忍者ブログ

なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

史実バレ+現代+タイムスリップの、奇天烈な作品です
切なかったり、甘かったりしますけど、それとなく完結はしました
(死にネタ)も一応含まれて居ます。

15禁ちょっとだけ?せくち~なシーンがあるのでw
==========================

★=プロローグ=★





=プロローグ=

新選組一番隊 隊士 神谷清三郎
彼は今、北を目指していた

荒れ狂う乱世、人の死が付き纏い
苦しみの渦を巻き起こす

隣り合わせに在るのは死
そして、希望であり絶望であった

1869年12月、北の寒い地を、彼は一人歩いた

齢20歳、見た目は女のようであり、髪は総髪・・・・
総司との別れをすませ、彼、否彼女は土方を追った
神谷清三郎、又の名を富永セイ、彼女は総司を愛し、総司の思いを叶える為に
この北の地に舞い降りたのだ

「さむっ・・・・」地を踏みしめた第一声がそれである

空に滲んだ夕日が、鼻の頭を赤くしたセイの目に焼き付く
どんなに苦しくても、どんなに辛くてもその赤は変わるはずは無いと思えた


「失礼します」
「なんだ?」不機嫌そうに土方が声を掛ける

「女みたいな奴が、二本刺しで土方さんにお目通りを願っているのですが」
その言葉に、土方はフンと鼻を鳴らした
通せ・・と伝えると、土方はその場にドカリと腰を下ろした

すっと開けられる襖から、飛び出してきた女
「存外、早くに逝っちまったか・・・・総司の奴」
顔も見ないうちから、呟く言葉にクスリと笑った
「で?隊務はこなしたか?」セイが土方の前に背筋を伸ばし座ると
総司の最後を、ゆっくりと語った

「お前は、これからどうするんだ?」
「へ?ここに居ますけど?」
素っ頓狂に言われた言葉に土方が立ち上がった

「てめぇ、まだ懲りてねぇのか!?総司と言う目標を失って尚此処に残るのかよ!」

セイは静に答えた

「それが沖田総司の・・・思いですから」
物好きな女だなと呟き、土方は声を上げた

「部屋を一つ用意しろ、それと、今から集合を掛けろ、残ってる者だけで良い」
その言葉にドタドタと周りが騒がしくなった
「神谷、お前が総司だ。確りと受け継いだ志を充分に継げ
だがな・・・・早まった事だけは・・・・するな」
承知!と、元気よく答えるセイに土方は悲しげな目を送った

この場所へたどり着くためには多くの苦しみを越えただろうから
だったら、この総司の思いを秘めたセイに好きにさせてやろうと
土方は思った


ざわざわと騒がしい屯所
そこに、土方の声が地鳴りのように響く

「てめぇら、こいつの顔を覚えろ!そして・・・怪我をしたら捕まえろ」
「ちょ、副長!!何言ってるんですかっ」
「自己紹介ぐらいてめぇで出来るだろうがっ」
どうやら、セイをなんと紹介して良いのか判らないらしい
女と言えば男が群がる・・・だが男と言えば前のように最前線へ繰出さなければ成らない

セイが土方の思いを知ってか知らずか・・・
「新選組一番隊 隊士 神谷清三郎です。
恐らくここの屯所で私を知ってる方が少ないとは思いますが
多少の医学の知識があります。どうかよろしくお願いします!」

その凛とした声にざわざわと隊士達がざわめき出す
「阿修羅光臨か?」と、昔馴染みの隊士に言われ、頬を染めるセイに
声は更に続く
「あの、沖田の隊の・・・・」
その名前に数ヶ月しか経っていないと言うのに、懐かしさを覚えた
「ともあれ、しばらく刀を持っていなかったので、明日より訓練しますので
皆さん、お手空きの際には、お願いしますね!」
と、頭を下げ、セイはその場を後にした


「随分男らしい演説だったぜ?」「そーですか~?」と、
土方の毒にも軽くあしらうセイを総司と重ねてしまう・・・・。
「ほんと、総司そのものじゃねぇか・・・」
苦笑いを浮かべセイの頭をぽんぽんと叩くと、土方は自室へ入っていった


(総司・・・しっかりと神谷を守れよ?)
心でそう願いながら・・・・・・・・



翌朝より、セイはひたすら刀の感覚を取り戻すべく
隊士をとっかえひっかえ変えては練習し休憩を挟んでは再び刀を持った
相手にした男達はセイの強さに押され、流石は一番隊などと言う隊士まで出ていた

男に押されても負けない技を持った
切り込まれても、見切れる目を持った
全ては総司に教えられ、総司の為に培った
自分を守れなければ、総司の足手まといに成ると
何度も練習し、何度も挑んだ・・・・

(一度も先生から一本取れませんでしたね・・・・)


迫り来る闇にセイは目を閉じる


五月十一日
運命の日と呼ばれるこの日、土方はポツリと呟いた
「近藤さんと総司が待ってるからな・・・・」
晴れ上がった空、北の大地なんて遠い場所まで赴き
先の見えない劣勢を覆すべく、土方は服を身に纏った

ぽりぽり・・・・・

「!?・・・っ、かみっ!」
「ぁ・・・見つかった・・・」
土方の机に置かれたお菓子をつまみ食いしながらセイがコロコロと笑う。
「副長、逝くにはまだ早いですよ」
その優しく降り注ぐ声にケッと返すと空を煽った

今、総司の後を追うのではなく、自分の歩むべき道を進んでいる
追い腹を切るのを拒まれ、生きろと伝えてきた総司の思いを
無駄にはしたくなかったから
それならばこの地で誠を貫こうと思った
そしてこの人々と共に戦い土方を守り続けるのが総司の思いだったから
セイは、この場所へと降り立つ決意をした


女として生きる選択を自ら捨て
愛した男の思いを貫こうとする女は強かった

飛び交う銃弾が見えているかのように
セイは先陣を切り駆ける
死にたい訳ではない、ただ、土方を守るべく


「神谷」
    「ハイ」
「そろそろ、やべぇぞ・・・・」
    「解ってますよ。」
「お前は充分やった、だからもう・・・
      「イヤですよ」

土方の(もう、下がれ・・・)の声はセイの声に消される

真っ直ぐ敵を見据える視線が総司と重なり、強くなったなと心から思った
「お前は、ほんと、訳わからねぇ女だ!だったら行くぞっ!」
                            「はい!」

刀一つで銃弾を避けれるわけが無い
土方は他の隊士に手で待てと合図を送り、セイと二人で前へ進んだ
銃弾がセイの頬を掠っても、セイは物怖じ一つしなかった


土方が声を荒げる


「新選組副長、土方歳三!参るっ!」

単身で乗り込む歳三の後ろを、黙って付いていくセイ
銃弾は土方を捕らえ、倒れそうになる身体をグッと堪えた
「副長っ!」

「俺は・・・死なんっ」
その言葉と同時に銃弾が土方とセイに向かってくる
「副長!ありがとうございましたっ!」
セイも腹をくくり、前へと進む・・・が・・・・・



「神谷さん・・・・」
沖田・・・先生・・・?
「死んではダメですよ・・・・」
あはっ・・・ごめんなさい。約束守れなかったです

「死なせませんよ・・・・」
え?沖田先生・・・?


一陣の風が、土方を包み、セイを飲み込んだ・・・・・。


風が去った後、土方の倒れる姿に隊士が側まで駆け寄り、土方を揺すり起こす

「総司のバカが、迎えにきやがった・・・神谷を連れていっちまった・・・・」
そう呟き、土方も命の日を消した





=======================================
注意:次の章からはパラレルワールドでございます。先急がれる方は、ご注意下さい

2009.09.26

拍手[0回]

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]