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つづきでございます。
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9:痕跡
サスケと合流後、カカシが先に進む決断をし
影分身に、サクラとサイ、そして後から加わったと聞かされていた
テンゾウ…もとい、ヤマトを呼ぶために影分身を作り出した。
「あいつらも呼ぶのか?」
「あぁ、もしかしたらこの先戦闘になる恐れもある…
それに、ナルトを無事に連れ戻すためにも人数を増やして
奪還の安全策を取りたいんだ」
ぼふん…と煙と共に生まれたもう一人のカカシが
視線を合わせると解っていると言わんばかりに、無言で身を翻した。
「影分身…か」
チラリと横目で見やったサスケが言葉を吐けば、それに一度頷いて言葉を続けた。
「あぁ、もう木の葉の里で使える人間は少ないだろうね…
本来ならオレもあまり使いたくはないんだけどねぇ~
ま、こう言う時だからこそ、役立つって事だね」
影分身はナルト個人はアカデミーの卒業試験としてミズキに騙され
身に付けた高等忍術。
禁断の巻物で覚えた影分身は実際問題、ナルトだから使える技でもある。
一般の忍ではチャクラが足りないのだ。
無論、カカシも例外ではないのだが、カカシの場合はチャクラの使い方が上手い。
写輪眼の為に、多種多様のチャクラの使い方を己で磨いて来ている。
なので、影分身1体程ならば、なんら問題はないだろう。
その影分身に、任せてカカシとサスケがナルトの進んでいったであろう
痕跡を追った。
炭鉱跡という事も相成り、道が幾重にも出来上がっている。
そんな中、カカシとサスケが辿りついた開けた場所に息を飲んだ。
地下に貯まり、緑色に発色している水溜り。
かなりの広さがあるだろうその場所の水は、湖と言ってもおかしくないほどの
水の量と、大きさを誇っている。
何人たりとも、入れはしない…と二人を拒んでいるようにも見える。
その周りには、上から滴って落ちる水滴と、その音を反響させている。
「こりゃ~…水没して炭鉱を閉鎖したって所か…」
カカシが足を進めると奥の方で、ぐる…ぐるる…と
まるで獣のような、声を耳にして慌ててそちらに意識を向けると
岩肌の上に、口から白い息を吐き出した白い虎のようなモノがこちらを見据えていた。
首の横あたりに、何やら攻撃を受けたのであろう赤い出血のような
跡も遠くからでも目に入った。
ぐるぐると喉を鳴らし、威嚇を繰り返す相手を見てカカシがスッとサスケの前に
腕を伸ばす。
「マズイ…サスケ!一度下がるぞ」
「……眠らせれば問題ないだろう?」
カカシの言葉に従わず、サスケが一歩前へ出ると
岩肌を渡って、白虎がサスケの前に飛び出してきた。
ぐるう…と一鳴きすると、急に虎の体がズンと音を立てて
横たわった。
「幻術催眠か」
サスケの能力、写輪眼…それの瞳力が凄いのも理解はしているが
こんな場所でチャクラを使うのは得策ではないと
一度離れて違う方法でやり過ごそうと考えてたカカシが
やれやれ、若いねぇ~なんて心で思いながらも、苦笑いでサスケを見やった。
「あぁ…でも、この場所に虎が居るっておかしくないか?」
洞窟の中、しかもこの場所は人の気配のないシンと静まった場所。
そんな場所に虎が餌を求める訳もなければ、そもそも、この大陸に
虎が…しかも珍しい白虎が居る時点で違和感が拭える訳もない。
「…まぁ、動物園から逃げたって訳でもなさそうだしねぇ~…」
「ほんと、あんたって惚けてるよな」
「…そんな事ないんだけどねぇ?お前にはそう映るの?」
「フン…」
カカシがチラリとサスケを見やってから薄く笑った。
そのサスケがスッと虎の首筋に手を伸ばし血痕の出処を指でまさぐると
急に眉間にシワを深めた。
「こいつの血じゃねぇな」
その言葉にカカシが慌てて己の指を切り、捜索に出ているパックンを
口寄せで呼び戻した。
「なんだ?カカシ…まだ捜索は続いてるぞ?」
「悪いね…この血誰のか解る?」
サスケの指先に付いた血液を、パックンの前に出すと
フンフンと鼻をヒクつかせ直ぐにカカシの顔を見上げた。
「…ナルトか」
流石に予想通りの答えに、カカシが深い溜息を落とし
その虎の首筋をカカシ自身が触れる。
ベッタリと付着した血液は、口の周りには付いていない…
という事は、この虎が何らかの形でナルトの怪我の部分を首に当ててしまった事になる
「サスケ、虎が出てきた方向へ!」
「解った、アンタは虎を調べてから来い」
「そのつもりだ、サクラたちも向かって来てるから合流したら追う」
その言葉を耳にいれ、振り向きざまにコクっと首を上下させたサスケが
その場を蹴り上げ、先ほど虎の出てきた穴へと消えていった。
「くそっ…出血量が多いな…」
ベットリと首筋に付けられた血液を、もう一度パックンに調べてくれと指示をだし
カカシはその辺りの情報を的確に脳に叩き込んでいった。
サスケは少なからず、あっさりヤられるタマではない
パックンをこの場所から開放したらすぐに向かうと解ってるからこそ
サスケが先に行く事をあっさり承諾したのか…囚われているナルトを連れ戻すために
承諾したかは定かではないが。
カカシはグッと手を握り締めて、一度息を深く吐き出すと
パックンとの情報交換を終わらせ、近くに感じるサクラ達の気配を待った。
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10:操作
巨大な男が、ナルトの身体をまるで米でも背負うように
片方の肩の上に乗せ、ナルトの体がダラリとその男の肩から
ぶら下がるようにして運ばれていた。
意識があれば抵抗もするのだろうが
今はソレが出来ない状態…意識を無くした状態なのだ。
横の脇腹から突き出た刀は、半分程をナルトの体内に入れ込み
そこから血液が容赦なく垂れた跡もある。
ただ、刀を抜かないで刺したままの状態なので
血量は然程酷くはないが、抜いてしまえば…かなり出血するだろう。
その後ろには、顔は見えないが俯いたカンザが黙って付いて行く。
―― 十数分前…
先ほどのいた場所に遡る
カンザが、氷刀についての話をした途端男の目の色が変わった。
実際この刀は尾獣を操れるとは聞いていたが
使用方法などはまだ盗み出せていなかったのだ。
だが、尾獣を水の国でも所持する事となれば
勢力は火の国、雷の国に次ぐ国になってしまう。
元々尾獣のいた風の国は火の国の加護もあり、人柱力が命を
失わずに尾獣を抜いた…。
既に3国家は尾獣と深い関わりを持ち
土と水だけが…昔の尾獣を取り戻す事が叶わなかったのだ。
水の国が何のためにか判らないが封印していたこの
氷刀を封印から解き放った情報が入り、この男達は動いたのだ。
「お前はその氷刀の使い方を知る者なのか?」
男の問いに、コクリと首を上下させたカンザがチラリとナルトを見やった。
「そこにいる人柱力を…鎮める事など容易い」
スッと視線を外しそう言うと、ナルトが目を見開いてカンザを見た。
だが、その視線に気付いていたが、カンザはその視線に何も返さず
自分を黙って見て何かを考えているような男に再度声をかけた。
「何だったら…今ここで見せてもいい」
「何をだ?」
「尾獣を操る方法をだ」
シンと静まった。
ピリピリとした空気が、カンザを追い詰めるがもう。
この氷刀を手元に戻すにはこの方法しかないのだと
カンザは思ったのだろう。
その言葉に…男は乗った。
「よかろう…ならば、見せてみよ」
男がパチリと指先を鳴らすと、スッと天井から舞い降りた男が
紫の包のままのソレを、カンザの前に差し出した。
「その前に、この枷を外してくれ」
「…それは出来ない。
お前が裏切り逃げる事を前提としているやもしれないからね。」
ニィ…笑ったのだろう。
覆面の下が、ゆるゆると動くのが見て取れた。
カンザはその刀を受け取り、クルリと方向転換すると
ナルトと向き合う形となった。
「悪いね…この刀を君の腹に埋め込ませてもらうよ」
グッと構えたカンザ。
ナルトは深い溜息を落とし、足をじゃらりと音を立てて上げた。
「これ…外さねぇと、オレの所まで来れないってばよ?」
「……」
先ほどナルトも試していた。
と言うより、カンザを起こさなければと
ナルトはカンザの元へ向かい途中でその鎖に阻まれている。
「なら、こうすればいい…」
影で動いた男が、印を結びカンザの足枷を壊すと
ナルトの体に電流のようなチャクラが流れ付く
「うわぁあああああっ!!!!!」
ビリビリと痛みを与え続ける足枷…
のたうち回っているナルトにカンザが飛びかかり
氷刀を振り上げた。
「やれ」
その男の声が響くと同時に
キィィンと高い音が刀とナルトの足先から響いた。
「チッ、やっぱりか…ホムラ!」
男が叫ぶとカンザはスッと手を伸ばしナルトの仰向けになった身体を
グルリと回し、横向きにすると
氷刀をスッと脇腹へと宛てがった。
「勘違いするな!これからだ…余計なチャクラが流れていれば
失敗するかもしれないから絶ったまでさ」
カンザがその言葉を吐き出すと
ナルトの脇腹に、チリチリと焼けるような痛みが襲ってきた。
「っぐ…あぁ…」
ずぷり。と差し込まれた刀から炎のような熱を感じ
ナルトはその熱に耐えるしか出来なかった。
「ナルト…いや、九尾よ…我に従え」
刀の柄の部分の真ん中に、フワリと浮き出た真珠のような
乳白色の玉がキラリと光り
その中に小さく赤い火のような色が浮き出てきた。
頬の三本の痣が、濃く色を付け、ナルトの目の色が変わった。
まるで…妖狐。
「おま…え…なんかに…従う我ではない」
「ナルトの体がどうなるかわからないぞ?
従わぬのなら、もっと深くへこの刀を押入れようか?」
身体をナルトへ近寄らせ、耳の近くでカンザが声を抑えて語りかけた…
(脱出する為に力を貸してはくれぬか?)
その声に、首を縦に振ったのはナルト本人か、それとも九尾なのかは
定かではないが、了承を得るとカンザがその場で立ち上がった。
「これで…九尾はある程度の言う事なら聞く…」
「そうか、良くやった。
その操作方法を、渡して貰おうか」
男がニッと笑ったように顔を歪めると、カンザの背後から
ズキリと痛みを受け、ゆるりと振り返っると
ホムラと呼ばれた男がクナイでカンザの背中を浅く傷付けていた。
「悪いが…これは巻物がないと習得できない。
チャクラの質が少し違うものだからな…オレが死ねば…九尾は暴走するよ?」
その言葉に舌打ちを鳴らすと、男が瞬身で背後に回り込みカンザの首筋に
クナイを宛てがった。
「オレを、殺せばどうなるか…解ってないようだね」
カンザがニィと笑うと、キィィ…と音が響き
ナルトが勢い良く足の枷を切り落とし、螺旋丸を作り上げた手で
ホムラではない指令を出す男へと飛びかかった。
だが、それは不完全なもので
出来上がった螺旋丸は男の体には当たらず
壁へ打ち込まれてしまった。
身を躱した男が、手刀でナルトの首筋を叩き落とすと
あっという間に意識が削がれ、ナルトは意識を手放してしまった。
「どうやって操ってる?」
「だから、チャクラを変化させないといけないんだって。
ナルトはオレの言う事しか聞かないよ?」
その言葉に、後ろにいた男がチッと舌打ちを一度して首筋からクナイを離し
背中に差し込んだクナイを抜くとカンザの体からポタポタと血液が流れ落ちた。
ホムラと呼ばれる男が、ナルトの身体を抱え上げ
仕方ない…と、進む覆面男の後を追った。
無論…そのナルトの体に刺さり込んだ氷刀がある限り
カンザも離れる事は出来ず、ホムラの後を追う形となった。
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