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贖罪15

むむっ…なかなか終わらないこのお話(苦笑)

【贖罪】39 二人
【贖罪】40 優しさ

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【贖罪】39 二人

翌朝、ナルトは任務のため、木の葉の里にはいなかった。
カカシとスイが最後の見送りに、ウズリの元を訪れ
最後の別れを済ませた。

「ごめんね、カカシ、スイ…あのネックレスは
法力を制御する力もあるものだから、スイに付ければ
きっと、あの子も傍に居られると思うわ…
本当は教えるつもりなかったんだけど、スイが
あの子に懐いているから…

それじゃ…お幸せに」


スッと、阿吽の門を出たウズリにカカシが頭をグッと下げた。

「さようなら…」

カカシがポソリと告げる。

「スイに会いに来なさいね」

「……気が向いたらね」

振り向かず吐き出された言葉に苦笑いを浮かべ
カカシがウズリを見送ると、彼女は振り向く事もせずに木の葉の里を後にした。






「ナルト!」

「おう!」

クナイが弾ける音と共にボン!と起爆札が破裂する
ナルトは手裏剣をホルスターから引き出し、シュッと投げると
一つだった手裏剣が敵の目の前で数枚の手裏剣に分裂をして
相手を縫い付けていく。

「ったく、おめぇは組む度に強くなりやがるな」

「へへっシカマルがオレの使い方を熟知してるからだろ?」

「熟知って…良くそんな言葉知ってたな」

「…それぐらい、知ってるし!」

「ヘイヘイ…どうせカカシ先生の受け売りだろ?」

「う…うっせーってばよ!先に行くからな」

「あっ、おいナルト!…って、行っちまいやがった」

木の枝を渡り歩く3つの影から、一人が飛び出すと
ボボボンと影分身で飛び上がる人数が多くなると
先方でクナイがぶつかり合う音が響いて、班長のシカマルが
影真似の印を結び、ナルトがその範囲へと敵を引き寄せて
任務終了となった。

「ご苦労さん」

ポンとナルトの肩に手を乗せるともう一人の
気配を探る担当の赤丸が戻ってきた。

「キバ!赤丸が戻ってきたってばよ?」

「あ?解ってるって!それよりナルト今日は一楽付き合えよ?」

「おう!」

「お前最近、カカシ先生に付きっきりで全然遊べなかったからなぁ~
しかも、カカシ先生が見つかるまでは探しに出かけちまって
遊ぶ事も出来んかったし、今日はその後酒でも付き合ってもらうぞ?」

「お?なぁんだ~キバってば、そーんなにオレの事好きだったんか?」

ニヤニヤと茶化すように言うナルトにキバが赤くなって反論する
そんなやりとりを聞いて溜息を吐きだしたのは、シカマルだった。

「なっ!そうじゃねぇだろ!」

「ハイハイ、全部終わらせたら行くでいいじゃねぇかメンドクセー」

「出たよ、シカマルのメンドクセーが」

ニャハハと笑いながら任務終了の合図と共にキバに引きずられながら
一楽へと向かった。

「おっちゃん!味噌チャーシュー大盛りっ!」

「おう!」

キバと二人で一楽を食べ終える頃に、シカマルと合流して
ナルトは酒酒屋へと向かった。

一階の下忍達を横目に、お疲れ様ですの声が響くが
どうもナルトはそれには返事をあまり返せないでいる。
頭を下げられる事が、どうやら苦手のようで
いつも、対等だってば!と言うのだが忍の上下関係は
ナルトが思うよりもしっかりと上下関係が出来上がっているのだ。

「座敷は空いてるっすか?」

と、シカマルが聞くと指を刺された先
一つの部屋に視線をやると、まだ誰もいない部屋があった。

三人で酒を酌み交わし、ギャーギャーと騒ぎながら
恋の話や任務の話、火影の話やら昔の話を沢山しているうちに
時間はあっという間に過ぎ去っていった。

キバは鼻が効くため、酒の匂いだけでも酔ってしまうのに
酒に誘ったという事が、どれだけ皆と交流を持って来なかったかを
如実に語ってる気がしてナルトはもっと皆と酒でも飲まないとなぁ
なんて火照る頬をそのままに酒を口に運んで思った。

「なぁ…お前大丈夫なのか?」

「ん~?何がだってばよ」

「…カカシ先生だよ」

「あー…だいじょーぶっ!シカマルだもんな~」

「…意味がわかんねぇし、ったく、酔っぱらいめ」

「にゃはは…だってさぁ~カカシ先生はどうにもならねぇってばよ
オレがどんだけ思ったって、手助けしてぇって思ったって
あの人は一人でぜーんぶ片付けちまうんだってばよぉ~」

「ハイハイ…」

聴いてるのが飽きたのか、シカマルが酒をちびちびと飲み始め
キバの寝ている顔にいたずら書きをして満足げにナルトがギャハハと笑う。
そんな二人がピクッと入口に気を向けると二人で目を見合わせる。

「迎えに来たみてぇだな」

「…ん、これで払っといてくれってば」

「おう、んじゃーな、お疲れ」

「ん…シカマル、サンキューな?」

「おう、キバはこのまま見世物にしておく」

「おう!頼んだってば!」

ガラリ…と、扉を開ければ目の前の電信柱に身を預けたカカシ。
ナルトはフッと薄く笑ってにやけた頬をキュット引き結び
知らない顔でカカシの横を通り過ぎる。

「何よ…無視?」

ふらりふらりと歩くナルトの横を歩くカカシに視線を向け
クスッと笑うとカカシの腕を取り、寄りかかった。

「カカシ先生の匂いだぁ~すっげー久しぶりだってばよ」

「そうか?昨日も抱き合ったじゃない?」

「…スイが居たじゃねぇか」

「気を使ってたの?」

グッタリとカカシの腕に身を任せてナルトが甘えたように擦り寄ってくる。
それに欲を出さないカカシではなかった。

グッと路地裏に引き込み唇を奪うとナルトの足の間にカカシの足が入り
逃げる事すら叶わない中深く深く口づけられる。

「んっ…先生…やめ…」

「お前が煽ったんだろ?」

「知らねぇってば…」

「オレが居なくても耐えれるオマエとは違って…オレはお前の事となると
見境がなくなるからな…少しだけ、我慢して?」

唇が重なりそうな距離で囁かれて、体の芯がジンと訴えてくる欲
触れたい、抱きしめて欲しい、愛されたい
どんどん芽吹く欲望は、カカシの足に形を押し付けて来る。

「やっぱり、若いね」

「んっふ…んっ…」

グッと太ももにカカシが力を掛けるとヒクっと体を震わせるナルトに
薄く微笑んだ

「そのままじゃ…辛くない?」

「っは…辛く…ねぇ…ってば」

「ん~強情だねぇ」

「少し…だけだって…先生言ったろ…」

その言葉にパッと手を離した。

「ま、じゃ、帰ろうか」

「え?」

急に離れた体…急に暑くなった温度が下がりブルリと体を震わせると
カカシがナルトの肩を抱いて家路へと付いた。

「先生?」

「なんだー?」

「…時間が欲しい」

あぁ…とうとう切り出されたか…カカシは心の中で予想は立てていた。
大事な彼を忘れしかも女と結婚までして子を成し…
そんな己を、この子は受け入れられないと…そう言われる覚悟は多少なりとあった
けれど、捨てきれないこの想いを胸に秘めて行けるほど
己は出来た人間ではない。
否…一度知ってしまった彼の甘さを忘れる事など出来ない。
別れてしまえば彼が誰のものになっても文句は言えない…
縛り付けたいと…願っている己に嫌気を感じるが、それすらを凌駕する思い。

自分勝手だって解っていて…カカシは口を開いた。

「離れないって言ったよね?」

「わ、別れるとかじゃねぇんだってば」

その言葉にホッと胸をなで下ろすが、言ってる事と自分を拒む事が合致しない。
カカシはナルトの部屋に鍵を差し込みながら聞いた。

「だったら…今はオレとお前付き合ってるって事?」

「え?だって、先生一緒に居てくれるかって聞いたよな?」

カチャリと開かれた部屋。
あまり綺麗とは言えない部屋だが、それでもカカシの一番眠れる場所でもある。

「…聞いたけど、それからはお前オレから離れていくばかりじゃない」

部屋に入りナルトが、カカシにもたれ掛かりながらも
ガリッと空いた手で髪を掻きむしった。

「離れてくって言うか…怖いんだってば」

「え?」

「また…同じ事があったらオレ……」

ベットに腰を下ろし、今にも泣き出しそうな瞳が己を見据える。
あぁ…今すぐにでも、この子を喰らい尽くしたい
そんな不安なんて、肌を重ねれば忘れさせてあげれるのに…

「不安か?」

「…怖いんだってば」

ナルトは、こうやって何度自分を自分で抱きしめて乗り越えてきたのだろう。
顔に出さないこの子の事だから…恐らくは皆の前では平静を装ってたはずだ
そう思うと胸がギリッと痛みを訴える。

「触れて…いいか?」

「……」

言葉の代わりに首が上下するのが見えて
カカシはそっとナルトの横に腰を掛け、頬に手を当てると
ナルトの温もりが手に伝わってきた。

「スイ…は?」

「寝てる」

「でも…」

「ナルト…影分身を置いて来てるから、心配はいらないよ」

「…うん」

ギュッと頬に置いた手をナルトが握り締め、不意に瞳を伏せた。
けれど、一瞬でそれはカカシの胸の中に押し込まれた。

「無理しなくていい…ナルト、無理に抱かれようと思わないでくれ」

「っ……」

「お前が怖いと思う内は、オレは手を出さないから…」

サラリと…髪をなで上げ、カカシは胸の中に居るナルトを
愛おしそうに抱き締めた。

だったらさっきの路上の痴態はなんなんだと、言いたかったが
すんなり引いたカカシを思い出せば、それ以上は言葉には出来なかった。

「酒も入ってるから、このまま眠っちゃいなさい」

「うん…先生、ありがとう」

その言葉を最後に、ナルトは委ねるようにカカシの胸に体重を掛け
暫くそのままで居ると、すぅすぅと寝息が聞こえた。

「それ程…苦しかったんだな…ごめんな、ナルト」

髪の付け根にキスを落とし、そのままナルトの体を横たえて
カカシもナルトを抱き込んで目を伏せた。
影分身じゃない、本物のナルトを自分の腕に収めれる幸せに
目を伏せるが、寝てしまえば影分身が解かれる。

カカシは、強く抱きしめて朝を迎えた。

===================================

【贖罪】40 優しさ

朝目が覚めると、カカシが横にいる事に心底驚いた。

自分を確認するが昨日のままの格好に、何もなかったのは解るが…
あの時は既に、結構酔っていた。
覚えてはいるが何を話したか…と言う所が曖昧だった。

「おはよ…」

いきなりパニック状態で話しかけられたので驚いて両手を片側に投げ出してしまった。


「うぉっぅ!」

「まだ早いよ?」

「先生が寝坊なだけだろ?」

「眠ってないよ…スイの所に影分身がいるからね」

「あ…そうだっけ…」

ポリッと髪を軽く掻くと、バツの悪そうな視線を投げかけてくるナルトに
カカシが口を開いた。

「もう少し…ナルトとベットで話ししたいんだけど
オマエ今日任務休みだろ?おいで…」

グッと服を引かれドサリとカカシの腕の中へとすっぽりと戻ったナルトが
頬を赤くして昨日の話を聞こうと、口を開いた

「オレ昨日の事…」

「あ~あんまり覚えてない?」

「…かも」

「クスクス、オマエとオレは付き合ってる…って話で終わったよ?」

「そう…なのか?」

「ん、で…後は何?」

「え?」

「オレを拒む理由…其れだけじゃないでしょ?
スイの事もあると思うけど…お前はそれだけであんな避け方はしないでしょ」

その言葉に言い淀んだが、意を決したようにカカシの目を見てナルトが口を開いた。

「…オレ、怖いんだ」

「うん、それは聞いたよ、でもオマエが怖がるのは解るから
オレは無理強いしないからってお前に昨日約束したからだいじょーぶ!」

髪をくるくると指先で弄び、昔に戻ったような錯覚にナルトが擽ったそうに
へにゃっと頬を緩める。

「先生さ…なんでも一人でやっちまうだろ?」

「…そうか?オレは結構ナルトを頼ってるぞ?」

「全然頼ってねぇってばよ!オレなんでもしてやれるのに…
先生の為に何も出来ねぇのは…辛いんだってば」

「バカだね…ん~バカじゃ足りないね…大馬鹿だ」

「なっ!」

憤怒しそうなナルトを、ただただあやす様に、クスクスと笑いながらも
カカシが言葉を紡いでいく。

「お前はこんなに長い間…オレを探してくれて
挙句こんなことを仕出かしたオレを受け止めてくれたんだぞ?
それだけで十分にオレにはありがたい事だったのに
それ以上にお前はオレの面倒を見て、スイを見て…
そうやって、オレを支えてきただろう?」

「そ、そんなの当たり前の事で…それ以外には何も出来なかった」

「だから馬鹿って言ったの
オレには、それだけで十分なんだよ…ナルト
寝る場所まで与えてくれたお前にオレが返せるのは
お前の不安が消えるまで傍に居て、お前を愛し続ける事くらいしか無いかもしれない
けれど、それでオマエがまたオレを受け入れてくれるなら
オレはその思いにしがみついてでも、傍に居るよ」

「先生…オレってば、どうすりゃいいかわかんねぇ…」

「お前の好きなようにしていいよ…オレは甘んじてそれを受ける。
ただ、別れると言う選択肢だけは…了承できないかもしれないけどね?」

「オレ…先生…大好きだってばよ」

「オレもだよ、ナルトオレはお前無しじゃ、もう生きられない位だ」

その言葉に一瞬目を見開いたが、すぐに口先が尖った。

「嘘つき」

照れ隠しのような表情でもある、拗ねているようにも見える…そんな
不安定な表情でカカシに伝えれば彼は笑って答える。

「クスクス…嘘でもないよ?きっとお前を失えばオレは自分の半身を
無くすようなものだからね…残念ながら、それはスイでも埋められない
ナルトの場所だから」

温かいベットの中で、ナルトはカカシの体をそっと包み込み
胸の中で深呼吸を繰り返すと、カカシの手が
ユルユルとナルトの頭を撫でてくる。
その、懐かしい感覚に頬が緩み、もっと傍に行きたいと願うが
既に密着した体はそれ以上に近寄る事が叶わなかった。

「カカシ先生…」

「ん?」

「…カカシ…先生」

「なぁに?」

「カカシ先生ってば」

「…何よ……」

「へへっ…ちゃんと返事帰って来るってば」

「当たり前でしょ」

「先生…生きててくれてありがとう」

ギュッと力を込めるナルトの体をカカシも同じように強く抱き返した

「ナルト…待っててくれてありがとう」

本当にその言葉が胸にほっこりと暖かさをくれる。
ギュッと、カカシの腕の中で抱きつくナルトをポンポンと
優しく撫でてくれるカカシにもう一度、好きだと伝えて目を伏せた。


「ね?ナルト…その、さ、一緒に…住まないか?」

先日もそれを言われて考えてはいた。
一緒に居たいに決まっている…けれど、自分が居て本当にいいのか…

「…オレ、で…も」

「ま、オレは引っ越すからさ、お前うちに来てよ
暫く一緒に住んでみて無理そうだったらこっちに戻れるように
この家を維持しながらで良いからさ…」

「そんな、無駄使いだってばよ」

「無駄じゃないよ…ナルトの逃げ場所を作っておけば
お前は、気が楽でしょう?それにオレの経済力舐めてもらっちゃ困るよ?」

「…今やオレと大差ないだろ」

ピンと、額を小突いてクスッと笑う。
その笑顔があまりに綺麗で息を呑むナルトにカカシは構わず言葉を吐きかける。

「ばーか、B,Aが多いオマエがA,Sが多いオレに言うセリフか?」

「…う」

クスクスと笑って、決まりね…とカカシに強引に話を進められ
ナルトは多少なりと呆れてしまう。
スイと己の関係を考えれば避けて通るはずの妖しの力。
スイの陰陽師の力とは引かれ合うことなどないと言うのに…。

「まずは…オマエの心の棘を一本づつ抜いてやらないとね」

と、キスを落とされた。

「綺麗だよ…オマエの目も、唇も」

スルリと指先がナルトの唇をなぞり、カカシの目が妖艶に光る。

ゴクリ…飲み込んだ唾液が胃に落ちる前に
カカシがギュッとナルトを抱き締めた。

「もう、独りにはしない」

その言葉にナルトの体が大きく震えた。
一人になる怖さは、もう…耐えられない。
独りだったあの時、自分は生きる屍のようだった
カカシを探し彷徨う毎日と、それを迎えに来るサクラやサスケ…
その優しさに縋りたいと思ってもカカシの顔を思い出して
また独りを選んでしまう自分…

「独りはもう…イヤだってばよ」

「ん、解ってるよ」

ナルトが、カカシの形の良い唇に自分のソレを重ね
そっと目を閉じると、カカシの口が薄く開かれ
誘われるがまま、舌先を申し訳なさそうに差し込んだ。

「んっ…」

差し込んだ舌先が、カカシの舌と重なり合うと
ちゅぅ…と吸い上げられナルトが声を漏らす。

けれど、まだ…離れたくなくて
ナルトがカカシの舌先に何度も何度もノックする。

「っは…ナル…ト」

「んんっ…センセ…」

口の中だけが嫌に熱を放ち、快楽の中を彷徨うような
そんな感覚に溺れて、ひたすらに互いの口内を探りあった。
ナルトの満足が行ったのか、スッと顔を赤らめながら離れると
カカシは、そんなナルトをもう一度抱き寄せて言葉を紡ぐ

「忍なんて…いつ命を落とすかわからない。
だから、一生オマエを独りにしないとは言い切れないけど…
オレが生きている限りはお前の傍に…」

「先生…」

「だからオマエも約束…オレを独りにしないでくれ」

ギュッと抱きしめられた腕の中で、コクリと首を上下させた。
暖かい腕の中…優しい言葉…愛しい思い…
忘れれる訳がない…怖くても、恐れているだけでは前に進めない

「先生…オレ先生が好きだってばよ?」

「ん、オレもオマエを愛してるよ」

その言葉に、ナルトは唇を一文字に引き結び、カカシの目をジッと見つめた。
その目に、彼が何かしらの決意をしたのだろうかと、カカシは黙ってその言葉を
待っていると、あっさりとナルトの口から零れ落ちた言葉にカカシが息を飲んだ。

「カカシ先生…一緒に、住むってば。
オレの逃げ場所は要らねぇ…スイの力は、クラマに契約させれば
引き離されることもねぇし…」

”そんな安請け合いみたいな事をしてもワシは知らないぞ?”

(解ってるって…それでも、先生の傍に居てぇ…そしてスイの傍に居てやりてぇ)

”ったく、だからオマエは人柱力達に、お人好しのバカだと言われるんだ”

(バカは余計だろう)

クラマとの会話を他所に、カカシが深い溜息を吐き出した。
悲しげな視線をナルトの碧い瞳と絡ませると

「さて…オマエはどうやらオレには言う気ないみたいね…」

と…今の会話を聞かれたかのような…そんな言葉が吐き出された。

「は?」

「クラマが、契約してスイがクラマを呼び出せばどうなるか…
オレが知らないとでも思ってるの?」

「……なんでそれ」

ベットの中で戯れながら紡がれる会話にしては、重いものではあった。
何せナルトの命に関わる話なのだから。
だが、カカシはその重さを全く感じさせないように笑って言葉を続けた。

「上忍を舐めないで頂きたい!」

「…なんで偉そうに言うんだってばよ」

「偉いから」

「………」

ハイハイ…と、少々の沈黙の後にナルトが言うと

「お前はどこまでオレを見くびってるのよ?」

って言葉が返され、見くびってなど居ない!と、ナルトが言えば
凄く悲しそうに…自分を見てくるカカシと目があった。

「ちゃんと調べた…オマエとスイが一緒に居られる方法で
クラマの契約なしで共に過ごせる道を…」

「え?」

「スイの法力を封印するまではしなくても、力を弱めれば
クラマだったら何とか成るんじゃない?
それにさ、お前はもう、クラマの力を自在に操れるでしょ?
だから、スイがどの道を選ぶかにもよるけど…
その道を選ぶまでは、その法力を抑える事にすると
綱手様と話が付いているのよ」

「…いつの間に」

「だから、見くびるなって言ったの…オワカリ?」

「…なんか、ムショーにムカつく言い方だってばよ」

「だって、ムカつくように言ってるもの。
お前さんさ~、それを決めるのも一人なわけ?
なんでオレにそれを言わないの?
オマエさ…オレに頼れって言ってたよね?それをそっくりそのまま
ナルトに返すよ。
頼りないジジィに成り下がったツモリはまだないからね」

「そ、そんな事思ったことねぇし!」

目を見開いて抗議すると、カカシはベットから体を起こし、ガリッと頭を掻いた。

「ナルト…何でも一人で決めているのは…オレじゃない、オマエなんだってそろそろ
気が付きなさいよ。」

言いたくなかったんだけどね~なんて悠長に言葉を吐き出しながら
カカシは、コーヒーを淹れにキッチンへ向かう。

「オ……レ……?」

ベットでゴロリと寝転んだままの、ナルトが悲しげに目を伏せた。

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