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≪ 【優2】9 | | HOME | | 贖罪2 ≫ |
読むに当たっての注意★
カカ×ナル前提のおはなしではありますが
女性が出ますので、無論絡みも多少あります。
表現は柔らかくしますが、18禁程のお話にはなると思います。
思考は人それぞれですので、嫌悪感を抱いた方は
すぐに回れ右でお願いします。
◎カカナル付き合っている状態でストーリーが始まります。
◎カカシ先生の記憶喪失
◎奥さん子供が出来ちゃいます
◎過去捏造+WJネタバレ風味です
従って、切な目のお話です。
そして、長いです…w
↑上の注意事項は、お読みになりましたか?
読んで、それでも大丈夫だよ!って人だけ、進んで下さいませ。
===================
あれは、いつだった…
大好きだった思いがある。
もう、焦がれる以上の思いは…
愛とか恋とかでは括る事も出来ず…
自分の半身とも言える存在に癒されていた。
絶対にこの想いを終わらせるものかと、必死に戦った。
そして…非情にもそれは、あっけなく流された。
【 贖罪 】Syokuzai
――― プロローグ ―――
最後に見えたのは…
綺麗な滝の泡沫に飲まれる自分。
「カカシィ!!!!!」
誰かが名を呼び、水の中へ落ちたカカシは背を強く打ち付けて
目を閉じた。
◇
カカシが木の葉の里から消えて二年…。
消息を探す者は既に七班のメンバーのみとなった。
その全ては…カカシの為もあるが残されたナルトの為。
ナルトはこの2年休暇を全てカカシ探しに宛てている。
泣き暮れて…愛した彼を探し続ける痛々しさに、周りは言葉すら掛けれなかった。
現在木の葉で実力を伸ばしている忍がいる。
伝説の3忍と呼ばれる者達を師匠としている3人
大蛇丸から、サスケ
綱手から、サクラ
自来也から、ナルト
大蛇丸は木の葉を裏切り、里を抜けサスケも同様里を抜けたが
カカシ班の思いが通じ現在は暗部として木の葉の里を守って居る。
無論その3人だけがずば抜けていると言うと語弊があるが
だが、それを指導した人間が里一番の忍者だった…。
カカシ班としての絆は…やはりどこにいても変わる事はなかった。
「ナルト…そろそろ行くぞ」
切り出し難いのは何時ものこと。
この場所とて既に10回以上は見て回っている場所。
ゴォォォと、楽水が奏でる音は耳の中まで押し寄せて
脳まで響くその音に眉を寄せながらサスケが呟いた。
スッと立ち上がると、目の周りにあった赤い縁取りが消えて
グラリと体を傾かせる。
「ちっ」
舌打ちを一つすると、ナルトの体を腕で引き止め
辛うじて顔面を砂利に打ち付けるのを防いだ。
「あ…すまねぇ…ってば」
「帰るぞ、ウスラトンカチ」
「おう…」
仙人モードは感知能力が高い。
彼を探すためにいつも体力とチャクラをギリギリまで使って探すナルトに
やめろとは…言えなかった。
けれども…相手のチャクラを感じなければ
近くに彼が存在していても…それは、感じ取る事は不可能なのだ。
繰り返し、彼を思い
ナルトは里から出ては捜索を続けていた。
見つかるのだろうか?
見つからないのだろうか?
不安な心を押し殺して、通常任務をこなしながらも
彼はひた進む。
大好きな…自分の片割れを探すために。
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【贖罪】2 名も無き男
カチャ…と開かれたドアから、子を抱えた女が
ただいまと告げた。
「あ…お帰り、病院に迎に行けなくてゴメンネ?」
「うん、大丈夫よ…それより、ホラ…」
女が抱いていた小さな小さな布の端を引き
チラリと見えた肌色に目が弓なりに下がった。
「小さいね…」
「ええ、貴方と私の子供よ。」
「うん…本当に小さい」
銀色の髪に、灰色がかった瞳
まだ、動く事もままならない産まれたばかりの赤子を
同じ色の髪の男が抱き上げ、目を細めた。
「何か…思い出した?」
不安そうに聞く女に首を左右に振りニッコリと微笑んだ。
「もう、俺の家はここだから…たとえ記憶が戻っても
子供を捨てて出て行くなんて出来やしないよ」
「ええ…そうね、ごめんね?子供が出来たことを黙ってて…」
「いや、君が謝る事じゃ無いよ。
こんな俺を拾ってくれて、ずっと傍に居てくれたのは君なんだから」
スルッと、左目を隠していた眼帯を外し、両目をパチリと開くと
左右の色の違いに女が息を飲んだ。
知っている、けれど、彼はこの目を見せようとはしないから
あえて無理に見ようともしなかった…
けれど、その目は…。
「この眼…ちゃんと見えてるけど時折変なものが写りこんでくるんだ」
「変なもの?」
「あぁ…金の髪を持った碧い眼の少年…なんか額に付けてたから
忍者だと思うんだけど、俺とは対の色だからさ…その少年に会えれば
俺の全てが解るかもしれない…戸籍もないまま子を産ませてしまったからね…
君と籍を一緒にするためにも、俺の名前を…知るためにも
探してみようと思う。」
名は…無かった。
記憶が戻るまで名を付ける事も拒み
助けて貰った女と肌を重ね子を成した。
2年前…この家で目覚めた自分は
何も持たずに川岸に流れ着いたという。
服は、彼女がボロボロになっていたからと着替えさせてくれてて
実質自分を証明するものは、一切存在しなかった。
現在も名を持たぬため、アンタとか君とかいろいろな呼ばれ方をする。
彼女だけは、川で俺を見つけた事から、カワと呼んだり、アナタ…と
呼ぶ事が多かった。
記憶が戻るまでという条件で彼女の仕事を手伝ったりしたが
自分が一体何の仕事をしてどう言う生き様を描いていたのか
解らないまま、彼女がある日オレに愛を告白した。
行き場所のない俺は、それに答え、彼女と一つになった。
ただ…彼女の柔らかな肌が…自分にはかなり心地いいはずなのに
それ以上の何かを知っていたのかもしれない過去が肌を合わせるたび頭の隅でその行為を
否定している自分もいたのは確かだった。
一年と少し過ぎた頃彼女の腹部が嫌に膨らんでいる事に気がつき
問いただして、あと4ヶ月で生まれるのだと…聞かされた。
避妊もしていなければ、何もしていない…
そう言う事に成りうるだろうと、戸惑いはあったが
まさか本当に出来るとは…。
自分の年齢的にも20代後半から30代前半だろう…
シッカリと戸籍を見つけ出し、子供のためにこれからは生きなければならない。
そんな思いから、彼女の名前を借りて
”木の葉隠れの里”へ任務を要請した。
金額的には少々痛かったが、自分を知る為にも、子の為にも
名も無い父親は要らないのである。
「どうやって探すの?」
彼女の表情が揺れた…。
「ん?あぁ、俺一人じゃ無理だからね…
木の葉に、任務要請したよ…」
「え!?木の葉?」
彼女が何故驚くのかわからない…
この現在地は木の葉隠れの里がすぐ近くに有り
忍と呼ばれる人間を何度も目にしているから。
俺は…その忍と出会ってはいけないと彼女に強く言われていたから
関わっては来なかったが。さすがに今回は忍を頼るしかないだろう。
なにせ、荷物すらない自分の正体を知らなければならないのだから
「断れないの?」
「え?」
「名前なんていらない!貴方が傍に居てくれるなら名前なんて必要ないの!
戸籍なんて要らない!私の籍にこの子を入れればいい!
木の葉なんて、頼りたくない!」
必死にすがってくる彼女に若干引いたが
それでも、自分を知りたかったのが優先してしまっている。
「もう、2日前に要請を出しているから今日明日辺りには来ると思うよ」
そう、告げると彼女は泣き崩れてしまった。
それから、会話のないまま食事を食べていると戸が叩かれ
彼女が出ると、チラリとこっちを見たので
俺は忍が来たのだと悟り出ようとしたが…
彼女が扉の前で立ち塞がり、大声でそんな任務頼んでませんと言い切った。
「ちょ…まってよ、俺が呼んだんだから勝手に返さないでよ」
グッと、体を押し出せば
二人の忍が俺を見て、驚いた表情をする。
をぃをぃ…忍って表情を見せないもんじゃないの?
こんなにあからさまに驚いた顔しちゃって…
「はたけ上忍…」
ポツリと呟いた男に首を傾げると
もう一人の男が任務内容をと、切り出してきた。
黒髪に目は…俺と同じ赤い瞳…
「あ、あの…貴方の其の目って…」
「…俺は、うちはサスケと言う…目は写輪眼と言って
忍の中でもある一定の血族にしか現れない瞳だ。
あんたも持ってるだろう?はたけカカシ…」
俺は、自分の眼帯の下を見せるためにスルリと解くと
ゆっくり開いた眼は彼と同じ…写輪眼だった。
「アンタがココに居るとは…チャクラを感じないのは
アンタがチャクラを練っていないから…忍であることも
あんたは忘れたのか?」
「俺を…知ってるの?」
驚いた、彼は俺を知っている…
名も、はたけカカシと…間違う事なく呼んでいる…
「知ってるか知らないかで言えば…知りたくはないが知っている」
「…随分回りくどい言い方だねぇ」
「随分、探したからな、イヤミの一つでも…って
後ろの女と、ガキは…なんだ?」
「え?あ…俺を助けてくれた人と…俺の子だよ」
可愛いだろう?と続けると、緋色の瞳が深く悲しみの色を奏でた。
「…そうか、とりあえずカカシ、あんたの正体は忍
そして、木の葉隠れの里の所有物でもあるんだ
一度里に戻る事を進める。
今回の任務は、任務にはなってねぇから金は取らねぇし
あんたは向こうにもっと財産を残してる。
この状態でアンタ方が逃げれば、忍びの追っ手が付く…
だから素直に明日の招集に、答えろよ?
まだ、殺したくはねぇからな…」
「…解った」
そう答えると、彼らは姿を消した。
後ろで泣く妻、それに釣られ子も涙を浮かべてるが
泣こうとはせず俺を見ているから彼女から受け取り
抱きしめた。
なんだか大変そうになっているがこの子の名前を決めてあげないと…
なんて、素性が知れた安堵感からそんな事を思った。
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【 贖罪 】3 涙の帰還
「という訳で…明日はたけカカシを招集する」
綱手の言葉に、皆が安堵の息を吐き出した。
忍という仕事を忘れた彼は、チャクラを練る事もしておらず
兵としては使い物にはならない…
けれど、今まで培った彼の体の中の忍の情報を明け渡す事も出来ず
ビンゴブックに載ってしまっている程の彼を里から出す訳にも行かなかった。
七班が集められたのはその指令が降りたあとすぐだった。
皆が一斉にカカシの生存に涙し…
現在の状況を知ると、一斉にナルトを見やった。
涙を拭う事なく…ただ流し続けるナルトに皆が一斉に胸を痛めた。
「……生きてて、生きて会えるならソレでいいってば」
「…ナルト」
サクラが、サスケが、サイが…切なそうに見ている中
綱手の声が掛かった。
「はたけ一家を守り、カカシの護衛を頼めるのは
サスケかサイ…お前ら二人だ…交代でカカシを護衛してくれるか?」
二人が前に出てハイと答える前に
ナルトの声が響いた
「オレじゃ、ダメかな?」
「お前はっ!進んで苦しい状況に身を投じるなど!」
綱手の声が悲痛に響く中、儚い笑顔で彼は告げた…。
「オレの心も体も半分はカカシ先生だから…オレが守る。
その家庭を壊すつもりもない…これからオレは…
先生を守っていける、それだけで幸せなんだってば
お願い…生きている先生を守らせて?
先生の子供を…守らせてってば…」
今にも泣き出しそうな悲痛にも似た懇願に、綱手が折れる事と成った
「解ったよ…けどな、オマエに少しでも変調が見られたら
容赦なくその任を解くからな?」
「おう!」
「では、うずまきナルト…明日以降はたけカカシ一家の護衛を命ずる
無論任務もあるので、サスケとサイがサポートに回ること。」
ハッ!と頭を下げた三人が執務室を出ると、動けずにいたサクラが
わっと泣き出した。
「師匠っ…ししょーっ…」
「言うなサクラ…私だって辛いんだ」
明日、はたけカカシが帰還する…2年と3ヶ月の不在
ナルトは、急ぎ自宅へ戻ると、昔通りのカカシの部屋を作り上げていく。
自分の荷物の全てを…取り払い
カカシの忍具と巻物は、重要扱いのため記憶のない彼に見せる訳もいかず
ナルトが預かることと成った。
「先生…生きててくれてありがとう」
そう、部屋に言葉を落とせば
昔みたいに何言ってるの…って頭を撫でてくれる幻想に
一人浸って涙した。
愛し合ったベット、笑いあったテーブル、全ては二人の思い出に染まった
その品物たち。
それらを、痕跡を残さずに綺麗にして
ナルトはその部屋を一度、後にした。
とりあえず、イルカの家へと転がり込み
自分とカカシの関係を今後一切口に出さないでくれと頼んだ。
それしか自分にして上げる事は出来ないから。
2・3日住まわせてもらう約束を貰うとカカシとの関係を知る数名に
事情などを話し、全ては口裏を合わせる事となった。
明日、里の英雄が帰ってくる…。
生きて会える…その喜びと忘れられていても…
彼は自分の半身だと、体を丸めて自分の形跡の消えたカカシの部屋で目を閉じた。
翌朝、カカシのベットから抜け出しナルトは最後の別れを口にした。
「先生…カカシ先生…さようなら…」
ポロポロと落ちる涙を慌てて拭き上げ、部屋を出て鍵を掛ける。
何時ものように、鍵をドアに貼り付けて結界を張る。
めんどくさがりの先生がいつもやっていた様に。
その後にイルカの家へ行き、今日からお願いしますと告げて
前々から宛てがわれていた任務のため集合場所へ向かった。
今回のメンバーはサスケとヤマト隊長の3マンセル
然程難しくない近距離の護衛だったが、途中敵が出くわして時間を食ってしまったが
先生が到着する前にたどり着けたようで、上忍待機所でシャワーを浴びると
ナルトは執務室へと向かった。
カカシが到着した…と、その言葉にゴクッと息を飲んだ。
コンコン
「誰だ」
「うずまきナルトです」
「入れ」
今までこんな礼儀作法などしないで部屋に飛び込んでいたのに
カカシの前で、だらけた忍だと思われたくないと言う一心から
ナルトの行動がそうさせたのだ。
綺麗な黒い髪を肩甲骨の下まで伸ばした女性。
そしてその手に抱かれた銀色の髪の赤子…
その横に、立っていた彼は今は口布すらしていない…
生きているカカシ。
「うずまきナルトです…よろしくお願いしますってばよ」
しばらく固まったカカシが、我を取り戻し薄く微笑む。
「あぁ…君が護衛を?」
「はい」
「妻ともども…面倒かけるけどよろしくね…」
「はい」
感情を殺すのは、上手じゃなかった…
だから昨日沢山泣いた。
心が枯れるほど泣き続けて、もう涙が出ないと言うほど泣いたのに
やっぱり、人体の水分は不思議でならない…
まだ出ようとするそれを、抑えるので必死で
先生の顔をろくに見てはいない。
妻…と、彼は言った…
『ナルトがオレの奥さんになったら、妻をよろしくって言って歩かないとね?』
『はぁ!?オレってばオ・ト・コ!妻なんて言うなってば!』
そんな会話とか…思い出して苦虫を噛み潰したような表情を一瞬だけ残し
本来のうずまきナルト…としての仮面を被った。
「ナルト、奥方とご子息をカカシの家へ送れ…
一人は残れよ?」
「あ、わかったってば」
すっと指を立て影分身と声を上げるとポン…と、もう一人のナルトが出来上がって
それを見たカカシがへー…凄いね~なんて関心をするもんだから苦笑いしか出ない。
「では、こちらへ」
影分身のナルトは家族を連れ火影室を出て、カカシの自宅へと向かった。
「では、本題に入る前にカカシ…オマエの脳波の検査などで2日は入院生活
3日後からはチャクラを練る訓練をして貰う。
お前の師匠は…ナルトだ」
ムリムリムリ!と、ナルトは思って抗議するが…
「え?そんなん聞いてないってばよ!」
「…不能のカカシの為に何人も人員が裂けんのだ、理解しろ」
「…オレってば、説明下手だぞ?」
「カカシの脳みそはそのままだからな、IQも変わるまい…
お前の言いたい事は今までも理解してきているんだ
多少なりと説明ができれば問題はない…無理だったらサスケにやらせる」
その言葉に、解ったとしか言い様がない…
「カカシ先生…こっちだってばよ」
「え?あぁ…うん、ってか、カカシ先生ってナルト君はオレの生徒だった?」
目を見開いたカカシが問えば苦笑う…けれども、ナルトはすぐに表情を変えて
嫌そうな顔を見せながら…
「…ナルト君ってキモイ…」
「え?」
「いつも通りナルトって呼び捨てでいいってばよ!オレもカカシ先生って呼ぶ…し…な?」
背伸びの笑顔…こんな作り笑い昔々にしたっきりだった…
でも、生きて傍にいる先生は…やっぱり先生で
すごく嬉しくて胸が熱くなった。
(もう、口に出して伝える事は出来ねぇけど…
好きだよ…カカシ先生。)
チャクラを貯めずに歩く先生は、やっぱ遅くてナルトは何度も
カカシを振り返りながら病院の前まで辿りついた。
「ここ?」
「そう、ここで検査だって…サクラちゃんも待ってるってばよ」
「サクラちゃん?」
「そ、オレと同じカカシ先生の生徒のひとり」
「へぇ…そっか…」
病院内へ入ると、先生を連れてサクラの待つ部屋へと向かった。
いのいちが待機していて、サクラも何やら慌ただしく走っていた所に
ナルトが扉を開いた。
「カカシ先生!」「カカシ!」
二人の声が、自分に浴びせられてるんだと知ると
苦笑いしながらよろしくお願いしますと頭を下げた。
「……やっぱり、記憶はないままなんですね?カカシ先生…」
「そうみたい…忘れてしまってごめんね?サクラちゃん」
恥ずかしそうに後頭部を掻いて笑う先生。
「ちゃんって!こわっ!」
「…だよな、オレもナルト君って言われてサムカッタ…」
(…オレって、この子達にどう言う扱い受けてるのよ?)
とは思うが、なんだかこの場所もこの子達と居るのも…凄く安心する。
自分の居場所に戻れた安堵かは判らないが
この金髪の男の子…ナルトを見た途端泣きたくなるような感情が
一瞬カカシを支配したのだ。
着々と進められて行く支度の途中
ナルトがヤベって言って影分身を3人ほど出すと
本体はこの場所に居るのに、残りの3人はすぐさま出かけてしまった。
「先生…オクサン買い物行きてぇらしい…
家のもの入れ替えたいらしいってば」
「…そう、好きにさせていいよ」
「解った」
指を二本立ててもう一体の影分身を走らせそれを伝令する。
「それにしてもナルトのソレ…何人出るの?」
「…ん~まぁ、そこそこに?」
「へぇ…凄いねぇ、なんでもやれちゃうんじゃない!?」
目を輝かせて言ってくるカカシに、ナルトもまんざらではないと
薄く微笑んで答える。
「あぁ、これの御蔭で得た技もあるから…なんでもって訳にはいかねぇけど
すごく便利だってばよ?…まぁ、現役時代先生も使えてたんだけどな」
「え?そうなの?」
「ウン…なぁ、サクラちゃん」
「そうね、先生は…ナルトほどチャクラ持ってないから大量には無理だけど、
でも、出来てましたよ?」
カカシは、それに目を輝かせて…何だかそれが初々しい。
いのいちが、ソロソロカカシの頭を覗きたいからと…
退室を命ぜられて、暇で出てくるあくびを噛み殺し、だらりと
体を投げ出してナルトは長椅子に腰掛けた。
奥さんとか子供とか…ショックは大きいのに
カカシに会えた喜びの方が勝って、泣きたくなるほどの感情を
何度も何度も押さえ込んだ。
「っふ…っぅ…」
だから、今だけ…この抑えた感情を吐き出していいだろう?
「カカシせんせぇ…っふ…」
2時間はかかると言われてた。
その間に…この涙を枯らさなければと、ナルトは思いのまま涙を流した。
◇
一方、こちらの状況はというと…
「ねぇ、ナルト君…貴方カカシの何?」
と、問い詰められていた。
問題が起きたのは先生の奥さんがイチャイチャシリーズなんてくだらないと
ゴミ袋に押し込んだのがきかっけ。
大事な本だからそれは、先生の許可を得た方が良いって言ったら
この質問が飛んできた。
「先生と生徒…だってば」
そう、これが一番いい答えなのだ…間違ってなどいない
嘘も言ってない。
これから先はずっと…この関係でいるのだから。
「ふぅん…そうみたいね…小さい頃のアンタでしょ?」
カカシ先生の子を抱いているオレに見せられたのは
枕元に置かれていた…写真。
「そっ」
「ふぅん…ねぇ、私この子のベットとか買いたいんだけど
お金はどうすればいいの?」
「…お金はカカシ先生の口座があるからそっちから出して貰うしかねぇけど
ベットとかだったら必要だから、オレが建て替えるってばよ」
「解った…じゃ、お店に連れてって」
とまぁ、人使いの荒いこと。
子供の服も荷物になるからと置いてきた
向こうの家の荷物は、こっちに運び込む手はずを
オレが!整えた…帰れないって知ったのはココに来てからだから。
先生の奥さんは、引越し業者に頼むと思ってるけど
忍の引越しは、業者は引き受けない…秘密が多い職業なだけに
そう言う事は避けて通りたいのだ。
ナルトは自分の影分身を10体ほど出して
既に現地に向かわせている。
サスケも、途中で合流してくれると言ってくれた御蔭で
仕事は早く済みそうだった。
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