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なつめっぐ 保管場所

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素直な思い

短編・閉鎖されたサイト様へ送った作品です

素直な心


どうして・・・泣いてるの?
どうして・・寂しいの?

それは・・・きっと貴方が・・・側に居過ぎるから・・・


白い風がふわりとかごめの髪を弄ぶ
何事も無いようなそんな顔で見つめる先は緋色の衣
いつも側にい過ぎて・・・なんとなく見えない物があった
それが何かなんて、この15歳の少女には解る由も無い

一陣の風が運ぶのは、かごめの優しい香り
少年は大人にはなれず・・・今の己の思いのままにしか行動を起こせない
かなり不器用ではあるが、それがかごめを引寄せてるのも確かだった

『あいつ・・・なーにやってんだ?』小屋の上で昼寝を決め込んだ
犬夜叉・・・彼がふと天を仰いだ時に小高い草原の海原に立つ少女が
目に入った・・・いつも離れる事の無い少女・・・
己が守ると決めた少女が、己の断りもなしに、その海原に立っている事に
多少の不安感を顔に出す・・・ちっ・・・と、何時もの如く吐き捨てると
ざざぁ・・・っと、林の中へ身を投じた。


『明日から・・・またテストだ・・・このまま私の居場所は無くなるのかな?
犬夜叉怒るだろうなぁ・・・・言い出しにくいや。』

ざざっと草が騒いだと共に感じる何時もの安心感・・・
振り返らなくても解る・・・『犬夜叉・・・どうしたの?』
『けっ・・・てめーがこんな場所に一人で居るからだろうが』
心配して来たとは、決して言わないのは解っていた・・・
でも、たまには素直な言葉も聞きたい・・・それが女心だと思う
『そっか・・・心配って訳じゃなかったんだ?』『な”・・・。』
態度で解る・・・照れてるって事だってわかる・・・なのに

『さ!帰ろう?犬夜叉・・・。』(寂しい心は埋まらない)


とぼとぼと歩くかごめの姿が嫌に寂しげで、
己は何が出来るのかと思う・・・弥勒なら、こう言う時は、きっと
上手な対処法を見出すのに・・・・犬夜叉の心は、たまにその事で
一杯になる、時折見せるかごめの表情が己を追い詰めるのは
自分では気付いていない・・・否
気付こうとしていないのかもしれない


『犬夜叉!!四魂の欠片の気配が・・・って・・・あ・・・。』
かごめが言葉を終らせる前に犬夜叉が、己の愛刀”鉄砕牙”に手を掛け
身を構えるとかごめの前に立ちはだかる
『かごめ!』『くぉらぁ~』『鋼牙・・・くん・・・。』
魔の三角関係はここに形を現した・・・

『犬っころ、かごめ・・・今日はおめーらに話が合って来た』
何時ものように取って掛かる二人とは思えない位の真剣な顔に
何事かとかごめと犬夜叉は息を飲んだ

妖狼族の縄張りに、違う妖狼族が入り込み、鋼牙を追い出してしまおうと
縄張りを広げてる、そして、その縄張りはもう、己たちの手では
どうにも出来なくなってしまい、長老がある決断をした・・・
<結婚>である。
そして、その相手は、質然的にかごめに成り代わることも当たり前のことであろう
『え”?』『だから・・・犬っころ、今までかごめを預けていたが
返してもらうぞ?今夜半に祝言の儀が開かれる!由!
かごめ、行くぞ!』
強引に事を進める鋼牙に、かごめは身を引いた『ちょ・・・鋼牙君』
犬夜叉は大人しく聞いていたが、不意にかごめの抵抗を目に入れると
ぽそりと低い声で言葉を発した
『かごめ・・・お前はどうなんだよ?行きてぇのか?』

『・・・。あんた・・・本気で言ってる?』


『おめぇが・・・行きてぇなら・・・止めねぇ』
真実、鋼牙の状況が今はまずいことを直感で感じた。
己の手から離したくない思いは強い・・・だが、ここで無理強いを
してはイケナイ・・・心がそう言った・・・
犬夜叉はふいっとそっぽを向くと、『てめーらで話し合え』
と、

『犬夜叉?あんた・・・それでいいの?』

聞き帰した所で犬夜叉が今の言葉を変える事が無いという事は解ってた
だが、まかり間違っても、少しかでも、己に好意を寄せてくれる人
と、犬夜叉をそう認識してた自分に、悲しみさえ沸いて来なかった

『鋼牙くん・・・私行けない・・・ごめんね』
大人しく引き下がる訳は無いと思ったが、これがかごめの心
『じゃー・・・振りだけでいい・・・頼む・・・かごめ』
二人が祝言を挙げれば、新たな土地を手に居れる事が長老から
許されていた、そして・・・子を成せばまた、新たな土地を託される
『振り・・・だけなら・・・でも、鋼牙君、私は・・・』
『わーってるよ・・・犬っころが忘れれねぇーんだろ』
『う・・・ん・・・』そう、誰が何て言ったってこの気持ちは変えれない

そのやり取りに犬夜叉も、ほっと胸を撫で下ろした・・・
言い出した手前言葉を引っ込める事も出来ず、”弥勒の大人の風格”
を全く理解できずに、犬夜叉の言葉の終止符は打たれた・・・はずだが『犬夜叉・・・ごめんね、私・・・思い込み激しいや・・・ごめん』
寂しげな瞳にまた心がずきりと痛む
弥勒のように寛大だったら・・・弥勒のように、心有る言葉なら・・
と、常日頃言うかごめ・・・そんなかごめに、大人の己を見せてやろうと
反発心から出した言葉・・・それがかごめを追い詰めてる事に
今更ながらに気が付いた・・・・

『あ・・いや・・・かご・・・め?』
呼び止めた手が ぱん と、弾かれた・・・
『犬夜叉・・・ちょっと、鋼牙君の所へ行って来るから・・・みんなに伝えておいてね』

かごめの今の低一杯の反抗・・・
『かごめ・・・?』『じゃ・・・振りだけよ?鋼牙君・・・いこ・・。』
冷たくなんてしたくない・・・
優しい笑顔で包んであげたくても・・・
自分に余裕が無くなってしまった。犬夜叉の言葉で
今までに何度と無く訪れた魔の三角関係、何時もかごめが、おすわりで
止め。そして、いつも、犬夜叉が怒って終った・・・
今は、間違い無く・・・今までとは違った・・・。

『7日後には返すから・・・じゃーな犬っころ!』
かごめを抱え、走り去る姿・・・
犬夜叉はただぼーっと後姿を見送るだけとなった



『あんた・・・ばか?』『な”馬鹿とはなんだ!』『馬鹿じゃ・・』
『犬夜叉・・・お前、あほか?』
事の経緯を小屋に帰り話た所、一斉に犬夜叉が攻め立てられた
『かごめ様に何てこと言うんですか?それは、行けと言ってる物じゃないですか』
犬夜叉はハッと己の言葉を思い返し、 そうなのか? と、声を出すが
解っていない犬夜叉に何を言っても無駄と、一斉にため息を落とした
弥勒の提案により、かごめの晴れ姿を見に行く事となった・・・
もちろん、犬夜叉も同行するように弥勒と珊瑚に言われ、しぶしぶ
妖狼族の巣へと足を向ける事となった

『あいつは、かごめ様の嫁ぐ姿なんて,想像出来ないのでしょうな?』
『私もそれはあると思う・・・。かごめちゃん,可愛そうだよ』
弥勒と珊瑚が言葉をつむぐ・・・犬夜叉に聞こえないように
『あいつは、己の心が解っていない・・・だから、教えてあげましょう』
弥勒がにやりと笑うのを,珊瑚はまた始まったか・・・という顔で見るだけとなった


『え?これきるの?』
かごめは、鋼牙里で,着替え中
白い和服・・・角隠し・・・・そして、薄く引いた紅・・・

(犬夜叉にも・・・見て欲しかったなぁ・・・)
鋼牙の為に、彩られて・・・己は何をやってるのかと、ため息を
小さく付いた・・・
『怒ってるだろうなぁ・・・でも、あんな言い方しなくたって良いじゃない・・・。』

確かにかごめへの思いは、彼女に届いてはいる・・・
解ってるからこそ、犬夜叉が、そう言い出したのかもしれない・・・
寂しさだけが・・・・支えじゃない・・・・
切なさだけが・・・想いじゃない・・・・
信じる事は・・・決して忘れてはいけない・・・。

(信じてる・・・迎えに来てくれるって・・・犬夜叉・・・。)



辺りが騒がしくなってくる・・・
犬夜叉と、弥勒、珊瑚が、妖狼族の巣へ辿り付くと、銀太が、
犬夜叉に声を掛けてきた『犬夜叉・・・お前も見に来たのか?』
『あ~?あんだよ?』『かごめねーさん・・・綺麗だぞ~』
その銀太の言葉に、しくり・・・と、胸が痛む

(胸が・・・苦しい・・・何だってんだよ・・・)
イライラと胸が苦しい正体を掴めずに、機嫌を悪くするのが落ちだった

『あ・・・かごめ・・・ちゃん?』珊瑚の瞳が何かを捕らえる・・・
そして放たれた名前、かごめ・・・その名に反応をして、珊瑚の視線
の先を辿る・・・・『!!』

言葉なんて今は意味がなかった・・・
今まで見た事のない女・・・白く、清純そうで、いつも己を
怒鳴り散らすかごめ・・・その、かごめが・・・・
鋼牙のものと・・・なろうとしてる・・・
否、かごめは断った・・・嘘の祝言・・・だが、
それを解っていても、胸が苦しくって、子供のような感情が
己の中で沸沸と湧き上がってきた

(くっ・・・何だってんだ!!)
流石の弥勒には、その想いが伝わって来たのだろう・・・
ふっと、微笑むと『かごめ様に、おめでとう位伝えてきなさい』
と、花を渡された・・・その花を、かごめに・・・渡さなくてはならない
それが、本当の別れ・・・
そんな気がしてきて・・・花を握り潰してしまった
嫉妬・・・その言葉では、犬夜叉の心は収まらなかった
深い、海の底で一人で生きて行くよりも・・・辛く
奪われたと・・・心が泣く・・・・
あまりに綺麗なかごめ・・・それ故に・・・己の心も
気付かないまま・・・否  気付かぬ振り・・・をしていた

(なにを・・・話せば良い?)


かごめは、鋼牙の横へすっと並ぶと、犬夜叉の姿が目に入った
あまりに苦しそうな顔・・・
あまりに切なそうで、側へ駆け寄りたかった
抱きしめて、大丈夫だよって・・・言ってあげたくても、今は
自分がやると言い出した事を遂行しなくては・・・

『お前が・・・かごめ?』目の前によぼよぼとした犬が・・・
否、狼が鼻をかごめへ押し付けてきた
『長老、これが俺の嫁だ!文句はいわせねぇぞ!!』
と、鋼牙が、横から口を挟む

『さて、お前ら、このかごめが俺の嫁だ、てぇ出すなよ』

かごめの肩をくいっと引き、かごめの頬に唇を落とした

『な”!!!』(かごめの奴・・・平気なのかよ?)
かごめの表情を見逃すまいと凝視した・・・
嫌な顔をすれば・・・そうすれば・・・・己が今にでも行って
鋼牙から引き離し、己の腕に収める事が出来る・・・・

(嫌じゃ・・・ねぇのか?かごめ・・・・どっちだ?助けてと・・・
俺に一言いえば・・・お前を救い出せるのに)

『素直じゃねぇーなぁ・・・かごめ様はお前をあんなに待ってるのに
気が付け・・・馬鹿!』『え?』


『かごめ様は、ずっとお前の姿を追ってる・・・例え鋼牙に頬を口付け
されても、ずっとだ・・・解るか?お前、かごめ様に何を求めてる?
側に居てくれるだけで良いのか?
鋼牙に取られて・・・それで良いのか?お前には確かに、他の道もある
だが・・・かごめ様は、自由より、お前を選んだのだぞ?』


(解ってるさ・・・
それだけかごめに甘えてるって事だって、十分承知してる

だから・・・だからこそ・・・俺はかごめを好きだとか、
そんな言葉だけで、かごめを縛れねぇ・・・
俺の甘えが・・・きっとかごめにもっと負担を掛けちまう
だから・・・俺は・・・)
『振りだぞ?知るかよ・・・かごめが決めたんだ!!』
違う・・・かごめに決めさせたのは・・・俺だ


かごめ・・・
苦しくはないか?俺は・・・引き止めることをしなかった・・・。
いつものように、甘えてれば、こんな場面に出くわす事はなかったのに
自分で自分を追い詰めてるって・・・解ってて・・・・


さぁぁ・・・
犬夜叉の葛藤をあざ笑うかのように式は進められて行く
犬夜叉だけを見てるかごめには、当に気が付いていた、だからこそ
嫉妬と言う物を・・・行動にしてしまったのだろうか・・・・

わぁー

妖狼族の者どもが、歓声を上げる・・・
順調に進められた式は、鋼牙からかごめへの口付けで
幕を下ろした・・・・予定にはない・・・・口付け・・・・
かごめの涙を、犬夜叉は見てしまった・・・・


どろどろと沸いて来る嫉妬の影、己さえ唇を感じた事が一度きりなのに
夢幻の城で・・・感じた一度を、今の口付けで流されたようで
イライラっと、心が騒いだ
『ち・・・ちっくしょう!!』
流石の弥勒も、この状況はまずいと、犬夜叉の背後から頭を一殴り
した所で、犬夜叉は記憶を手放した



『っつ・・・触らないで!』鋼牙の、予想外の口付けで心が乱れる
犬夜叉に見られた・・・その想いと、申し訳ないという想いがかごめの
純白の着物を緋色に染めた・・・・口紅が、袖を染める
赤く・・・儚いまでの想い・・・

『わ・・・悪かった・・・』謝る鋼牙に、同情の心さえ
失ったかごめは、その場を立ち去った、
誰にも、会いたくはない・・・


一通り走ると、小さな池が目に入り、その場で先ほどの犬夜叉の顔を
ふと思い出した、切なそうで、怒ってるようで・・・

(どうしよう・・・私が・・・悪いの?そうだよね・・・悪いんだよね)
唇を拭いた所で、犬夜叉に見られたことも、鋼牙に、
唇を奪われた事も・・・全てが事実で、
『犬夜叉・・・・ごめんね・・・』
その言葉が何度も口から流れ出てくる

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