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≪ 刹那の幻6 | | HOME | | 金糸雀<Kanaria>1 ≫ |
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!
今回はBL要素が殆ど無いため、面白みがあまりないかなと思います。
終着地点に到着は出来ましたが、駄作感否めない事実に
次回こそは!と炎を燃やしていますので
次回作品までお待ちくださいませ^^;
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【刹那の幻】13
「ナルト…」
声が遠くで聞こえて、フッと目を開けばそこは
先ほど記憶を途切れさせた場所とは全く違う場所。
あたり一面に咲く花や、目の前に流れる穏やかなのに太い主流の川。
キョロキョロと見渡せば誰も人影はなく
川の向こうにいる人間がゆらりと立ち上がるのが目に入った。
遠い場所…
それなのに、その人が誰かなんて直ぐに理解できるほど親密な人間
「…ウソ…だろ…?」
その人間が立ち上がると、ナルトは一歩後ろに下がった。
「嘘じゃないのぉ…久しぶりじゃのぉ、ナルト」
懐かしい声が、すごく近くに聞こえて
目を見開いたままポロポロと涙が溢れ出た。
「なんでっ!何でオレに何も言わずに逝っちまったんだよ!」
「ははは、スマンスマン、ワシも歳だのぉ…それにしても
お前がここに居るのは頂けんぞ?早く戻れ」
「……やっぱここって」
「ワシのいる世界だのぉ…お前にはまだ早い」
そう言いながら、2mを越す長身を揺らしながら河原の端まで来るとニッコリと
笑いかけてくるその姿にナルトが目を擦った。
「……オレ、オレってば、どうしてここに来たか解らねぇんだ!」
「ふむ…そうか、分からぬか」
「帰り方も、解らねぇ…オレってば、死んだのか?」
と、問いかけた時だった…
「おーおーあの悪戯小僧が大きくなったもんじゃ」
その声に、ナルトは再び目を見開いた。
先程までたった一人しかいなかったそこに、見慣れた小さな影…。
「じい…ちゃん…」
「湿気たツラしおって、お前の活躍はこっちの世界で見てるからな?
早く火影になってワシを見返してみぃ」
ニィ…と笑う猿飛ヒルゼン、大蛇丸と戦い命を消した彼までもが
そこで己を見ている。
「じいちゃん!」
「こらこら、三代目と呼べといつも言ってただろうに…ったく
中身は変わらないって事か?」
と、笑うヒルゼンにナルトは再び涙を落とし始める。
「ん!…泣いてばかりだと仲間を守れないぞ?ナルト…」
その声にピクッと肩が揺らいだ。
「そうだってばね!男なんだからシャキンとしな!」
もう、見なくても誰が話しているか解る…
ナルトは涙で揺らめく視界をそのままに目の前の人間を見遣った。
「父ちゃん…母ちゃん…」
ナルトが一歩一歩と足を進め、川岸にたどり着くと
水の中に足を踏み出そうと、片足を上げた
「それ以上は進んではならぬ!」
ヒルゼンの強い声に、ビクッと影縛りをされたかのように
体が固まった。
そして、そっと水に入ろうとしていた足を引くとグッと向こう岸を見つめる。
向こう岸に大事な大事な人達がいる…その場所に飛んでいきたい
そんな思いがグルグルとナルトの頭で回っている…
「早く戻りなさい…」
クシナ、否母が言う言葉に従いたいが
戻り方がわからない。
「声を聞きなさい、アナタを呼ぶ声が聞こえるでしょう?」
その言葉にナルトが目を伏せるとその声を追った…
――――――― ト――
―…ルト!――
その声は、自分の後ろの真っ暗な場所から呼ばれていて
戻るのに躊躇する。
けれど、いつもその声で呼んでいる先生…
「ありがとう!オレってば、これから戻る!」
二パッと笑うと闇の中へと身を投じたナルトが
ゆっくりと目を開くとカカシが己の体を上半身だけ抱き上げて
ペチペチと頬を叩かれていた。
「…カ、カカシ…先生」
「目覚めた?」
「オレ…」
「チャクラが急激に減ってね…どうなるかとヒヤヒヤだったよ」
「あっ!ヒジキは?」
「……そこにいるよ」
スッと視線を走らせれば、ヒジキが…
コショウを抱いて、静かに涙していた。
「何か変なんだよ…ナルト」
「変って…?」
「さっきの爆発も、寸前まで解らなかった…天然ガスなんて
ずっと湧き出ているものなんだよ?気付かないで、そこを壊すなんて
ありえないんだよねぇ…
それに、昔の自分たちを見ているみたいでどうも
変な感覚なんだよ…」
カカシが髪をガリッと掻き毟ると、ナルトも首を一度振った。
「変なのは…オレも一緒だってば」
アイジ搜索にこの場所に来てから、どうも感覚がおかしい
それだけの理由だが…ナルトも確かに違和感を感じていた。
「なぁ、カカシ先生はなんでここにいるの?」
「…お前達の班が、既に任務を遂行できる人数じゃなくなったからね
火影が出動命令を下したんだ」
「だったら、なんで先生だけがここに?」
「お前の気配を追ってきたのもあるけど、状況も見ておきたかった」
その言葉に、ナルトがハーッと息を吐き出し、ポーチからクナイを引き出すと
カカシの首筋に鈍く光るクナイ。
「ナルト?」
「先生…、イヤ…アイジさんだろ?」
「……」
ナルトの言葉に目を見開いたカカシがスッと口角を上げた。
「ただの馬鹿…ではなかったって事か」
「……なんでこんな事」
「それにしても良く分かったね…チャクラまで完璧にはたけカカシだったのに
それに言葉も選んだんだけどねぇ~」
なんて笑えば、そのクナイを、シュッと泣いているイチミの横に投げた
「サジ隊長…なんで生きてるんだってばよ!?」
「……気が付いたんだ?アイジの術は完璧だと思ったんだけどね」
クスクスと笑うサジ、アイジ…
「って事は、アンタコショウは、サクさんだろ?」
全てを見破られた小隊が、ボンと姿を元に戻すと
ナルトは苦虫を噛むように俯き、手を強く握り締めた
「ナルト…これはお前に与えられた試練だったんだよ」
そう告げたのはサジだった。
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【刹那の幻】14
緊迫する空気の中、ナルトが視線を人のいない方へと向けた。
「本物のカカシ先生もいるんだろう?隠れてないで出てこいってば」
その言葉に、壁の瓦礫が一つ動いた。
「オマエ、感知は苦手だったのによく見破ったねぇ…」
スッと現れたカカシにナルトが強い視線で睨み付けた
「どう言う事だってばよ!戦争も護衛も嘘って事か?」
その言葉にサジが違うよと答えた。
「そうだな…ナルトには申し訳なかったけど…
これが上忍試験なんだよ」
「は?上忍試験?」
「そう…推薦者は はたけカカシ 試験管はオレ、アイジ、サク」
サジの言葉にナルトの頭にクエスチョンマークが飛び交う中
カカシがナルトの前にスッと出て腰を落とし、ニッコリと笑った
「おめでとう、ナルト…上忍試験ごーかくだ」
「は?」
状況のわからないまま、ナルトが皆の顔を見遣った。
「ま、これでお前も晴れて上忍だね…
試験のクリア条件は満たされたよ」
「条件?」
「仲間を救う為に動く事、状況判断をする事、他の人間がいた場合の対処
それらの50項目をクリアする事で上忍になれるんだ。
第一に護衛任務を放棄しない事から始まり、最終的には一般人や、他の仲間に対する
行動だったり言動だったりを総合して判断する試験だったからねぇ」
カカシが手を差し伸べ、ナルトがその手を掴むと
スッと皆が一斉に立ち上がった。
「今回の護衛任務は、ちゃんとBランクで護衛を込みでの試験だったんだ
オマエが放棄しても、残った俺らが続行して任務を遂行する予定だったしね
まぁ、思ったよりオマエがしっかり俺の死体を処理したり
アイジを探しに出たりと優秀だったから、演技だけで済んだけど」
軽く笑うサジにナルトは唇を尖らせた。
「オレは試験受けるなんて一言も言ってねぇし、申し込みもしてねぇのに
なんでこんな勝手に進んでるんだってばよ!」
「はたけカカシが…お前に知らせれば恐らくは
浮き足立って空回りするから、自然に出来る行動として見てくれと
強い願いがあってな…火影様もそれで承諾した以上
お前に任務の裏を教える必要がなかったって訳だ」
その言葉にカカシを睨み付けると
クスッと笑って肩を窄めた。
「ナルト。オマエの実力は既に上忍のオレより上…
そのお前が上忍試験を受けない通りはないだろう?
それに、下忍にオレたちより実力が上な人間がいるのも
里としては、許されない事…
火影の第一歩として今回試験をしたって訳よ…」
その言葉にナルトが大きなため息を吐き出して
脱力した。
「なんか、変だと思ってたんだ…
チャクラはないはずなのに、壁を歩いたり、あまりに不安定だったし
時折の瞬発力が…あるっつーか、解んねぇけど。
サジ隊長の遺体処理した時だって…感覚が違ったっつーか…
上手く言えねぇけど、凄く怖いはずなのに、そうでもなかった」
「義骸だったからねぇ~本当の魂の入ったものじゃないって
無意識に理解してたんだろうねぇ」
なんてサジが笑うもんだから、ナルトは深く溜息を落とした。
「アイジさんの幻術やコピー術は…カカシ先生より上って事か」
「……ま、そういう事だね、オレは器用貧乏だからねぇ」
カカシが笑いながら答えると、ナルトがしゃーねぇな…と
ポツリと答え、里に戻る事を承諾した。
恐らくこの計画はアイジの幻覚でかなりの補填が行われているだろう…
どこまでが本当でどこまでが試験だったか…
そんなのはいくら考えても答えは出なかったが
それでも…皆が生きていた喜びの方が大きかった。
「ナルト…おめでとう」
「カカシ先生も、人が悪ぃってばよ」
「そう?オマエとオレ、同等の人間としてこれからは
本当に対等の忍になった…それがオレに取っては最高の喜びだよ」
と、ナルトの肩を軽く叩くと
へへへ…と、鼻を擦り上げるように指ですりあげて照れ臭さを逃がした。
「先生のさ…言葉が凄くオレの中にあって…
その言葉に従っただけだってばよ!」
「あ~…そう言うのって、すごく褒められてるんだよね?
でも、先生冥利に尽きる言葉だねぇ~」
なんて飄々と言うカカシにへへへと笑うナルトが夕日の中
木の葉の里へと帰還した。
仲間が…あんの門の前で柔かに迎えてくれて
ナルトがその輪の中へと駆けていく姿を見送りながら
カカシが空を見上げた。
四代目…あなたの子が…
立派な上忍になりましたよ?
そう、心で思うと、カカシを呼ぶ声に
ハイハイと返し輪に引き込まれる。
明日からまた…互いに戦いや任務に出る事も多くなる。
そんな中彼はまだまだ成長を見せてくれるだろうと
カカシは願う。
FIN
PS:あとがき
このお話は、BL要素皆無!に近い作品なんで。。。
読んでて飽きたかもしれないですね><;
次回作品は、要素入れまくって頑張ります!
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