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恋蝶白銀の願い2

続編

【恋蝶】=白銀の願い=Vo4


「へへへ…なんか、くすぐってぇ」

なんて鼻の頭を掻きながら、中忍合格の書と木の葉のベストをカカシに見せた。
無論、前まで一緒だった周りの人間たちも集まって焼肉パーティの会場なので
他の人間たちにもやっとかよ!と、吐かれながら
ナルトはキュッとベストを握り締めた。

「良かったな」

と、カカシに言われると頬をうっすら染めて

「うん…」

なんて答えを返すもんだから、その場にいた
キバ、ネジ、リー、チョウジ、シカマル、サクラ、サイ、イノが
一斉に自分の体を掻き抱いて

”さみぃ~~~~~~!!!!!”

と、声にする。
それを見たカカシもフッと微笑んで、ポンポンとナルトの頭に手を乗せた。

「よし、今日はナルトのお祝いだから、俺おごっちゃうから沢山食べなさいね?」

と、カカシの声にみんなが一斉にいっただきまーっす!
と声を張り上げて腹へと肉を押し込んでいった。

一通り騒ぎ終えて、皆がポツポツと姿を消し、最後のサクラが
おめでとうと、ナルトに真っ白の巻物を渡した。

「…なんだってば?これ」

「あんたねぇ…白紙の巻物は自分が書き込める物なんだから、大事に使いなさいよ?」

「あ、あぁ…ありがとうってばよ!サクラちゃん!」

「うん!それじゃー私は帰るわ」

と、手を振るサクラに嬉しそうに手を振り返した所で
会計を済ませたカカシが暖簾をくぐって出てきた。

「あ…ごちそうさまだってばよ!」

「お前は主役だったんだから、気にしないの」

「おう!…でもこれで、カカシ班皆中忍だってばよ!」

「あぁ、そうだね」

帰り道、ポテポテと歩きながらナルトがはにかむ。
カカシと同じベストを着れるって言う喜びがギュッと胸を掴むから
二人で歩く影が時折重なるだけで、頬が紅潮してしまうのを自覚している。
好きなんだって…思ってる。
だから、思いを口に乗せた。

「せんせ?」

「ん?なに」

「あのっ…スキ…だってば」

「クス…ん、ありがと」

「うん…」

そっと伸ばした手が指先に触れると、恐る恐るナルトが指先を絡めた

「繋いで…いいってば?」

「クスクス…もう繋いでるじゃない」

と、笑うカカシに笑顔で返しギュッと握り締めると
同じようにキュッと大きな手が握り返してくる。
それだけで、頬が赤く染まって心が暖かさを持つ。

「ナルト…今日の作戦は、まずまずって所だな」

「え~?俺ってば完璧だと思ったんだけどなぁ~」

「ん~まぁ…本当の命の取り合いの時には使えないからね、だから、減点」

「ちぇっ…」

なんて言いながら、ナルトの自宅前まで来てそっとカカシが手を離した。
急に離れた温もりが切なくて…ナルトがゴクリと喉を鳴らし水分を飲み込むと
掠れたように声を出した。

「…あの…さ?」

「ん?」

「上がってく?…うち」

「ん~今日はちょっと戦って疲れたし写輪眼も使ったからね…また今度誘って」

「…わかったってば」

そうして、自宅へと滑り込んだナルトはハーッと深く溜息を吐いた。
触れて欲しい…なんて言えず
上がっていく?って誘ってみれば断られ
胸の奥がぽっかり穴があいたような感覚に襲われる。

忍びとして一緒に居る間は、こんな感情に支配されないのに
仕事が終わればこうやって胸を焦がしてしまう。

カカシは自分が好きなはずなのに…なんで触れて来ないんだよ!なんて思いまで巡って
ハタと思いとどまる。

欲しいと思うまで…我慢しなくちゃならないんだ…

と言うカカシの言葉
さて、欲しいとは何がだろう?
と、頭を捻る。

一緒に居たいとは思う。
手を繋いだり、キス…もしても良いと思ってる…しても良い?

それじゃーダメなのか…

「キスしたい…って思えってこと?」

むむむっ!と考えて自分の唇にそっと手を乗せると

ボン!

と、頭から湯気が出そうになるほど頬が真っ赤に染まった。
堪りかねて、ナルトはシャワーを浴びた後に部屋を出た。

まだそんなに遅い時間ではない。
一人公園のブランコに腰を下ろすとハーッと息を吐く。

ふわふわと、吐き出した息が白く色を染め
その白い息が消えるのをただ黙ってみていた

「なにやってんだ?」

と、声を掛けられてビクッと背中を泡立ててから声の方へと振り向くと
メンドクセーなんて言いながら、買い物袋をぶら下げたシカマルが立っていた。

「シカマル…いやぁ~なんか家に居ても詰まんねぇからちょっと散歩だってばよ」
「ふーん…まぁ、どうでも良いけど頭濡れてっから帰って乾かした方がいいぞ?」

と、言われた所で、髪をフッと触ると

「うっひゃーがっちがち!凍ってるってば!」

「シカマル!シカマル!栗みてぇだぞ?ホレホレ!」

頭を差し出してチクチクするぞーなんて言いながらシカマルに寄ってくるナルトに
心底嫌そうな顔を向けた。

「だーもう!さっさと頭乾かせって!」

「えー?こんなんじゃ、風邪ひかねぇよ」

と、ちょっとふざけた所で、フッと視線を足跡に移した。

「なぁ…人を好きになるってどんなだ?」

「へ?は?はぁ!?」

この手の話題は、絶対にしないだろうと思っていた相手が振った話題に
今までの認識を改める必要がありそうだと、シカマルは思った。

「…お前に、そう言う相手がいるって事か?」

「……うん」

先程の焼肉で見せた、あのナルトを見れば、恐らくは

「カカシ…」

ピクっと体を震わせて目を燦々と輝かせたナルトがしっかりと自分を見据えてくる。
もう、それが回答だ…

メンドクセー相手好きになりやがって…と、溜息を吐いた。

「ウチくるか?」

「うんうん!行くってばよ!」

と、まぁ、話でも聞いてやるかとシカマルが声をかけたのだが
既に来る気マンマンにしていたナルトの対応を見れば
誘わなくても付いて来ただろうなと読み取れ
どこかの犬みたいだと、吹き出した。


シカマルの家にお邪魔すると、ナルトがハーッと息を吐き
白くない!なんてアホな事を言いながら、シカマルの部屋でドタドタと
駆け回っている。

「家ん中で暴れるって、お前年いくつなんだよ…」

「ん?俺ってば16だけど?」

「あーもう!聞いた俺が馬鹿だった、ホラ!頭拭け」

バサリ…と、掛けられたタオルを無造作に掴んでガシガシと自分の頭を拭く
そしてピタリと動きを止め目を細めるとハーッと溜息が漏れる。

(結構マジで悩んでるみてぇだな…)

なんてシカマルの頭に巡るも、相手があのわかりにくさ100%で出来ている男だ
しかも、自分の担当教師でもない御蔭で、カカシの外の顔しか知らない。
アドバイスも何もあったもんじゃないだろうし
カカシが、ノーマル思考なのか男も相手出来るのかという疑問も浮かんでくる。

「それにしても、あのカカシ先生とお前って…想像すると寒いな」

「なっ!失礼だってばよ!…んー…でも、カカシ先生なんだってば」

青い瞳に宿る思いが揺るがない。
まっすぐに強い視線が自分の目に向けられているのだ。

「そうか、で?お前は何をそんなに悩んでるんだ?」

「…カカシ先生を好きだって思って、でも触れたいと思うまで我慢しなくちゃならないんだってば!
でも、なんか…その触れたいの意味も分かんねぇし、どういう触れたいかもわかんねぇ
側に居たいだけじゃダメなのか?」

「………大まかすぎてわかんねぇ」

「うっ…」

ナルトの説明だけではどうにも話が見えず先ほどの話から言葉を拾う。

「まぁ、要するにお前はカカシ先生を好きだと自覚はしていて、で、
触れたいと思うまで我慢しなくちゃならないのはなんでだ?」

「カカシ先生に言われた」

「は?」

しょんぼりするナルトと、驚きを隠せないシカマルの図が出来上がった。

「ちょーっと、待て!じゃぁなんだ?告白はしてあるって事か?」

「…うん、そうだってばよ」

またなぜこんな面倒にごちゃごちゃしているのかと
再び呆れたようにシカマルが溜息を吐き出した。

「…カカシ先生はお前の事を振ったのか?」

「…先生の方がさきに好きだって…思ってたってばよ?」

「うわぁ~更にわかんねぇ!」

その後、シカマルに状況を全て聞き出され、全てを伝え終わったナルトは
なんだか満足げではあるが、横のシカマルに至っては、呆れて物が言えない
と言うような顔でナルトを見ている状況になっていた。

「まぁ、ようするに…男同士で愛を育む方法の事言ってんじゃねぇの?」

「…愛を育む?」

その回答に、シカマルは頭を抱えた。

「…お前さ、自慰は?」

「じい?ってなんだ?」

もう、雲になって飛んでいきたい…と、遠い空に悲しげな目を向けたシカマルが
部屋を出ていってしまった。

「…なんだってばよ!シカマル!」

と、呼んだ所でやっと部屋に戻ってきたシカマルが
2冊の本を出した。

「なんだってば?」

”お子様向けの性教育改良版”

「お子様っ!?」

「それを読んで、それからこっちだ」

”初めてのえっち”

「…シカマルが、エロい本持ってるなんて!」

「言っとくけど、それおやじのだっ!」

「え~?シカマルも読んだんだってば?」

「読んだ…もう3年も前にな」

「…へ、へぇ…」

「それ持ってとっとと帰れ!……
あ~それと、一応…男同士は尻だかんな!それだけはその本には載ってねぇ
とりあえず、さっさと帰ってさっさと理解しろ!」

と、まぁ…ナルトはその場から追い出されることとなった。

「お尻がなんだってんだよ…シカマルのアホ」

なんてブツブツ言いながら、ナルトは自宅へと戻っていった。







【恋蝶】=白銀の願い=Vo5


ぺらり…
   「えええ!?」

ぺらり…
   「マジで?」

ペラリ…

  「ありえねぇええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」

とまぁ、本を読み込んだナルトが絶叫したのは深夜も深夜…
カカシの言いたい事が分かるだろうからと真剣に読みふけった結果ではあるが
深夜にそんな大声で叫べば、周りが当然怒る。

ナルトの部屋に苦情と言う、音が四方から響いて慌てて口に手をあてた。

お子様の性教育に付いては、アカデミーでも習った事、まぁそれに
多少色を付けて、どうやってその行為が行われるかと
それに伴い、相手がどういう体の構造をしているかと言うような
説明であっと言う間に読み終わったのだが

初めてのえっちには、解らない事だらけの御蔭で
先ほどの声になるのだが
シカマルが言った自慰についてもしっかりと記載されていた。

「じ…自分で触る…のか?」

ジッと自分の股間を見つめてみるも、何も変化はなく、立ち姿のまま
グッとズボンとパンツを引っ張って見てみるも、大人しくぶら下がっているだけのソレ

ん~?と、頭を悩ませてからそっと、それに手を伸ばし
初めての自慰と言うものを知った。

「…はぁ。はぁ。」

とりあえず出たものの処理と、体の紅潮感を知ると
何のためにそこが硬くなるか…と言うのを理解し愕然とする。

「シカマルは尻って言ってた!って事は、先生が尻に入るのか?
俺が尻に入れるのか?どっちだってばよーーーーーーーーーーー!!!!」

と、また途方もないことを悩みだす。

そんな事を色々と勉強はしたが…”触って欲しい”と思うって事は
自分は受ける方って事で、それは先生に尻を見せなくてはならないという事だ
と言う結論に達し

「無理無理無理!!!!!」

と、一人悶絶大騒ぎをした後、数日後にその冊子をシカマルに返した。
まぁ、ナルトの態度である程度理解したのも、自慰と言うのを知ったのも
見ただけで分かってしまうが、そこは男の子…知らないフリでやり過ごそうとしていた

それなのに!…だ

「シカマルってば、自分でやったのいつだってば?」

と、これまた答えにくい質問を投げかけられるハメとなった。

「だぁ~もぉ、んなもん人に聞くもんじゃねぇし、個人差あんだから、人と比べるな!」

常に冷静な人が赤くなってハァハァと声を荒げながら言うもんだから
ここぞとばかりに、ナルトが3年前に読んだって事は、その時か…なんて言い出して
ハーッと息を吐き出してシカマルが2年前だと教えてくれた。

奈良家は、沢山の書物を読まなければならない
順を追って、読むものが決められていてそれを読んで理解してまた
違うものを与えられるのだ。

既にその当時に読んで知識はあったが、13歳と言う年齢からその行為に
興味は持ったものの、やってみる気にはなれずに
一年遅くそれを実践したのだと言う所らしいが

ナルトに至っては、つい最近…と言う事になる。
遅くないか?と言う不安が、シカマルにいつやった?と言う質問として出たことなのだが
それを読み取ったシカマルが

男は必ずすることだし、通る道だから
遅かれ早かれ知る事になるんだと、教えてくれた。

それでやっと”知識”として、体を重ねると言う事を知ったのだが
ナルトにしてみれば、それは男女の営みだけで
男同士の恋愛にそれは不要だとまで思うと、先生はソレではない…

と言う事になる。
体を重ねたい思いがあるから、あんな事を言ったのだろうしスキってだけでは
物足りないのだろうか?
多少の男女の営みは、アカデミーでも勉強するし、男同士のソレも
上忍になるなら当たり前に学ぶらしい。
体を使う仕事もあるという事になるのだと聞き
更にナルトはギャーギャーと騒ぎ立て、
これ以上は教えられないと匙を投げられてしまうことになる。


仕方がなしに、無駄に時間を過ごす事になるナルトに
7班として任務が入った。

「いいな?Aランクは何度も経験しているだろうが、ナルトだけは
それに該当しない…お前の中忍初任務だ!行ってこい」

と、綱手に送り出されたメンバーは

カカシ、サクラ、サイのメンバーに自分と言う形になる。
あまり長いあいだでもなかったが、このメンバーでの仕事は
何度もこなしてきている
今回は、護衛とかの仕事ではなく、戦争国の救助に当たる仕事。
戦争は落ち着いたが、まだいがみ合いは続いていて
協定を結ぶ事を諦めた国同士が、忍びを雇って自国の怪我をした兵士を
戦場から連れ戻して欲しいというもの。

「んじゃ~行きますか…」

と、相変わらずの口調でカカシが先陣を切って走り出した。

木々を飛び移りながら、各々に指令を出すカカシを黙って見ているナルトに
サクラがふと気が付いた。

「あんた、どうしたの?体調でも悪い?」

「へ?なんで?」

「いや、大人しすぎるから…いつもならAランクだ~って大喜びで
カカシ先生より先に行って、ピーチクパーチクやりそうなもんなのに」

「サ、サクラちゃんそれって失礼だってばよ」

「…あんたに失礼とか言われると思ってなかったけど、まぁ
中忍になって少し落ち着いたって所かしら?」

なんて会話がなされて、目的地まで3日かかる道のりの一日を終わらせ
薪の前でジッと炎を見ている青い目に、カカシがスッと横に腰を下ろしてきた

「カカシ先生?」

「体調が悪い…って訳じゃなさそうね?」

「あ~別にカカシ先生追い抜いて行ったって場所わかんねぇし?
ピーチクパーチクって言われたけど…俺ってばそんなに酷かったか?」

という言葉に、カカシがクックックと笑う事となった。

「そうか、お前俺の考えに一度触れたから…
そう言うのをする必要性を感じないんじゃない?
前ならもっと、騒いでたのは確かだよ」

と言われれば、そうだったかもしれないとムムっと考えてみるが
カカシの思考を思い出そうとするとどうも、あの時の思考は
自分では良く解らない。

ただ、自分への思い…と言う所が凄く印象的で
それが一番残ったのだろうか?と考えてみるも答えは出ては来なかった。

そこでハタと気がついたのは、アッチの話。
いちいち勉強までしなくてはわからなかった、性についての事に関しては
一切自分に流れ込んでこなかった…

それは何故なのか?

なんてのが、フツフツと湧いてくるが
丸っきり全てが流れてきた訳ではない…、その部分はナルトにも
全く解らない理解できない範囲だったため
その思考が、自分に流れて来なかったのかも知れない。

チラリと、サクラとサイを見やると二人共交代するためにしっかり眠りについている
次の交代要員はカカシなのだが、本人は眠りもせずに自分の横にいる。
会話など殆どないのに、側にいるだけで安心感が渦巻いてくる。

「先生?」

「ん~?」

「寝ないのかよ」

「眠くなったら寝るよ、今はナルトの側に居たいからいーんだ」

そんな事言われたら、ドキドキがバクバクでどうして良いか解らなくなる。
ジッと見つめるとクスッと笑ってポンポンと頭を撫でてくれる。

「カカシ先生の手ってあったけー」

「…そうか?結構冷え性なんだけどねぇ…」

なんて、手を持ってグーパーと握ってる。
そんなカカシの横に居られる事が凄く嬉しかった。

パチチッと、火が薪の樹液を弾くと火の粉がナルトの腕に当たり
いてっ!なんて一瞬声を上げるも、その傷跡はあっと言う間に消えていく。
それを黙って見ていた自分がフーっと溜息なのかただの呼吸なのか
曖昧な息を吐き出し指でその火傷の跡を撫でると、傷など一切残っていない

「クラマ…の力か」

と、ぽつりと呟いてまた息を吐きだした。

「ナルト?」

「ん?なんだってばよ」

「クラマってのは、九尾の名前か?」

「あっ!」

慌てて口に手を当てる所を見ると、あまり口外してはいけない事
だったんだなと、カカシは理解しクスッと笑う。

「言っちゃいけねぇって訳でも無いんだけどさ…
九尾って言う名で呼びたくもねぇんだ…」

「ん、そっか…俺もあの時初めて九尾と会ったからねぇ
ナルトの中の九尾はあんな風に封印されてたんだな。」

「そうだってばよ!俺ってば、あそこに行くだけでスッゲー苦労してさ?
だけど…そう言う修行も楽しかった…カカシ先生やエロ仙人に沢山沢山教えられて
今の俺が居るんだって…スッゲー実感できるんだ」

「そっか…お前も本当に成長したもんな?
小さい頃なんて、ギャーギャー騒いでドタバタ忍者だったのに
段々大人になってきて、今じゃ俺よりお前強いじゃない…」

「え?俺ってばそんなに強くねぇってばよ!
確かに力は、それなりにあると思うけど…
クラマの力だったり仙人モードだったりで、俺ってば力だけ付いても
ダメだって思うし…」

「そうだね」

本当にこの空間が心地よかった。
だから、それを素直に口にしていいのだろうか?
そして、あれは何を意味していった事なのか…

「せんせー?」

「ん?」

「珍しいってばよ!」

「え?」

「…エロ本読んでない」

クスクスと笑ったカカシがソッとナルトの肩に自分の体重を預けた。

「お前との時間だからね、本読んでたら勿体無い」

なんてさらりと言葉に乗せてきたそれは、一気にナルトの頬を真っ赤に染め上げた

「なっ、なんだってばよ!」

「ん?なんだと思う?」

「…先生はそうやって質問ばかりずるいってば!」

「ん…そうだね」

そっと、ナルトの頬に手を当てると、口布を軽くずらしチュッと頬に
唇を乗せてすぐに離れた。

「こうやって我慢できなくなるから、本でごまかしてた」

「え?」

「そのまんまだよ」

「…触れたいと思うって奴?」

クスッと笑ってナルトの質問にそうだと答えると
ナルトの顔が真っ赤に染まって、カカシの顔を両手で押さえると
右側の素肌の出ている目尻にナルトがキスを返した

「ナル…ト?」

「そういう事…したいって思えば、先生は答えてくれるんだよな?」

「…あの…さ?ナルトは、したいって思うの?」

「……わかんねぇけど、カカシ先生の温もりは欲しいと…思うってば」

「……いや、ちょ、反則だよナルト 任務中だもの…」

「ちょ!今なんて誰も言ってねぇし!カカシ先生よゆーなさすぎ!」

「…お前ね、そんな事言われたら誰だって余裕なくすよ…」

はぁ。と、二人で息を吐きだした途端に目が合って二人でプッと吹き出した。

「今日は良い収穫だ…ナルト交代時間だよ」

「もう?」

「ん、そう一刻経ったから交代ね」

「…解った」

スッとその場から離れ、自分の荷物の中に入っていたモノをゴソゴソとあさり
カップラーメンを取り出すと簡易のヤカンを火の上に掛ける

「…お前、今食うの?」

「先生と一緒に居たいから、その言い訳だってばよ!」

「…そっか」

そっと、カカシの横に座ったナルトがカップラーメンを食べ終わると
ウトウトと眠気が襲ってきてカカシの背後に回ると
その背中に体重を預けた

「おーい?ナルトさんは人の背中で何をしてるのかな?」

「先生の背中あったけぇんだもん」

「…お前ねぇ、任務前なんだから少しでも体休めなさいよ」

「ここでいい…先生交代時間来たら教えて、それまでだから」

「…見張りの意味わかってんのかねこの子は…」


なんて苦笑いしながらも、時間までカカシの体温を感じれたナルトには
幸せな一瞬だった。







【恋蝶】=白銀の願い=Vo6

「影分身!」

戦場は混沌としていた。
沢山の死臭と、血液の香り。
忍びこそ、そう簡単に命を落とす真似はしないが、どうして人は
こんなにも沢山の命を落とすのか。

そしてそれを知りながら、向かっていくんだ。

「サイ、捜索範囲はここだ」

「解りました」

サラサラと絵を書き、それが浮き出ると風のように飛んでいった。
サクラはその場で医療術で治る人間を治療、カカシとナルトが見つけた患者を
この場所まで運んでくると言う役割。

相手国も、勿論忍びを雇っている為
個々で戦闘する必要性も出てくるためAランク任務となっている。

各々の任務を順調にこなしている中、薬が足りなくなって
一度ナルトが街に戻る事になった。

「はい、これがリスト!各20個づつで持ってきて?」

「おう!任せとけ!」

サクラのリストをベストの中にしまうと、ギュッと額あてを強く結び
リュックを背負うとその場を後にした。

状況は互いに譲らず、均衡した状況でけが人が続出するも、治療してまた出て行って
そして命を落として戻る者もいる。

確かに国を守るのは大事だ。
でも、だからと言って…死ぬまで戦う必要は何処にあるのか。

そんな事を考えながらこの理不尽の世の中を思った。
忍びの中の理不尽な事。
それは、今までも経験からも十二分に解っている。
そしてそれは人とて同じこと。

理解はできるが…

「ふもー過ぎるってばよ!」

と、足を早めながら呟いた。
里までは、一刻も走ればたどり着く。
お屋敷まで足を伸ばし、リストを渡すと
ブツブツと文句を言い始めた。

「最前線なんて死ぬようなもんなのに今更薬なんて持ってったって意味がないだろう」

「だよなぁ…それに資金叩くのも馬鹿みるか」

「忍びも、そんな連絡係みたいにこっちに戻ったら、あっちの状況が悪くなる一方だろう」

「んだよな…早く戻って参加してくれた方が俺達が死なずに済むのに」

その言葉に、苛立ったナルトが一人の男を殴り倒してしまった。
そして、周りを囲まれ捕縛されてしまう事になっているとは
つゆも知らない七班はナルトの戻りを必死に待っていた。

「ナルトは戻った?」

白いテントの中に居るサクラに、カカシが問いかけると首を左右に振った。

「…流石に遅いね」

「何かあったんですかね?ナルト…」

「薬もなくてこのままじゃサクラがチャクラ切れ起こすから…
俺が影分身置いて迎えに行ってくるよ。
サクラ、サイはまだ見回りしているだろうから戻ったら、怪我人の引き上げ作業に向かわせて
俺は影分身でやるけど、あまり派手には動けないから」

「はい…あの、カカシ先生!」

「ん?」

「ナルトをお願いします…」

「あの子もそこまでガキじゃないでしょうよ?大丈夫」

そう言ってカカシがその場を去っていった。
カカシの瞬身を使えば、半刻で到着する場所へ戻ると
ナルトの気配を探り、額からツーっと汗を滴らせる

(なーにやってんのよあの子…)

どう気配を探っても…ナルトの気配はお城の地下。
そんな場所に何故居るか…投獄されているから。

深い溜息が落された。

サクラに先ほど言った言葉を撤回したい…と思いながら門前まで行くと
門番はスッと開けてくれ中へと入れる。
その行動によって反逆罪とかそう言う謂れを受けた訳ではないのだと理解し
足を進めると、二人の男がその場に立っていてニヤニヤと何かを含んだ顔で
カカシを見てくる。

(あぁ、そう言うこと…)

きっと、この二人がナルトとの問題を起こしていると言うのは
雰囲気で理解できた。

「木の葉の下忍だったら、牢屋にいるぜ?」

「そうですか…まぁ、下忍ではないんですけどね?アイツ何やらかしました?」

「ん?俺らを怒らせたんだよ!んでまぁ、アイツを殴ったから投獄さ」

と、指を指した先には頬にシッカリと殴られた痣を作っていた。

「薬を取りに来たはずなんだけど?なぜ乱闘に?」

「あ~薬は、言われた数は用意できなかったからな、これがそうだ」

と、カカシの手に渡されたのは、言われた数の半分も無い量。
ナルトの投獄理由は、恐らくこの薬を巡って…ってのが理由かと
自分で納得すると、その薬を持って中へと足を進めようとした時
男達の木の棒がカカシの前でクロスされた。

「なにか?」

「それ持ってさっさと戦場へ行け!あの小僧は返さない」

「…いや、返さなくていいよ、きっとナルトは悪くないから
これから大名に直訴してくるんで退いてちょうだい?」

あくまでも穏やかな口調に、男達がヒクっと片頬を上げる。

「は?直訴って…」

「薬これだけじゃ、俺達忍びが呼ばれた意味がないでしょうよ
俺達は戦う事を使命として来てる訳じゃぁない。
だったら薬もこれしかない中、俺達があの場所に居た所で、
役には立てませんから任務終了の報告で直訴しますが?」

男達が困ったように眉間にシワを寄せる様に、溜息を落とし
スッと中へ足を進め、男達の手をさらりとかわした。

「ナルトは俺と同じ忍びの人間だって忘れてませんか?
あんた達があいつを捕まえれる訳がない…そう考えれば
ナルト自身が、何かを言いたくてここに留まっていると考えるのが
普通だよね?だったら何を言いたいんだろうね?
お前たちがやってるソレは…俺達にしてみれば重大な違反行為なんだよ」


と、手を振りながらカカシは中へと押し進んで行ってしまう。

「…おい、まずくないか?」

「ちっ、あの忍者の所に行くぞ!」

「は?どっち?」

「黄色いのだ!」

カカシの力量は一瞬で解ったが、あの熱血ナルトは
すぐに捕縛され、今も縄で縛られている状況なのだ
抵抗など出来るわけがない。

と、ドタドタと牢に向かうと、真っ直ぐこちらを見据えているナルトと目があった。
シッカリと手足を縛られ体も大きな大木に括られている。

「お前!片目の男がどうなってもいいのか!」

「…は?片目の男って、カカシ先生か?」

「そうだ!その男がどうなってもいいのか?」

「…何が言いたいんだってばよ?」

「あの男、お前のやらかした事に罪があるから自分がバツを受けるって
大名に直訴に行ったぞ?止めに行け!」

「…うん、ヤダ」

「は?」

二人の男がその場で目を丸くする。
自分のせいで捕まるというのに、なぜそこで否定?
と、考えているらしいが

「お前らさ?俺がなんで捕まってるか解ってんのかよ?
こんなもん、縄抜けすればすぐ逃げれるのに大人しく捕まってやってんだ
カカシ先生が来たのも解ってるってばよ!
お前らの考えがおかしいから、俺はここにいんの!
それをカカシ先生も解ってくれてるって事!だから、いかねぇ」

その言葉に、逃げ道がなくなった二人がナルトに襲いかかった。
木の棒でメッタ打ちにして散々殴った後に、ハァハァと息を切らして
それを見ると、丸太がそこにあって愕然として振り返ると

腕を組んで、牢に背中を預け、腕組をしているナルトと目があった。

「っ…」

「お前らさ、俺らを戦わせたいならセコイまねしねぇで
ちゃんとそう言う任務で頼めってば。
薬をやるのがもったいない?
最前線の苦しみを知らねぇお前らが言っていい言葉じゃねぇだろうが!
薬ケチって、どうせ死ぬって言うんだったら、てめぇらが最前線に出やがれってんだ!」

と、怒鳴り散らしたら、パチパチと手を叩く音が聞こえ皆が一斉にその音の方を見た。
カカシと、大名と側近2名
4人で牢まで降りてきてナルトの話を聞こうとしてた所にナルトの力説が聞こえたらしい
あんぐりしているナルトにポンと薬の入ったリュックをカカシが投げてよこすと
言われた規定数の物がシッカリと詰まっていた。

「帰るぞ、ナルト」

「…おう」

カカシが大名に向き直ると

「では、私たちは行きますので…」

と、告げると大名の側近がペコリと頭を下げた

「よろしくお願いします」


ざざっ…と、木々を抜けてもうすぐ到着するという時だった。
グッと腕を何かに引かれ、体勢を崩したナルトがうわっと声を上げながら
木の上から落下すると、暖かい何かに抱き竦められた。

「え?カカシせんせんっ…」

急に冷たい空気が熱を持ち、唇の上に重なったカカシの唇は
やっぱり、暖かかった。

「んっ…カカヒヘンヘェ…んんっ…ひゃべらへろぉ~…んっぅ…」

舌先がぬるりとナルトの歯列を割って入り込むと舌先を絡め合い
ナルトの舌を引き出して自分の唇に引き込むとチュッと吸い上げた

「んっ…っふ…」

なかなか止まらないソレは、どんどん深みを与えて
思考がどんどん追いつかなくなってくる。

ジンジンと痺れるような感覚と、下半身に走る熱
そして、カカシの体を無意識に抱きしめて唇が離れた

「っは…はぁはぁ…す、吸い付かれた!」

「…もっと表現の仕方あるでしょうよ…ちょっと、気持ちが昂揚しちゃって…嫌だった?」

「…じゃ…ねぇよ」

小さな声で紡がれた言葉が読み取れなくて、ん?ともう一度聞くと

「嫌だったらすぐに逃げるっつーの!バカ!」

と、首に手を回してナルトが今度は唇を重ねてきた。

「ナル…んっ…」

「もう、ずっと前からこうやってしたかった…ってばよ」

チュッチュと何度も押し付けるようなキスを繰り返しながらナルトが言葉を紡ぐ

「先生の温もりが欲しくて、でもして良いのか分かんなくて…」

言葉を何度も紡ぎながらもキスは止まる事を忘れたように降り注いでくる。

「先生を欲しいって言うのが何処までかも解んねぇし…」

「っ…ちょ…ナル…ト…ちょ…一回…止めなさいって」

グッと押し戻された体に、不貞腐れたような表情でカカシを睨んだ

「なんだってばよ」

カカシは一息を吐き出すと、やっと言葉を紡いだ

「…まさかここまでされるとは思ってなかった…」

「は?って、先生顔真っ赤!」

その言葉にそっぽを向きたくなるのは、当たり前の行動で
無論カカシもそれに当てはまってそっぽを向くと

「ナルトからのキスなんて、嬉しすぎるじゃない…赤くなって然りでしょ?」

「…そ、う、なのか?」

「そりゃーどれだけお前を思ってるか解ってないやつの答えだろう?
お前は知ってるじゃないよ、俺の思い…」

「う…知ってるけど、先生普通すぎてわかんねぇってばよ!」

「忍者…だしね?表情には出さないよ…でも、お前の事になると
今みたいに我慢できなくなることがあると言うか…まさか
こんな事すると思ってなかった…俺ってケダモノ?」

「なっ!今の無意識でやったって事かよ?」

「…そうみたい…ちょっと、自分でも驚いてて…うん、我慢しすぎてたからかな?」

なんて一人でブツブツ言いながら言うカカシになんだかおかしくなってくる。
自分だってすごく我慢していた。
本当だったら、この作戦の実行前に何度もチャンスがあったのだから。

「…凄いねお前」

「え?俺?」

「ここまで俺をおかしく出来るの…きっとこれからも今までも、お前だけだよ」

「っ…な、何恥ずかしい事言ってんだよ!」

「え~?だって、ホント自分でビックリ過ぎて、いやぁ~ホント驚いてるんだ」

ナルトのキョトンとした顔がそこにあって、もうこの思いから逃れられないと
カカシ自身自覚してしまった。
逃れるつもりではなかったけど、耐え忍んで生きていけると思ってたのに
予想外の自分の行動と、ナルトの行動に拍車がかかってしまっている。

「こんな時にだけど…俺と付き合う?」

「え?って!こんな時にそれ!?」

「…有耶無耶のままにしてたら、またやっちゃいそうだし」

「…付き合う」

「クス、ありがとう…ナルト」

そっと、抱きしめて温もりを互いに与えあった。

「キス…させて?そして、それが終わったら戻ろう?」

「…うん」

そっと、カカシの唇が側に近寄ってくると
ナルトはその目をそっと閉じ、腰を抱きすくめられている体を
もっと抱き寄せたいと、カカシの首に手を伸ばした。

舌先が互を求め合い、絡んでは吸い上げ、ナルトもそれに習ってチュッと吸い上げると
カカシがピクリと体を振るわせ、カカシの腕の拘束が和らいだ。

「え?」

「これ以上は、ちょっとまずい…任務行こうか」

「え?なんで?」

やっぱり、そう言う質問なのね?と、苦笑いして
ナルトの腰を捉えていた手がグッと力を加えると
自分の下半身に押し付けられたソレ

「え?」

「ね?マズイでしょ?」

「…って!半勃ちっ…むぐっ!」

「うるさいよ…落ち着けるから、お前は先に行ってて?」

スッとカカシに離されて、ナルトはジッとカカシの顔を見やった
それからニッコリと微笑んで先に行くってばよ!と
言い残して木の上へと身を翻した。


ズズズっと、寄り掛かっていた木に体重を預け、そのまま
下へと腰を落として、手を口へと持っていくと
真っ赤になったカカシがハーーーーーと、凄く大きなため息を吐きだした。

「凄い…何だコレ…凄すぎるでしょ、何で勃つのよ」

予想外の行動も、体の反応も、どうして良いものなのか…
意に反して動く自分に驚き、反応して驚き、今日は驚きの連発過ぎて
頭が追いついて来ない。

しかも、望んでいた関係をまさか手に入れられるなんて思ってもいなかった。

ずっと、偲ぶ想いだったはずなのに
どこを間違えてこんな事になったのか
ましてや、その思いを受け入れて貰える喜びまでもが
自分の幸福感を最大限に感じ、下半身もそれに従ったという事なのだろうか?

女に苦労はしなかった…いくらでも言い寄ってくる人がいたから
彼女にした女も居たし、ナルトへの思いに気付くまで男性になんて
仕事以外に殆ど興味がなかった…
だが、女性に対してもこんな反応が今まで無かったし
それを初めて経験した今、もう、ナルトが好きで好きで堪らないと言う事に結びつくのだろうと
そう思うと苦笑いまで出てくる。

はぁ…と、短く息を吐き捨て、立ち上がってグッと空を見上げた
まだまだ、気持ち的に追い付いていなくても、今は仕事をしなければ
と、カカシはその場をザッと踏み込みナルトの後を追った。

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