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続きでぃすよ
カカシのソファーで眠ったナルトが逸早く目覚め
カカシの冷蔵庫をパカリと開くとクスッと笑う。
中から、野菜を引っ張り出して、コトコトと何やら製作中にカカシの気配を感知し
ニッコリと笑いカカシにおはようと声を掛けた。
「ん…あぁ、おはよ」
「口布…外したの見た事あっから、朝は無理して上げなくていいんじゃね?」
「…あ、そう」
と、言うと躊躇いもなく押し下げた口布の布擦れの音にナルトが
台所に向かいながらクスッと笑った。
「へぇ…朝飯?」
「そ、腹が減ってはなんとやら!だろ?」
ニシシシと笑いながら言うその言葉に、カカシもそうねと返し
クスクスと笑う穏やかな時間を過ごすとナルトが集合時間の1時間前に
カカシの家を出る。
「え?」
「1時間で済ませて来いよ?今日は時間が勝負になっから…
お世話になりましたってばよ!んじゃ、集合場所で!」
なんて言いながら、ナルトが飛び出していった。
「…なんか、何もかんも知られてるのか?オレ…」
ポリッと晒された皮膚を掻くと、口布を下げていたのだと思い至り
ぐっと引き上げて溜息を落とした。
墓前で、時間を過ごし、フーっと息を吐き出すとカカシがその場から去った。
集合時間3分前。
文句は言わせてやるものかと、カカシが集合場所へ向かうと
ナルトがウトウトと睡魔と戦っているのが目に入った。
「なによ…眠いんじゃないの?」
「あ~暇でさぁ…なんか太陽の光浴びてたら眠くなったってばよ」
「そういうところは子供のままか?」
「…またガキ扱いしやがって、ほんとカカシ先生は食えねぇな」
「食えねぇって…お前も大層な言葉使うようになったじゃない」
「まぁ、カカシ先生の受け売り?なにせオレの言葉の大半は先生の教えで覚えてきてっからな」
「…そう、そんなにお前に影響力絶大な訳?」
「そ!んじゃー行くってばよ!」
「ハーイハイ…」
木々を駆け抜け、影が二人を追いかけきれず、一瞬土に残された影は残像となって
すぐに消えてしまう。
「あ~マズイってばよ!先生たんま!」
「たんまって…」
ハーっと溜息を落として、ナルトを見やると
遊び半分ではなさそうな表情に、ん?と見やると
「いや、マジたんま…影分身に先に行かせたんだけど、このまま行くと追い越しちまう
10分…ここで休んでから行こう」
「へぇ…影分身の使い方、上手くなってるじゃない」
「へへ…これも、カカシ先生のご教授のタワモノだってば!」
「…そう」
随分と自分はこの子に沢山の事を教えて来れたのだという
先生としての喜びが、こんな時にもらえるとは思ってもなかったカカシが
照れ笑いをする。
カカシにとっての、教え子はこの七班のナルトを始めとする3人以外は
今までも居なかった事で、もっと、沢山の子を教えてやればよかったかも知れない
なんて今更ながらに思っても見るが
到底…カカシのメガネに叶う者は現れる事はなかったのだから、仕方がない。
「なぁ、ナルト?」
「ん?」
「お前の時代のオレは…強いか?」
その言葉にキラリンと目を光らせて当たり前だってばよ!なんて返されると
なんだかホッとする。
実際問題ここまで自分がナルトに知られているとなると
かなり親密もしくは、近い位置で過ごしてる事は安易に想像出来た。
だからと言って自分は男色家でも無ければ、抱かれる方なんてもっと遠慮したい
となると、家族みたいな付き合いをしているのだろうか?
それとも何か理由があって、彼と共に生活を送っているのではないだろうか?
と言う思考が、離れてはくれないのだ。
逆を返せば、強くなったナルトを肌で感じるのに
自分はそれに見合っているのか…と言う不安と先生としての威厳という物が
心の不安定を呼んだといえば嘘にはならないだろう。
「ついた…」
小さく囁かれた声に、カカシもそっと気配を断ち木の上に身を委ねるが
ナルトの気配も見事に断たれていることに、もう驚く事はしなかった。
目の前にいたナルトの分身が、戻ってきて、早次に声を発する。
忍の人数は推定で5人…
気配から上忍3人と中忍2人でカゴを持ってる二人が中忍と言う訳だ。
既に想定外の人数に溜息を吐きだしたカカシ。
さらに奥の方で気配があって一人ではあるがかなり手練の様子だと言う。
「戻ろう…」
カカシが告げると、ナルトの目は既に策略を練り直し
自信に満ち溢れた瞳が強くかかしの言葉を遮った。
「行ける」
「お前ねぇ…オマエは体力やチャクラが多いから良いけど
オレは…「3分でいい…先生は写輪眼で中忍を」
言い切る前に言い切られてしまった。
「…流石にオレは助けに行けないかもしれないのに、お前のその無鉄砲な自信は
どっから沸いてくるワケ?」
「先生見ろってば…あの前を歩く中忍の足捌き…恐らく中忍じゃなく下忍かもしんねぇ
オレは、カカシ先生さえ黙ってくれるなら、突っ込める」
「…それって、見て見ぬふりをしろって事だよね?オマエさ…その詳細を少しでも話しなさいよ
そうしたら考えないでもない」
カカシにしても無駄に突っ込み、死を目前とするのが目に見えている状況を
二人の忍びが打破出来るものではないと瞬時に計算が立っていた。
無論それはナルトも同じだったのだが…それでも突っ込むというナルトには流石に
なんの策略もなく有り得ない事だと結果を出したのだ。
「……仙術って、知ってっか?」
「ん?忍術ではなく仙術を使うって事?」
「そう…だと言ったら先生はどうするってば?」
「…影分身で仙術は何人まで出せる?」
「…かなり」
「…あぁ、それがお前の言ってた”特殊な訓練”って奴か」
フーっと息を吐き出し、カカシの出来上がった図にナルトの影分身を分け与えると
勝利の道筋がしっかりと刻まれた。
「ナルト…仙術の他にも、何か術があるのか?」
「螺旋丸…」
「…今回の修行の旅はソレか?」
「そうだってばよ…」
「なら行ける…解った、隊長に任せるよ」
「おう!」
まざまざと見せつけるような実力。
自分よりも勝るかのような、真っ直ぐだが巧妙な作戦。
そして、しっかりと目的を意識してる事にカカシはもう
躊躇うことを忘れ背筋を冷たい汗が流れた。
19歳…ここまで人は変わるものだろうか?
確かに言う事もやる事も、今の面影は残しているものの
それでも、それに見合った以上の実力を備え
挙句、仙術や螺旋丸まで使いこなす下忍…
(綱手様が下忍でも使う訳だよ…全くお前って奴は)
なんてチラリと横に視線を向ければ
敵を目指したままググッと目の周りが縁どられ
赤い隈取がにじみ出ると目の色が髪と同じように金色に変わっていく。
素直にその姿に身震いを起こしたのは
何なのか。
妖艶で、そこらへんの女では太刀打ちできないほどの色気
とも取れるような表情に、菩薩のような眼差し…
汚れを知らない人間なんてこの世にはいないと解っていながらも
ナルトはそれに当てはまらないのではないかと言う程の
慈愛に満ちた雰囲気にカカシも息を飲んだ。
ポンと、数人の影分身が出来上がってやっと己を取り戻したカカシが
見とれていた目を逸らし、真っ直ぐに敵を見やった。
「センセー行くぞ!」
「いつでも、ドーゾ」
相変わらず気の抜けたような返事を返されてもナルトは一向に構う事なく
カカシが額当てをぐっと上にずらす仕草を見送って仕掛けた。
不穏な気配に忍びの一人が気が付くと、ナルトが「遅い」と吐き捨て蹴り上げる。
それは同時刻に同じように他の忍び達も何らかの攻撃を受け
第一波は成功を収め
カカシがそれに乗じて、写輪眼を開き、大名を運ぶ籠を奪還する事に成功していた。
それを確認した上で、ナルトが手の中に風の塊を集めて
一波を凌いだ者達への贈り物だと言わんばかりの螺旋丸を見舞い
第一段階は終了。
あとは、後ろで様子を伺っていた男がどう出るか…と言う状態で
ナルトの影分身がやられた。
「ちっ、先生!奴を食い止めっから、大名を隠れて守ってくれ!」
「…解った」
カカシは、ナルトの背後から大きな木の陰へと大名を抱えて移動すると同時に
かなりな巨漢を揺らしながら男がナルトの前へ立ちはだかった。
「金づるなんだから返せ!」
「やなこった!」
「小僧如きが俺を止められると思うなよ!」
指先が印を結び、相手の巨漢が刺のような針を体から突き出すと
ナルトはその体に突進して、蛙組手で殴りかかってみるも
ビクともしない。
ただ丸まっているだけの敵かと思えば
針が全ての先端をナルトに向けて揺らしていた。
「ナルト!!!!」
離れた場所でカカシが声を上げるが、針の山はナルトの体へと容赦なく浴びせられ
煙の中に金色の何かがパチパチと光る。
「…電撃?違う…アレは!」
カカシの目がグッと開かれ目に映る姿は、金色に輝いた神々しい姿。
そしてわずかに感じるチャクラは
「九尾…か?」
シュン…と、音速で動くナルトを既に写輪眼でも追えずに
カカシはグッと目を顰める。
が、時折止まる残像だけを残しナルトは敵へと攻撃を仕掛け
気が付けば、本来の約束の時間の3分に毛の生えたような時間で
全ての敵を伸してしまった。
(冗談でしょ…?なによ…あの子、なんなの?)
スッと、自分の方へと向かってくるナルトをただ唖然と見つめる中
大名が一部始終を見ていて、ヒッと悲鳴を上げた。
異様な…者にしか映らなかったのだろう。
そのナルトへ対する恐怖心…
カカシがグッと写輪眼に力を込め、その記憶を抜き取ると
クタリ…と大名が体の力を全て放った。
「いいのかよ…勝手に記憶抜いて」
「いいんじゃない?だってそうしないとオマエのソレ…
みんなにバレちゃうよ?」
「…まぁ、そうなんだけどよ…いつも、どの時代もカカシ先生は
こうやってオレを守ってくれてるってばよ」
なんてニッシッシと笑う姿が今の彼と重なる。
自分がこの、すごく強くなった男を支えて生きているのだと…
この先そうやって生きていく事が出来るのだと
柔らかく微笑んだ。
「今のが、チャクラモードって言って、まぁ
オレってばクラマと仲良くなったんだってばよ!」
「クラマ?」
帰りの道すがら、カカシとナルトは時間を余しての帰還となるため
背中に大名を背負い、ナルトがカカシに説明を始めていた。
「そ、九尾の名前だ」
「そうか…」
「九尾の力もコントロール出来て、まぁ、この先は見る事はないと思うけど
尾獣化って言うのも出来るようになったんだ…でも、カカシ先生!
頼むから、これは」
「誰にも言うわけないでしょ?」
「…うん、ごめんなさいっ…てばよ」
「謝らないの!オレはお前が帰ったら記憶を全て封じるから
そうすれば、オレはお前を思い出す事も無くなるし
この事も、忘れれる…ま、成長したナルトの姿を忘れたくはないけどね?」
と、ポン…と、頭の上に手を乗せられてはにかんだ。
無事報告を済ませると、カカシが記憶を消すからと言う条件で
聞きたい事があった。
自分と、ナルトの立ち位置。
あまりに、近すぎて実際本当に自分の予想が当てはまるのか
と言う疑念だけは今になっても拭えていなかった。
一楽でラーメンをたらふく食べ、カカシの家へと寄ったナルトが
ゆっくりと、ふたりの関係を口にしだしたのだ。
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