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贖罪7

続き

【贖罪】19 夢

忍とは…そんな言葉をよく聞く。
耐え忍んで、生きていくもの…それって人の感情を殺せって事だよね…

アカデミー生だろうか?
クナイの練習をしていたカカシの耳に入ってきたソレ
あぁ、そんな事をこんな小さなうちから習い
人の生と死を間近で見て生きていかなければならない。

それがどれだけ苦しくても、この道を選んだものの運命なんだと思った。

友が死んでも、泣く事さえ許されないこの世界は
自分に一体何を齎せたのか…。

ナルトと言う存在に、自分は何かを賭けていた…
と、綱手に言われそれが何か…と言う所までは聞けなかったが
綱手も同じように何かを彼に賭けている。

思い出したい…なのに何故
阻むように頭痛がカカシを襲ってくると
シカマルの家から貰った薬を、飲み込んだ。

「カワ?」

「ん?」

「どうし…たの?薬なんて」

「あぁ、最近頭痛が酷くて、薬を調合して貰ったんだよ…
寝てれば治るから、少し眠るね…」

「ええ…分かったわ」

と、傍でじゃれ付いていたスイを引き剥がし、部屋を出て行った妻を横目に
カカシはそのベットに体を横たえた。
天井にあるシミが、やけに気になってジッと見ていると
気がつけば眠りの世界へ身を投じていた。


「カカシ先生!」

「ナルト!」

夢の中の彼は、自分に甘える事をしてくれる。
ベットに座り、指を絡め視線を合わせ
唇を重ねると甘ったるい声がナルトから漏れる。

舌先が絡み合い、どれだけ思ってるかを伝えるように
舌先が互いに絡み付いては呼吸を忘れる。

”カカシせんせ…好きだってば”

”オレも…ナルトが好きだよ”

甘い言葉に誘われて、同じように吐き出せば
彼は頬を赤らめて擦り寄ってくる。

可愛いなんて言葉では言い尽くせない態度と
恥じらいの表情に欲情してひと時の過ちに身を委ねたいと言う願望が芽吹く。

トサリ…と、ベットに押し倒した彼は
金の髪を重力に引きずられ、碧い瞳が己を誘う
誘われるがままに、体を被せれば、甘い声を上げて身を委ねてくる。

愛しい…

愛しいと、何度も気持ちが走り出すのに、彼はただただ…
自分の下でされるがまま。

「ナル…ト」

感情が剥き出しになって、狂ったように彼を求めると
ハッと目が覚めて、荒ぶった呼吸を落ち着けた。

「ゆ…め?」

やけにリアルだった行為に、深い溜息を吐き出した。

「溜まってる…みたいね」

ガリッと銀髪を掻き毟り、ベットから体を起こすと
力一杯立ち上がった下半身に苦笑する。

妻との交わりも、ナルトを思うようになってから
殆どなくなった…と言うより抱く気が起きなくなった
誘われれば時折答えていたが、それも
最近では殆ど、応える事はなくなった…

「ナルト…」

名を呼ぶだけで、心までにも侵食してくる彼を
もう忘れる事など出来ないのだろうなと、カカシは苦虫を噛み締めた。

翌朝から、ナルトとの任務なのに…と、自分の制御の儚さを笑った

朝は早くから目が覚めて、夢見のせいかもしれないが、今日
ナルトと会う事に、戸惑いを感じていた。

けれども、いざ対面してみると、案外普通に話せるもんだななんて
思いながらもカカシは手を振る金髪に手を挙げて”よっ”と、何時ものように声を掛けた。

穏やかな朝、任務のランクはBランクでさほど難しいものでもない
依頼内容は大名邸の護衛。

本日宴のその大名邸は既に前日から数名配置されていて
宴当日に、追加で2名欲しいという事だった。

今まで聞いていた任務報告には、これといって奇襲を掛けられるわけでもなく
今回の任務はさほど厳しいものとは思えなかった。

現時点では…だが。

ナルトと二人で大名邸に到着すると、既にいたアオバ・ライドウ班と合流し
中の説明と、入ってはならない場所…と言うのを聞いた上で
ナルトとカカシは別行動で大名邸近辺の護衛を始める。

「カカシ先生!ちょっと来てくれ」

ナルトにイヤホンマイクで呼ばれてカカシはその方角へと足を進めると
地べたをジッと見つめるナルトの背中が目に入った。

「どうした?」

「これ…なんだと思う?」

ナルトの指の先にあったのは、人型の紙。

「式紙?」

「なんだってばそれ…?」

「ん~確か陰陽師とか、占いとか?そういうのに使う人型の
身代わりみたいなものだよ…忍術でも使うけど…これは
書かれている文字が、式紙に用いられるものだと思う」

「へぇ…おんみょーじ…ってさ?おば…けとか?」

尻込みするように声が小さくなっていくナルトを横目で見ると
いくばか青ざめているように見えた。

(あら、オバケ怖いってヤツ?)

なんて横目で見ながら目を細めるカカシとは正反対に
どんどんと顔色が悪くなって、終いには、それを触ったのだろう
手を一生懸命ゴシゴシとオレンジの忍服に擦り付けていた。

「ナルト?怖いの…?」

ポンと肩に手を置くと、あからさまに背中を硬直させてあられもない声が上がった。

「へぁあっ!」

「ぶっ…っぷ…ははっ!ナルト、怖くないよ?大丈夫だから!」

「うっ…解ってるってばよ!こ、怖くなんかねぇし!」

「へぇ…クスクス」

「わっ、笑うなってば!」

真っ赤になって怒ってるナルトにスマンスマンと繰り返してから
カカシはその人型を手に取りマジマジと見つめた。

見覚えがあるのに、どこで見たのか…その記憶が曖昧で
何度も、考えて見るが答えがでなかった。
でも、この紙は…自分の記憶が正しければ…

「まずいかもしれない…ハッキリとは解らないんだけど…
この人型、危険な感がするんだよ」

「…ふぅん、だったらソレを綱手のバーちゃんに送ろう!
んで、一応ライドウさんにも伝えた方がイイよな?」

「あぁ…そうだな」

二人で、小瓶に入れた人型を持って、ライドウとアオバの居る場所へと行くと
何がそんなにまずいんだ?既に使い終わった物だろう?
という回答に、そうではない何かがあると踏んでいたカカシはウーンと
頭を回してみるが、なにせ記憶を亡くした自分

周りにどう言う風にこんな時言ってたのかとか
どう言う風に解決したのかとか
思い出せないのだ。

「取り敢えず…注意だけはしてくれってば」

と、ナルトが言うと了解…と、二人は離れていった。

「先生はこれが危険だって言ったよな?」

「え?あ…うん、でも憶測でしかないから」

「いや、カカシ先生が危険だって判断してるなら
調べるってばよ!取り敢えずそれはパックンにでも頼めってば!
もっと、違う場所にもそれがないか調べてみる」

カカシは、口寄せを行ってパックンに指令を出すと
横ではナルトが多重影分身を作り上げ
30人程で、先ほどの場所を基準に左右上下と八方検索を始めた。

忍犬を送り出したカカシが
その場で立って、辺りを黙って見ているナルトの横顔をみて
フッと薄く微笑んだ。

「ん?どうしたんだってばよ」

「オレの言うこと…信じてくれてるんだなって」

「は?カカシ先生の言葉に嘘はねぇってばよ?
先生はいつも茶化したり、ふわふわしてる事が多いけど
任務の時は、嘘は言わねぇし…それに
信じ合わなけりゃ~戦えないってばよ」

「うん、至極当たり前だね」

「おう!」

なんて言ってると、影分身が手に白い紙を持って走ってきた。

「見つけた!」

二パッと笑うと、それをカカシに手渡した。

「やっぱり…見た事がある…この呪詛みたいな文字があるでしょ?
この文字が全部で4つあるはずなんだ…四方封印か何かかな?」

「しほーふういん?」

「……アカデミーで習わなかった?」

「へ?あ~うん、そうだっけ?にゃははは…」

笑って誤魔化すナルトに苦笑いを向けて記憶をさらに深く探り出す。
前にアカデミーの教科書も全て読まされた…写輪眼のおかげで一度読んだものは
ある程度頭に入っている。
どの巻物だったか…ふっと過ぎった巻物の中身を考えていると
不意に、思い出した四方封印術の特徴。

この封印で作られた結界内では、全ての人間が幻術対象になる。
それを取り払わなければ、幻術は解けず自ら出るのも、入るのも、抵抗はないが
入ってしまえばその中の幻術は実際のものとなる。

教科書に載っているのは、そんな説明だったか…
でも、それの大きいバージョンと言う事になる。
としたら…既に中にいる忍はおそらく幻術にかかっていて
それを認識はしていない…

「ナルト!」

思い出したことの説明をすると、ナルトが影分身で二人を呼びに行った。


==========================================================

【贖罪】20 結界術

ライドウ・アオバ・カカシ・ナルト
4名が結界の外で色々と話し込んでいた。

「すいません、カカシさん…貴方の記憶がないのを良い事に
貴方の言葉を軽んじたせいですよね…」

申し訳なさそうに言うライドウにカカシがへらりと笑った。

「あ~いや、見つけたのはナルトだしオレは覚えてた事を
伝えただけだから…そんな謝られることなんてないよ」

はははと、首の後ろを掻きながらカカシが言う。

「それにしても…オレらの代わりにうずまきが影分身で護衛とは
なかなか俺らじゃ出来ない芸当だよな、さすがだな」

と、ナルトの肩をポンと叩くとナルトははぁ…と溜息を落として

「…そんな、すげーもんじゃねぇってば…
カカシ先生が影分身なら影響でないはずだからって
教えてくれたんだし、すげーのは先生だってばよ」

と、まぁ、こちらも頬を指先で引っかきながら言うもんだから
師弟して、同じようなことをしている二人に、苦笑いが漏れる。

確かにカカシの言葉の御蔭で現在中にいるのは、影分身のナルトが10人程。
戦いの為ではないため、チャクラ切れの心配もない。
だが、腑に落ちないのはなんの変哲もない護衛だったそれが
結界の中で行われていたこと…。

確実に誰かが絡んでいるのは間違いなく、それについての調査は一切されていないという事。

「先生、次どうすりゃーいいんだ?」

「ん~まずはさ…誰が何のためにこんな結界を張ったか
と言う所を調べなくちゃならないから
この近辺でまだ残ってる式神の回収と…それから辿れるなら…
誰がそれをやってるかまで、たどり着ければなって思うけど…」

顎の下に手を置いて、考えてる風のカカシを横目に
ナルトが前を見据え、腹に手を置いた。

「悪意が見つかるかも知んねぇ…」

その言葉とともに、ぶわっと体が金色に輝きチリチリと纏ったチャクラが
ナルトの体を光らせると、カカシが目を丸くした。

ライドウとアオバも見た事はあったが、目の前の変化に目を丸くする。

「相変わらず…すげーな」

「流石うずまき…」

そんな声の聞こえる中カカシはただただ…ナルトに見入っていた。
見た目も変わってしまい、目の前にいるナルトはどう見ても神々しい。

引き締まった表情を見ているだけでも、胸が高鳴るというのに
この姿を目にして、本当に自分はこんな男の師匠だったのかと疑問に思う。

「城の中の左側に薄く悪意を感じる…」

「悪意?」

「そう…人を恨む心だとか、殺してやりたいという感情だとか…
そういうのを感じることができるんだ…」

「それが仙人モードとか言う奴なの?」

前にスイの前で話していた事をふっと思い出し
カカシが問えば、目は真っ直ぐ前を捉えたまま、これはチャクラモードだ
と答えるから困ったもんだ。

(かっこよすぎて、オレって本当にこの子の指導してたの?)

内心で思うが、ナルトはそこに気持ちはないらしく
今は目の前の敵を探すのに集中しているらしい。

「居たぜ…カカシ先生」

「え?」

「10時の方向悪意の塊がある…あそこが発信源だ」

ナルトが指射す先は、城から向かって左側の
木々が鬱蒼と茂った森の中。

隠れるのであればもってこいの場所とも言える。

「オレが様子を見てくる!」

と、もうひとり影分身を出したナルトを止めたのはカカシだった。

「ナルトは今影分身が城の中に入り込んでる状態でしょうに…
このまま行けば戦闘になった時、ナルトの影分身が消える可能性があるから
ナルトが行くくらいならオレが行くよ」

と、カカシが額当てをグッと上げて片目を晒した。

「ちょ、先生!あっちは大元だから、無理しちゃダメだってば!」

「オマエねぇ…無理って誰に言ってるのよ」

「…う、だって先生記憶…」

「記憶に頼ってばかりもいられない人生3年も送ってきてるんだよ?
今更でしょ…それに、お前は知らないかもしれないけど
これでもAランク何度かこなしてるから…オレを信じなさい」

「…なぁ、忘れてねぇか?」

と、いきなり緊迫していたその場所に声を掛けられて
二人が一斉に振り向くと、アオバとライドウが苦笑いを向けてきた。

「俺らが居るじゃねぇか…俺等が、行くよ」

その言葉に、ナルトがヘヘヘ…と笑い、心強いってばよ!
と、言葉を吐き出すと、カカシも今までとは違い複数での
合同調査だと頭を入れ替えた。

カカシとナルトがその場に残り、ライドウとアオバは
ナルトの感知した場所へと向かった。

一度チャクラモードを解き、カカシと視線を混じり合わせると
これが仙人モードだってば…と、その場にドカリと座り
目の周りに隈取が現れる。

ランクアップ任務はたまにはあるが、流石に今回のこの任務は
Sランクと言っても過言ではない。
なにせ、上忍が気がつけないほどの結界術を使う相手。
しかも、このナルトが一年カカシに見せた事のなかった術を使ってまで
調べていると言う事は、それなりの危険度と言う訳だ。

仙人モードで感知したのは、あの人型の紙。
すべての回収を終え、カカシの持っている小瓶に移すと
忍犬を呼びそれも綱手の元へと送った。

全ての人型を回収すると、ゆらり…と貼られた結界が揺れるのに気が付き
ナルトがその中をジッと見据える。

「相手も気付いたようだってばよ…先生、来るぞ」

「解ってるって」

カカシがジッと見据える先に、数人の忍と呼べる動きをする人間を捉えた。

「3人か?」

「いや、4人だ」

カカシがあら…なんて読み違えに苦笑いしながら
ホルスターに手を掛け、手裏剣を取り出す。

現在は、忍界大戦後の為、他里に出向く時は、自国の額当てを外し
忍と一文字書かれたモノを着用するように義務付けられている。
それが、お互いの国の取り決めで、その額あてをしている者を攻撃してはならないのだ。

互いに任務が被る事も想定し、互いに殺しあわないで依頼を遂行する手段として
その額あてをしている者同士は、互いに任務を共有する事が可能になったのだ。

だからと言って、暗殺などまだまだ命に関わる業務が多いのも確かで
暗殺を請け負ったものと、暗殺阻止を請け負った者同士は戦わなければならない
そうなった時の解決方法は互の依頼者を守る…と言う形に変換される。

無論それは、相手にも同じ事が言えるので
暗殺者側は、失敗と言う形になる。
なので、里の殆どは、暗殺という物を請け負わない形を取っているのだ。

今回、ナルトが受けたのは、護衛であって、暗殺ではない。
したがって、相手の忍達が額当てをしていると確認できれば
攻撃も仕掛けない…はずだったのだが。

 ヒュン―――

風を切る音に、ナルトがクナイを構えて前へと出ると、ザザッと
ナルトの前に3人が立った。

「抜け忍か?」

額あては、何も書かれてはおらず
ただ、攻撃から身を守るためだけに付けられているような物だった。

「お前はうずまきナルトだな?」

「そうだってばよ」

男たちがこれはついている…と声を揃える。
ついていないの間違いじゃないの?と、カカシは思うが
男のひとりがカカシを見据えて、うわっと声を上げた。

「なんだよ…はたけカカシもか…ビンゴブックに載った2人が揃ってるって
どれだけ俺らは強運なんだ?」

がははと下品に笑う男をナルトが見据えた。

「さて…カカシ先生準備は?」

「愚問だね」

横目で見て聞いて来るナルトに答えを返したとき、既にカカシの写輪眼は開かれ
視線だけを絡めるとニッと互いに笑った。
二人がザッと地を蹴ったと同時に、周りが一気に砂埃を立ち上げた。



【贖罪】21 共闘

キーン…と、鉄同士のぶつかる音が高い空に響き渡り
ギリリッ…と鉄の擦れる音が辺りに響くと、ナルトが一人の男を
力任せに吹き飛ばした。

額あては、何も書かれておらず、戦いを止める事はしなくても良い。
逆にこのシステムになってから戦闘が殆ど回避されるために
実際、忍同士で命を掛けて戦うと言う事自体が希少なのだが相手は抜け忍。
どこかの里で生きていた者が里の方針やそのシステムに嫌気をさしたりして
里を抜け出てしまう者達の事だ。

ビンゴブックは、今や強い忍と称される人間のリストに成り代わり
里の一番から10人ほどが選出されて記載されるようになっていた。

だが、逆を返せば
抜け忍にしてみればこの上ない名誉の相手という事になる。

状況判別により、カカシの目に映った3人は

一人は火の属性の細身の男性火遁を使い他は手裏剣などで対応している所を見てとると
それ以外の属性は殆ど使えないかもしくは使ったとしても、大したものではない。

二人目はカカシと同じ雷属性。
雷切をカカシは数日前にサスケに教わりどうにか習得はしているが
術の安定はしていないため、カカシよりも上手の可能性があった。

三人目は火と土を使うらしく
土遁で盾を作り火遁でその盾に沿わせて攻撃をしてくると言う
合わせ技の持ち主だ。

四人目は未知数。
実際目で確かめてはいない…ナルトが言う4人目という事だが
カカシとナルトの前に出てきたのは3名のみだった。

「ナルト!」

二人が背を合わせながら説明を始めると
ナルトも属性は理解していたようで、火遁属性の一人を頼むと言われ
ナルトは二人を相手にする事となった。

「カカシ先生 行くってばよ!」

あっと言う間に飛び出したナルトに押されるようにカカシも火遁の男の前に出た。
早く倒して、出来るだけ早くナルトの助っ人に入ろうと、カカシが
使い慣れた技をいくつか出し、水牢の術で相手の動きを封じ影分身を作り上げた。

「ナルト!」

「はえーな…さすがカカシ先生!」

「手こずるような相手じゃないよ」

クスッと笑うカカシにまぁな…と返したナルトが
正面から飛んできた手裏剣を躱すと、その勢いで蛙組手を始め
カカシは、雷属性の男と対峙していた。

雷属性の男は、カカシに捕まっている仲間を助けようと
手裏剣を投げたりしてどうにか攻撃を繰り返すが
カカシの本来の身体能力の高さと、写輪眼の御蔭で
あっさりを攻撃を躱す事をしていたが
雷が空を舞った途端、ビリビリと音を立てて天空から落とされる雷が
カカシの影分身を狙った。

「ちっ!」

カカシが舌打ちを一度すると瞬身で影分身に向かったが一歩及ばず
グッと唇を噛み締めて、その雷使いを見やった。

「仲間まで攻撃するなんて…随分非情じゃない」

「は?仲間?…アイツは足で纏だから助けられねぇなら、殺すのが丁度良いんだ」

「水に浸かってる者に雷なんて…呆れて物も言えないね」

チラリと横目で見ると黒焦げの水浸しの哀れな姿…
キッと怒りを力に変える強い眼差しを送って男を見据えた。

カカシが手にチャクラを溜め込むと、チリチリと高い音を立てて
雷属性が絡みつく。

相手も属性は一緒だから、きっと相殺される部分もあるだろう
けれど、チリチリっと高い音を出して鳴らすカカシの手が
相手の胸元へと飛び込んだと同時だった。

ドーン!

けたたましい音と共に、カカシの体がビリビリと痺れを感じると
一気にチャクラを無くした時のような…脱力感が襲った

(なん…だ?)

先程までチリチリと音を上げていた雷切も既に手にはなく
何が起きたのかと、目を見張った時だった。

「っく、うわぁあっ!」

ナルトの叫び声にカカシが視線を送ると
ナルトの体が水に濡らされ、雷を直に浴びている状態に
慌ててカカシが名を呼んだ。

「ナルトッ!!!」

素早く印を結び、カカシがきょろりと辺りを見回し
微かに感じるチャクラの元へと螺旋丸を打ち込んだ。

木の根が、剥がれ落ちカカシの螺旋丸が辺りを巻き込んで破裂すると
そこにいた4人目の男が姿を現した。

「オマエも雷属性ってワケ?
随分姑息な真似してくれるじゃない…」

カカシの手の中で再びチリチリと音を立てる雷切が発動されると
男の口の中から、風の塊が噴出された。
カカシの頬を掠めたそれが、頬に傷を付け、血液が滴るとナルトが後ろから
大声で叫んだ。

「カカシ先生、よけろ!」

キーンと高い音に何か術を使ってるのだと悟ると
カカシは瞬身でその場を退き、ナルトが代わりに男めがけて突っ込んでいった。

影分身の二人のナルトが男の目の前にたどり着くとニッと笑って
二人同時にバッとその場から散ると
その後ろから飛んできた小さな手裏剣が目に入ったが
そんなもので、やられるか…と男がクナイを構えたのだが…

キィィィィ…ン―――

高らかに鳴り響く高音はどう見ても、手裏剣ではありえない。
カカシが写輪眼で見据えると、それは高密度のチャクラの塊。

「っくわあああああああ!」

ベキベキと音を立てて、周りの木や風たちを巻き込んで
男の体がふわりと浮き、その体に幾千もの攻撃を先程のチャクラの塊がしているように見て取れた。
だが、男は攻撃を受けてボロボロになりながらも立ち上がり
印を結ぶとナルト目掛けて口を大きく膨らませた。

「風雷電の術!」

一言発すると共に、男の口から風のチャクラが吹き出し
ナルト目掛けて吹き抜けると、男がニヤリと笑った。

「お前だけでも、ビンゴブックから落としてやる」

カチン…歯が擦れ合うと、そこから電流が風の作った道を
螺旋を描くように追いかけ、ナルトの体めがけて二つの術が
走り抜ける。

「まずい!」

カカシが、それに気付き雷切でその風を弾こうとしたが
風に押されて言う事が聞かず、身を反転させると自らの体でそれを受け止める事となった。

「カカシセンセー!!!!」

巻き上げる風が、カカシの体を宙に舞わせて、ふわりと浮かんだ体は
痛みよりもナルトを助けられただろう喜びに頬を緩ませていた。

(こんな所で死ぬつもりはなかったんだけど…)

如何せん体が言うことを効かない。
動かしたい場所は一向に神経を汲み取ってくれず
カカシは、これで最後なのかな?なんて言葉を頭によぎらせながら
地面に叩きつけられる前に、受身程度はとっておこうなんて
生にしがみついた考え通り、体を丸めるように指示を出すが
それすらも言う事を聞かずに空を見上げた。

どこまでも青い空…
自分の愛する子と同じ色合いを探してしまう。

(ナルト…ごめんね…最後までお前を思い出せなかった…)

声も出せない自分に成すすべもなく近づく地面
そろそろ、下から風の圧迫感を感じる。
それに、ナルトともう一人のチャクラまで感じると
カカシは目をそっと閉じた。

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