン!匂い嫌なのわかるけどっ
ちょっと、聞いてる?レン!!」
「黙って」
冷たい視線が突き刺さるとはこのことか?
シャワーが降り注ぎ、やっと温まったお湯が流れ出ると
レンの抱きしめる手に力が入った。
って…この状況非常に恥ずかしいんですけど!?
なにこれ?
「水希、教えて」
「か…皮をはぐとか?」
「NO付け方」
「っ…」
こらこらこらこら!
お前は何を言い出すんだ!
ってか、なんなんだこの展開!
私にどうしろって言うのよ!!!!無理無理無理!
レンの腕の中で開放してもらって逃げるしかない!
ぐっと、力を入れて逃げようとすると、レンもグッと力を入れて抱きしめてくる。
いやー和香ぁ~助けてよ~~~~
違う意味で危険だ…
「自分で…調べなさいよ!恥ずかしくって言える訳ないじゃない!」
「何故?」
「は?」
なんなのよ!
恥ずかしいって言ってるのに何で解らないのよ!
もう、テンパイお手上げ…黙るしかない…
やっと着替えて今彼は実家に行っている。
しつこく消し方を聞いてくるから…
私が頬をひっぱたいた…
だって、恥ずかしいんだもん!
実家に行け!と、命令しちゃった…けど怖い…
クロは居るけど…怖い
さっきの闇がまた私を覆い尽くしそうで…
どうしよう、実家に帰ろうか?
呼びに行こうか…
それともいっそうの事、母のベットで寝ようか?
あーもーわかんない!!!!
なんて考えてたら、レンが帰ってきた。
「水希」
「なに?」
「おいで」
「は?」
そのまままっすぐ私の側まで来た彼は
私の腕を引き上げ、立たされるとそのまま
私の寝室へと向かう
「ええ?なに!?レン?」
「大丈夫、怖いない」
「は?」
カチャッと開けられた扉の向こうはすぐに私のキングサイズのベット
「ここ、水希の香りする、安心する」
「レン?」
「俺、ごめん、黙ってられない」
「は?って、うわぁ!」
ポンと押されて、押し倒された私は、目を丸くするしか出来ない
上から、ニッコリ微笑む彼の顔。
でも、ギシッと音を鳴らしてベットが揺れると
心拍数が、100m走った位の勢いで脈を強めた。
「水希、この痕…消したい」
「っ…な、なによ!付け方解らないでしょう?」
「父教えてくれた」
って!クソオヤジ何教えてるんだ!
娘の貞操の危機を己で作り上げるな!!!!!
信じられんわ!あのオヤジ…明日蹴ってやる!
けど、レンの行動は止まる事を知らないように…
私の首筋に手を当ててきた。
何時も暖かくて、気持ち良い手がひんやりと冷たいのは
レンも緊張してるのかな?
「水希…イヤ?」
「ほぇっ?」
まただ、緊張しすぎて変な声出るから、そうやって寄ってこないでよ!!!!
「イヤ?俺じゃない印…いいの?」
「うっ…………」
レンの付けたものではないのを、このまま付けていて良いのか?と
彼は聞いてるのだろう…良いわけないじゃない!
でも、恥ずかしいし、レンの事…
「水希、俺耐えれない」
「レ…ン…?」
「付けていい?」
この深い緑の目には逆らえない。
獣に睨まれてるような、身体を痺れさせる視線に射抜かれてるから。
折れる…という言葉が私の頭の上を愉快そうに廻ってる。
レンの真剣な眼差しに、負けるしかないか…
「わか…った」
「うん、ありがとう」
そっと、形の良い唇が、首筋に降りてくる。
一瞬目が合ったレンの顔は、妖艶に輝いてるように見えた。
舌先をペロリと出し、自分の唇を潤す姿に、身体が一気に熱を持った
一度舐めると、その後にチュッチュと何度もキスを落とし
狙いを定めて強く吸い上げてきた。
ゾクッと背筋に走るのは、腰にまで降りてきて、
さっきの男とは全く違う感覚に驚いた。
「っっは!」
吸い上げられた瞬間、声が漏れる。
あぁ、なんて声出してるんだよ…なんて思うのに
頭の中は痺れて、身体がふわふわと浮遊している感覚に押される。
「んんっ…」
何度も、その場所を舐めては吸い上げ
逆の首に彼の唇が落ちてきた。
「きゃっ!…レ…んっ…」
新鮮な感覚。
さっきまでとは違う。
狂いそうな程のレンの気持ちを感じた気がした。
「大丈夫?」
そっと、顔を離して彼が私に聞く。
大丈夫じゃない…腰がきっと、抜けている。
それ位…気持ち…良かった…。
はっ!ダメダメダメ!流れてる!ダメ!違う!
このままじゃ、間違いなくレンの事しか考えられなくなるっ!!!
ダメ!それだけはダメー!!!!!
なんて考えてたら…
何だこの状態は!?
いや、夫婦だから…この状態が正常なのだろうが…。
レンの腕を枕に、横になってる私。
横で短い髪を何度も梳いて、クルクルと指先で巻いては逃れる髪を追いかけるレン
それがやけに楽しそうなのだが…
きっと、両方の首に付いてるんだろうな…あの痕…
はぁ…
「水希…寝る?」
「え?あ…ん~」
寝れないじゃん!アンタそこに居たら寝れませんから!
危ない!危険って何かが騒いでるんだって!無理!
と言うか、今日無理しか言ってないほど無理すぎる!
「ごめんね」
「え?」
「俺眠い…」
ってコラ!!!!!何いきなり言ってコトンって頭落とすんだよ!
しかも寝息立ってるじゃないか!
コラコラコラコラコラ!!!!!マジで蹴るぞ!?
「レンってば…って!うおぅ」
起こそうとしたら・・・抱きつかれた。
片足は私の下半身、両手は私の首から胸に掛けて…
お前は蛇か!!!!!
狼で猿で・・・挙句の果てに蛇なのかっ!!!!
あぁぁぁああ………疲れてるのにぃ………
仕方なしに私はおとなしく目を閉じた。
自分のドキドキだけがすごく耳に届いていた。
でも、私も、相当疲れてたみたいで
レンの温もりがすぐに眠気を促した
「ん…」
ころんと、寝返りを打ったら驚いた。
(うぉぁっ!)
目の前にレンの寝顔。
思いの他、まつげが短い。
けれど、綺麗に整った顔が、すぅすぅと眠っている。
昨夜は、助けて貰って自分もかなり疲れたけど、探し回ったレンはもっと
疲れたんだろうなと思う。
シーツの布ずれの音で、クロが気が付いたのか
足音がフローリングに響き、カチャカチャと部屋の前でドスンと、
身体を横たえる音が聞こえた。
私は慌ててリビングに出ると、目に入った時計に驚いた
心地よく眠っていたのだろう、10時を過ぎている…
レンがこの時間まで起きないのも珍しいが
自分が起きないのも珍しかった。
「バナナ食べようかな」
なんて思ったけど、昨日はレンに止められて食べれなかったなと
不意に思い出したら顔が真っ赤に染まった。
昨日の、レンのあの行為は独占欲?
それとも…
と、そんな場合じゃない!
鏡…鏡っと…
「…………。」
うん、そうなるとは思ってた
うん、どうやって隠す?
今日は首の開いた服は着れないなぁ…
昨日の男のキスマークの上から綺麗に重ねられ
ちょっと大きく目立ってる一つと
逆側に、小さく解りにくい程のだが、見える一つ。
両方の首に両手で覆うと、耳まで真っ赤になる。
私はトマトじゃない!
ギシッと…カウチに腰を掛け窓の外を見やった。
明日から…仕事か。
大学へ行くのが少し怖い…
犯人のめぼしは全く付いていない。
いや、心当たりはなくもない。
けれど、その人が犯人と言い切れない
私が考えていると、不意に背後から身体が包まれた
「んにゃっ!」
あ…また変な声。
「レン!びっくりするよ!」
「布団、水希居ない、びっくりした俺も」
「あ…そっか…ごめん寝てたから」
「うん、だからもう少し」
ギュッと抱きしめられて思う
なんだ?この甘い雰囲気と言うか空間と言うか…
しかも、この暖かさが気持ち良い…
ヤバイ!恋愛脳作動し始めてる!
「れ、レン!お腹減ったのっ!ご飯作るからどいて?」
「ん…わかった」
離れると、やっぱり寂しい…ハッ!ダメダメ!
最近なんでこんなに自制効かせてるのか…解らなくなる。
それを考えても答えが出ないから!
ご飯作ろう。
私たちは、玉子焼きと、ハムとをおかずにして、遅めの朝食を取った。
「水希上手なった」
「ん、一杯作ると思ったより上手に作れるんだね~」
「水希ご飯美味しい」
なんて食べてくれるレンに、胸が温かくなった
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