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なつめっぐ 保管場所

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向日葵4

GO!

「風影様…木の葉のうずまきナルト小隊が到着しました!」

その声にふっと薄く笑うと、通せと一声掛ける。
その声に答えるように扉が開かれ
ナルト他5名が、風影の前へと足を進めた。

「よく来てくれた…ナルト」

「おう!困った時はお互い様だってばよ!」

ニッシッシと相変わらずなナルトに我愛羅は薄く微笑んだ。

「木の葉の上忍もご苦労。本日はゆっくり休まれるといい
この風影邸に、木の葉の宿泊施設を設けた。
カンクロウに案内させるが、テマリが不在のため細部に目が行ってないかも知れない
何かあれば、この暗部の”サヤ”に申し付けてくれ。」

そう言い置いてから、ポンとナルトの肩へと手を置いた

「悪いがナルト…荷物を置いたらすぐここへ来ては貰えないだろうか?」

「え?オレだけでいいの?」

「あぁ、お前に聞きたい事が沢山ある」

その言葉に、シカクがピクリと眉を動かした。

「私も同行させて頂いてよろしいですか?」

「…あぁ、但し口は挟まぬよう願いたい…」

「はい」

未だ忍として未熟なナルト一人を風影に預けるには
やはり心もとない…
友と言っても、他国の人間である事に違いはないのだから。

火影にも、風影とナルトは仲がいいと聞かされてはいるが
やはり里を守るためにも、警戒はしておかなければならない。

通された部屋は広く、3人で寝泊り出来る部屋を二つ用意された。
シカク、ネジ、ナルトの部屋とゲンマ、いのいち、テンゾウと言う
部屋割りを終えると、ナルトはスッとその場を立ってサヤに声を掛ける。

「何か御用で?」

「あのよ?行っちゃいけねぇ場所とかねぇかなと思って」

「…あぁ、風影様は木の葉を心より信頼しております故
規制は一切ございません。ただ、これより地下の機密文書などを
取り扱う部屋だけは、申し訳ありませんがその里々により違いますので
出入りは規制させて頂きます。それ以外はご自由にされるよう達しが出ています」

頭を下げっぱなしで言うサヤにニッコリと笑いかけありがとうだってばよ!
なんて元気に声を掛けるとクスッと笑って、それでは…とまた姿を消してしまった。

「だってさ…今日は散策でも、寝るでも好きにしてくれってば!
オレは、シカクのおっちゃんと我愛羅のトコ行ってくっから!」

と、伝えると皆は一斉に頭を上下させた。
恐らくこれから、ナルト小隊の割り振りややる事などを聞いて来る事だろう。
ナルト一人で行かなくて…良かったとネジとテンゾウは内心ホッとしていた。


《風影執務室》

と、書かれた場所へとシカクと向い、その間にナルトと話した事は
風影も随分と寛容だ…と言う事。
普通、立ち入り禁止場所はもっともっと多く
普通であれば、この場所で留まる事も今までの経験上ない事。
それを今回は許可され自分の里のように動いていいなどと言う
風影の意向も知りたいと思っていた。


「我愛羅!来たってばよ!」

「…早かったな?すまんな、ゆっくりさせてやりたいのはやまやまだが
お前には沢山話す事があるからな」

「いいってばよ!それに…今回初めてオレってば隊長やってっから
なんか、変な所あれば言ってくれってばよ!」

「…お前は本当に前向きだな?」

「おう!」

なんて会話を横で聴きながらシカクが、胸を撫で下ろす。
影に使う言葉使い…ではないから、それが不安ではあったが
どうも、それは一切気にしないと取って良いだろう。

まずは第一段階クリアって所だなと心で思う。
手がスッと差し出され、長椅子へと腰を掛けるよう促され
ナルトと、シカクはその場所へ腰を落とすと、スッと横から
音もなく少女が茶を置いて消え、風影がフッと微笑むと話が切り出された。

まず、第一に現在の状況はカンクロウが風影に付いてはいるものの
毎日付ける訳でもなく、現在の風影の付き人がいなくそれをナルトに頼みたいとの事。

第二に、人数が減ったための里の監視が緩んでいる為
交代要員として、監視役を2名欲しい事
それは、ネジといのいちに割り振れる。

第三に、ケガをして戻った人から情報を聞き出し、それを
風影に伝える伝達役が一人…それはシカクが請け負うことにした。

第四に、里の警備の不足を補うため、ゲンマとヤマト…もとい、
テンゾウを配置することで決まった。

その会話を終え一息着くと、今度はおもむろに地図をガバっと広げ現在の戦況を
説明しだして、まるで火影の執務室にいるような錯覚を覚えたのはシカクだった。
ここまで念蜜に説明や物事を進めてきたが、第三の問題の情報を聞き出し伝える
と言う事は里の人間がやらなければならないこと…

それを他の里の人間に任せていいのか?
と言う不安が大きくなる。
口を出すなと言われた以上、言う事は出来ないが…
流石にそれは木の葉を信用しすぎではないだろうか?と言う疑問にぶち当たった。
勿論、信じて貰える事に嬉しいと言う感情はあるがあまりに…曝け出しすぎでは?
と言う思い…そして、それは…この部隊長が、ナルトだから…と言う結論まで辿り着く。

そんな思考をグニャグニャとくねらせながら考えているシカクを他所に
話はゆっくりと進んでいた事に気が付き、慌てて二人の会話を聞いた。

「ナルト…お前ならどう切り抜ける?」

と、今度は戦況を説明した上での戦略が始まった。

(おいおい…ナルトにはまだ戦略なんて無理だろう?)

と、思ったものの…
案外バカでお調子者ってのが前に出すぎて良く解っていなかっただけなのかもしれない…
息子を惹き付けるほどの男は、着々と穴の無いように
戦略を練っていくではないか…

風影が穴を見つけてフォローすると、そこからまた全く違う答えが帰ってくる
”ナルトの戦い方”と言うものに、興味が湧きだして
気が付けば二人の間に身を乗り出してその話を聞き入ってしまっていた。

(…なんなんだ、うずまきナルトって奴は)

実践回数が極端に多いナルトにしてみれば、どう動けばどうなるか
そして、こういう時はどうするか…が、身に染みているのかもしれない
そしてそれを作り上げた、はたけカカシと言う人間は
人を育てる才にまで長けているのかと感嘆する。

「そうか…やっぱりお前はまっすぐだな」

なんて笑われて、戦略は苦手だってばよ…なんて照れ笑いするナルト。
だが、恐らく…我愛羅はこの戦略を使うだろうと、なぜか思えた。
それほどまでに、緻密かつ真っ直ぐな戦いだから。

冷汗が…止まらない。
シカクがグイっと頬から垂れた汗を拭うと
ふっと息子の言葉を思い出した。

”あいつはバカだが、戦いに掛けちゃ、切れるぜ”

あぁ…正に…火影が何故上忍をこの子に付けたのか…
もしかしたら、ナルトの天武の才能を上忍に見せ付ける為でもあるのかもしれない。
胸がどんどん息苦しくなって、期待と希望がムクムクと芽を芽吹かせる。
まさに…それだ。

「火影様は…元気か?」

その声に、やっと自分を取り戻したシカクがフッと視線をナルトに向けると
屈託のない顔で、元気でやってるってばよ!と返答すると
我愛羅もフッと微笑みそうか…なんて返事を返す。

「カカシを火影に推したのだが…まぁ、回復されてよかったな」

「おう!カカシ先生火影になったらオレってば暫く火影になれねぇしな!」

「なんだ、カカシじゃダメなのか?」

「ダメじゃねぇ!カカシ先生は本当にすげーんだ!
こんなオレに色々としてくれたし、オレの事…多分一番に理解してくれてる。
そして、ダメなことはダメって言うから、オレってばカカシ先生が一番
信用できて…それで…」

「…カカシが好きなんだな?」

「へぁっ!!!!!好きって!」

真っ赤になったナルトがバタバタと意味の無い無駄な動きを散々しているのを目にして
我愛羅が、にわかに笑った。

「ん?変な事か?良い先生なんだろう?」

「あ…あははは~オレってば違う想像しちまった…
うん!カカシ先生は大好きだってばよ!」

なんて今度は本当に頬を真っ赤にしながら言うもんだから
我愛羅がきょとんとした顔を一瞬見せてそこからニッコリと笑った。

「お前と居ると…太陽と共にいる様だ…」

なんて最上の褒め言葉を貰って、部屋へと戻った。
既に夕食は済んでいたが、ナルトとシカクだけは今戻ったため
遅い夕飯を二人で取ることとなった。

「ナルト」

「ん?なんだってばよ」

「あの戦術は、カカシに習ったものか?」

「へ?いや…先生はあんな戦い方しねぇ…あれはオレが勝手に…って!
あんなんじゃ、やっぱオレってダメだったか?」

慌てて食べていた箸を置いて、シカクの前へと身を乗り出したナルトに
クスッと笑って

「イヤ、上出来すぎて習ってたのかと思っただけだ。
そうだな、この任務が終わったら、お前と将棋でもしてみたいもんだ…」

なんて言われれば、なんだか認められた気分で嬉しくなって頬を染めた。

そんな事をしながらも、各々が言われた通りの仕事をこなし
2ヶ月が過ぎた頃、戦況が一気に優位になって
一度見張り以外を里へ戻す事になった。

テマリとカンクロウが風影室に集まり、ナルトと今後の戦況や
これからの事に付いて話しているだろうが
シカクの仕事がある為ナルトに年中ついてまわる訳にも行かず
現在の待遇の良さと風影のナルトへの絶対の信頼
それを考え、火影に手紙を書いた。

ナルトからも手紙は預かっており、その内容と文に付いては
書いている時に見たが酷い言葉足らずで
的確な文章を書くと言う所は彼には不似合いな物だとも知った。

定期連絡の一度目はナルトも手紙を書く余裕がなかったが
今回はもしかしたら早く戻れるかもしれないと言う
有利な戦況も踏まえての手紙で、久しぶりにナルトたちも休暇を貰える事が出来た。

****************************8

一方、木の葉の里では、ナルトが姿を消して2ヶ月。
里の人間が最近ナルトを見ていないなぁなんて言葉さえ耳にするようになってきていた。
任務で出ていると、聞かれれば回答するのだが
なんだか、皆はそれぞれに色々な妄想を膨らませるようで
婿養子に入った説から、修行に出かけた説まで色々な事が飛び交っていた。

それはさて置き、カカシの現在はというと。
写輪眼の使いすぎでの、入院が決定していた。

怪我は一切負っていないものの、大名邸から逃げ出したオオトカゲの討伐隊
の部隊長を任され、そのトカゲの腹に逃げ出す際に機密の書かれた文書を
食われた事でその任務が与えられたのだが
その機密を狙った抜け忍がオオトカゲを操っていた為
忍との戦い…となってしまったのだ。


「いよいよオレも情けないな…」

なんてベットの上でだらりと肢体を投げ出し
ぼやりと外を眺めれば、雲がたなびいた空が一面に広がり
はぁ…と、息をつく。

ナルトと言う存在がこの場所から消えて二ヶ月
己の答えを出す時間を持つ事が怖かった。
だが…結果こんな無様な休養という形になると
なにげに自分は本当に、情けない人間に成り下がっている気がして

「大概だよな…」

なんて苦笑した。

ナルトの思いにどう答えればいいのか…そして
自分の望む答えはなんなのか…もう心の中では答えが見えてはいる。
けれどそれを認めれば、自分は溺れてしまうかもしれない恐怖。
忍としてあるまじき事でもある。
そんな思いに更けていると、コンコンと部屋がノックされ
口布をぐっと引き上げて声を上げた

「どうぞ」

開かれた扉から姿を現したのは、綱手。

「カカシ…通訳を」

「は?」

「ナルトの手紙だ。」

「……あぁ、ね…通訳必要ですよねアイツ」

「ったく、あっちで文章の書き方位習えばいい物を!」

などと、舌打ちはするものの…実際はそう言う文が届く事に
心から喜んでいるのも見て取れた。

”綱手様
元気か?
オレは元気だぞ?
毎日我愛羅と、センジュツをしてる。
かなり有利になった!
オレってば、センリャクにも参加できて
嬉しいってばよ!
みんな元気で、それぞれの所やってる
一緒なのはシカクのおっちゃんだけど
文の書き方をカカシにならえ!なんて怒られた…
どこが悪いかわかんねぇし、無理だろ?
先生もヒマじゃねぇだろうし、こればっかりは
ガマンしてくれ。
何はともあれ、もしかしたら早くことが終わるかもしれねぇ
そうなったら早く帰る。 なると”


「…なるほど、こりゃ~アカデミーレベルだな」

クックックと笑いを押し殺すカカシに、笑い事じゃないぞと
綱手が息を吐き出した。

「オレなりの通訳で、いいんですか?」

「シカクの手紙に、お前が一番ナルトを解ってる人間だと本人が言ったらしいからな?
お前以外、あいつの言葉を読み取れる人間も、そうそう居ないだろう?」

なんて口の端を持ち上げて笑うもんだから、カカシもなんだか照れくさくなってしまう。
そこまで…あの子と深く関わってきているんだと自覚すると、それはそれで
恥ずかしさと嬉しさが織り交ざった感情に支配されそうになるが
それをキュッと引き締め、ナルトの言葉をそのままに伝えた。

「元気ですか?私は元気です。

毎日我愛羅と、恐らく戦のでしょうね?戦術の組立をしているんでしょう。
その甲斐があって戦争は有利に進んでいるという事でしょうね。

そんな、戦略に参加出来ることがナルトにとっては凄く嬉しい事だと言う意味でしょう。
それぞれに振られた役割の場所で各々が頑張っている。
シカクさんは一緒にナルトと行動を共にしているが
文を見て、あまりの拙さに、オレに習えと言われたみたいですよ?
…まぁ、オレはアカデミーで教えるような文法はもう忘れてしまったから
イルカ先生辺りが、文の練習なら妥当だろうねぇ…。

あぁ、もしかしたら、早く切り上げるかもしれないと言う事が文末に書かれて
終わりですね…全く、ナルトらしい文章だ」

なんて笑い出すと、綱手も苦笑いを隠すこと無く笑った。
そんな些細なことでも、カカシにとってはナルトを想う日を増やすには
有り余る文だった。

日々、考え答えを出してはそうじゃないと違う事を考える。
大人とは本当に厄介だと自分でさえ思える。
何よりも大事で、恋人として見れるのか?と言う思いは
既に解決の糸をたぐり寄せるだけで目の前に落ちていると言うのに
それを見ないふりで、やり過ごす大人のずるさに溜息が幾度となく落ちる。
認めてしまえば楽になるのに…

きっと、ナルトに言えばそう言われそうだと
病室のベットの中思いを馳せた。

綱手は一通りの通訳を終えると、オマエにだ
と、一本の巻物を投げ寄越す。
おっと…なんて口から滑り落としながら、両の手でそれを受け取り
シッカリと、封をされているのを見て、不思議に思った。
大抵は火影に届いた時点で見られるから封は開かれるものなのだが…

差し出し人は、ナルトとは書かれていなかったが
綱手が封も開けずに渡す相手で、挙句綱手が持ってきていると言う所から
ナルトがカカシに宛てた、モノだと言うのは一目瞭然だろう。

ペリっと剥がすと、ノリがピピピ…と剥がれる音に思いを馳せ
巻物を開いた。


”先生!文章教えてくれ!
オレ、シカクのおっちゃんに叱られた!
先生ごめんな?恥ずかしい思いさせちまったか?
でも、オレってば頭悪りぃから…そればっかりは許してくれ。

早くも2ヶ月過ぎた。
元気ですか?

オレってば何書いて良いかわからねぇケド
書くって言ったからな!また、今度も書く!待ってて  なると”


「ぶっ…あはははは…アイツらしすぎて…ダメだ…ぷぷぷっ」

一人病室で笑うカカシ、周りに人が居なくて良かったと心底思えるほど
笑ってしまってから素に戻りそっとその巻物を握り締め、瞳を閉じた

「はぁ…返事でも書いてやるか」

なんて苦笑いして、病室の机の上にその巻物をコトリと置いた。

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