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≪ 狼と私28 | | HOME | | 狼と私2章② ≫ |
桑本家の門を叩いたのは…
そしてここからまた、面倒な予感だわ。
どーすんのよ!レン!
※
皆様、お疲れ様です。
ここで一区切りです。
次からは2章に突入でございます。
シリアスモードが多くなるためご注意下さいませ。
いつものように日々を過ごす中、レンとのぎこちなさも
どうにか落ち着きを見せた。
けれど、前のような甘い関係にはまだ戻れては居ない。
触れそうで触れないお互いの関係がイヤではないのだが
頬へのキスすら、与えられなくなっていた。
それでも、お互いに話をしたり
一緒に買い物へと出かけたりと日々を過ごして10日ほど過ぎた。
私は大学の帰りに、和香の家へ遊びにいくつもりだった
レンも、用事があるらしく今日は出掛けるとの事だったので
今日のレンのお迎えはない。
のだが、和香から急に仕事が入ったと連絡が来て
一人帰路に付いていた。
「スイマセン、クワモトさんの家は、どこですか?」
耳に入った声に、私は振り返った。
小太りの眼鏡を掛けた、少し頭が薄くなったおじさんへ
話しかけている相手…
背は然程高くないのか、私から見ると
おじさんに隠れて頭が少し出てる…的な。
しらないなぁと答えるオジサンの横をすりぬけ
私と目が合った。
身長は170くらいかな?
細身のブラウンの毛。
レンと同じ癖毛で…眼鏡を掛けている。
ちょっと長めの髪を、後ろで一つに束ねていた。
そして…瞳の色が青…。
外人?
「HY!クワモトさんの家ワカリマスカ?」
手当たり次第…って感じは否めないけど
まぁ、自宅だし?
「桑本のどっちですか?」
「OH!クワモトレン!」
「ウチです」
「え?」
キョトンとした顔はまだレンより幼い感じはするけど…
知り合いなのかな?
「私は桑本水希で、レンの妻です…ってうおぉぅわっ!」
彼は嬉しそうに私に抱きついて来ると、頬に一つキスを落とした
「なっ!」
「僕、ノア!レン兄!」
「へ?」
「レン兄です!僕の兄!」
「レンの…弟?」
「うん、きっと…」
「きっと?」
「うん…はっきり解らないけど、母が言うレン、日本来た」
「うん…まぁ、詳しくは家に行こう。
私の父が恐らく話を聞けるはずだから…」
私は、英語が苦手だっつーの!!
レンが今日は出かけているので、夜まで帰らない。
だから、私は父とノアの話を聞く事になるのだが
うん、全然わかんねぇ!
ので、私はお茶を入れたり、お菓子を出したり…
「水希、レンの弟に間違いない」
「え?」
いきなりの父の言葉に驚いて
二人が話している輪に戻ると
戸籍があり、レンの本名は「カイル・アルフォード」
レンと言う名前は、父源蔵が付けた名前だと言う事だった。
レンが父と遭遇した時に、言えてた言葉の一つアルフォードは
これだったのかと、思ったらしい。
確証は無いが、母のナタリーがレンを5歳で山へ捨てた事。
そして数年後に見つかった狼少年の話。
年齢的に一致していると言う事で、レンの行方を追っていたら
日本へ行ったという事で、ナタリーの指示により
今回、ノアが代理でやってきたと言う事だった。
「水希可愛い」
「は?」
話の流れをぶった切るな!!!いきなりなんなんだ!?
人の姿を見るなり、上から下まで嘗め回してるようにみて
挙句に、ニッコリと微笑むと、やっぱり…
父が認めたからなのか解らないけどレンの笑顔に重なった気がする。
「水希、レン良い?」
「何が?」
「SEX」
私は呆気に取られて
はい、飲んでいた紅茶噴出しました…
「なんなんだお前…」
「レンやめる、僕においで!」
「いや、訳解らないんだけど」
くっ付いてくるノアを押しのけながら逃げるものの
腰をがっしり捕まれて、逃げるに逃げられない…
「ちょ、お父さん助けてよ!」
と、ヘルプを出すものの、父相変わらず無関心…
クソオヤジ!
「水希、諦めろ外人に気に入られれば普通だ」
「ちょ!何が普通なのよ!はーなーれーろー!」
私が、これ以上の接近はなんだか気持ちのいい物でもないと
一生懸命ノアを押しているも、さすが男の子…ビクともしない
すっごいタイミングで、レンが帰宅して家に居ない私を探しに
実家へ戻ってきた・・・んだけどね?
あんらぁ…怒ってる。
眉間に皺をガッツリ刻んで、私を見た。
離して欲しいのを理解したのか
真っ直ぐズカズカ歩いてきて、ノアから私を引き剥がし
レンが抱きしめてくる…久しぶりに抱きしめられた気がする…
やっぱり、レンの腕の中は心地良い…。
「お帰り、レン」
「うん、ただいま…で、誰?」
視線の先はノア。
ニッと笑ったノアが、レンの横に立ち少し見上げるように顎の角度を変えると
もう一度見やって、ニヤリと笑った。
「My name is Noah. I am your younger brother. 」
(兄さんでしょう?僕はノア、あんたの弟だよ)
その言葉にレンの目は見開かれた。
ずっと離れていた弟、5歳の時以来なので、覚えていないだろうな…
なんて私は思った。
「 your brother?」(お前が兄弟?)
「yes!Mizuki Please give」(そう!水希をくれる?)
「……水希?」
「yes!」(そう!)
「no!Why did it come?」(だめだ!何しに来た?)
睨みあう二人は、いいとして…
話の行方が解らない…自分の名前を出して話されると気分も悪い
「ちょっちょ!私の名前だしながら、英語で話さないでよ!」
その声に反応したのはレンだった。
「あ…ごめん」
せっかくの腕の中も、この言葉で離れてしまう事になって
ちょっと残念だけど…とりあえず
嵐の予感です。
レンは、父と彼の話を聞き
何度か質問をしながら、男同士の話をしていた。
私はというと、母と少し話して自宅へ戻っていた。
一緒に聞いても、言葉がわからない以上はどうにも出来ない
だから、風呂に入りカウチに腰を掛けると不意に頭に浮かんだ
レン兄弟。
何しに逢いに来たのか…
それが気になる。
本来なら本当に探していたなら
彼はもっと兄に会った時に喜んでも良いのではないだろうか?
ましてや、アメリカ育ちのノアが兄に当るレンにハグさえしなかった
長い間離れすぎたから…なんて言葉とは違う気がして
色々と思考を回してみるも何も思い浮かばず
私はバナナを頬張った。
カタッと音が聞こえ、視線を走らせると、ソコにレンが立っていて
私はお帰りと言葉にすると苦笑いしながら私の前に膝を立てて腰を下げ
私の手をそっと握った
まて!レン!その手はバナナ握ってる!!!!!
せめてもう少し綺麗なこっちの手にしてくれ!!!
なんて思いは通じませんけど・・・。
「水希、ノア泊める…」
「あーうん、いいよ?」
「ほんと?」
「嘘言ってどうするのよ…でも、レンはいいの?
2階に泊めるんでしょう?」
「…俺カウチで寝る」
「ここで?」
「……うん、あのベット小さい」
カウチも十分小さいでしょうに…
この際だから、仕方がないか…
「私の部屋で寝て良いよ…」
「……うん、ありがとう」
何ナノよその返事の間!!!!!
「で、何日泊まって行くの?」
「一ヶ月」
「……ながっ!」
「だよ……ね」
しょんぼりしたレンに、何となく申し訳なく思い
ニッコリ笑って大丈夫と伝えた。
しばらく触れ合ってなかっただけで
本当に相手の体温を忘れてしまう。
いや、求めてしまうものなのだと…レンの頭を抱きしめて思った。
「良かったね…弟が見つかって」
「うん…」
こうして、ノア・アルフォードが私の家に来たのだが
問題はその後だった。
「よろしく!」
と、入ってきたノアにクロが威嚇を始めてしまった。
そんな事を今まで来た人間にはしなかったのに
クロの威嚇は止まる事無く、仕方がないので実家へと
預ける事と成った。
レンはノアを二階へと連れて行き、上で英語の話をしている。
ので、理解は出来ない。
けれど、何か言い合いに近い言葉の投げあい位は想像が付いて
もしかしたらレンをアメリカへ引戻そうとしているのではないだろうか?
なんて考えると少し怖くなった。
夕食を終え、明日も通常通り仕事へ出る私はそろそろ寝ると
寝室へと入った。
恐らくレンが来るだろうから、ドア側を一人分空けて
私は奥へと身体を押し込み、本を開く。
本来なら居間のカウチで眠くなるまで本を開くのだが
それは、ノアが居ない時。
生活のリズムが崩れるなと…この時思った。
5Pほど読み進めると、レンが居間の電気を消し、部屋へと入ってきた。
私は読んでいた本を閉じると、レンが入ってくるのを躊躇ってるように見えたので
声を掛ける事にした…。
「寝ないの?」
「ん…寝る、入るよ?」
「うん、どうぞ」
その言葉に安心したのか
レンがスッと布団に入り込み、私の横に寝そべったので
私も本を横へと置き、横たわる事にした。
天井を見上げながら、横のちょっとした温もりに癒されてると
レンも同じく思ったのだろうか?
「ここで寝る、水希の匂いで癒される」
なんて久しぶりの甘い言葉に頬が熱くなった。
「水希?」
「なに?」
「話、大丈夫?」
「うん、まだ寝ないからいいよ」
「ノア、一度アメリカ帰って来いって…母心配してる
でも、俺水希置いて行きたくない」
視線を感じ、レンを見やると真っ直ぐ私を見ていた
レンと同じ布団で、レンと一緒に考える弟の話。
それは凄く、私にとって心地良かった。
レンが横で私の側に居て、私に言葉を掛けてくれる。
この前までのぎこちなさを、忘れてしまえるほどに。
「アメリカ…か、遠いね」
「うん」
「行っておいでよ?お母さんに会いたいでしょう?」
「水希一緒いこう?妻だと紹介する」
その言葉に躊躇った。
愛…という言葉をまだ彼にあげれない。
結婚していると言うだけで、私達は進んでいない。
結ばれる事すらしていない…。
しいて言うのであれば、私が彼を好きで彼も私を好きだと言うこと。
それで良いじゃないかと和香も言ってくれるが
私は本当に恋愛べたなんだろうな…。
「考えても良い?」
「来るの嫌?」
「そうじゃない…日本語しか話せないから…」
「俺居る」
「解ってる、だから明日まで考えさせて?」
「うん…それと…ノアに気を付けて?」
「え?」
「水希気に入ってる」
「…私は気に入ってないよ?」
「ノアが」
「姉になるって事だよね?」
「そうじゃない…と思う」
じゃーどういう事だ?
とまでは聞けなかった…。
初対面であって、ノアはレンとのHに付いてを聞いてくる時点で
なんだか、兄弟と言う言葉がしっくり来ないのだ。
私が気に入ったと言うより、兄のおもちゃを欲しがる弟…みたいな
そんな感覚も見て取れる。
「水希、抱きしめたい」
急にレンの言葉が降り注ぎ、私は返事を返す前に抱きしめられた。
「水希が足りなかった」
私は君の栄養源か?と聞きたい位…レンは私を大事にしてくれる。
その心地良さにあぐらをかいているだけなのかも知れない。
雨降って地固まる。
なんて言葉を、レンのキスを受けながら思った。
身体をずらして、私の上から覗いて来るレンに、目を閉じて誘ったのは
私だった。
指先が絡まり、レンが戸惑いを隠せない視線を送ってきたから
私はそれを受け入れた。
戸惑いながら舌先が入り込んでくるのが解る。
レンの息使いや、指先の温もり、体温の交換
レンを近くに感じれるだけで、私はこんなにも幸せになれる。
恋愛脳が活発にレンを欲しがる
けれど、レンも私を求めて首筋へと唇を落とし
絡まった指先がいつの間にか、胸元のボタンを外していた。
「んっ…レン、だめ」
「水希…」
「んっ…レン…だ…め」
手が胸に触れ、指先がブラの下へ入り込むと
身体に走る快楽の渦。
「っふ…レン!今はダメだって」
やんわりと、包み込まれるとレンの首にしがみつくしか出来なかった
腰がガクガクと力を失うのを、まざまざと体験してしまう事になった。
「みずき…」
「レン、ダメお願い…あっ…」
指先が、私の敏感な所へと到達すると
そっと指先で押し込まれ、その指を飲み込む私の胸の先は
痛いくらい硬さを強める。
私を抱きしめるレンの体が熱を放ってると解った。
レンの欲はもう止まれないのかもしれない…。
そう、感じた。
暗闇に光るレンの緑の目。
月の光だけが私達を包んでいて、その瞳に食い殺されるかもしれないと思った。
ブラをずらし、布で隠されていた先端が外の空気を感じる。
半分しか空いて居ないパジャマの前とブラが同時に肩から下がり
レンがその頂を口に含むと、声が勝手に出る。
「んあっ…レンっ…ダメ」
「みずき…しよう?」
「ノ…ノアが居るから、嫌っ!」
涙目で訴えたその言葉に、レンが動きを止める事となった。
ふーっと、深い息を吐き出し、レンが私の体から離れ足をベットの外に向けると
自分の頭を何度か叩いているように見えた。
「ごめん、頭冷やしてくる…」
レンがそう告げて部屋を出て行った。
本当なら結ばれても良かった…けれど、上にノアがいて
レンはそれに触発されている。
今まで均衡状態だった、ぎこちなさが…欲を抑えるせいだったとしたら?
だったら、もっと早くに抱かれて置けばよかったのかもしれない。
私は、服装を直してレンの温かさを失わないように
自分の身体を抱きしめた。
思い出すだけで、体が反応しているのが解る。
こんなにも抱かれたいと願う体を
何故自分は止めてしまったのか…
カチャリと、部屋が空いて罰の悪そうな顔でレンが戻ってきた。
もしかしたらそのままカウチで寝るかもしれないと思ってたので
ホッとした。
「おかえり」
「…ん、ごめんね?」
「うん…大丈夫だよ、レンを嫌な訳じゃないから」
「水希、好きだからね?」
「解ってる、私もレンが好きだから」
「好きだから…いつまでも…待てないよ?」
「っ…はい。」
そのまま、レンは蛇の生殺し状態を耐えなければならないのだが…
まぁ、それは仕方がない事だろう。
夜が明け、私は寝ているレンにキスを落とした。
愛しいと…思えた。
これが愛しているに繋がるのかは解らないが。
朝ご飯の用意をする為に、部屋を出ると
カウチに人影を見つけて驚いた。
「おはようごじゃます。時差で寝れない」
「あ、そうなんだ?…おはよう。
今朝ご飯作るから」
「みそしる!?」
「え?あ、うん…」
凄く居心地が悪い。
レンと過ごしたあの時間が心地良すぎたせいかもしれない。
キッチンで豆腐をきっていると、横からひょいと顔を出してきて
私の横から白い物体に付いて問われている。
豆腐…アメリカにも今はあるだろう?
なんで、知らんのだ?
味噌を溶き、味噌汁とシャケを焼いただけの簡単朝ご飯が出来た。
「水希、僕今日送る」
「は?」
「レン寝てる、僕送る」
「あ~毎朝送ってくれるの聞いたんだ?
悪いが朝飯に起こすから、ノアは送ってくれなくて大丈夫だ」
私は3人分の食事を出すと、寝室のレンのところへと足を進めようとしたが
ノアに塞がれてしまった。
「行けないだろう?どけなさい」
「レン疲れてる、夜頑張ったでしょ?」
「は?何を?」
「SEX」
お前はその言葉しか知らないのか!?
やってない!と、確かに断言も出来ないが…
ニヤニヤ笑うノアが結構苦手だ。
ドアの前に立つノアに何を言ってもダメだと悟り
私はそのまま踵を返す。
これ以上言い合いしている時間もない。
バナナを補充するために一房カバンに詰め込むと
化粧をするのにもう一度寝室へと足を向けた。
今度はノアも、居なく普通に部屋を開けれて
まだ熟睡してるレンの頬を突っついてみる。
「れーん?朝だぞー?」
「ん…眠い…もう少し」
「じゃー私は行くから飯はテーブルね?」
「ん…わかった、送れなくてごめん」
「いいよ、ゆっくり休んで」
あの後、私はすぐに眠れたが、レンはどうやら結構遅くまで
起きていたらしい。
夜中に目が覚めたとき、一度レンと目が会ったから…。
全く、男って大変だな…と他人事のように思ってしまった。
「近い!」
「ん?大学か?」
「yes」
「遠くは無いな…」
「そう、近いいい!」
「そうだな、でもすぐに呼び出されたりもするから
良い事も有るけど、悪い事もあるな…」
とりあえず、話をしながら大学へ到着すると
なんて言うタイミングで梅木…。
「あれ?レンじゃないの?」
「ノア、レンの弟だ」
「へー?私梅木香織ですよろしくね?」
「oh!よろしく!」
話し込んでいる二人を、残したまま私は大学へと足を進めると
目の前を歩く平賀と目が合った。
「うぃっす!」
「あぁ、おはよう。」
「なに?あれ…」
「レンの弟だと」
へーと物珍しそうに見ていたが、すぐに校舎に入ることと成ったため
彼の行方はわからずじまい。
平賀が色々と聞いてくるも、私も悪いが解らない。
一ヶ月は居るらしい事と、レンの弟と言う事と、軽い男だと見えるって言う
レンにも言ってない言葉を平賀に伝えてハッと気が付いた。
チャラ男ってのがしっくり来る人だと思った。
学生達が既に帰って、校舎はサークルの人間ばかり
あとは、職員。
そんな中、平賀が慌てて私を呼びに来た。
「ノアってのが、保健室に居るから来て!」
慌てた様子の平賀に、倒れたとか?と聞くと、深い溜息を落とし
そうじゃないと…言った。
「なんだよ、病気じゃないって事か?」
「一種の病気かもな?」
「は?なんだよそれ」
「梅木と、ヤッテル所を他の先生に見付かった」
「は?なにそれ…」
ちょいちょい!梅木とは今日逢ったばかりだろう?
しかも、やってるって…あれか?あれだよな?
嘘でしょー!?
怒りに任せて、保健室のドアをスライドさせると
力加減を間違えてかなり大きな音が鳴り響いた。
こっちを見る目は、梅木とノア
ワイシャツを着ていたノアの服のボタンが3個ほど外れていて
胸の露出が多い事が目に入り、深い溜息を落とした。
梅木は、ノアにべったりとくっ付いてその前に保健室の先生が
立って説教をしていると言う風景。
「申し訳ありません」
謝るしかないだろう、これは…
保健の先生にお目玉をたーっぷりと食らい、私達はその場を離れる事が出来たが
まずはこの二人に一言物を申さねばならない…。
憂鬱すぎるぞ!レン弟!
「お前達が、何かをするのは勝手だが、校内はやめなさい
それに、知り合って間もない二人だぞ?
ノアだって一ヵ月後には帰るんだろう?少しわきまえろ」
梅木がその言葉にフンと鼻で返してくるのは…まぁ、いつもの事だ。
「梅木…ノアはレンとは違うんだぞ?」
現在私の座っている席に梅木、平賀の席にノアが座っていて
私の椅子をノアに寄せてぴったり寄り添った梅木がノアに帰るのは本当なの?と
聞いてる始末…。
私の言葉など聞かないと言う所か?
今度はホテルに行こうなどと誘う梅木が信じられなかったが
レン以外の男が梅木とどうなろうが、私の知った事ではなかった。
ただ、梅木がまかり間違えば…妹って事になるだろう事は
想像すると恐怖心が生まれるが…。
結局梅木はうるさい私の事を避けるように部屋を出て行き、平賀も
ばたばたと用事を済ませている状態で
ノアをここにとどめて置く理由も無いと、帰るよう促した。
「日本の女、柔らかい」
「は?」
「ね、水希も?」
「だから何が…って!!!!」
パーンと響いたのは、私の胸を鷲掴みにしているノアの頬を打った平手の音。
キョトンとした顔のまま、私の肩に顔を預けるノアに心底寒気がする。
「離れなさい」
「僕、水希欲しい」
「あげないし、私はレンのだ!」
「うん…でも欲しい」
「は?」
「知ってる?ナタリー…レンを捨てたか」
「はっ?…し、知る訳ない!」
先ほどまでの顔とは全然違う、黒いオーラが纏って見える程の
闇の深い目の色と、表情にたじろいでしまった。
「ナタリーはレンを愛してる」
「お、親子だからな」
「父、違う」
「は?」
「ナタリーの愛はレンの父、僕の父はそれ嫌だ、レン殴る」
話をまとめると、レンの母はナタリーであっている。
ナタリーはレンを連れ子として、アルフォード家に嫁いだのだろう。
そして、父親はレンにその男の影を見て、暴力を振るうと言う感じなのだろうか?
「水希、レンとは認めしない。ナタリー、カイルばかり」
「カイル…?」
「レン、カイル・アルフォード」
レンの本名…カイルアルフォード…
そして母親は、異常な愛でもレンに捧げているのだろうか?
だったら何故森へなど置き去りにした?
腑に落ちなさ過ぎて、ノアの話を受け止める事は出来なかった。
「水希?レンアメリカ人違う知ってる?」
私は首を横に振るしか出来ない。
レンの全ては父とレンからしか聞いていないから
その更に昔の話など、知るよしもなかった。
「ライアン・カーレリンス調べる、レンの父親、僕来た理由ワカル
調べる、水希僕と話す…。」
それだけを言い残し彼は、消えて行った。
きっとまだ、レンにも打ち明けていない秘密だろう。
私は、辺りを見回し人が居ないのを確認してから
その名前を探した。
思ったより早く見つけられたのは彼がプロバスケット選手だったから
ライアン・カーレリンス…イギリスのバスケットボールの選手。
そして、イギリスの国で彼は亡くなっていた。
その記事に目が行き、クリックすると
ページが開かれ、見出しには
”Search for a missing son” 行方不明の息子を探しています。
と言う文字が赤く大きく書かれていた。
詳細を、横から覗いてきた平賀が見るはめになるが
レンの事は知らない、このまま読んでもらおうと、平賀に声を掛けると
案外あっさり読んでくれた。
平賀が私より秀でてるのは、英語だ!
うん、それしかないけどね!
絶対!
そうなはず…。
で、私はそれを読み終える頃には顔色が変わってしまうので
今ここで、ボケたかったんだ!!!!
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