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なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

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15禁です


朧月・・・今は正に其れであろう。
その月はただ鬱蒼と茂みを照らし出していた
湿りを帯びた空気に皆はウンザリとしていた。
湿気が、一行の体力はその、ウンザリしている湿気に奪われ行く

「この集落で今日は休みましょう」弥勒が提案した、もう夜なのだ、この町以外に行く所など有るわけも無い
犬夜叉は、村に入るとすぐ、鼻を己の衣で隠した
「・・・血の匂いか・・・」
犬夜叉の言葉でかごめは犬夜叉の視線を追った
柵が立てられてその柵の中に台があり、その台の上に何かが、そう、”なにか”が乗って居た
柵の外では、泣く者が居たので、かごめはその足を向けた
(なにやってるんだろう?)
ただその思いで進み、目線が”何か”を捕らえる寸前に、犬夜叉が視界を塞いだ
「な・・・なにすんのよ・・・」何故塞がれたのだろう?かごめは不思議そうにしたが

「見ねー方がいい・・・」犬夜叉の心遣いだと気が付く為には、”何か”を目にしなくてはならない

だが、かごめは、その場から目を逸らした・・・
見るな!そう言う犬夜叉の言葉には真実味がある、いつも旅する犬夜叉には
戦で屍になった者を隠したり、動物の死骸を隠したりと、数々助けられていた
だからこそ、見たくは無いし、見ないようにしていた・・・・
(きっと残酷な物だから・・・・)


その側を通り抜けなければ、集落には入れ無い難点はあった物の、弥勒と犬夜叉が、
かごめに見せないように前と横を歩く・・・
弥勒の表情が一瞬だが、曇った

「御坊様ですか?」
不意に掛けられた声、子供だろうとかごめは思ったが、声を聞くだけで目をそちらへ向けることは出来なかった
犬夜叉が視界を塞いでるのもあったが、この匂いをかごめも実感したのであろう
腐敗臭・・・横に居る犬夜叉にはきっと辛い香りであろう
今己も、すさまじい香りにクラクラと頭が揺らいでいるのだから

「この首様に・・・どうかお弔いを・・・・」
小さな子供はかごめの手を引いた・・・
多分一番接し易かったからだろうが、手を引かれたかごめの目に・・・
焼きついてしまった・・・・

犬夜叉は視界を一気に遮ったが、かごめの顔を見ると、遅かった事に気が付く


(ちっ・・・・遅かったか・・・・かごめの奴、こりゃー暫らく動かねーぞ・・・)
そう、かごめの目に焼き付く生首・・・
所謂さらし首だった
かごめの胸に込み上げる嘔吐感・・・スススーっと血が引いていくのと同時だったろうか?
かごめの視界がぐらりと揺らぐ
犬夜叉はその姿を見て手を指し伸ばす
腕に落ちて来たかごめはまるで死人のように、力が抜けていた

「おい・・・かごめ!!」
その声に皆が振り返る
「何で妖怪が居るんだ?」「あいつ半妖だ!!」「追い出せ・・・」
犬夜叉にはいつもの事だった、こんな声が聞こえた所で怯みはしない

「弥勒、かごめはが・・・」犬夜叉は弥勒の所へ行くと、弥勒がかごめの目をクッと引いて
目の下の白さを見た「多分、血が下がったのでしょう・・・静かに寝せて御挙げなさい」
弥勒に言われ犬夜叉はかごめを更に抱き抱えると、
「なんだあの女?病気か?うつんねーだろうな・・・」
そんな声が聞こえる
さすがの犬夜叉も、己ならまだ知らず、かごめの事まで言われると黙っては居れなかったが

「貴方達いい加減にしなさい!!」と火蓋を切ったのは弥勒だった
「この半妖と、この女子は、私達と共に旅をする者、貶(けな)されたのでは私だって黙っては居れません」
弥勒の強い眼光が集落の人々を睨みつけた
犬夜叉は少しホッとして己の怒りを忘れた・・・否 代弁者が居たのだ、それで十分だった


「な・・なに?」その荒々しい声にかごめは犬夜叉の腕の中で目覚めた
「あ・・・あ・・・いやぁぁぁぁぁぁ」かごめは何かに取り付かれたように先ほどの光景が
目に浮かんだ、乱れ行くかごめを 大丈夫だから・・・と制する犬夜叉
腕の中で、かごめは怯えていた
さらし首、其れは、きられた物の怨念がどれだけ詰まってるのだろう?
その思いを一気にかごめは受けてしまったのだろう
現代では見る事の無い・屍・骸・首・・・
犬夜叉は殺してきた数を考えると、もう計り知れないだろう・・・それでもかごめは受け入れれたのに
かごめは、首を初めて見た

滴り落ちた血が乾き、目は開いて己を見つめ、殺された時のままの顔
穏やかに死んで行った者とは、まるで正反対の顔
憎しみや、邪気に飲まれ行く顔・・・

そんな姿でさえ、かごめは今まで出会わなかった・・・
初めての経験・・・とでも言うのだろうか?
犬夜叉はかごめをきつく抱きしめた、そうでもしなくては、落ちてしまいそうなほど、
かごめが暴れたのもあるが、恐怖を己が癒せる物なら・・・と考えていたのだろう

「犬夜叉ぁ・・・怖い・・・怖いよぉ・・・」すがりつくかごめに、皆は目線を向けるが
今のかごめの精神状態は普通では無い、恥かしがってる場合でもないのだ


「犬夜叉・・早くこの場からかごめ様を・・・」と指差した場所は、水の香がした


サラサラと流れる川原・・・
水の音が聞こえ心地よく、先ほどの悪夢のような首を忘れるには絶好の場所だった
「かごめ?ここで休め・・・」犬夜叉はかごめを降ろそうとしたが
「やだ・・・怖い・・・」そう言って犬夜叉の首を引き寄せた
犬夜叉たちに取っては当たり前に見る光景・・・
其れを一度見ただけで、こうなってしまったかごめを可愛くも思うが、
これから先もっと残忍なモノだって目にしなくちゃならないのだ

「抱いててやるから・・・話しを聞け・・・」
犬夜叉はかごめを再び抱き上げると、水辺の一番近い岩に腰を掛けてかごめを膝の上に乗せた

「さらし首・・・だな、あれは・・・」
犬夜叉はかごめの反応を見ながら話し始めた
「仕方ねーんだ・・・わかるか?」かごめはコクリと頷いた
「あの首は、お前に助けてくれとはいわねーよ・・・・」
かごめは犬夜叉に抱き抱えられてるのを思い出し身を離した
「ありがとう・・・ごめんね・・・ちょっと・・・びっくり・・・っつ・・」
後半は声にならなかった、
カタカタと振るえる肩に犬夜叉はまたかごめを引き戻した
「落ち着け・・・」犬夜叉の心臓の音は凪いで居た
静かにそして強く脈を打つ

かごめはその心音に心を癒されていった
「犬夜叉・・・ごめんね・・・」謝ってばかりのかごめだったが
当たり前の光景を、犬夜叉はかごめの事を考えて見ないようにした
そして、この時代のこんな光景は当たり前なのに、怯えるかごめを優しく諭す
気遣いと言う言葉がここにはあったのだ

「ありがとう・・・もう、大丈夫・・・」かごめは身を離し静かに岩へ腰を降ろした
犬夜叉は横目で落ちないかと心配そうに見ていたが、その場に腰を降ろしてから
かごめはまだ乾いてない涙の後を拭い、「ごめんね!弱音吐いちゃって」と、
やっと取り戻した笑顔で犬夜叉に伝えた


静かな川のせせらぎが、かごめの心を流し去って行った
その時声が小さく聞こえて来た
「あの半妖と変な女・・・あいつらは村を壊す気なのか?」
「わからねーが法師は大丈夫だって言ってたぞ・・・」
「だからって信用できるか、相手は”妖怪”なんだぞ」

そんな会話をするなら、場所を考えろと犬夜叉は思うが、声にしたらまた
口数が少ない上に乱暴な自分だ、きっと大事になる・・・そう思い押し黙った

だが、犬夜叉の押し黙った顔が切ないくらいに寂しそうなのをかごめは見て
「あんたたちぃ~~~」と、その場に立ち上がって大声で怒鳴りつけた
犬夜叉はそんな言葉にハッと我に帰り、かごめを落ちないように支えた

「いい加減にしなさいよ!!」
かごめは勢いをつけて男二人の元へ駆け寄ると、犬夜叉は其れを見ていたが、「あ!」
と声をあげると、かごめの元へ急いだ
別に男どもが何かをした訳ではなかった・・・かごめが、勢い良く男の顔に己の顔を
寄せたのだ・・・多分少女は睨む為の行為であろうが、
男と言うものをしらな過ぎる上の行動だろう・・・

「行くぞ・・・そんな奴らと話してても・・・ん?」急に犬夜叉の鼻がヒクヒクと何かを嗅ぎ取った
「かごめ、急げ妖怪だ!!」犬夜叉は、背に乗るだろうかごめを、くるりと振り返り腰を落とした
その行動に当たり前にように飛び乗る少女
「あんた達、今度言ったら、私が許さないからね!!」と、しっかり捨て台詞を残して
少女は少年の背なで、揺れていた


「かごめ・・・さっきのとこ行くけど・・・・待ってるか?」不意に聞こえた声
気遣ってくれてるのであろうが、かごめは犬夜叉の戦いを見て居たかったのだ
「私も戦う、目を、背けない・・・そう教えたのはあんたでしょ?」と、少し腕に力を入れると
犬夜叉はニヤリと笑い、その場の土を蹴り上げる・・・

「弥勒と珊瑚が居る・・・」常人離れしてる犬夜叉の目には苦戦を強いられてる
弥勒と珊瑚が移った「やべぇなぁ・・・」かごめを背に乗せたままでは戦いに飛び込めないので
犬夜叉は近くの木に降ろすと、そのまま飛び出した


言い訳ではない・・・だが、もう少し確認する余裕が有れば・・・・
かごめをこんな場所に置かないで済んだのに・・・・

後ろから漂う冷気
かごめの体が瞬時に粟立った
恐る恐る振り返ると
先ほどの・・・・首

凝視するかごめ・・・
ニタリ
笑った・・・・・
かごめではなく・・・もうこの世に居ないはずの者が笑う

背に背負い持っていた弓をキッと構えた


<お前巫女だろう?>
かごめの耳に届く声、キョロキョロと辺りを見回すが声の主は現れなかった
ふと犬夜叉の戦ってる方へ目を向けると、犬夜叉と目が合った
鉄砕牙を振り抜いては、避けて、また立ち向かう
そんな姿が心なしかかっこ良く思う

<よそ見してて良いのか?お前は巫女だろう?私を助けろ・・・・頼む>
また呼ばれ、助けろと言う主を更にかごめは探す
正面に並んでいた5つの首
2つは女・・・
2つは男・・・・
一つは・・・・子供

かごめの足は自然に向う
その事に今は誰も気付け無いで居た


曝された首の前で、かごめは止まり、声を掛けた
「呼んだのは、あんたたちなの?」
一通り首を見渡すと、女の目が光った
かごめは、側に一緒に曝された小刀をすらりと抜いた
そして己の首にあてがうと、シュ・・・
と斬り付けた

戦っていた犬夜叉は、かごめの血の香りに驚き姿を探すも、妖怪の必要以上の攻撃に
耐えるしか出来なかった・・・弥勒と珊瑚に任せたかったが、二人とも、したで
寝てる・・・いや、気を失ってるのだ
この状況でかごめの場所までは行けなかった
犬夜叉は、覚悟を決めて、タンと、地面を蹴り上げた
「いっけぇーーーー風の傷~~~~」
村とは逆の方向へ向けた風の傷は、容易に妖怪を蹴散らしたが、
その断末魔と共に、犬夜叉の袖を掴んだ妖怪は、飛ばされ行く方向へ共に引っ張った
「おい、離せ!!」かごめの姿が見る見る小さくなった
「やべぇ・・・・」犬夜叉はそう言いながらも、妖怪の手から逃れようと、もがいていた



<そうだ、もっと血をくれ・・・渇いてるんだ・・・>
声に乗じてかごめは手首に刃を向ける
すぅ
切れ味の試しが必要無い位の見事な線を描くと
その手から、肘に伝い、そして流れ落ちるは、土
ぺたり。ぺたり。
土に落ちる血は、加速を増しながらも、ゆっくりと落ちる
その刹那、かごめは意識を取り戻した

襲う眩暈・・・噎せ返る腐敗臭
かごめは手を見て驚いた
「これって・・・私が?」
急いでスカーフを腕に巻く、死ぬ気などない・・・否、今は死ねない・・・
「呼んでるのは貴方達なのね?私は犬夜叉を置いては・・・逝けないの!!」
その言葉と共に、犬夜叉はかごめの前に舞い降りた

「大丈夫か?」見る見る血が滴る首筋を犬夜叉が
そっと手で覆った
「ばかやろう!!何考えてやがる!こんな死人に魅了されやがって・・・」
切なげで、悲しい声だった・・・怒鳴ってるのだろうが、どれだけ心配をかけたのか
そんな反省をかごめは静かにした(ごめんネ犬夜叉・・・・)

「私は大丈夫、もう、捕らわれたりしない・・・弥勒様と珊瑚ちゃんを」
かごめはそう言うと、弓を一本取り出した
犬夜叉は何をするのだろうと、目を見張った
弓は綺麗な弧を描いて、首たちの横を通り抜けた
今までの澱んだ空気が浄化されたのだ

(こう言う事か・・・)犬夜叉は細く微笑むと、弥勒と珊瑚の場所へ身をかがめた
「おい・・・弥勒?」ペチペチと叩かれ、弥勒が目覚めた
「あ、犬夜叉・・・っつ・・・」弥勒も怪我をしていたが、そこまで酷いものでは無かった
「大丈夫だな?かごめの所行くぞ!」そう言って先に走りだした

かごめを見た犬夜叉は何故か立ち止まった

目の前に居る女は、手を合わせ、何かを呟いていた
「ごめんね、まだ逝けないの・・・犬夜叉を置いて、死ね無い・・・」
先ほどの声を思い出した犬夜叉は頬を軽くポリポリと掻いた
心がムズ痒かったのだ

言われたことが無い言葉をこの、かごめから貰える喜びをいつ覚えたのだろう?
犬夜叉はその場でかごめの気の済むようにさせてやりたくて、気の根元に腰をかけた
「ねぇ?あんた達は幸せだったでしょ?それと同じで、今私は幸せなの・・・犬夜叉と一緒に居る事が
弥勒様や珊瑚ちゃんと居ることが・・・だから、私が天命を全うするまで、行けない
ましてや自分から死へ辿り付きたくも無い・・・・
だから・・・ごめん・・・」

「かごめ・・・行くぞ・・・」不意に聞こえた声に慌ててその姿を見た
少し赤くなった犬夜叉が立っていた・・・

「あ・・・あんた聞いてたの?」少し恥かしくなり、下をむくかごめに
「手当て・・・すんぞ・・・」と小さく言った
皆がかごめの側に来て
救急セットで手当てをした
申し訳ないような顔で皆を見たが、
それぞれに手当てを施した

皆は・・・・優しいね
不意に出た言葉に犬夜叉は「あぁ?」と聞き返すが
ニッコリと笑い、「なんでもない」と言った


守って守られて人は強くなれるのだから

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