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レンを好き
そして、その思いはもう隠すつもりも無い。
けれど、何故そんな思いを自覚した時に限って
荒れるんだ!?
レンに抱かれてもいいと思った。
好きで好きで、思いはもうこんなにも育っている
だから…いつでも、君を受け入れるよ。
恐怖は有る、拭えないほどの…恐怖
けれど
それでも
レンが欲しい。
☆
夕暮れ時、寝不足気味な私は
校庭で一休みのはずが深い眠りに落ちていた。
こんな所で寝るなんて無用心すぎるのは解っているが
日の光がぽかぽかと私の睡魔を呼びやがったんだ。
けれど、15分ほどで携帯が鳴り慌ててポケットを探した。
「なあっ!誰」
着信:080-XXX-0000
「……見覚え有る」
ひとまず考えるが、誰だったかは定かではない
けれど、携帯の登録名が消えている所から考えるに
あまり良い思い出の無い人間かもしくは業者かのどちらか。
溜息を吐いて電話を取ると、懐かしい声に体が固まった
「みっき?」
こう呼ぶのは、前の彼氏…
「おーい」
何で今頃?
「ちょ、みっき~?」
「その呼び方やめて下さい、川端さん」
「えー?雅でいいのに」
「何の用でしょうか?カ・ワ・バ・タ・さん?」
「今日学校まで迎に行くからちょっと会おうよ?」
「は?」
「相談事あんだ」
この男は何かと悩みの多い男だった。
いやいや、悩み多いからって聞く理由はない
「用事があるので無理ですさようなら」
プツ…
ふん!切ってやったわ!!!
川端雅史、推定年齢27歳
最後に付き合い、母に追い出された男。
旦那が居ると知っていたのに、母に言われて逃げ出した
そして、この男には他に女が2人も居た、それも私の知る中だけで
本当の数は知らない。
Hは上手いと本人は豪語していたが、今まで付き合った男と
なんら変わりは無かったな
普通の会社員だが、最近きっと役職が付いているだろう
前にエンジニアの何とかで何とかって言ってた。
え?解らない?
うん、私も解らないからその程度で良い
まさか今更電話が来るとは思ってなかったが
あの男も、私に禁句を投げかけて別れた。
”水希は一人でも大丈夫。俺が居なくても大丈夫
でも、アイツは俺が必要なんだ…。”
どう?ありきたりだと思わない?
私は本当に女に男を取られると言う悲劇に見舞われる事が多い。
まぁ、もう今更だが
きっと私はどこか欠陥があるだろうと思う。
せっかく優雅な昼休みを満喫していたのに
邪魔が入り、イラだったのでロッカーでバナナ
糖分を取れば、落ち着く精神安定剤みたいなものだ
あいつに別れを告げられた日は
バナナ50本一気食いに挑戦して、勝った!
レンはきっと、50本じゃ済まない…
100でもきっと済まない…
別れるなんて言われたら、壊れてしまうかもしれない。
はっ!またキタか…この恋愛脳め!
レンと一緒に居る時だけでいいんだ…この脳は危ないからな
時間とかの流れが一気に変わるんだ。
胸は苦しくなるし…マジで厄介だ。
私はそのまま研究室へと戻り、平賀をしこたまいじり倒してやった
「うっはーヒステリー」
「うるさい!」
平賀は20歳と言うのに…私より偉そうな事を良く言うから癪に障るんだ。
さて…そろそろレンが迎に来るし帰る用意でもするか。
5時半…レンが付いたとメールをよこしたので
私は平賀に、仕事を2個押し付けてやった。
いや、実際平賀がやらなければならない仕事なのだが。
校門を出ると、レンがクロと一緒にそこに立っていて
私は足早にレンに近寄ると、お帰りと言葉をくれる。
「ん、ただいま」
レンと一緒に歩き出してすぐだった
パッパーとクラクションを鳴らされ、私はその先に視線を送ると
「うわぁ、目立つ…」
赤のオープンカー。
何であんなの好きになってた時期があったんだ?
「迎に来るって言ったのに、みっきーつれない」
「知るか!」
「ねーねー?横のいい男なに?」
「関係ないだろう」
「へー新しい彼氏?爽やかな青年に犬って!どんだけドラマのシュチュエーション?
しかも、あんた目が緑だね…その顔立ちも日本人じゃない」
「川端さんウルサイですよ」
「俺よりいい男見つけたんだ?」
マシンガントークとはこのことだ…レンも驚いてるようだし
全く…騒がしい男だ
「みっきー話聞いてよ~?」
「は?何で別れた男の話なんぞ聞かんといけないんだ?
付き合ってた女がたーーーーーーーっくさん居ただろう!
私に話すより、そいつらに話せば良い」
「やだなーみっきー、妬いてるんだ?」
「妬いてないわ!」
「妬いてるじゃん!」
「そう言う感情は無い!」
「ヤキモチヤキだなぁ~」
「違うと言って…ってわぁ!レン?」
「俺が妬く」
と、私を意図も簡単に肩へ担いで、スタスタと歩き出した…。
ポカーンと口を空けて私とレンを見ていた川端が、車のエンジンを止めて
私達の後を追って……って、何で追ってくるの?
「ねぇねぇ、水希って、あまり感じないよね?」
「ちょ、何言い出すんだ!」
「もっと良い女居るのに…ねぇ外人クン」
レンに話し掛けて、私を担いでいない方の腕が
グンと伸ばされた。
「うわぁ!あっぶねぇ」
川端の鼻先で止まった拳。
両手を前に出して苦笑いする川端…
レン君ご機嫌斜めだ…
そりゃーそうだよな…ってか、川端ってこんなにチャラ男だったっけ?
「俺には水希が一番良い女だし、一番感じる」
うっわぁ…何言っちゃってるの!はずかし-んですけど~
しては、レン君!感じるとはなんぞ?なんぞなんぞ!?
まだ、そんなこと…してないぞ?
「へ、へぇ…相性良いんだ?」
「うん」
うんって!ちょっと?
レン君どこに飛んでってるんだ?空想か?妄想か?
ってか、そんな想像しながら一緒に暮らしてたの?
いやぁぁぁぁああああああああ(強制終了
「ちょ…いつまで付いてくるのよ」
「え?話聞いてもらうまで?」
「…聞かないと言ってるんだけど?」
「聞いてって言ってるんだけど?」
あーそうだ、この男は一度言い出したら聞かない…
と言うか我侭を押し通すんだった。
何度我慢した事か…あー思い出したらイライラするわ
「レン、降ろして」
「や」
やって!!!!なんなのこの子!
「レン!」
「ダメ」
あぁ…こうやって私の恋愛脳は育っていくんだ…
でもきっと、あの男諦めないよ?どうするの?
川端がおもむろに、深い溜息付いたぞ!?
「降ろせって言うのに聞かないなんて…我侭すぎる!」
「お前に言われたくないわ!」
「えー俺我侭じゃないよ?」
「お前は極みだろう!我侭極!!!!!」
「ひでぇ」
レンの背中から声を大にして言ってやった!
だって、降ろしてくれないし…
「昔っからそうだって!うわぁああ」
なんて言葉を投げてたら、レンがいきなり肩から下ろして
抱きしめたぞ!?
異質な攻撃…
これは、誰のターン?
「レーンー」
「水希喋るダメ」
…抱きしめる、のレンのターンだったらしい
「痛いよ」
「あ、ごめ…」
少し私のターン…レンに攻撃!
「レン妬いてるんだ?」
「………うん」
………何だこの素直さ…と言うか
うん、レンが最近凄く可愛い。
「水希?ごめんね」
「へ?あっ…んむっ」
あぁ…レンに私の攻撃は無効化された…
そして…レンのターン必殺技を繰り出した!
昔の彼氏の前で嫉妬の上キスしちゃいましたけど!?
レン君…案外嫉妬深いのね。
いやいや、そうじゃない…って!ハードなの来た!!!!
どうすんだ…レンのキスは毎回腰砕けなのにぃぃぃぃ
「っちょ、レ…んんっ」
はい、腰に力はいりませんけどどうしてくれるんだ!
とろんとした目でレンを見上げると
レンは私を難なく抱きしめたまま、川端を…見ている。
これって、ダブルの破壊力だよな…
「な、なんだよ…」
「邪魔者は失せろ」
うへ、いきなり邪魔者扱い…いや、確かに邪魔だけどさ
どうしてこうも、人前でイチャイチャしちゃうかな~
ほんと、こっちが心臓持たないわ。
この勝負はレンの勝ちだ…。
私もう HP 0 …川端も、Oになっているのか
車のある方へと戻っていった。
さて、自宅へと戻ったものの…
めっちゃくちゃレン機嫌悪い…。
あたられる訳でもないんだけど…纏うオーラがどす黒い。
でも、誰?と、問い詰める気は無いらしく
カウチに腰掛けてオーラ振りまいてるんだけど…
クロが脅えてる…。
よし、私も一緒に脅えるか…
「クロ…レン怖いよね?」
「クーン」
「お前も怖いのか?そうだよなー…」
「クーン」
「二人で慰めあおう!」
「わん!」
下がっていた尻尾が、上を向き私の顔を舐めるから
私はそんなクロを抱きしめたら…
レンが私とクロを上から包んできた。
「ごめん…」
と言う言葉と共に。
「怒ってる訳じゃないから大丈夫だよ」
「わん!」
「うん…」
私がクロを、レンがクロと私を抱きしめる変てこな形
でも、こうやって温もりを感じ合えるだけで良い…。
さて…久しぶりに料理料理!
っても毎日作ってはいるんだよ?
夕飯担当の百合さん(戸籍上母)が、今日は旧学校の旧お友達と
クラス会をやるんだと。
父はコレを期に、夜中の町を徘徊する宣言が出たので
私は、夕食をレンと取る事に成っていた。
今日は簡単三色丼!
鶏引き肉をそぼろにして、しょうゆ、みりん、砂糖で味付け。
卵をスクランブルにして、さやえんどうを湯がいてから斜めに切ってっと…
「水希、手伝う?」
横から出てきたレンに、お茶を出しておくよう頼むと
最後の盛り付け。
よし!カンペキ!
私だって、出来るんだ~!!!!うぉおおお!
はぁ、本当に何で今まで料理しなかったか不思議なくらいだ。
食卓には大量に食べるレン、そして
それを見ている私…いや、食べながら見てるんだけど。
人に美味しいと言われると、嬉しいんだって改めて思うのは
レンのお陰だ。
食事が終わると、レンが私の横に座って、ノートパソコンを
カタカタといじり出した。
私は、今まで目の前でパソコンを触るレンは見た事が無くて
珍しい物を見た感たっぷり。
細身の眼鏡を掛けて…ノートなので膝の上に乗せてタイピングしてるんだけど
早いの!しかも、打ってる音がそんなにしない。
呆気に取られてると、レンがニッコリ笑ってこっちを見る。
「水希、コレ・・・」
「え?」
「見て」
そこには、ウエディングと書かれており、大きな教会が写り込んでいた。
恐らくは教会のHPなのだろう
「綺麗だね~」
「ん、俺達式してない…」
「え?」
「結婚式」
「あ、うん…してないけど」
「したい?思う?」
「え…あ…」
答えに困った。
レンを好きだし、式もしたいけど
レンの家族は、呼ぶ事が出来ない…
それはそれで、辛いな…
「したくない?」
「え、違う…でも今はまだそんなこと考えてなかったから」
「そう…」
そこでパソコンは閉じられた。
なんか、空気重い…
別にレンを拒む訳じゃない
ただ、結婚式ってさ、やっぱり特別な気がする。
翌日の帰りも、やっぱり川端が来るので
レンに頼んで時間を貰った。
しぶしぶ…ってのが解るほどだったけど
あの男は蛇よりしつこいんだ…。
だから今はレンと三人で近くの喫茶店に入っていた。
「やっと聞く気になったか!」
「ウザイから、聞いたら帰る」
「おいおい…そりゃー寂しいだろう?」
「知らん!」
川端の話が始まる前に注文したアイスコーヒーがテーブルに置かれた。
「悪いな…俺おごるから」
「当たり前!で…とっとと用件聞こうじゃない!」
川端雅史…彼は
水希と別れる切欠になったのは母だったが、実は
他の女からの猛アタックを受けて、まぁナンと言うか…
一度で良いからなんて甘い言葉にそそのかされて、その人と
関係を持ったらしい。
別れるまで言いより、別れたらあっと言う間に合う回数が減る…
挙句半年後には、殆んど会ってないのに別れ話をされ捨てられた。
と言っても2年も前の話。
そして、それを申し訳なく思い、謝りたかったのと
復縁を願い出るためだったが、レンが居て
それは叶わないと思ったという事だった。
私は、フムフムと聞いて、彼の思いを素直にありがとうと返し
全ては丸く収まったと思った…だけど
「納得いかない」
と言い出したのはレンだった。
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