忍者ブログ

なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

向日葵8

もう少し続きますよー


男の周りに先程から遠巻きにしていた男たちが集まり
ナルトを含め5対2…明らかに部が悪い上、
ナルトが相手側に操られているとしか思えない行動を起こす以上
まずは、ナルトを奪還しなくてはならない。

カカシの眉間に深くシワが刻まれると、スッと額当てを上げた。

「サスケ!ナルトを取り戻せ」

「フン!言われなくてもっ」

忍犬達が背後から奇襲を掛け、カカシとサスケが各方面に散った。

ナルトはサスケの攻撃に応戦しながらも男たちを守り、
男たちはサスケとカカシを狙う。

クナイの音が、夜空に響き渡ると、澄んだ空に木霊するように響く。

キィィン…カッ…カカカッ…
クナイの応酬と飛び交う影が月に映し出され交戦は、緊迫しているものの
月の光が、ゆるゆると場の雰囲気を壊すようにゆっくりと辺りを照らす。

「っ…サスケとはぐれたか」

グイッと、左腕の傷に布を締め付けると腰に括っていたポーチから
兵糧丸を取り出し、眉間に皺を寄せたままガリッと噛み砕き飲み込んだ。
瞳を伏せ、気配を探るように神経を研ぎ澄ましながらカカシが木の幹に
体を預けた。

少しでもチャクラを回復しないことには、この状況は変えられない。
否、回復してもナルトが相手の手の内に居る間はどうにもできないかもしれない
だったら、それ以上状況を悪くすることを避けなければならない。
時折クナイの擦れ合う音が響くことを考えれば
サスケが応戦しているのは解る。

砂の里を抜けて2日目に突入しようとしている今
どう考えても、ナルトの追い付いてきた時間を計算して
木の葉の、増援が来るとしても半日は耐えなければならない。

「もってくれよ…」

自分に言い聞かせ、カカシはスッと左目を開き、大きく一度深呼吸してから
再びサスケと合流を図り、クナイの音源に向かった。

本来のナルトであれば、あの拘束縄がチャクラ封じであって
掛けた術者しか解けないと言うのも理解していたはず。
ましてや今まで何度も彼らと組んで、任務をこなしたナルトが
そんな小さな事を見落とすなどありえないし
ましてやカカシにクナイを向けサスケに襲いかかるなど
正常の彼では決してありえない行動。

「ナルトは十中八九操られていると見ていい…
発動条件はなんだかはわからないけど、ナルトとアイツは一度
戦ってるからその間に術を掛けられた可能性が高い」

カカシの言葉に、サスケがフーっと深い息を吐いた。

「アイツのチャクラの流れがおかしいのはそのせいか…
自分で練ってるチャクラじゃないぞ、あれは…」

「あぁ…どちらにせよ、ナルトを正気に戻さなければな」

カカシの言葉にコクっと首を振るだけで答えたサスケが
ナルトと男達のいる場所へ飛び込み、ナルトが攻撃を受ける。

「目を覚ませ!ウスラトンカチ!」

ギリッと、互のチカラで押し付けられたクナイが金属音を奏でる。
無表情で、青い瞳に宿った何時もの生気溢れる視線を感じる事ができず
サスケがクナイを持っている手とは逆の手で背中に背負われた刀に手を掛けると
ナルトの体がズサッと後ずさったのを見てサスケがつぶやいた。

「へぇ…危険感知はそのままって訳か」

シュっと風を切るように抜かれた刀にチリチリと流されている電流が
青白く光っているのを見て取った男たちもナルトの背後に隠れ、その場を後にしようと
背後に注意を向け出すと、今度は背後から

チチチチ…

と、手から同じように閃光が舞い上がったカカシが現れ、挟まれた。

「さて…ナルトに何をしたか吐いて貰うよ?」

その言葉にニタリと不敵な笑みを浮かべると、男がカカシに向かってポツリと言った。

「…アンタが発動条件だったんだぜ?
言葉を吐き出さないって所までは褒めてやるよ…
でも、アンタが鍵の言葉を言ったんだからな」

ナルトの金色の髪を、傍に居た仲間の男があからさまにグイッと握り引き寄せると
男がグッとその手を前にだし、ナルトの無表情の顔をカカシの前に差し出した。

「お前の言葉でコイツは俺の手下になった。」

「なっ!」

グッと男がナルトの体を仲間の元へ引き寄せると、うっとりとナルトの顔を見やる。
チラリ…と、赤い舌先が伸ばされナルトの頬をひと舐めすると
ニヤリと笑いカカシに視線を向けた。

「金の髪に碧眼…綺麗だよねぇ?男にしておくのが勿体無いってもんじゃないか?
それに、九尾としかも力まである…目的はなんだと聞いたな?
目的は…そう、既にもう手に入った!後は俺に従うように躾ければ完成するんだよ
俺たちの最終兵器さ!どこの国もこの力があれば落とせる!
さ…昔の仲間にお別れを言いな」

とん…と、押し出されたナルトがカカシの前に歩み寄り、チリチリと鳴く音を気にもしないで
カカシにそっと抱き付いた。



「サヨウナラ」


瞬間、雷切を収め抱きしめて捕まえようと思ったのに、その手は宙を切ってカカシが目を見張ると
サスケにも同じように軽く包容をした。

そして同じ言葉を吐き出し、男の元へと戻った。

「「ナルト!」」

二人の声に反応すら示さず、ナルトは男の傍に行き、黙ってこちらを見る形となる。

どうすれば…取り返せるのだろうか?
忍達は額当てをしているが国の額当てではない。
そんなマークを見た事もない。
逃してしまえば何処に潜まれても手がかりを失ってしまう。
カカシも、サスケも、黙るしか出来ないのか?

夜が明け、空が明るさを持ち始めると
両の手を縛られた男と、もう一人の男がナルトの首筋にクナイを当て
カカシの前へと一歩進んだ。

「さて…そろそろこの縄を解いてもらおうか」

「…悪いけど、ナルトは渡さないし縄も解かないよ」

駆け引きがどこまで通用するか…
でも、状況から見ても、この男たちの実力はサスケと二人で収めるには
十分だろうと踏んだ…
但し…今晒されている写輪眼がどこまでもつか…にもよるが。

「それは無理、ナルトの死か、生か…お前が決めればいい。
この縄を解けば、コイツは生き延びて俺の手に落ちる
解かなければ、ナルトは死んで、俺達は逃げ延びる…」

日の光が、カカシの額宛てに反射して男を照らすと
男の表情が目に刺激を受けて歪んだ。

「ナルトは…渡さねぇ」

サスケが一歩、相手に近寄るとナルトの首筋に当たっていたクナイが
グッと動脈に圧力を掛け、そこから、ツーっと血液が流れ出る。

「このクナイを引けば…血の海だぜ?」

チラリ…と、サスケとカカシが視線を合わせると
カカシの眼球がグググッと形を変え、風車のような形に黒で彩られ
その瞬間に、”神威”が発動した。
男の手が何かに吸い込まれる感覚に驚き手を離したと同時にナルトの体が離れた

「バカっ!ナルトを離すな!」

と、声をかける男を他所に

そのタイミングで忍犬が、男達に飛びかかると
サスケがナルトの体を奪還し後ろ手で縛り上げ行動を不可能にした。
それを横目で確認したカカシが一歩前へ出る。

「さ…吐いて貰うよ」

犬に押しつぶされた男が顔を上げると
紅い目がシッカリと男に注がれていた。

「…くそっ!」

他の仲間も、カカシの犬達により押さえ込まれている状況を見て
男はもう一度悔しそうにクソッ!と漏らした。

形勢逆転激は一瞬で成され、今やナルトもシッカリと封じられた。
男が悔しそうに眉間に皺を寄せると
ナルトの碧い瞳がうっすらと開いた。

動こうともがいても、サスケによって捕縛された手は
動かす事を叶わず勢いだけで起き上がると、カカシに体当たりをかました。

ドン…と、押され神威でチャクラを使ったカカシの体は見事に
押し倒されてその場にナルトを抱き込む形で倒れ込んだ。

「ガウッ!」

と、まるで獣のように喉の奥から声を放ったナルトが
カカシの腕に噛み付いたのだ。

グッと…額に力を入れ、激痛を口にしないように唇を噛み締めた。
ミシミシと…骨が鳴くほどに噛み付かれた腕。
そこにサスケが男達を拘束してからナルトの首の後ろに衝撃を与えると
カカシの上にトサリ…と倒れ込んで終劇を見た。


**********************************************************16

男たち4人を木に括りつけ、とりあえず増援部隊を待つ事にしたのは
カカシのチャクラが残り少ない事でこの先の攻撃等に耐えられないかも知れないという判断から。
サスケにしてみれば、さっさと帰り、ナルトの状態を戻すのが先だと言っていたのだが
それをするには、どうもカカシが足で纏になると言う状態だった。


「いてて…本気で噛んでくれちゃって…」

サスケに包帯を巻かれながら、カカシが呟く
添え木にしっかり腕を固めた巻き方でカカシの腕をシッカリと固定すると
サスケがギロッと睨み付けた。

「なによ…」

「いや…」

何も噛み付かれなくても、上手く躱す事が出来ただろう…
そう言いかけて言葉を切った。

何せ、いくらチャクラ不足とは言え
両手を縛られたナルトが相手なのだ。
マウントを取られたからと言って、腕まで差し出すこともないのにと呆れる。
まぁ、でもあの状況でまさかナルトが噛み付くとは思ってもなかったのだが…。

「カカシ…ナルトが見てるぞ」

「ん…そうだね…」

まるで猫が逆毛を立ててフーフー唸ってるような…そんな目で見られると
心がチクリと痛む。
術に掛かってるとは分かっていても、何でナルトがこの状態に陥ったかを
考えるのが最優先。

捕獲した他の忍たちも、素直に術の解き方を教えるとも思えない。

ナルトを兵器として扱おうとしていた男。
この男の野望は恐らく、里を持って自分の国を作る事だろう
そこまでは読める。

だが…自分の言葉が鍵だと言われていくら思い返しても…

(まさか!?)

「名前を呼んだから…って事か?」

確かに己は…”ナルト!ちょっと来い”と、あの場面で名を呼んだ。
そう考えると、不意にサスケが何度か”ナルト”の名を呼んでいたのを思い出す。
何故自分だったか…

カカシの脳内で次々に羅列する言葉は、今までに得た情報。

砂で得た情報の中で、ナルトの思考を読んだ男が
カカシの真似をしてナルトを惑わせた…と言う情報は貰っていた。
もしかしてそれは…奴が欲しい人間から欲しい情報を
抜き取れるという事なのだろうか?

ナルトの中に、無論カカシがいるのは当たり前だが
サスケがいないのはおかしい。
だったらサスケも名を呼んでしまっている以上
その時に、発動してもおかしくないのだ。

けれども自分が呼んで発動した…
なんなんだ?と頭を何度が高速で回転させていると
不意にサスケがナルトの傍へと足を進め、そっと手を伸ばすと
ぐるるっ…と一度は唸ったが、急にガクンと体の力を脱力させた

「ナルト!?」

サスケが肩をそっと抱き上げると、虚ろに瞳は開かれたまま
ただ黙って宙を見ていた。

「あっはっは!戻らねぇよ?ナルトは俺のだ!
もう、俺以外の言葉は聞こえねぇよ!」

満足そうに言う男の言葉に、カカシがまだしっかりと動けない体を
ぐっと起こして低く、強く吐き出した。

「…黙れ!」

「おーこわ…取られて怒ってるの?
ナルトはもう、お前を思う事も見る事もしねぇよ?
クックッ…俺だけのナルトだ。
ナルト!逃げるんだ!そして俺を助けに来い!」

その言葉に従うように、ナルトがぐっと足に力を込めると
サスケが、ナルトの体を強く押さえた。

「やすやすと行かせねぇよ…てめぇも、いい加減言いなりになってんじゃねぇよ!」

と、ナルトを拘束する。
だが、サスケの腕を振り解こうともがくので、手を縛るだけではどうにもならず
サスケは捕縛用の縄をポーチから取り出して両足も拘束する事となった。

「なんでこんな…情けねぇ姿になってんだよ!ウスラトンカチがっ!」

と、サスケに言われた所で、今のナルトには届く事はなかった。
言術と言うものに、触れた事のない二人にはもう、手詰まりとなってしまっていた。





一方、綱手は大御所たちと”言術”についての話がなされていた。
言葉を使い相手の感情に左右させる話術…
それは誰しもが無意識にやってのけている。
それにチャクラを乗せ、もう少し深い暗示に近いモノに変えるのが言術と言う事になる。

幻術と言霊もしくは禍事の合わせ技。

それも両方を解かなければ、効き目はない。
どちらか片方を剥がそうとすると、相手の精神が壊れる可能性があるとの事だった。

どちらにしろ、言霊は、自分の守りたい者への言葉であり…禍言(まがごと)は敵に
襲いかかるもの…そのどちらかを選べるのは術者のみで
自分の手の内へ入れておきたいならば、言霊。
殺してしまいたいなら禍事を使い、相手の精神を縛る。

縛る要素は術者により違うが大抵は言葉に込められた意味。

この術は発動に時間と労力がかかる。
発動させるにしても、鍵の言葉を言う人間と聞く人間が必要になってくるのだ。
ある程度深く関わったならまだしも、木の葉の迎えに向かった二人であれば
そんな心配は一切無いだろうという大御所の回答に
綱手はホッと息を吐いた。

但し…嫌な予感は拭いきれているわけではない。

不穏な空気は未だ、自分の周りを取り巻き
言いえぬ恐怖という物が付きまとっている。

「綱手様!」

シズネがバン!とドアを開くと、手に持っていた書物に視線が行った

「なんだ」

「この文献を!」

言術についての記述。
幻術と、言霊の関係性などが書かれており
発動条件の所で、綱手の視線が止まった。


申亥

1:浅術 言葉ヲ使イ、相手ノ心ヲ闇ヘ落ス。己ノ言葉ノミデ発動可能

申子

2:深術 相手ノ意識ヲ縛ル術。相手トノ交流ガ必須。深イ関係ヲ持ツ者同士ノ言葉ニテ発動

不明

3:縛術 対象者ノ心ヲ縛ル術、対象者ノ言葉ト、同ジ言葉ヲ鍵ニナル人間ガ
     発スル事デ発動。 鍵ノ言葉必須ナ為発動ハ難シク縛リモ深イ

解術

術者ノ解ニテ解ケル。
術者死亡時、術ハ解ケズ。


フルリ…と、綱手の腕が震えた。
印が極端に少なく、1から順に掛けていけば…
間違いなく3に辿り着く。

しかも、術者死亡時は…術は解ける事がないと記されたそれは
不安を煽る要素にしかならなかった。




一方砂隠れでも、同じように言術に付いて多少の調べは付いていた。
だが、綱手と全く同じような内容しか掴めず、倦ねいていると
シカクが不意に思い出した。

「ナルトは…心を覗かれたように気持ち悪い…と言っていた
潜在意識の中の人間を読み取る能力があるって事は…」

我愛羅が、ハッと気付いて舌打ちをした。

もし、今の言葉を全てナルトに置き換えれば…
カカシが潜在意識に居るのは間違いない。
しかも、その本人が…相手と接触している中に
ナルトを送り込んでしまった…

「っ…文を!急げ!」

拍手[0回]

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]