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皆様、なつめっぐ 倉庫に足を運んで頂き誠にありがとうございます。
この度、無事10000HITを迎え、キリ番の申告もございましたので
書かせて頂きます。
タイトルは【天花】てんげ
雪の形容で「天華」とも書き、仏教用語で「天上界に咲く花」という意味
と言う素敵なタイトルを、頂きました。
このタイトルに負けないように素敵な話にできればなと願いつつ
書いていきますので、どうぞよろしくお願いたします。リクエスト内容
カカシ、ナルト、サクラ、サイのフォーマンセルで護衛任務中、
護衛者とナルトが捕まりそれを救出するためヤマト、サスケ(帰還済み)
を加えた新旧カカシ第7班が動く。そんな感じのナルト至上カカナル風味以下読むに当たっての補足
※オリキャラ出ます。←毎度の事ですいません^^;
では…どうぞ、続きより入室して下さいませ。
【 天花 】Tenge
1:情報
今日も木の葉の里は、穏やかに時間を過ごしている。
カカシ率いる、カカシ第七班
いつものメンバーで、一仕事終えて”あん”の門の前で解散を唱えたのは
隊長のはたけカカシ。
本日はなんのミスもなく、規定の時間よりも早くに終わり
各々がこれからの時間の過ごし方を考えていた時だった。
「お帰りなさい…カカシ班の皆さん、綱手様が七班に任務があるから
全員一度執務室へ来てくれと…伝言を預かっております」
その言葉に、今夜のお肌のお手入れがぁ…と、ガックリ項垂れたサクラ
何時もの事のように、平静に聞いているサイ…
「あっ!トンボ!」
全く話を聞かないナルトの首根っこをサクラがむんずと捕まえた。
「うわっ!サクラちゃん痛いってばよ」
「師匠がお呼びなの!トンボなんか追いかけていないで行くわよ!」
どこに?と言う質問を出す前にカカシにヒョイと体を引かれ
サクラもその怒りは、溜息に終わった。
「オマエねぇ…シッカリ話聞いてなさいよ?
仮にも忍者でしょーよ…」
「かっ!仮ってなんだってばよ!」
「オレはね…長い間忍をやってるが…」
そこで、ハァと溜息を落とすと、ナルトの顔を見てカカシが薄く笑った。
「お前みたいに話を聞かない忍者とは会った事がないんだよ」
「うっわぁ~カカシ先生それってイヤミだってばよ~」
眉をへに曲げたナルトが、唇を尖らせるが
カカシはそのナルトの姿を無視し、首根っこを捕まえると
ズルズルと引きずるようにしてナルトを連れ立った。
執務室へと入ると、綱手が読んでいた書類をパサリと机に置き
4人の顔を見渡すとシズネの名を呼び
一枚の任務表をカカシに差し出した。
「…Sランクですか」
「不満か?」
その言葉に、口を尖らせていたナルトが目を燦々と輝かせた。
「任務は、護衛…対象者を水の国へと送り届け
その対象者の持つ氷刀も、守りきるという事ですね?」
「そう、その男は忍だ…水の国のな。
抜け忍に狙われているその氷刀は…国の宝と呼ばれる刀だ。
真ん中に入った宝石が…山を3個ほど買える代物らしい…
だが、国の宝となるとそれ以上の価値が付くのは解るな?
それに、Sランクの意味も…」
カカシに視線を向ければコクリと頭を上下させる。
やはりこの男はこう言う大事な場面を何度も切り抜けてきているだけあって
的確に情報を整理する。
シカマルに引けを取らない頭脳は、本来戦略を立てるのに
役立てて欲しいほどだが…なにせカカシの力が現在の木の葉の3番目の実力者。
そうやすやすと、内政をさせるわけもいかず…
だがナルト達が成長していくに連れて
カカシの負担も大きくなるだろうなと綱手は考えていた。
「今回、カカシ…お前は情報処理だけでいい…
戦闘はナルト、サイ、サクラに任せてお前はチャクラを温存しておけ」
「……はい」
世代交代…その言葉がカカシを貫いた。
Sランクに、この3人が付くという事は…かなり戦闘になる確率は高い。
しかも、大名絡みのSランクと言う程。
かなり厄介な任務になるだろうなと、カカシは胸の奥で苦虫を噛み潰した。
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2:任務前
明日の出立時間と、予定日数を聞き、カカシ班は解散をする。
消えるように居なくなったサイ、サクラ。
結局通常任務と変わらない時間帯に帰る事となった。
カカシは詳細を綱手から聞くために残り、ナルトは珍しく
静かに執務室の扉から出て行った。
「暗部に…動いて貰っているが今回の任務…
ナルトが指名されている…」
人の気配が消えたのを確認した後に吐き出された言葉に
カカシがハーッと息を吐き出した。
(どうもおかしいと思ったんだよねぇ~サクラもナルトもまだ
上忍に上がって間も無いって言うのに…国家機密並みの任務が
与えられるのはまだ早すぎるでしょうよ…)
もう一度息を吐きながら、カカシはポリッと髪を掻く。
「お前も解ってると思うが…ナルトは九尾を扱える
それを狙った者の指示かもしれないし、はっきりとは分からん。
恐らく国レベルでの戦闘も…有りうるかもしれないという事だけは肝に銘じておけ」
その言葉に返事を返すとカカシも執務室から出て、ハーッと肩の力を抜いた途端に
感じた気配に視線を向けた
「ナルト!?」
目の周りの隈取…仙人モードでこの会話を…
「…聞いていたって事でいいか?」
「……おう」
「そ、んじゃ、ちょっと一楽でも行こうか」
飄々と歩くカカシの後を、ナルトも黙って付いて行く。
一楽へと到着して、互いにラーメンを啜り、無言のまま
暖簾をくぐり抜けるとやっと、カカシが声を上げた。
「オマエの家…行ってもいいか?」
「いいってばよ」
「んじゃ、決まりね」
カチャリと開かれた扉からナルトが先に滑り込んで
テーブルの上に置かれたカップ麺の残骸等を片付けると
カカシがそのテーブルへと腰を落とした。
「で…何が聞きたい?」
「…え?」
ゴミ袋の中にカップ麺の入れ物をポイポイと入れている時に
後ろからかかった低い声…
ナルトが振り向くと、既に額当てを外したカカシがジッとナルトを見ていた。
「聞きたくて待ってたんでしょ?オレを」
「あ~…イヤ、聞きたくてっつーか…うん、良くわかんねぇけど
Sランクなんてオレまだまだ先だって思ってたし、カカシ先生なんか変だったし」
そこで言葉を切ると、ナルトは袋を元の場所に戻し
カカシの前の己の席に腰を下ろした。
「オレが変だった?」
「あ~…なんか、含んでるんだろうな~?って感じっつーの?
良く解んねぇけど、カカシ先生がなんか考えてるんだってのは
解ったからさ…綱手のバーちゃんと話続けるみたいな事になってたし
バーちゃんをオレをチラチラ見てたから…」
「…そう」
そうだった、うずまきナルトと言う人間は
人の感情にすごく敏感で、顔色を見させたら天下一品だったという事を
何時ものふざけた態度から忘れがちになってしまう。
「オマエの事だから隠されるのは嫌でしょ?
正直に言うから、お前も肝に命じるんだ…」
「おう」
そう、誰も知らないが…時折こうやってナルトが
己の態度でおかしいと思うと聞いてきたり、気を使ったりするようになっていた。
だから、時折話をして、任務内容も言える所まではナルトに伝えるようにはしていた
今回は内容もかなり重要事項だったため、ナルトの家に上がっての会話となったが
実際、人気のない野山やら、公園やらでもそういうたぐいの話を何度も
してきている。
「今回の任務は、ナルトオマエが指名されたらしい…」
「オレ?」
「五代目は、オマエの九尾の力を狙ってるかもしれないと仰ってたけど…
その力を自在に使える人間がオマエって事でしょ?
って事は、お前自身がターゲットの可能性が高い…」
「…うん」
「実力もかなり付けているお前を、今の状態で捕まえるのは
幻術を使ったオレでも無理だろうからねぇ…となると、国全体で動いている可能性がある…」
「国?」
「そ、大名が指示を出せば動く…そうね、大名の護衛隊ってのかな?
そういうのがいる訳よ…で、ここからが重要なんだけど
その要人が、お前を何らかの罠にかけようと動く可能性があるって事」
「…罠?」
「だからオレが今回、情報係なんでしょうね…何を狙ってるのか
そういう見極めが必要になる。
それと…お前達を護衛しながらのSランクは有り得ないからな?
個々の能力が最大限に使われるランクの任務だって…頭に叩き込め」
「解った…」
ナルトが、コトンとカカシの前に差し出したコップ。
ユラユラと揺れる湯気と香ばしい香りが部屋に漂う。
「…コーヒー?」
「あ~うん、前先生それ飲んでただろ?オレには苦くって
なんのゴウモンだって思うけど…先生美味そうに飲んでたし」
クスッと笑ってからカカシがそのコーヒーを口へと流し込んだ。
口の中に広がる苦味…熱すぎない温度。
コトンと机に下ろすと辺りを見回す。
「ありがとう、美味しいよ」
ニッコリと微笑めばナルトは耳まで赤くして視線を逸らした。
「なによ、美味しいって褒めたのに、まぁだ、さっきの事怒ってるのか?」
カカシが問うと、ナルトが慌てて目の前で手を左右に振って否定する。
「ち、違うくて!い、家に人が居るのが…なんか…」
ずっと独りで生きてきた。
辛い時も、苦しい時も…楽しい時だって家に帰れば独りきり。
そんな生活にカカシ一人がポッと入り込んで
家の中が暖かくなった気がした。
もう少し居て欲しい…
そんな考えから、出したコーヒーはもう
残りわずか。
「煩わしいか?」
「え?ち、違うってばよ!なんかさ…
この家が先生がいるだけで温かくなった気がして…」
そう言われてカカシもホッとしたように目を細めた。
「煩わしいんじゃなくて良かったよ…ともあれ、明日は出立で
要人にも会うからな?お前は十二分に気を付けるんだぞ?」
「解ってるってばよ!」
ニッシッシと笑うナルトにコーヒーご馳走様と伝え
頭をポンと叩いた。
「んじゃ、行きますかね…遅刻するなよ~?」
「んなっ!先生に言われたくねーってばよ!」
その言葉は最後まで聞いてもらえただろうか?
カカシは煙の中に姿を消してしまっていた。
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