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紫陽花 2

続きです!

※最初のページは二日に渡りUPしていますので、3からの開始になります!
その前の話は、前ページにて!


====================

【紫陽花】 三 不安

「口寄せ!」

地に降り立った影分身のカカシが、ナルトの追尾のために
忍犬を呼ぶ。

血痕に鼻を寄せたパックンがしかめっ面で、カカシに振り返った。

「なにか解った?」

「…ナルトの血液に違いない…で、この血に微量の
依存性のある花と、即効性の痺れ薬の香りがする…」

もう一度確かめるように、フンフンと鼻を鳴らして
ナルトの血液を嗅ぎながらパックンはカカシを見やった。

「…依存性?」

「うむ、恐らく…中毒症状を起こさせて何かを吐かせようとしてるか
もしくは…手懐けようとしているか、幻術等の効力を強める作用もあるな」

徐に、カカシは指先で血を掬い上げ指先を擦り合わせると
粘着具合から、どれくらい前にそれが起きたのかを推測し
更に忍犬を全て呼び出すとナルトの追跡を命令し、カカシは影分身を解いた。


「よし、これで…解!」

指を立てて解術を使うと同時に影分身からの情報が
カカシの中に蓄積され、眉間にシワを寄せる。

回りの幻術が溶けるように外され、グッタリと牢に手を置いている
イルカとそれを支える生徒達が姿を現し、サクラが握り拳を作り
強豪な牢を殴りつけると、鉄がぐにゃりと形を変え
周りの土がバラバラと落とされると、イルカを含む9名が無事その牢から
出る事が叶った。

「ナルト…ナルトは!?」

イルカの不安そうな顔とカチ合ったのはサクラ。

「ナルトの姿は見当たらないんです…ただ、大量の血痕だけが
この崖の下にあっただけで…」

それを聞いたイルカが顔を青ざめると悔しそうに言葉を吐き出した。

「クソっ!オレがもっとしっかりしていれば!」

地面を殴りつけようと拳を突き上げた手をカカシに止められた。

「まぁ、落ち着いて下さい…ナルトは今忍犬に追わせているんで
詳しく…聞かせてもらえますか?」

「…カカシさん、すいませんオレのせいで…遠足の帰りに
額当てはしていませんでしたが、3人の忍に襲われまして
生徒達を逃がそうと、崖まで登った所で、逆に土遁で風穴を開けられてしまい
気が付いた時には、既にこの囲いの中だったんです…
オレのせいで…ナルトが…」

やりきれない気持ちが前に出ている…
眉間に寄せられたシワも、噛み締めた唇や、握り締められた拳が…
まるで自分が全て悪いかのように落胆するイルカにカカシが声を掛けた。

「油断したナルトが悪いんです、アナタが責を負う話ではない。
生徒さん達を、無事な所まで送りますから…」

その言葉に唇を噛み締め、ぐっと目をカカシに向けると
カカシは何事もなかったような、平静な表情で話を聞き出そうとしている事に
苛立ちを覚え、イルカが地を這うような声で叫んだ

「アナタは!ナルトがどうなってしまおうと任務が優先なんですかっ!」

血相を変えるイルカの声が木霊する。
サクラは、慌てて子供たちを穴の中に集め、声を遮るように
怪我をした子がいないか、何かを見たか、そんな質問を繰り返す中

カカシはそれを視線で追ってから
静かにイルカに向き直ると、スッと身を屈めて
耳元で言葉を綴った。

「ナルトを案じているなら、先に情報をくれませんかね?
悪いが…忍とはそう言うもんですし、ナルトもそれを理解している
アナタを放ってナルトを探しに出れば、助け出せたとしてもオレやサクラが
アイツに怒られますよ?」

「っ…そんなの!」

反論を論じようとしたイルカに一睨みして
カカシは論じるつもりはないともう一度口を開いた。

「感情にかまけての助け合いなんて忍には必要無いんですよ
アナタはアカデミーで十分な知識と常識を身に付けているかも知れませんが
実践で全て使えるとは限らないんです
アナタは生徒になんと教えてますか?
死にかけたら逃げろ、友を追え、命を救えですか?」

「っ、馬鹿にしてるんですか!?」

カカシとイルカの顔が、目と鼻の先にあり、イルカの強い視線がカカシを捉える。

「…馬鹿になんてしちゃぁいませんよ、それが理想論ですから。
ただ、あくまでも…理想なんです」

切なそうな視線を一度だけイルカに向け、すぐに
傾けていた体を起こし、カカシが前方を見据えた。

「サクラ、みんな動けそうか?」

「はい…ただ、この子がチャクラの不安定で」

チラリと視線を向けたカカシが、その視線をそのまま
あなたの仕事ですよと言わんばかりにイルカへと向けた。

「ハキラ…唯一ナルトが刺された瞬間を見てた子です…
ハキラはずっと結界の外を見ていたので、チャクラ切れです
すぐに回復すると思います」

スッと、カカシとの論争も決着を付ける事なく
生徒の傍へと向かい、サクラに治療してもらった包帯だらけの手で
ユルユルと生徒の頭を撫でた。

「さっき見た事を…この二人に伝えれるか?」

「はい…」

ハキラと呼ばれる生徒が、先ほど見た光景を吐きだし
それを聞いていたサクラが口元を押さえた。

信頼して止まない先生からの攻撃…
油断も仕方がないだろうと、サクラが思い至った所で
カカシが大きな溜息と共に口を開く。

「全く…アイツは本当に幻術に弱いねぇ…」

その声が、なんだか震えているようで
イルカがその顔を見やるが口布と額あてで殆どを隠されている
彼の表情は伺えなかった。

「敵は、まだはっきりとしていない以上、応援を要請するしかないね
サクラ、悪いけどイルカ先生とアカデミー生を…」

「はい!じゃ、カカシ先生…アイツの事お願いしますね」

「あぁ…」

カカシが印を結ぶと、ボンと姿を消し
生徒達が、そのあまりの速さにホーっと感動を顕にした。


サクラとイルカが里へ向かう事になり、崖から
皆が降り終わると、帰路に付いた。



【紫陽花】 四 カカシと言う男

サクラの視線にイルカが、自分を何度もチラチラと見やっている姿に
気が付いて苦笑いを零した。

「カカシ先生の事ですか?」

「え?」

「イルカ先生何か聴きたそうだったから」

「…あぁ、そうだね、いつもカカシさんは
あんな感じなのか?」

生徒たちのスピードに合わせて進むため時間が掛かる道のり
サクラがカカシに付いてを口にした。

「そうですね。
カカシ先生は、ちょっと…ん~大分かな?誤解される性格かも知れませんけど
一緒に居ると嫌って程解りますよ…仲間が何より大事だって。」

その言葉に、イルカが目を見開いた

「サクラも…あの人に大事にされてるって思うのか?」

その問いかけにコクリと頭を上下させてニッコリと笑った。

「ええ…思います、カカシ先生は付き合いはじめは流石に
得体の知れない変な人だったけど、長く付き合えば解りますよ
カカシ先生の、思いの深さや、どれほど相手を思いやってるか
本当は凄く優しい人なんです。」

その言葉に、イルカは不意に思い出した事があった。
ペインが木の葉を襲った時、彼は自分を助けてくれた…
忍としては一流の人間だからこそ、木の葉の里の英雄と謳われ
写輪眼のカカシと名を馳せているのは周知の話。
時折、同じ中忍のくノ一がカカシの名を出していた事も
知らない訳ではない。

「優しい…んだ?」

「ええ、優し過ぎて時折過保護じゃないかと思うほどです
でも、私やナルトの言いたい事を一番理解してくれる人でもあります
それはナルトも解ってるし、さっきのも…
イルカ先生が悪いという訳じゃないんですけど…私もカカシ先生の
意見に賛成ですし、ナルトも同じだと思います。
特にナルトは…癖のある子でしょ?
カカシ先生はその癖を上手に生かして、見守るんです…
ナルトが一番に信頼を置いている相手ですから…カカシ先生は」

その言葉にズキリと心を痛める。
元々は己に心を開くまで人と言うものに、良い感情を抱いて来なかった
だからこそ、己が必死に彼を思い、助け…先生として
彼に接してきた、今は既に兄弟のように彼を心配している…
なのに…自分よりもカカシなのか?
そんな、嫉妬心が生まれる。

「カカシ先生は、ナルトが大好きですよ。
技を教えるのも、忍としての生き方を教えるのも…
ナルトを一切否定しませんから。
ダメな事はダメって言ってるんですけどね、どうしてか
ナルトもカカシ先生のダメって言葉には素直なんですよねぇ~
私にもそうですよ…カカシ先生は一度受け入れてくれるんです」

その言葉に、イルカが首を傾げた。

「受け入れる?」

「はい…ちゃんと話を聞いてくれるし、認めてくれる…
こう思っているという事をしっかりとカカシ先生の中で消化してくれるんです
それから、違う場所を指摘する…だから、認められた上で指摘されると
こっちも歯向かい憎く成るんですよね…
まぁ、カカシ先生は頭が切れますからね
それが策略なのかもしれませんけど…一緒に任務をしていれば
解りますよ…
だからナルトも、カカシ先生とぶつかった事はありませんし」

クスクスと楽しそうに笑うサクラに、イルカが苦笑いを向ける。
自分だって一度はナルトとぶつかった…
その御蔭で、今の自分たちの関係が築けたと言っても過言ではないが
そう言うモノを全てすり抜けて…カカシはナルトの中に入り込んだ事になる。
一番に信頼を得れる喜びがここに来て、綺麗さっぱりとかき消されてしまった
そんな喪失感に、イルカがもう一度苦笑いを浮かべた。

「イルカ先生…ナルトは凄く強くなりました…
昔と重ねると、怒られますよ?」

クスクスと笑うサクラに、あぁ…そうか
自分は…

「そうだな、昔のアイツしか見ていないから…
つい、昔の癖で心配してしまってるのかもしれない。
チャクラモードになったナルトとも会ってはいるけど…
見ただけで戦いは見てなかったからな…」

「多分、ナルトは刺した人がイルカ先生じゃないって
分かってると思いますよ」

「…そう願いたいね」

イルカが、不意に先程の、消えていくオレンジを思い出し
溜息を落とした。

「そう言えば…カカシさんは今何をしているかサクラは解るのか?」

「え?あぁ、ナルトを探してますよ。」

「え?」

探しに出るなんて会話は、二人の中にはなかった…
ただ、アイツを頼むと伝えたサクラに答えて消えただけ。
それが共に戦いを共有している者同士の言葉なのだ
互を知らなければチームなど組めない…それが
今回は、お互いに浅い言葉だけで次にどうするかを探り当てている。

「カカシ先生はそう言う人ですよ?」

「…そっか、オレの考えが浅かったんだね」

「ナルトを取られて、ヤキモチでも焼きましたか?」

と、クスクスと笑うサクラに…返す言葉が見つからなかった。

そんな話をしている最中に、木の葉の中忍が
自分達の搜索に加わる為に向かって来ていたのと遭遇して
子供達を頼み、イルカがナルト捜索に加わりたいと…切り出してきた。

「チャクラも温存出来ています!現場は久しぶりではありますけど
今は人数が必要でしょう?」

その言葉に、頷くと、サクラと中忍の一人と、イルカで
今来た道を来た時と倍の速度で進んだ。

(ナルト!待ってろよ!)

心で、そう強く呟いて、イルカが木を強く蹴り出した。

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