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雨乞い

閉鎖されたサイト様への贈呈品

<雨乞い>

七夕企画物<旧新月のまどろみさん宅へ贈呈品>



(巫女さまにお願いが)そう言う男が、隣村からやって来たのだ
今は初夏、暑さが余計に肌に染み入る

犬夜叉一行は、そんな中も、暑さを堪えての旅となる
しかし、珊瑚の体調が悪いと、村へ帰る途中だった
(おい!大丈夫か?)犬夜叉はかごめと、珊瑚に声を掛ける、
誰から見ても、かなり衰弱してる二人、こんなときこそ男の出番なのだが
なにせ、朴念仁の犬夜叉・・・ハイそうですかと、かごめを背負う行動に移せなかった

(私が・・・)法師が背をかごめに差し出してやっと己のすることが解った
犬夜叉は無造作にかごめの襟をクイッと引き込み、己の背中に
ストンとかごめを収めた

法師はこの行動が可笑しいらしく、クックックと苦笑するが、犬夜叉に至っては
仕方ないという思いもあった。なにせ、この男は、色恋沙汰にはかなり”鈍い”のだ
思いはあれども、その者を守ることでしか伝えられない思い・・・
弥勒の半分でいいから、色恋を学んで欲しい物だ・・・・


(ごめんね・・・犬夜叉)かごめは背負われたままで犬夜叉に謝罪する
犬夜叉はその言葉に”けっ・・・”とだけ言うが、本音は心配しているのだろう、
顔は、不安そうだった・・・そんなこんなで一行は村へ足を踏み入れた


(あ、かごめ様・・・・)村の住人はかごめを”巫女”としてみている
確かに巫女ではある、霊力があり、度胸だってある・・・が、
村では、”桔梗の生まれ変わり”と言うだけで巫女扱いしている。
そんな事にウンザリしてるかごめを知る者は、多分、楓だけであろう


(かごめ・・・良い所に帰ったな・・・仕事を頼みたいんだ)
楓は帰ってすぐのかごめに伝えた
無論みんな驚く、妖怪退治なら、珊瑚 弥勒 犬夜叉に頼むだろうし
楓が頼んでくること自体が、めったにないのだ、

(何だよ、頼みてー事って・・・)と犬夜叉は問う、
少なからず心を寄せる女が、何かで危険な目に会うのは、己としても許せないのだ


隣村が、最近妖怪に良く襲われて、飢饉が進んでる・・・
そして日照り・・・こんな状況で作物は育たないので、楓に”雨乞い”
を頼みに来たのだった、楓は、もう初老に足を踏み入れていて、雨乞いの
動きには身が入らないのだ・・・・そこでかごめを代役へと、考えたのだった

(じゃー私が雨乞いをすれば良いのね?)かごめは、了承したかのように
明日から練習を始めます。と答えると、そのまま布団へ身を引き入れた


犬夜叉は、”雨乞い”を見た事がなかった・・・
そりたつ木の上で、またも思いを馳せる

(桔梗・・・もしたのか?雨乞いを・・・本とに降らなきゃ厄介だぞ・・・)
犬夜叉は考え込んでいた、この時代に水は必要不可欠なものなのだ
それを知っているが為の悩み・・・雨が降らなければ・・・かごめは、巫女失格
そう言われるのが目に見えてる、己が半妖と罵<ののし>られたように


かごめは、それから、予定日時までの時間を惜しむように、
色々と仕事を覚えていった・・・”学校”などで覚える物とはまた一段と格が違う

毎日が疲れと、疲労でかごめ自身が参るのではないかと、弥勒や珊瑚は心配だったが
犬夜叉とて同じ、見てる方が辛いので、己も共に行動した

月日という物が早いのは、きっと我を忘れ、夢中で修練をしてるからなのだろうか?


(では、行って来ます)かごめは、馬に乗れと言われるがまま、馬へ足をかけた
村の男が迎えに来ていたのだ・・・だが、それを制止した男・・・・
(あなたは何ですか?)迎えにきた男が言うと、制止した男はこう放った
(俺が連れて行く、お前はその馬を使え)そう、馬よりも早く目的地に到達できる
犬夜叉は、一緒に行くと言ったのだ、弥勒も珊瑚も、それは、叶わないと思い言えなかった
村は飢饉なのだから・・・人が多く行けば、その分食い詰めるものが出てくる
だから言えなかったのだが、犬夜叉は平然と言う(食いもんくらい、てめーでどうにかする!!)
こんな時の犬夜叉の発言は、心強い物だと弥勒は思いながら、珊瑚に飛来骨を渡した
(一緒に行きましょう。)そう言うと、珊瑚もコクリと頭で返答し、
かごめと共に、旅路へ付いた・・・
そうは言っても隣村、到着までの時間は、半日も掛からなかった


村の隅の池の辺で、白い垂れ幕の下がった祭壇が用意されていた
かごめの到着で村が沸きあがり、雨乞いの準備がすでに終わってるこの地で
屋敷に通されかごめは、着替えた。

雨乞いの衣装は、その村々によって違う、今回の衣装は、藍衣<あおごろも>
藍色の衣装に、水色の羽衣
髪飾りと豊富に取り揃えられていた
村の格を決めるのは、そう言う所からだとも聞いたことがあったが、
良質な物なだけに、緊張した面持ちで用意を珊瑚と始めた・・・。

(かごめちゃん・・・綺麗だよ・・・)薄く紅を引くかごめに珊瑚が掛けた第一声だった
かごめは未だ幼さは残るが、綺麗な面持ちは、精悍な顔を引き立ててくれている
まるで近寄りがたい神々しさまで持ち備える少女に、珊瑚はため息しか出なかった
今宵は7月7日・・・
恋をこの世で叶えれなかった者が、あの世で一年に一度だけの時間を楽しむ
その別れ際に、涙を流す織姫の願い・・・一緒に居たい・・・・その願いは一緒だから
かごめはこの願いを、受けたのかもしれない
きっと、一年に一度でも、犬夜叉と会える事が出来るなら・・・・
時の隔たりを、消せるのなら・・・今は何でもしたいと思ったのかもしれない

<この思いが犬夜叉には伝わる訳は無いけど・・・それでも、出来る事をしたい>
かごめの心はもう決まっていた

祭壇は熱気と、人の群れでごった返していた
月が下の湖面に映る。かごめは、その祭壇へと足を進める
横にいる珊瑚が長い羽衣を支え、手には舞いに使う刀
かごめは昔舞踊をやった事があったが、結局はそれをする羽目になった、
新しい踊りには、時間も労力も倍にかかる、それ故なのだが・・・・


シャン・・・・鈴が鳴ると犬夜叉は、祭壇に、目を向け驚愕した
その目に飛び込むかごめは、綺麗で、儚げで・・・それでいて強い眼光を放っていた
何者にも緩まない瞳の強さには犬夜叉も、今まで何度となく味わっていた
ドクン
心の蔵が、心なしか騒ぎ出した・・・
練習は見るなと言われて、あまり見てはいなかったが、ここで見た踊りとは、やはり少し違っていた
かごめは本番に強いのだろう!今までに見た事も無い舞が始まってゆく
舞は男舞と言われる物で、女のそれも、巫女がするものではないが・・・それでも綺麗だった

床に腰を落としたかごめは、鈴の音と共に首を持ち上げる
しゃん
しゃん
音に共鳴したかのような、静かな滑り出しで始まった舞は、一同のほか、村の人でも息を飲んだ
しゃん
しゃん
舞い踊るかごめは、刀を差し出し、横へ邪を払うように、シュッと白線を残す
目は真っ直ぐ見据え、犬夜叉の目とぶつかった
犬夜叉は少しあせったように目線を逸らそうとするが、離れなかった
蛇に睨まれた蛙・・・とはこの事なのか?
その後にかごめの持つ刀の切っ先が犬夜叉にすらりと向けられる

刀を使う者にしか分からないだろうが、剣客にしかない剣気と言う物がある
それを感じ強いか弱いかを判断する事もしばしある。
今舞い踊るは女、しかも己が良く知る女
心を寄せてる女が、ここまで剣気を携えているなんて誰が思おう?
犬夜叉は逸らせない目を戒めながらも、頭をガリガリと掻き毟った

(なんて顔してんだよ・・・・)犬夜叉は少しだけ女を見つけてしまった
かごめの瞳に映る己、距離はあれども、犬夜叉をひたすら彼女は追ってくるのだ
そして妖艶に輝く瞳、己を連れ去ってくれと聞こえるような顔
たぶんかごめは気が付いてはいないだろう・・・
だが、犬夜叉にはヒシヒシと伝わり行く思い

私と共に生きて欲しい
あなたが欲しい
あなたの心が・・・・欲しい

妖艶な光は村の男も魅了した
ため息を付く者、身を乗り出す者、ひたすら見入る者
犬夜叉の嫉妬心がここでも現れるが、雨乞いの邪魔は出来なかった・・・かごめの悲しむ顔は見たくない
そんな思いでも募らせているのだろうか?

それでも犬夜叉を見据え続けるかごめはに、少し満足感も得た
他の男に目をくれないのだ、それはそれで、男として嬉しい物だ


しゃんしゃん・・・連続する鈴の音が五月蝿いと思った
高鳴る心地よい心音を己が楽しみたいだけなのだろう
音が激しさを増すと、かごめの体も激しく舞う

剣先をスラリ、スラリと向け、身体を翻しながら
舞う踊り


(ん?来るか・・・)犬夜叉は己の鼻が感じた雨の香りに乗っていた枝の上に体を立ち上がらせると
かごめの踊る方を向き指を空へと向けた
雨が来る!  犬夜叉の行動は、かごめに伝わったらしく踊りも終焉を迎えた
    ぽつ
     ぽつ

村に歓声が起こる
揉みくちゃにされるかごめを、村の集から引き攫うと、ひらりと飛び去った

(かごめ・・・大丈夫か?)犬夜叉の問いにかごめはコクンと頷くと、
星を見上げて寂しそうに呟いた

(織姫と彦星は・・・もう別れたんだね・・・)と
犬夜叉はその話を知らないが故に、はぁ?という顔をするが
かごめの切羽詰ったような顔を見てしまうと、何も言えなかった


(さっきの踊り、良かったぞ)真っ赤になった犬夜叉は、そう言うと
かごめを降ろし、木の根元へ身をゆだねた

(あんたは、消えないでね)とかごめは犬夜叉に言うと、不思議そうな顔を向け
(ありえねーよ・・・)と答えた


時は過ぎ行く・・・
そして別れの時がかごめと犬夜叉を蝕む
時が止まれば、
そう思えるのは一時でまた戦いが始まるだろう

戦えば戦うほど・・・・時間が止まる事はない

織姫と彦星のように、一年に一度でも・・・会いたい
離れてても・・・愛していたい
別れが近付こうとも・・・・

それを乗り越えるのは、己
犬夜叉の思いは・・・どこに流されてるのだろう?

帰る場所は私だありたい
そう願うことは、叶うのだろうか?

七夕
私に勇気をください


犬夜叉の唇がそっと、温かいもので塞がれた
驚いたままの顔を、かごめは見る事もしないで走り去ってゆく
(先に戻ってるね)とだけ言い残し


おまえは解ってるのか?
その一挙一動が俺の心を満たすのを
例え忘れろと言われても、忘れられない事を
もっと、
お前が欲しい事を


FIN

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