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なつめっぐ 保管場所

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乱れ/偽物

短編

【乱れ】








流れ落ちる白滝の、頂上目掛けて鳥が突き上げる
空を仰いだ鳥は、その白滝を見据え、一気に水面へと落下する

「凄い滝だね?」ほぉ・・・と、深い溜息を落としかごめは暫く食い入るように滝を見つめた
「くおらぁー置いてくぞ~」遠くで犬夜叉に声を掛けられ、かごめが慌てて一行の輪へと戻る
「ここらで、昼にしますか?滝が流れ出ていますゆえ、魚も・・・取れると思いますし・・・」
弥勒の提案に反論を諭すものも無く、一行は滝の流れる下流へと向かった

ばしゃ・・・
じゃばじゃば・・・「犬夜叉行きました!」「おう!」

魚を取る男二人
滝を背に、綺麗に棚引く銀髪と黒髪
「珊瑚?」「え?あ、何?七宝・・・」「かごめが・・・木の実を取ってくると行ってしもうたぞ?」
弥勒の姿に魅入られた等と言える訳も無く
珊瑚は手元にあった木をほおり込む
「珊瑚ぉーーーー大量だぞ~」犬夜叉が衣をべちゃべちゃにして帰って来た
無論弥勒もずぶ濡れ・・・
「何でそんなに濡れてるのさ?」「けっ、弥勒がわりぃ・・・って、かごめは?」
「かごめなら・・・木の実を探しに行ったぞ?」七宝が犬夜叉を見上げて答えると「一人でか?」
と、かえされる「そうじゃ・・・」
犬夜叉は逞しい肉体を露にして衣をギュッと絞り上げる
無論弥勒も袈裟を絞り、上半身を晒した状態に珊瑚も赤くなる
「珊瑚?妖怪には強いくせに男子の体には免疫が無いらしいな?」悪戯げに笑う弥勒を
ひと睨みすると、珊瑚はかごめを探してくると、森へ向かった
「珊瑚!かごめは丑寅の方にいる」と・・・犬夜叉が匂いの先を教え、珊瑚は黙ってうなずくと
其の方向へと姿を消した

「ったく・・・」「追わなくて良いのか?」「誰を?」「かごめ様ですよ」「今珊瑚が行ったろうが」
魚が、段々に焦げ目をつける
ぱちちっと弾かれる木片が宙で弾けて粉となる
「犬夜叉・・・」「ん?」「お前も聞いていただろう?」「何を?」「珊瑚に求愛した・・・」「あぁ・・・」
しーーーーん
それ以外の言葉が弥勒の口から紡がれないのを不審に思い、不意に魚に注いでいた視線を弥勒へと向けた
「おめぇ・・・こえーのか?」黙って風穴を見つめる男。其れを目にした犬夜叉は、そう解釈した
「えぇ、そうですね・・・こんなに人と関わる事はないと思っていましたから・・・」
じゃらり・・・・重たい音が響く
手に掛けられた術が解けない限り・・・珊瑚を己の手で吸い込んでしまうかもしれない不安
「珊瑚が良いって言ってんだ・・・そんなに気に病む事はねぇんじゃねぇのか?」
「珊瑚が良いと言えば・・・いいのか?」「知るかよ」「かごめ様がいいと・・・そう言えばお前はいいのか?」
急に核心に入り込む弥勒に犬夜叉はぐうっと喉を鳴らした

「そ、其れはどういう意味でぃ!」「かごめ様が辛い思いをしても・・・其れでもお前はいいのか?」
「な、急に何言い出しやがる!!」「私は思う・・・珊瑚を女らしく生きさせてやりたいと・・・普通の恋をさせてやりたいと」

犬夜叉は黙り込むしかなかった
かごめを苦しめて辛くさせて・・・良い訳が無い
そう胸で感じている事は確かな事なのだから

「かご・・・め・・・」
「珊瑚は腕っ節は強いが、心は弱い・・・かごめ様は・・・どうなのだ?」
「あいつは・・・強えぇよ・・・おれなんかがおよばねぇ位」
ポツリと、本音を漏らした
「そうか・・・」弥勒は焼けた魚を、火の側から離しふっと笑う


「ここから先は独り言だ・・・」と、口を開き弥勒は右手を握り締める・・・そして・・・ぽつり。ぽつりと・・・

私は生涯一人が良いと思って生きた来た
無論、かごめ様やお前に出会う前は・・・それ以外は考えても居なかった
この呪いが解ける事を願い・・・子孫に同じような呪いを渡さぬようにと・・・・
だから、いや、この風穴が・・・最近やたらと恐怖を呼ぶ

「はぁ?恐怖?」
犬夜叉の合の手を弥勒は答もせず、話し続ける

かごめ様の笑顔が・・・珊瑚の笑顔が・・・そして
お前の笑顔が私の手に・・・飲み込まれると言う恐れを抱いた
だからこそ、早く奈落を打ち倒し、私は珊瑚と幸せを掴みたい
だが・・・犬夜叉は其の事を成し遂げれば・・・恐らく・・・かごめ様を泣かせる・・・
「な”っ!!」

私は思う
今、恋だの愛だのと語る暇があるのなら・・・早く進みたいと
だが、それでも、
其の私達に文句も言わず付いて来てくれ、風穴の呪いさえ・・・恐れることもしない
本来なら、側に居ることでさえ
珊瑚やかごめ様に恐怖を与えているはずなのに・・・

「怖くなんかねぇ・・・お前は・・・お前だろ?」
「誰がお前が怖がってると言った?珊瑚やかごめ様は・・・女子なのだぞ?」「かごめはそんなこと思う奴じゃねぇ」
「分かっている。珊瑚も違うだろう・・・だがな?だからこそ、側に居てほしいと思う」

しんと静まる森の中、二人の少女は少し遠くでくすくすと笑う
そんな声を心地良く胸へと収め、犬夜叉と弥勒は目を閉じた


「おれも・・・ひとりごとだ」

おれは、かごめを泣かせたくはねぇ・・・だから、別れる決意をした
だが、かごめは・・・戻って来てくれた、おれはその時・・・・
忘れちゃいけねぇ者を・・・わすれ・・・・あいつの事で頭が一杯になってた。。
おめーらも色々と言ってたが、おれにはどっちなんて決めれねぇ・・・
あいつには。。。あいつへの
かごめにはかごめへの・・・おれの中では全く違う感情が・・・共存してる
だから、
苦しめているのも。。。分かってて
手放せねぇ。どうしらたいいのか?どっちかを選ぶ?結局・・・どんなに考えても
どんなに思っても、違う感情同士が桔梗を、かごめを・・・一番だと
だから。おれは・・・どちらとも別れれねぇ・・・我侭、いい加減・・・何と言われても仕方ねぇ

償える事があるなら、おれは命だって惜しくねぇ
でも、かごめには
かごめだけには生きていて欲しい
「惚れた女は・・・死なせたくないと言う事ですか?」
あぁ、だから、おれが守る
「二人を?ですか?」
かごめと桔梗が命の危機を迎えれば・・・おれが楯になる


そこで途切れた会話
犬夜叉なりの決意を、弥勒へと向けたのだろうか?


「きゃぁー」ぴくっつ・・・「犬夜叉っ!!」「行くぞ」
二人の足がかごめの匂いを追う

走り付いた先には・・・・

「・・・・。おい、弥勒・・・あれって・・・」「あ・・・えっと・・・そうですなぁ」
悲鳴と思い急いで側へと寄ったのに・・・・


「なーにやってんだよ?」「犬夜叉ぁ~」「頭・・・すげーぞ?」「え”やっぱり?」
きゃぁーと言いながら珊瑚とかごめが髪を手で整える

「風が、突風が悪いんだ」珊瑚もぶちぶちと文句を告げながら
髪を直す
「もぉー」「ってか、てめーら・・・・驚かせるなっつ!!」「へ?」
犬夜叉の激怒にクスリと笑った弥勒が言う
「先ほど、私の前で守ると誓った者の悲鳴です、驚くのも無理はありません・・・」「て、てめぇ!!」
犬夜叉の赤くなった顔が弥勒へと詰め寄るが、かごめは其の間を割って入ると犬夜叉の顔をじーーーっと
見つめる

「私の・・・声だったよね?って・・・私?」「な”・・・お、おめー以外誰が居るよっ!!」
木立が揺れ動き
既に弥勒と珊瑚は消え去った
その二人きりの状態で
再び風が吹き抜ける

「きゃぁ・・・また・・・・もぉ、髪がぐしゃぐしゃ~~~~」
其の声に、犬夜叉がそっと髪を引き寄せ、縺れた髪をゆるりと爪で引き伸ばす
傷付けないように
優しく
優しく


「あ、ありがとう・・・」「お、おう」


髪を・・・
心を
全てを

おれは守って行きたい
これからも
そして

この先も

FIN
==============
【偽者】








==========【偽者】=============


赤く染め行く夕日が静かに闇へと影を落とす
聳え立つ校舎が、夕闇に支配され、赤く染まる

やっとの思いで終わったテスト、大した勉強も出来ない戦国の世で
今もまだ四魂の玉を捜し旅を続ける
『かごめぇー?』『ん~?あ、由香・・・』『またテスト悪かったの?』『うん・・・はぁ』
いつも一緒に居る友達達が寄り添いかごめをカラオケへと誘う
『ごめんね・・・』(最近の歌知らない・・・・)
『彼・・・来るの?』『え?あ・・・んーん・・・来ない』
(もしかしたら家にいるかも・・・あぁ・・・今夜帰るの・・・億劫だなぁ)

静かに沈み行く夕日を背にかごめと其の友達達が、向かう先は・・・
『ほら!着いた♪』『え”・・・・。』
目の前のネオン・・・・
しっかりと・・・・”か・ら・お・け”と、記載されている
かごめは友達の由香に引かれるがまま・・・・
何歌う?
あれよくない?
(分からない・・・・)
あ、私これに決めた
(分からない・・・わから・・・・ない)
沈むかごめを横目にしたあゆみがポツリと・・・言う

======元気ないね=====

(あはは・・・なんだか、私の居場所・・・ここにはないみたい・・・)
寂しそうに、かごめは立ち上がり家へ帰ると告げ
BOXを出た。
広い公園、沈みきった夕日の先をただ、静かに見つめた
『あーあ・・・私って、何やってるんだろう?戦国へ行けば・・・・
戦って、居場所はある・・・でも、やっぱり・・・居場所はない・・・・
こっちに戻っても・・・・
やっぱり・・・・』

くだらない事と分かってる筈なのに
『はぁ、疲れた・・・・』
コキコキ・・・と肩を鳴らし、教科書をペラリとめくる
真っ白な教科書に真っ白なノート
戦国へ持ち運ぶために、少しの汚れを手で払う

ただ静かな公園。其の場所からかごめは動けないで居た

(居場所・・・か)

『ねぇ?学校帰り?』一人の男が声を掛けてきた
無論かごめは無視を決め込み立ち上がる
『送ろうか?』其の言葉にもひるみもせずに、スタスタと歩き始めた
『ねぇ?送るよ?』『んもぉーーーーウザイ』かごめが命一杯大きな声で告げると、男は
かごめの手を力一杯引く
『イタッ』『調子こいてんじゃねぇ!』男が大きな声で凄んだ所で・・・
今まで人の生死を見て来たかごめには、ただの絡んでる男・・・としか思えない
『何よ?私の家はすぐそこ、送ってもらわなくても帰れます!だからほって置いてください』
と、強く良いはなち先を進もうとするが、結局かごめは囚われたまま・・・・

『もう・・・離して・・・っ・・・あ、あんた・・・』
背中に感じる尖った感触がチクリと柔肌を刺激した
『送り狼・・・なっちゃおっかなぁ~』『ってか、送ってもらったつもりないし・・・』
其の声に男は更にかごめの背中にクイッと深く先を押し付ける
『っつ・・・』(犬夜叉・・・・)

夜が訪れ、静かに公園内で、かごめは茂みへと引き連れられた
口には男がしていたネクタイ
両の手はかごめのスカーフ
そして・・・・
(犬夜叉・・・・嫌だ・・・助けて・・・・)
この時代。恐ろしい事と隣り合わせのこんな世にも、戦国と同じ恐怖は・・・・生きているのだ
人間の欲望
それだけは・・・変わる事無く受け継がれているのだ


ざぁ・・・と、一陣の風が吹き抜けると、かごめの体が先程の重みを感じなくなって不意に瞳を見開いた
かごめの目に飛び込んだ姿

緋色の衣に纏われた 少し怒ったような顔の銀髪
(犬夜叉?・・・来てくれたんだ・・・・)
口を縛られ声には出来なかった・・・だが
求めた姿が・・・・

そこにある


犬夜叉は男を一通り殴りつけ、縛られたままのかごめを
無言で抱きかかえ・・・・家の窓からかごめの部屋へと入っていった


『・・・・。』(お、怒ってる・・・・)

真っ直ぐにかごめを見据える視線にどきりとしながら
手を解こうともがく
『おめぇ・・・ばかか?』其の言葉にむぅ・・・と、怒りを感じながらも
今は言葉さえ吐けない
言霊さえ・・・・使えないのだ

ぎし・・・・・

自分の乗せられているベットが軋む
(犬夜叉?や、やだ・・・・ど、どうしよう・・・)

先程の恐怖もあるだろう。かごめはかすかに体の震えを感じると
体を小さく丸めた

すっと・・・伸ばされた指先がかごめの頬をなぞる
其の行為さえ体が震える


『ったく、こんなに震えやがって・・・・』
頬へ這わされた指先は、かごめの口を縛るネクタイへと伸ばされ
しゅる・・・と、引き抜くと、息苦しさから開放されはぁ・・・・と、深い溜息を一つ落とした
『犬・・・』『手を』言葉を掛ける前に、犬夜叉の言葉で遮られ素直に犬夜叉に両手を差し出した

しゅる

布擦れの音だけが響き渡る

しゅるる

嫌に・・・耳障りに聞こえる


パサ

やっと開放された腕をかごめは引き寄せようと・・・・・


グイ

強い引力に引かれたように

犬夜叉の胸へと、引き込まれた

『犬夜叉?』

『怖かった・・・か?』『す・・・少し・・・』
赤くなったかごめがドキドキと心音を早める中、
めったにかごめを抱き寄せたりしない犬夜叉の心音は

穏やかだった

『おめぇ・・・無防備すぎるんだ・・・男ってもんは・・・欲に狩られちまえば・・・歯止めがきかねぇ』
『ん・・・。ごめん』
『かごめ・・・・男を甘く見るな』
『え?』
『おれも・・・男だ・・・』


静かな口調で言われかごめの心拍数は、犬夜叉の指先によって早まる
頬をゆるりと撫で上げると、
唇へと・・・這い上がり
犬夜叉の顔が・・・目の前にいる

他の何も・・・見える事無く
ただ・・・・

金色に


捕らわれる


『かご・・・め・・・・』

甘く吐き出された声に、
優しく触れる指先に


唇が重なる瞬間だった
トントントン

『かごめー?帰ってるの?開けるはよ?』
母の声
『あ、今降りる・・・・』
グイッと犬夜叉を押しのけて答えるかごめを、赤くなった犬夜叉が見つめる
『い、いこっか?』『お、おう・・・・』

求められて居たのは・・・自分
言葉を貰わなくても
犬夜叉はまだ・・・
本物の私を求めてくれている
そう感じたから・・・・

『犬夜叉のエッチ!!』『な!!う、うるせぇー』
バタバタと階段を駆け下りるかごめの顔には
不安などは

消え去っていた


FIN

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