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なつめっぐ 保管場所

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向日葵10

最終回なりー



結局、サクラの後にカカシと会話を終わらせた綱手がやって来て
今の現状では言葉の発動の止め方が解らないと言う状態なので
砂の里に戻れ…と、命を受けた。

言われなくてもそうする予定だったナルトにしてみれば
問題もないのだが、先ほどのカカシとの触れ合いに変な期待が
胸を焦がしていた。

先生も…自分を思ってくれているのではないだろうか?

だって、普通であんな事をするなんて…ありえない。
気がないのに、気のある素振りなんかするものだろうか?
でも、確実に彼は自分を抱きしめたり、頬にキスをしたり
自分を愛しく思ってる行動しか見せてくれていない…

まさか、それが全て幻なら?
もしかして幻術?

なんだか、ありえない事ばかり考えてしまって
頭を2・3度振ると、ベットに倒れ込んだ。

「何のつもりだよ…」

先ほどのキスを思い出し頬をスリッと撫でて頬を赤く染めた。

実質、あと一ヶ月ほどで木の葉に戻れる。
戻れば、先生の答えを貰える。
名前を呼んで貰って…あの形の良い唇が自分の唇と…

「うきゃー!なんだか、恥ずかしいってばよ~」

ベットの上でのたうち回り、既に思いは砂の里よりも
この場所にもう一度戻る事…。

明日の朝…綱手の言葉通り木の葉を出る。
しかも、そんなに長い間離れる訳ではなく…
残りの時間を終わらせるために。

ナルトは空を見上げ薄く微笑んだ。
楽しかったけど、そこにはカカシが居なかった
だから、寂しくて何度も何度も空に向かって彼の名を呼んだ。

「名前…呼べないのって結構つれぇんだ…」

好きだからその名を何度も何度も呼びたかった。
思うからその思いを名に乗せて…何度も先生を呼んだ。

だからこそ…カカシの言った
名前を呼びたいと言う言葉が嬉しくて…

「うずまきナルト…」

と、自分の名を呟いた。





砂の里、3日駆けてたどり着いたその場所に
ナルトはまた身を置いていた。

残り一ヶ月をしっかりやり遂げたい、我愛羅の好意を無にしないためにも。

「あ、我愛羅!何か色々と悪かったな」

「あぁ、お前が気に病む事でもない。
こちらの情報を、木の葉に送っただけだ」

なんて言うけど…里の者同士のような…そんな深い内容まで
教えてくれたのだと、綱手は言っていた。
砂隠れの里…友好関係を結び今は同じ里のような交流をしている。
木の葉の里にも、砂隠れの里の人間が忍び以外でも出入りしていて
手形や、通行証なんてものもなく
規制を掛けることをしていない。

木の葉だってそれは十二分に分かっているから、砂の里にも
木の葉の行商人や、観光で来ている人間も少なからず見て取れる。

「なぁ、我愛羅…ここから見える景色が…永劫続くといいな」

「そうだな」

執務室から見わたす里は、赤茶けた土と砂で覆われているものの
その民は、幸せになんの不安もなく生きている。

それは全て影の名を持つ者の努力であったり、里の人間たちの努力でもある。
それが目に見える形で、人間たちの交流をまざまざと目に入れると
本当に嬉しくもあり目を細めた。


「我愛羅…俺達は大事な友達だよな?」

「あぁ…未来永劫それは変わる事はない」

「あぁ、オレもそうだ。変わる事はねぇってば!」

「早く火影になれ…五影会談でお前の発言を聴ける日を楽しみにしてる」

「あぁ、オレもそうなれるように頑張るってばよ!」

そうして…砂の里の任務が無事、終を迎えた。
最初に向かった木の葉のメンバー欠ける事なく3日後には里へと戻る事が出来た




「長きに渡り、ご苦労であった、ナルト以外は帰宅し二日の休みを与える」

一列に並んでいた仲間がそこで了承の言葉を吐くと
あっと言う間に消え去り、ナルトだけがその場に残った。

「お帰り…ナルト」

「おう!ただいまだってばよ!」

「どうだった…?風影は」

「あ~…机上多くて、オレってば流石にあんな仕事出来ねぇ」

「アホか?目指してるのは、その席だろうが」

「オレってば任務いくし!」

その回答に、深い溜息を落とし、額に手を当てた綱手とシズネ
その行動の意味することも解っていながら、それでもその言葉を吐く
そんなナルトを頼もしくも思う。

「補佐が…大変だろうな」

なんてポツリと漏らされ、それに苦笑いを向けるナルトに
ご苦労だったと…綱手が告げる。

ナルトも報告を終えて、後は一つ…綱手に言われた用を足して帰るだけ…
と言う時に、イルカに背後から呼び止められた。

「イルカ先生!」

「お帰り…ナルト」

「おう!」

ニッシッシ…と笑うナルトに、よくやり遂げた…
と、肩を叩かれ、ニッコリと笑った。

「イルカ先生…ありがとな」

「なんだよ…急に大人びちゃって」

「あはは…いやさ…オレってばもうすぐ火影!
だからさ…オレをそうなれるまで育ててくれた先生に感謝なんだってば!」

「……まだ火影の辞令が降りてもいないのに…本当にお前ってやつは」

なんて笑って挨拶を終わらせ、下層の研究室へと向かった。

やっと…術を解く術を見つけてくれたのだ。
このまま、カカシ先生に一生名前を呼んで貰えないのでは?

なんて、変な懸念まで生まれていたためか、いささか頬が緩む。

カチャリと開いたドア。
そこに待っていたのは、心転身の術を使うイノの父…

「よろしくお願いしますってば」

「おう、来たか」

先日まで色々と調べてくれてた綱手からこの方法しかないと
伝えられたそれは、言葉を消す事。

術者だった彼は既に捕虜として投獄されている。
印を組めない彼に、既に術を解く術は持たされてはいなかった。

心転身で、ナルトの中に入り
言葉の一部を刈り取ること。
それは秘術であり、実際に使う事は禁じられているが
今回のナルトの中で刈り取られる言葉は…自分の名前。

ここで刈り取られれば記憶を無くしたと同じ効果が有り
その名前を自力では思い出せない。

だから自分の名前を第一に呼んでくれる人を
綱手に頼んだ。

カカシは里外任務のため、今夜半にならなければ戻らないと
綱手より聞かされていたので
止む終え無しに、綱手にお願いしたという所なのだが…。

本当なら…自分の名を与えてくれるのは…
カカシが良い…そんな事を思いながら、ナルトの意識がうっすらと沈んでいった。

それはまるで…深い海の中に潜るような…
暖かい水にたゆたうような

そんな感覚が何なのか理解できずにいたが

母体の記憶…と、恐らくは皆が口を揃えることを
ナルトは知らずに身を預けた。

名前以外の記憶は消えない。
消したい記憶なんて沢山あるのに。
消されたくない記憶を消してくれるなら、忘れたい記憶だって消してくれればいいのに…。

そんなことも考えた。

自分が…名を呼ばれ
振り返るのにその名前が解らない…

オレは誰…?

オレは…オレは…

”***だってばよ!”

なんだっけ?

”ダメだよ、***お前はホント見てて飽きない”

名前が…思い出せない。

ハッと気が付いたとき、そこに立っていたのは
胸を大きく開いた賭の文字を背負った女性と、口を隠し片目を隠した男性。

トクン…

脈が鳴ると、スッと視線を泳がせた。

「目覚めたか?」

「…ウン」

スッと…足音も立てず傍に立った銀髪の男性が声をかける。

「おはよう…ナルト」

「…ナルト?」

「そ、お前の名前は”うずまきナルト”だよ」

穏やかな声は、ストンと自分の中に落ちてきて
あぁ、それが自分の名前なんだって…理解するのにさほど時間はかからなかった。

「あ、綱手のバーちゃん…と、カカシ先生…?」

「間にあえて良かったよ…」

と、嬉しそうに言ったカカシの言葉に
あぁ、そうだったと先程の事態を思い起こした。

「記憶をいじられた御蔭で少しあやふやな事もあると思うが
お前から抜き取ったのはお前の名前だけだ…後はゆっくりと思い出せ」

「…うん」

ボーッと、一向に冴えてこない頭で、考えることを放棄したような表情のナルトを
カカシがクスッと笑って額を小突いた。

「イテ…」

「早く思い出さないと答えあげないよ?」

答え?
と、首をコテンと傾けるナルトに、苦笑いして
カカシがナルトの手を引いた。

「オマエの家へ行こう…ナルト」

「え?あ…ウン」

綱手からはもう帰っていいと言う言葉を貰っていた、帰る場所も
鮮明に思い出せる。

カカシ先生の言いたい事までははっきりとわからないにしても
それは自分が望んで居たものだと解っている。

だから逆らう事なく…引かれる手を不思議に思いながら
自宅へと向かった。

======================================================20

「うっわぁ~ホコリすげぇってば!ゲホゲホ…」

「ハイハイ…ほら、お前はゆっくりしときなさい。
オレが片付けるから…」

「えええ!?カカシ先生が?」

「…そうだけど?」

「うーん…そっか、ありがとうだってばよ!」

「うん、でも片付けるまでに思い出さないとオレ帰っちゃうからね?」

ニッと笑ったのだろう…額あての下にある灰色の瞳が弓なりに下がった。
何を忘れてる?
記憶喪失なんてもんじゃないと、綱手のバーちゃんは言ってた…
だったら、カカシ先生がなんで自分の家で掃除するんだ?

いつも、こんなにしてくれた事はない…
野菜を押し付けて…つらっとしてて…
良く怒られたりもしていた…

何を忘れたんだ?

ナルトの頭がフル回転で動き出すも、断片的な記憶がフツフツと
湧き出るだけでその先が思い出せない。

はたけカカシ…

「農作物を守る男…」

その言葉に、パタパタと叩いてたハタキを止め溜息を吐き出した。

「オマエねぇ…オレの名前で連想して遊んでる場合じゃないでしょうよ」

苦笑いを向けられてニッシッシと笑った。
胸に暖かい感情が流れてきているのに…それの答えが見つからない。

「一生懸命考えてるんだってばよ!」

「あ~はいはい…よぉく考えないと、後で失敗したって泣き付いても知らないからね~?」

なんて…スッゲー楽しそうに言いながら…
パタパタハタキを掛けだして…
ホコリに汚染された室内の窓を開けるとブハッと息を吐き出した。

カカシ先生がうちを掃除…

うーん?

「なぁるとぉぉおおおお!」

何だか怒ってそうな声にビクビクと振り返ると
ベットの下から出てきた先生と目があった。

先生が手に持っていたモノにヒッと声を上げて青ざめる

「なぁに?お前こんな人が好みなの?」

ペラペラとページをめくられたそれは…
キバがオレに無理やり押し付けたもの。
綺麗な?胸の大きいボンキュボーンのおねいさんの写真集…
自宅ではこんなの置いておいたら、母親が見つけてすぐに没収されるという理由で…

「そ、それはキバが…オレは好きな人がいるってばよ!」

と、答えてハッとした。

(あれ…好きな人居たはず…誰だってば?
しかも、カカシ先生少し赤くなってない?)

「せ、先生もそう言うの好きなの?」

ズキっと胸が傷んだ…
(あ、そうだった…オレってば)

「あああ!オレカカシ先生の事好きだった!」

「えええ?過去形!?」

「へ?あ、あれ…?」

ふたりして情けない顔を互いに見せ合ってプッと吹き出した。

「やぁっと、答えれると思ってたのに残念だよナルト」

と、まさに演技!と言える程の大根っぷりに、いつものスマシタ先生はどこへやら
そんな事を思い浮かべると急激に色々な情報が蓋を開けたように流れ出て
それが一瞬にして、今のオレを象ってくれた。

「思い出したってば…センセ」

「え?」

「オレ先生に告白して…答え貰うの待ってたんだ…」

「うん、良くできました」

クスッと笑って先生が頭をポフポフと撫でてくれて
何だか急に恥ずかしくなって頬を染めた。

「答え…欲しい?」

目の前に先生がハタキを持ったまましゃがんでくれて
目線が合うと、スッゲー恥ずかしくて…視線を外して答えた。

「欲しいってば…」

でも、それよりも答えが欲しかった…
ダメでも…それでこのまま先生と生徒、忍の仲間
それだけの関係だとしても…

「先生…好きだってばよ」

「じゃ、答えないと…だね?」

スッと先生は素顔を晒し、ジッとナルトを見る。

「き…キンチョーだってば!」

「ぶっ、緊張してるの?」

「お、おう…スゲードキドキデバクバクなんだってばよ!」

「面白いね…」

「なっ!遊んでるんだろ!センセーってば意地が悪い~~~っ!」

「ね、もう一度聞かせて?オマエの気持ち」

優しく微笑まれて…すごく期待している自分がいて…
もしここで、あれだけ思わせぶりな事をしてた先生に断られたら
螺旋丸の一発でも見舞ってやろうと決心して

でも、聞きたいなんて言われると…

唇は震えるわ、体が緊張で汗ばむわで…

「オレ…さ」

「うん」

「先生がすごく…好きだって…んっ?ち、近い近い!センセ近いってっむ…」

ゆっくり近づいて…なんか…くっ付いた。

ペチャリ…と、皮膚同士がくっ付いて
互の体温が伝わり、ナルトは目を丸くするばかり。

ペロッて…犬みたいに唇舐められて、目が点になった

(あれ?今…何した?あ、でも、先生に言わないと!)

「せ、先生の事が好きだってば!」

「コラコラ…そんな衝撃だったか?なかった事にしちゃった?」

「え?」

「キスしたつもりだったんだけど?」

「なんで?」

「…なんでって…それが答え…ナンダケド…」

「答え?」

行動で示した方がわかり易いと思ったのに…と、カカシが内心でごちる。
けれど、芽吹かせた気持ちをこのまま、言わずに収めるなんてのも
もう無理に近い。
だったら…今度はちゃんと伝えよう…分かるまで、理解してくれるまで…。

「オレも…ま、お前にほだされたって所かな?
惚れたって言った方がわかり易い?それとも、ナルトが好きって
言った方が良い?あ…そっか、愛してるって言う方がイイかな?」

つらつらと…吐き出される言葉に真っ赤になったナルトが
カカシの口に手を宛てがって、吐き出す言葉を止めた。

その行動が可愛くて、クスクスと笑って掻き抱いた。

「うっわぁ…オレってば信じらんねぇ」

真っ赤になったままカカシの腕の中で、彼の体温を一番近くで感じることで
やっと…実感が湧いてくる。
彼は自分を…受け入れてくれたんだと。

「ね、ねってば!」

グイグイと体を押して、離れて視線でも合わせようとしているのだろうか?
でも…今はぬくもりを感じていたかったカカシが腕を緩めず

「ん~今ナルト抱きしめて充電中なんだけど~?」

「うわ…何それ!先生オレの若さ吸うの?」

「…人をジジィ扱いしないで欲しいんですけど…」

「だって!充電って!」

「好きな人の体温感じたいって思わないの?
それを、自分に覚えさせるために充電するんだよ」

「へー…そうなんだ?」

いやいや、ナルトさん…そこで真剣に答えなくても…。
と言うか…こいつ何かずれてないか?

と、カカシが溜息を落とし体を離すと、真っ赤になったナルトが視界に入った。

「ぶっ…クククッ…お前真っ赤…トマトみたいだぞ?」

「う~…うるさいなぁ…だって、オレってば人の体温とか…
解んねぇし、こうやって抱き締められても…どうしていいかわかんねぇし
でも、嬉しいから…あ、赤く…赤くなっちゃうんだってばよ!」

と、プイッってそっぽを向くナルトに愛しさしか湧いてこない。

「告白する時は随分男前にしてたのに、何その情けない顔…」

と、笑われるとさらにナルトの顔は赤くなるばかりで
やりくるめられた悔しさと羞恥心から逃げ出したいと思ったが
それはそれで嫌だと意を決した。

「カカシ先生なんて嫌いだってば!」

と、言葉の後に…自分から唇を重ねた。

ただくっつくだけの…そんなキス。
でも、先生はそっとナルトを抱きしめて、その唇をスッと離すと
上唇をペロリと舐め、下唇をチュッと吸い上げて
そんなの初めてなナルトが目をパチパチとしていると
呼吸したいがために開かれた唇を待ってましたと言わんばかりに

「へんへ~ひた!ひたはひった!!!!」(先生~舌!舌入った!!!!)

「ん~?ん…」

先生はのんびり返事らしいのをしたのかウットリとしているだけで
ナルトには目まぐるしく回る世界にアップアップしている。

やっと解放された唇から鮮度の高い空気を吸うと、紅潮した頬も
少し落ち着きを見せる。

「っ…舌っ!」

「ん?だって、キスってこう言う風にするんだよ?」

「っ…し、知らねぇもん…舌なんて入ってくるなんて知らねぇもん!」

抗議しても…楽しそうに笑う先生にもう、何も言えなくなった。
ゆっくりこれから覚えて行こうねって…言葉の後にほほにキスされて
真っ赤になったナルトが首を縦に振るしか出来なかったけど

すごく幸せなんだって…

凄く嬉しい事なんだって…

そう思うだけで、涙がハラハラと落ちた。


「あ~らら、泣かないの…ホラホラ」

なんて抱きしめられて、胸の中で思いのまま泣き続けた。

凄く好きで…自分の機能が停止するって程の恋情を
受け止められる幸福感

あぁ…これが、恋と言うものなのだと
ナルトはそんな事を思うがまま、思考を探られ無理に呼び起こした疲労感で
眠りに付いてしまった。

「……うーん、先生そんなに野獣じゃないけど、お前可愛すぎるでしょ。
そんな無防備に寝ちゃったら…何するかわかんないぞ~?」

なんて頬を突っつきながら、カカシも抱きしめてその温もりに目を伏せた。

二人でゆっくり…歩めればいい。

無理に求めるなんて野暮な事をしなくていい…

気持ちは繋がっているんだから。


FIN

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