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なつめっぐ 保管場所

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霜月

やってきました11月!(いや、まだ先なんですけどねw)物語が11月になってしまいましたw







【霜月】11月の温もり。

キスを覚えた…あんなに体も心も心地良く
カカシの傍に居ると、過呼吸も出ず穏やかに時間を過ごす事が多かった。

けれども、最近のカカシはどうも変で
前の様にべったりとくっ付いたりする事が少なくなってきている。

「やっぱさ…男とネルてのは、出来ねぇもんなのか?」

”いや、出来ねぇ訳じゃないが元々ノーマルの男だ…吹っ切るまでが大変なんだろうよ…”

と、九喇嘛が言った。
任務の時や、街を歩いて居る時は、皆もう付き合ってるとは知っていても
殆どカカシ先生は、カカシ先生のままで
キスをしたり、触れあったり、抱き合ったり…そんな事をするのは
どちらかの自宅が多かった。


ある日、カカシが知らないくノ一と任務に出て帰って来るのを
待ち伏せしてたら凄く驚いていた。
先生に移った香りはその女性からも感じられ、ナルトを見るなり呆れ顔で

「あ~役立たずの恋人のおでましね」

とだけ、吐き捨てて消えた。
気にしなくていいとカカシは伝えたがナルトの心には
その言葉が何を意味するのか…それを何度も繰り返し考える様に
植えつけられたのは言うまでもなかった。

それが冒頭のセリフと対を成すのだが…
ナルトは既にカカシとならそう言う関係を持っても良いと
そう思い始めたのは先月の事だった。

付き合っている相手が男だからと、カカシを好きだと言うくノ一が
ナルトに譲ってくれと言いだしたのだ。

それはカカシの知らない所で起きた事件なため
カカシには伝わっていないが、サクラはその現場に居た。

しかも、ナルトの女扱いされていた事に、かなりのご立腹だったらしいが
吐かれた言葉の痛さに、悲痛な表情をしていたナルトにその立腹の矛先は向かなかった。
けれども、その場はサクラの叫びと割れた地面によって終焉を見たのだ。
その時に言われた言葉、思い…悲痛なまでにナルトを侵食し、胸苦しさがやまない。

「ナルト…?」

久しぶりに任務の時間帯が合って、カカシと休憩をしていた時に
そんな事を思い出したお蔭で口数が嫌に減っていた。
それを気にして掛けてくれた声に、ハッと我に返り話をしてみたが
どうも気分が乗らない。

外蓑を靡かせながら、外の外気を遮断しているモノがバタバタと音を立てて舞っている。
ただ、前を見て進むのではなかったのか…
カカシの事に気を取られて何も出来なくなってしまったら
己は何をこれからすればいいのだろう…

「カカシ先生、別れよう」

初めて…カカシに告げたこの言葉に後悔はしていない。
あの暖かい空気、温かい腕の中…ウザったいほどくっ付いて来た先生
大好きだからこそ、もうカカシを解放してあげよう。

くノ一から聞いていた。
ナルトを狙った男がいて、その男やくノ一を諦めさせるために
カカシは付き合ったのだと。
だから抱いてもくれなければ、抱かせてもくれない…そういう雰囲気に何度もなったが
カカシはすぐにそれを回避してしまうのは
既に肌で感じていた。

3か月も付き合って、お泊まりもあったが、キスで止まる。

「な…どうしたのよ?」

いきなり振られた話は、かなりの深刻度を物語るもので
カカシもいきなりすぎてどうしたものかと、ナルトに問う。

「オレさ…カカシ先生と別れる」

「だから、どうしてそういう事になったの?」

「わりぃ…先生の任務はここで終わりだってばよ」

「は?」

「とりあえず、オレってば一気にモノを考えれるほど出来ちゃいねぇし
任務もまだ終わってねぇから…いきなり、切り出すよりいいだろ?
考えといてくれってばよ」

そう言ってナルトはその地を蹴りあげた。
任務遂行の為、カカシはその場に留まるしか手段はなく
今すぐ追いかけて問い質したい気持ちをグッと堪えた。

「いきなり言われるよりって…既にいきなりなんですけど?
どうしちゃったのよ…ナルト」

はぁと、息を吐き出し、ガックリと頭を項垂れた。

「…あいつ、自分の忍道は曲げないからなぁ…それが性格にも影響しちゃってるから
言い出したら聞かないんだろうなぁ…別れる、   か」


グッと手を握り締めて、カカシは対策を練ろうと考えてるのに
何も思いつかない。
シカマルより切れる頭を持ってるんじゃなかったのかと聞かれれば
今はそうだとは到底答えられない…。

その日の任務は散々だった。
ナルトと離れ、迂闊にも死角からの攻撃を見事に受けてしまった。
3マンセルで出かけ、ナルトとカカシそして中忍一人。
その中忍はナルトと共に行動をしていたため、その場を任せてと言ったカカシに
絶大の信頼を持っているナルトは素直にその言葉に従った。

その為、傷を負ってもカカシはその信頼だけは裏切るまいと
相手を叩きのめしてから、己の回復を始めたのだが…

「ちっ…やるね、毒を仕込むなんて常套手段に引っかかったのも
もう、何十年前だったかな~…クスクス」

掌を開けばフルフルと震える指先。
手も足も痺れて動くのは難しそうだった。
ある程度薬に慣らされている身体とは言え、種類によっては凄く効くものもある
そして今回受けたのは間違いなく。

「効いてるねぇ…」

ずるずると木に預けていた身体が地面に吸い寄せられるように落ち
はっはっはと短い呼吸を繰り返している。
どうにかポーチに入れてあった解毒薬は飲んだが、それが効くかも
正直解らない。

「別れ話で…ここまでオレが鈍るとは…はは、すっごく情けないねぇ」

最後の力を振り絞って、影分身を一体作ると
少ないチャクラではあるが、己が命を落とした後の処理をして貰える。

そして。

「ナルトに、頼んだよ」

「…アンタが死んだら一緒に消えちまうでしょ
無理言わないでよ…」

同じカカシが互いに話をすると、苦しそうな呼吸を繰り返すカカシが伝えた。

「だから、お前にチャクラを多く渡した…」

「…はぁ~ホント、我ながら不器用だな」

苦笑いを零しながら、カカシの倒れ込んだ体を抱き上げ
人に見つからなそうな場所まで移動しようとした時だった。

「カカシ先生!!!!」

遠くから見える赤いマント。
誰がどう見ても…あの派手な色合いは、あの時の戦いで見た…

「…あ~仙人モードで感知されちゃったねぇ…ま、
自分で言うんだな…オレは消える、少しでも望みを持った方が今は良いかもしれない」

シュンと、木の葉が舞ったなぁと思った時には目の前に朱が降り立った。

「何やってんだってばよ!」

ギロリと睨まれれば、言葉を返せない。

「あ~ホント何してるんだろうねぇ~?お前の方は片付いたの?」

ハッハと短い息をしながら伝える言葉に、ナルトが眉間にしわを寄せ
カカシの横に腰を落とししゃがみ込んだ。

「いや、平気な振りしてっけど、先生ってば怪我してるだろ?」

グッとナルトに傷口を見られると、その場が焼けたように痛みを植えつけて来るが
カカシはその痛みよりも、傍にナルトが居る事に喜びを感じていた。
けれど、このままでは確実に命を落としそうだと読んだカカシがナルトへと伝える。

「ててっ…だねぇ…でも、丸薬も飲んだし…手の施しようがないみたい…
さっきの影分身も消えちゃったし、お前オレの遺体の始末できる?」

その言葉に、目を見開くと無言でカカシの体を抱きかかえた。

「無理しやがって…」

「すまないね」

「そう簡単に死なせやしねぇからな!」

「…あら、でもここから帰る手段はないよ?オレの命が尽きたら
愛するナルト君に看取られるのか…それはそれで、別れる前に死ねるのは良いのかもね」

その言葉にナルトが動きを止めた。
カカシをどさりと落とすようにおろすと流石に苦しそうに呻き声を上げると
ナルトがカカシのジャケットを捲り上げて、中に着込んでいたアンダーを引き裂き
鎖帷子を捲り上げるとナルトが傷口に手を宛がい、チャクラを送り込んだ。

「ナル…ト?」

「死なないで…くれってばよ。
オレを一人にしないでくれってば…なぁ、カカシ先生」

涙を溜める頬にそっとカカシが手を触れると
ナルトの視線がカカシの視線と絡んだ。

「置いて行きたくはないけど…ちょっと…限界」

それからカカシの意識が遠のき、次に目が覚めた時は
木で建てられたような小さな小屋だった。

「ここ…は?」

キョロリと辺りを見回すと、体が全く動かない事に気が付き
苦笑いを漏らした。

「助かったって…事ね」

でも、ナルトの姿が見当たらないと首だけを引き上げると
己の体にまどろんだ感覚が急に覚醒する。

目の前にある、黄色い頭…

首を横へと向ければ、脱ぎ捨てられた服…

無論己のそれも同じように無造作に置かれていて慌てて腕を動かそうと力を入れる。

ビリビリと痺れはきてるものの、全く動かせ無い訳ではない。
そっとその手を黄色い頭に乗せた。

―――― ナル…

  ――― ナルトってば!


その声に、闇の中から意識が引き上げられる。

「…せんせ?」

「うん、どうやら生きてたみたいね?
でだ…どうなったら、全裸で抱き合ってるこの状態になる訳?」

ナルトによると、カカシが気を失った後一気に体温が下がり
サクラにある程度の治療術は聞いてはいたが、どうにもカカシの脇腹の傷を
治す事が出来なかった。

せめて体温だけでも維持していれば
身体の治す機能が衰えないはずだから、自然治癒させるためにも体温の低下は避けたかった
ナルトのチャクラでは、傷を修復できるほど繊細な事は出来ない。
サクラのような修復術ではなく、どちらかと言えば活性化させる事の方がナルトのチャクラの
本質だとサクラに教えられていた。

だから、チャクラをカカシに渡し、傷口にチャクラで封をして
ナルトはカカシの身体の体温維持をしたと言う事らしい。

「お前が人を治す事まで学んでるとは思ってなかったよ」

「…もしもの時、いっつも何も出来ねぇのが嫌だったんだ…
でも、オレのチャクラじゃ限界があるから、これしか出来ねぇって
サクラちゃんに教えてもらってたんだってばよ」

「そう…そのお蔭でオレは助かってるって訳ね」

「そろそろ、サクラちゃんが来てくれるはずだから」

「あぁ…もう夜明けだったの」

カカシが視線を空へと向けると、既に白みがかった空がゆるゆると明るさを増していた。
その明るさに目を細めてから気になっていた事をカカシが口にした。

「ナルト…別れるの?」

不意にその話を振られてナルトは目を見開いた。

「…っ、今はなす事じゃねぇだろ!」

「そうだね…でも、ごめんね別れてあげられない」

「は?な、何言ってるんだってばよ!」

「だから、そのままだよ…オレもこんなに執着心あると思ってなかったんだけどね
お前が他のヤツと一緒に居る事想像したくもないんだ…本気でお前が嫌がってるなら
それも考えれたかもしれないけど、いや…無理かもね」

まだ、毒の効いている身体は震えててナルトを抱きしめたいと言う願いは
叶わず、手をナルトの肩に乗せる程度にとどまった。

「誰かに何かを吹き込まれたでしょ?」

「…吹き込まれたって訳じゃ」

「だったら、どうしてオレの任務が終わりって言葉になってくるの?
オレは火影様からナルトと付き合えと言う任務を受けた覚えはないよ?」

「え?」

「一部…そんな噂が蔓延ってはいるけどね…」

「っ…」

「踊らされただけだよ…お前と付き合う提案をしてきたのも、お前が目を付けられてたのも
確かに他から聞いたからそれは間違いないけどね…でも、あくまでも提案であって、オレは任務でお前と
付き合ってた訳でもなければ、命令でもないよ」

その言葉にナルトがあんぐりと口を開いた。

「アホ面…」

「っ、う、うっせぇ!」

バッと立ち上がったナルトにカカシが大きく溜息を落とした。

「お前ねぇ…イヤ男同士だし良いんだけどさ、フルチンで力一杯立ち上がらなくても…」

「ん? んあぁあっ!みるな~うわぁああああ!」

自分の仁王立ちしている姿を見て慌てて服を拾い着込んでカカシの服も
拾い集めるとカカシの枕元に置いた。

「下着まで脱がす必要なかったでしょうよ…しかもお前まで脱いでるし…」

「う…まぁ、そうなんだけどよぉ」

なんか慌てちゃってと笑うナルトにニッコリと微笑んで
カカシはありがとうと感謝を述べた。

それから少しして、サクラが到着しカカシはとりあえず動かない体の為
ナルトに手伝ってもらい下着だけは着込んでいたものの
何故裸なのかと問われナルトが赤くなりながら必死にその理由を告げていた

「じゃーナルト!カカシ先生を影分身で運んでね!もう動かしても大丈夫よ」

治療は一刻程され、サクラがカカシの体に入り込んだ毒を引き出すと
もう動かしても良いと言われナルトが影分身を生み出すと
木の葉へと向かった。

カカシの体を背負い、影分身が荷物を持って
後から来た救援はカカシの始末した遺体の回収に回り
事なきを得た。


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