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SSですね
華の火
「暑いね~」
夕涼みと言う言葉が似つかわしくないとかごめは笑った
そんな中、犬夜叉とかごめの二人は小高い丘の上で空に咲く花火を見つめる
どーんと音が鳴るたびに犬夜叉は”ビク”と体を硬直させる
「大丈夫だよ?」
「怖くねぇ!音がうるせぇんだよ」
犬の聴力はかなりの高さを誇る、そんな犬の妖怪、否、半妖・・・・
仕方が無いであろうと、かごめは溜息を落とす
(最後の連発・・・見たかったのになぁ・・・ま、仕方ないか・・・)
スクッと立ち上がったかごめを不思議そうな顔で見上げる犬夜叉に、にっこりと笑いかけた
「いこっか?」「・・・もうか?」「うん。」
どこか悲しげな顔に、犬夜叉は腕を引いた
「あ!」
「まだ見たいんじゃねぇか」
「あ・・そ、そんな事ない」
「顔に書いてるぞ?」
「え?どこ!?」
(・・・。お前本気かよ?)
くすくすと薄く笑う犬夜叉に、”書いてあるはずが無いのに”と言われてる気がして一気に顔を高潮させた
「もぅ!意地の悪い!!」「ほら!」
どーんと
綺麗に咲き乱れた葉が一気に落ちていく様を
ほぉ・・・と、溜息を落として見つめた
「やっぱ、みてぇんじゃねぇか」「え、あ・・・うん、」
ぱらぱらと、散っていく
そんな華の火
一瞬だけ・・・心を奪っては、その心にその想いだけを焼き付ける
「結構、おもしれぇな?」
「そ?」
「だってよ、花が咲いたら散るなんざ、桜でも出来ねぇぞ?」
咲いた途端に散る華は
鮮やかで、心を奪い
見事にその印象を胸へと刻み込んでいく
「犬夜叉?」
「あ?」
最後の連打が・・・・一発二発・・・・数える事がに出来ない早業に
釘付けの犬夜叉の頬に、チュッと音が響き、慌ててかごめを見据えた
「あ!もうすぐ終わる!!」
何をした?と言う質問が出る前に
かごめは照れ隠しの為か、空を指差した
「おれに・・・不意打ちかよ」
赤くなった犬夜叉はそう言うとかごめの頬を引き寄せた
「ちょ・・・見れないじゃない」
「もっと、見れねぇようにしてやる・・・・」
その言葉にドキンと、胸が音を鳴らす
ぱん・・・・と、最後に打ち上げられた花火が上がった時、
瞳をそっと伏せたかごめに、犬夜叉はそっと顔を寄せる
最後の花火が
美しく花開き
ぱらぱらと
ぱらぱらと
散っていった
「かご・・・め・・・」
その甘く切なげな声に・・・・心がドンドン犬夜叉に吸い込まれていく
華の散り切った闇の中、唇は思いを乗せた
最後の花火が散った・・・その後に
消して散る事のない華が
犬夜叉の腕で咲き乱れた。
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