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なつめっぐ 保管場所

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刹那の幻4

ちょっと、筆が遅いですが^^;
と言うか私の書くペースが早いらしい(←知り合い談)
んですが、ここ最近リアルとネットのお仕事に奔走してて、やっと書けました!
続きどうぞー♪

======================

【刹那の幻】7

そんな、暖かな一日を過ごしたナルトが、不意に気だるい体に気がついた。

「あ…あれ?」

目を開ければ鼻の奥に突き抜ける悪臭と、あたり一面に広がる
遺体の数々に眉間にシワを寄せた。

アイジ搜索に出て…結局は起爆札に吹き飛ばされて
受けたダメージにより意識を失っていた…その間に見た…夢だったらしい。

「…カカシ先生」

名を一つ呼んで、唇を噛み締めた。

彼に教わった一つ一つが夢の中で己に言った。
諦めるなと、頑張れと、勇気づけてくれた気がした。

「うっし!」

ぐっと、揺らぎながらも体を起こし、ナルトはスッと目の周りに
隈取を浮かせると目を見開き、キョロリと辺りを見回した。

目の前に伺える生体反応…

気は薄いが…もしかしたら

そう思ってその場所へと駆けると、うずくまった敵の姿。

ナルトがスッと手を差し伸べると、男がギロリとナルトを睨んだ。
腹には矢が刺さり込んでいて、先が見えないこの場所で搜索などされなければ
間違いなく命を落とす。

大きくため息を吐き出して、男の首の後ろに手刀を打ち込むと
あっと言う間に意識を失った。
相手は忍者ではない…近づく事など造作もなかった。


「悪ぃけど、このまま暫く寝てて貰うからな」

と、指先を合わせて影分身を作り出し、その出来上がった影分身が
男の体を抱き上げ背中に背負い、敵の陣地に向けて走り出した。

影分身が見つかれば己も…危ないのは承知しているが
目の前にある尽きかけた命をほおっては置けなかった。

ナルト本体は、アイジを捜索するも彼の姿を見つける事は叶わず
深い溜息とともに戻る道を選ぶかまだ捜索を続けるかで
悩んでいた。

『ナルト…』


そう呼ばれた気がして振り返るが
誰も姿を見せない。

「オレが諦めたら…アイジさんは助からねぇかも知れねぇ
探さなくちゃダメだってばよ!」

ギュッと唇を噛み締めてその場を蹴り上げた。

捜索を始めてどれだけの時間を費やしただろうか?
既にアイジの生存も遺体も確認出来ず、ナルトが肩を落とす。

忍とは…自分で命を切り捨てる事もありうる。
帰還の見込みが無くなった場合…
その時は自分を処理する事を優先に切り替えなければならない。

「クソッ!何の為の掟なんだってばよ!
オレは、誰も死なせねぇ…死なせたくねぇって…
そう思ってたはずなのにっ」

痛む体なんて既に忘れた。

ナルトはさらに前へ足を進めた。





「へぇ。同胞でも探しに来たのか?」

気配は感じていた。
ただ自分は…殺すため、戦うためにこの場所に降り立った訳ではない。
声がするのは谷の上から…けれども、単体の気配にその場を去る道を捨てた。

ナルトがグッと視線を上げると
風に揺れている額あてが目に入る。

「お前、今”同胞を”探しに来たって言ってたな?知ってんのか?」

「あぁ…預かってるよ」

崖の上で腕を組んでナルトを見下ろす男に、ナルトがグッとさらに首を上げた

「そっか…そっか!生きてたんだ?」

「…敵なんだぞ?喜ぶ所はソコか?」

「…まぁ、オレ達はお前たちの護るモノを壊しに来たわけじゃねぇってばよ!
オレ達は護衛者だけを護る為に雇われてる…
身の危険を感じれば戦うだろうけど、それ以外の戦闘は無意味だってばよ」

あの再不斬との戦いの時…
戦う理由が無くなったと…敵視をやめた。
それと全く同じ。

「残念ながら…その言葉は信じがたいね。
忍として生きて来ているならお前だって解るだろう?
そうやって簡単に嘘を吐いて、敵を罠に嵌める…それこそ忍の常套手段だろ」

ザッと、ナルトの前に男が姿を現した。
真っ黒な忍服に身を包み、ギラリと瞳の奥をぎらつかせる。
その男にナルトはニッコリと笑いかけた。

「オレは嘘は付かねぇ!確かに忍としては、不出来な人間かもしれねぇけど
オレは真っ直ぐ自分の忍道を貫くって、下忍になってすぐに戦った相手に誓った
だからオレは嘘は付かねぇ!それに…裏切る事もしねぇ!
だから、アイジさんを返してくれ!」

「おめでたい男だねぇ…そんな熱くなっちゃって」

フッと笑う男にナルトがジッと相手をみやった。

「そんなに目出てぇかよ…オレだってそんな事全てが通るとは思っちゃいねぇ!
時には、それを堪えなきゃいけねぇ時だってある!
けどなぁ…オレは自分の仲間が苦しんでいるのに、
手を差し伸べない方がもっと苦しいんだってばよ!」

その言葉に、男がフッと微笑んだ。

改めて見ると、その男は髪を後ろで束ね
肩甲骨あたりまで伸ばされた髪。

額当てで髪を押さえ込んでいるが、そのマークは。

「どこの忍だ?」

「…あぁ、これ?」

クスリと笑って男が額当てを外すと
何も書かれていない鉄の金具を指でなぞる。

「ん~どこって聞かれると困るけど
オレはさ正式な忍じゃないんだよ…アカデミーのやり方に嫌気が差して
下忍に上がる前に辞めちゃったからねぇ」

「…忍じゃねぇのになんでアイジさんを」

「忍に成れなかった…そう言う人間がどれだけいるかお前解る?」

「いや、だから、アイジさんの事を聞きたいんだってばよ!」

「オレの話を聞いてからでも遅くないだろ?
ちゃんと、返すよ…お前が納得のいく答えをくれたらね」

スッと指を指す先に大きな岩の出っ張り。
男が指を指してそこへと足をすすめると腰を落とした

「座りなよ、出血…凄いよ?」

「……」

唯一のアイジの手掛かりをここで手放す事も出来ず
ナルトの腹部からはもう、かなり塞がったが起爆札で傷ついた
脇腹の出血が未だ赤い飛沫を落としていた。

「凄いよね…忍ってそうやって怪我をしても
増血丸ってので血液を補助出来るんだろ?」

「…あぁ」

自分はそう言うモノを持った事がないが…
カカシやサクラは持ち歩いている。
時折、サクラに無理やり持たされそうになるが
九尾の力がある限り、よほどの傷じゃなければ出血は止まるのだ。
だが、この男にそこまで言う必要はない。

「オレは忍ではないけど…チャクラも術も使えるよ
指導者が居ればアカデミーや下忍になるよりも早くに高みに昇れる
下手な下忍よりも術も使えれば体術だって習得出来るってわけ
たださ…やっぱ、忍に依頼が行くのは里だろ?
だからオレらは影で動いているんだ」

「…で、何が言いたいんだってばよ?」

「ん~君木の葉だろ?写輪眼のカカシかうちはのサスケ…
あと、まぁ…こっちは無理だろうけど九尾のうずまきナルト
その3人の内一人と交換ってのはどう?」

飄々と話す姿に、ハーっとため息を落とした。

「その三人の内の一人と交換なら問題ねぇんだな?」

「うん、ま…里が差し出す訳無いけどね~
あんな忍の能力から比べたら里の重要なモノを背負った忍を
渡す訳がないじゃないか?」

「オレが…うずまきナルトだってばよ」

ドン、と胸を叩きニッと笑うと男がキョトンとした視線を投げたあと
クックックと笑い出した。

「いやいや、それは見事な嘘だこと…うずまきナルトと言えば九尾の力を操り
忍界でも名の知らない者はもう居ないだろう?既に6代目火影とまで言われてる
そんな人間がこんな所で行方不明者の捜索なんてする訳ないじゃん」

クックックと笑い続ける男にナルトが溜息を落とした

「そんなに変か?仲間を探すのは…」

指をスッと立てると、一気に足から頭に向けてオレンジ色のチャクラがナルトの体を
包み込んでいくのを目の前で見ていた男があんぐりと口を開いていた。

「お前にはこのチャクラが読めなかったって事か?」

「…マジ?」

「…嘘じゃねぇってばよ、正真正銘オレがうずまきナルトだってばよ」

一瞬で解かれたチャクラモード、出会った時と同じ姿に戻ったナルトに
ホッと胸をなで下ろした男がジッと見つめる。

「あの男を…渡せば来てくれるのか?」

「…交換条件なんだろ?」

「…そうだけど」

きっと、ナルトの気配すら読めない時点で忍としては
殆ど役に立っていない。
少しの忍術と、体術を使えるだけのアカデミー生と同等ではないだろうか?
そんな男に負けるはずはないが、アイジを優先に引き取りたかったナルトは
その申し出を受ける事とした。

「解った…手を後ろで組め」

言われるがままナルトが背中に手を回し
両手を手首から縛り上げられ、男に連れられて
谷の反対側の林の中へと姿を消した。

=============================

【刹那の幻】8

ふわっと風が靡くかのように駆け抜けるカカシが
不意に感じたナルトのチャクラ。

「九尾の力を使ったのか?」

小高い木の上に登り、辺りを見回すと
三日月渓谷が見えた。

遠くから見ると、その渓谷は地にひび割れたクレパスのようにも見える。
細く切り込まれたその場所は地を綺麗に三日月を型どったように
中間部分が太く、奥に行くに連れて細くなっている

その辺りから感じたナルトのチャクラにカカシが急いで
その小高い木を蹴り上げた。


  ザン ―――

『ナルトのヤツ一人でこの渓谷に居るって事か?』

キョロリと見渡せば、数日前に魂尽きた悪臭漂うその場所。
ナルトの気配がなければ、もっと拠点に近い場所まで下がっていただろう。

何せ、その場所は数日前には既に陥落した場所だったのだから。

アイジが行方不明と言うのを聞いていた為、何か痕跡があればと
サクラと、サイ、ヤマトには先にサジ班と合流出来る拠点に向かわせて
カカシが足を向けたのだが…
そうやらその場所に本来合流しなければならない人間がいると知れば
置いて行けるはずもなく、印を結ぶ。

「口寄せ!」

ポン…と、出て来たのは、カカシと契約をしている忍犬名をパックンと言う。

「お前たちに、ナルトの捜索を頼みたいんだけど」

と言うカカシに、パックンが鼻をヒクつかせる。

「カカシ…そんなに離れてはいないぞ?」

「なぁんか…気配がナルトだけじゃぁ無いんだよねぇ~
だから、偵察兼ねてお願いね?」

その言葉に、解ったとその場を飛び出した。

ナルトが何故、忍にも成りきれていないチャクラの使い方をする
人間と一緒に行動をしているのか…

それが気になったカカシが、パックンに頼んだという訳だ。
本来自分が行っても問題ないのかもしれないが
チャクラモードになった時…恐らく自分の気配に
ナルトは気付いただろう…あのモードの感知は優れている。
悪意のないチャクラではあるが…

『仙人モードの方が解るのか?』

と、自問自答してからカカシがパックンの向かった方角へと足を進めた。


辿りついた場所には大量のナルトの血液と
起爆札が爆発した痕跡…
そこから転々と先に向かって落とされている血痕に眉間にシワを寄せた

『ったく、アイツはいっつも無茶ばかりするんだからなぁ…
帰ったら少しキツイお仕置きでもしなきゃいけないねぇ』

普通…この出血量を見れば誰しも生死に関わるのでは?
と、不安になるが…ナルトに至ってはそうではない。
九尾の力の御蔭でかなりのスピードで回復するその体

それを知っているからこそ、そう言う思いも沸くが
実際に怪我を負っている事実に変わりはない。

カカシの足がスピードに乗った時
パックンが立ち止まった、人が座れる位の岩
そこの岩に落とされた少量の血液

「これ…ナルトの?」

カカシが指先で少し粘着力を増した血液をすくい上げて
指先の匂いを確かめる。

「そうだ…ここに他にももう一人の人間がいたな…
男、20代か……痕跡がここで途切れている。
崖の上に上がったのかもしれない」

そう言われて、カカシがグッと見上げると
鬱蒼と茂る木の緑葉がふわふわと風に吹かれているのが目に入った。

「ったく…んじゃま、パックンは悪いけどこの事を
ヤマトに報告してやって?オレはもう少しナルトの気配を追って見るから」

「解った!くれぐれも無理するなよ?」

「はいよ!パックンも気を付けて?敵が周りにまだ居そうだから」

と、カカシとパックンが各々別の方向へと身を翻した。

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