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≪ 恋蝶3 | | HOME | | 恋蝶白銀の願い2 ≫ |
続編ですw
雪が、緩やかにその地を埋め尽くす。
白く…白く
飛び散る鮮血は、鮮やかにその白を汚し
欲望のままの色に変わっていく。
貴方は何色に染まるの?
俺の色に、染まってくれますか?
【恋蝶】=白銀の願い=Vo1
ナルトが里の人間に、理不尽な攻撃を受けてから半年程過ぎ
任務の合間に、ナルトが中忍試験を受ける事となった。
ナルトが自ら言い出したこの試験は、サスケが消えたあの日
成し得なかった試験。
無論カカシも、ナルトから直接その相談を受けて、すぐに試験登録をしてくれるほど
ではあるが、一言言われたのが
”勉強もしなさいネ、お前の前のテスト問題白紙だったって言うじゃない”
と言う厳しい言葉も付いて来ている。
当時でさえ、実践は、ネジと戦い終わるまでは十二分に良い結果を残せていたと思う。
実力ならもう、立派な上忍とも言える。
なにせ、里一番の実力者と、共闘出来るほどの力を持つのだから。
だが、問題はテスト…前みたいに白紙で通過出来るほど優しいものでもないだろう。
「…んで、なんでお前いんの?」
ポリッと頭を一掻きする、ゲンマが今回の受付である。
本来ならマンセルを組んでチームで受けなければならないのだが
如何せんナルトのチームは既にサスケは里抜け、サクラは既に中忍
なので、空きのあるチームへと入る事で、クリアとなる。
だが、そうやすやすと中に入る事も叶わないのは
ナルトとて知っている。
元々組んでいた人間の代役がどれほど精神的にも負担をかけるか。
それを考えれば、ナルトはまず己の道を突き進む猪突猛進型。
うまく、仲間としてチームプレイができればいいが…と、ゲンマは思った。
「いやぁ、やっと試験の受け直し出来るってばよ!」
なんて、にっこり笑ったナルトに、ゲンマはスッと千本を指した。
「あの…白髪の女の子見えるか?」
「あ、あぁ…分かるってば」
視線の先には髪を頂点で結んだ、まだ13歳ほどだろうか?
その少女と、その横に背の高い目付きの鋭い男性が立っていた。
無論二人共木の葉の額あてをしていて、二人で何やら作戦を練っているかのようにも取れる
「あのチームに入れるけど…どうする?」
「…んまぁ、向こうが良いなら俺はどこでも入れるってば!」
「あぁ…そうだったな、お前はもうAランクもこなす程だしな?
あいつらの実力をお前が引き出すんだぞ?全部お前がヤったら
あいつらの評価が下がるんだからな?」
「あ~…解ってるってば!カカシ先生に…叩き込まれたし」
「んまぁ、カカシさんが精神面を教えたなら、大丈夫だな…お前は受けるだけで
合格するほどの実績があるからとりあえず奴らを立ててやってくれ」
その言葉にドキリと胸を鳴らしたのはナルトだった。
それ程に、信頼の置かれているカカシと言う人間
名前だけ見ると、そこらヘンの田んぼで ボーッとつっ立ってそうな名前だが
木の葉の…と、里の名前が付くだけで、ビンゴブックにまで載ってしまう人間。
最初はその、木の葉の…と言う言葉が付くだけで名前が羨ましいとさえ思った。
次に背負ったものの重さを…共に戦いながら知り
今は自分の胸の中に、そっと育った花の蕾に付いている名前。
グッと、胸の上に手を置き
(先生、俺ってば今回は受かるかんな!)
と、心を強く持つ事を務めた。
「ハヤト、ナチ!月野先生!」
ゲンマがそこで名を呼ぶと、少女と少年が受付へと進んできた。
そして、メガネを掛けた、ちょっとぼんやりした印象を持つ、ベストを着た
上忍が一人、ゲンマの前に立って、チラリとナルトを見やった。
「空きは、こいつで埋まるがどうする?」
月野と呼ばれる男が、ニッコリと微笑むと、木の葉の英雄と同じチームなんて
心強いですよ…なんて柔らかく肯定され
他の二人は…何処か不貞腐れたような表情を纏っていた。
「へっ、里の英雄とか言いながらまだ下忍だったのかよ!」
と、言葉を発したのは背の高い男の子…ハヤトだった。
「あぁ、俺ってばまだ、中忍試験受けてなくって…まだ下忍だってばよ!」
悪びれもせず答えると、ハヤトがグッと喉を詰まらせた。
「こらこら、喧嘩を吹っかけるな…んっとに、ごめんねうずまき君」
なんて今度は先生が謝罪してくる。
ふと、思い起こしたのは”サイ”サスケの代わり…として仲間に入ったのが
凄く許せなかった事があった。
まぁ、サイの場合は言葉も態度も悪いから、輪が掛かってた事に違いはないが。
”その受け入れたくない”と言う思いは既に経験済みだった。
だからこそ、ナルトも怒る事よりも肯定する事で争いを避けたのだ。
(へぇ、あのうずまきナルトがねぇ…)
なんて千本を咥えながら、書類に月野班、うずまきナルトと名を書き綴った。
「今回の試験内容は、巻物の奪還とそれに伴い感知能力にての状況把握になる!」
と言うと、チームに3枚の紙を渡された。
紙には、地図が記載され、赤い記号で書かれている場所で何かを感知する
その何かに付いては試験中でなければ分からない事となっている。
(あ~感知かぁ…まぁ、筆記テストよりは…いっか!)
なんてナルトの心の声が聞こえそうだが…
それが今回の筆記テストらしく、感知が苦手な人はほかの手段でその情報を
仕入れなければならない。
但し…チームの人間の答えが重ならない。
と言うのが絶対条件なのだ。
「楽勝!」
なんて意気込むハヤトの言葉に息を飲んだのはナチだった。
そんな二人の様子を見てナルトが懐かしさに目尻を下げる。
「それじゃ…うずまき君、頼んだよ?」
「任せろってば!」
月野先生に言われて、ニッパリ笑うと、三人で森の入口へと足を進めた。
巻物は、上忍一人が守っている。
それをチーム毎に奪い、ゴールという事で、それの所要時間は二日。
鬱蒼と茂った草木が、嫌に静けさをかもち出す御蔭で
ナチがフルリと体を震わせた。
「ナチ!ビビってんじゃねぇよ!」
と、ハヤトが声を掛けてスタートとなった。
☆
【恋蝶】=白銀の願い=Vo2
ハァハァと、白い息が吐き出される。
雪が降りだし、ハラハラと舞い落ちるそれに、音が吸収されて
無音…に近い。
互の呼吸音だけが響き、三人は大きな木の幹に体を預けた。
今日はここで野宿しようと言いだしたのはナルトだった。
雪がすべての音を隠すから、今動くよりも現状を見極めれる
晴れた時…に動くのが良いと言い出したのに皆が賛同した。
「あの…ナルトさん?」
おどおどと声を掛けてきたのは、ナチ。
「ん?」
「中忍試験二度目ですよね?」
「そうだってば」
「前の時は、どうだったんでしょうか?」
「ん~…これと殆ど変わらねぇよ、ただ…あの時は筆記は別だったっけか」
なんて苦笑いすると、急に人の気配を感じ、クナイを引き出すと
ナルトが二人の前に立った。
空気が言っている、中忍でも歯が立たない程の強さを。
だからこそ二人を背に隠したのだが…。
「誰だ!」
と、声を張るナルトにクックックと笑い声が聞こえ、肩の力が抜けてしまう。
良く知った…声だったから。
「ナールト?誰だ!!って…ねぇ、お前…俺のチャクラくらい分かりなさいよ」
なんてノホホンと木の上から、緩やかに声が響いた。
「やっぱ!カカシ先生かっ!な、何やってるんだってばよ!こんな所で」
樹の下から精一杯声を張り上げるナルトにクスクスと笑いながら答える。
「お前ねぇ…俺は上忍よ?これから巻物持って隠れるのっ!
お前は俺の所に取りに来なさいね?本気で相手してあげるから」
「え?」
「…殺すつもりで…おいで」
その言葉に薄く殺気が乗ると、後ろの二人がビクリと肩を揺らした。
それを横目で見てカカシがニッと笑うと、ザンと雪が三人の前に落とされ気配が消えた。
「こえ~…何あの人?」
「はたけカカシ…写輪眼のカカシってしらねぇ?」
「え?そうなの?あの人が?」
「そうだってばよ!そして俺の先生…なんだけど、
なーんで、こんな所に現れるんだってばよ!急に難易度上げやがって」
はぁ…と溜息を落とすナルトに、ハヤトがひっきりなしにカカシについてを聞いてくる。
憧れ…とでも言えばいいのか、彼への真っ直ぐな思いを宿したハヤトの目に
なんだか、モヤモヤとする気持ちが胸に湧き出ていた。
夜が明ける前に雪が止み、確認ポイントに到着すると
ハヤトが座り込み周りを探る。
勿論ナチも同じようにやっているが、ナルトだけは
その事だけに集中する訳には行かない。
周りにいる忍者は5人
気配から下忍だと言うのは理解した。
それと、小高い木の上に一人、中忍らしき人間がこっちを
じっと見ている。
それと、動物が一匹も居ないと言うのが引っかかった。
他にも数点感じた所で、フッと神経を一度休めてまた…目を伏せ
ゆっくりと…カカシの気配を探る。
きっと、こっちが探しているのに気が付けば向こうも気を張る。
そう簡単には殺られるものかと、ナルトは陽動を仕掛けたのだ。
それは、カカシとナルトしか解らない深い深い絆
自分の戦闘能力は間違いなくカカシは知っている。
だったら、成長を見せるためにも本気でカカシと戦う覚悟を決めなければならない。
そしてそれを決断した今、やれる事は最大限にやっておこうと思ったのだ。
「ふぅん…やる様になったねぇ、ナルトも…
まぁ、そう簡単に見つかってあげないけど」
クスッと笑って、太い木の枝を蹴った。
まぁ、そんな事をやっていると、綱手に確実に怒られるのだが…
その時はその時で、素直に謝りましょ…なんてカカシが思っているのと同時に
「…あのバカ上忍、本気で隠れやがって…ナルト以外に見つけれる訳ないじゃないか!
ったく、師弟のなのか、恋愛なのか、紙一重過ぎて怒るに怒れん!」
と、事の次第を暗部に聞いていた綱手が苦笑いを零していた。
「ナチ!何処まで感知した?」
「あ、えっと遠くで上忍がこっちを黙って見ているのが解った」
「…そうか、じゃー俺はもう少し探ってみる!」
ハヤトとナチは、良いコンビだとナルトは思う。
恐らく今ハヤトも同じことを感知したのだろう。
でも、ナチが感じたのを優先して自分は他を探すと言った所か…。
「よし、俺は動物の気配がないことを書く、ナチはこっちを黙って見ている人の事を」
と、二人が筆を走らせる。
チラリと横目で見るナルトが声を掛ける。
「俺は?」
「…アンタはもう出来てるだろう?
聞いてた以外の事を書けばいいんじゃねぇの?」
とまぁ、なんともそっけない言葉が帰ってきて、ははは…とから笑いを見せた。
そんな事を繰り返して、一日余した所で、ナルトが声を掛ける。
「んじゃーカカシ先生みっけるか!」
と、意気込んでからハヤトがスクッと立ち上がった。
それに釣られ、ナチも腰をあげるとカカシのチャクラを探る。
「ちっ、カカシ先生中忍試験だって忘れてねぇか?隠れすぎだっつーの!」
と、溜息を漏らした時、ガサガサと木陰が揺れて、ナチとハヤトがクナイを持って身構えた。
「あれ?ナチ…」
なんて声を掛けてきたのは一緒に試験を受けていた同期の子。
色々な情報交換を互いにして、話し始めたが
ハヤトだけはナルトの動きから目を離さなかった。
と言うのも、カカシが現れた時は、一目散に自分たちを守る姿勢で
クナイを突き出したのに、今回は微動だにしなかった。
気づいてないのか?とも思ったが上忍が現れた時の反応は自分達では気が付けない物だった
(こいつ…強い…のか?)
そう、ハヤトの頭に浮かんだ時、バサバサっと上から降り注いだ雪が
丁度三人でいた場所に降り注ぎ、皆が素早く逃げる中
ナルトだけが…
「ハーッ…埋まってるし」
「うっせぇー早く助けろ!」
結構な量を蓄えた木の枝が耐え切れずしなった。
そして降り注いだ雪は座り込んでいたナルトの頭からかかり、体半分をしっかりと埋め込んだのだ
(俺の、勘違いか…木の葉の英雄って言うからどれほどかと思ったけど
大したこと無いじゃんか!偶然に弱い敵が来て倒せたって所じゃねぇの?)
なんてハヤトの中で回答が降ってくる。
助け出されたナルトは、またその場に座り込み目を閉じる。
深く深く…
とりあえずは、カカシを探さなければならないのだからと
ハヤトは辺りの人間をチャクラで探り、不意に後方から来る一個団体3人組を見つけた。
「ナチ、後ろから3人来る!カカシ上忍の居場所を知らないか聞いてみよう?」
「う、うん!」
と、座り込んだナルトを他所に二人で後ろの気配へと向かった。
「おーい!お前たち!」
と、ハヤトが声を掛けると、首から下がったマフラーがゆらりと揺れて振り返った。
「なんなんだコレ!」
「カカシ上忍を探してるんだけど見なかったか?」
「カカシ上忍?見てないぞコレ!」
「そっか~探してるんだけど…何処にも気配がつかめなくて」
「…巻物…か?」
「うん、なんか、取りにこいって言われてさ…」
なんて、照れくさそうに言うハヤトに、苛立ったのは話していた相手だった。
カカシと言えば…で、永遠と褒め言葉が並ぶ木の葉一の忍者と言える人間が
ハヤトに取りに来いと言うのは、どうなのか?何故それなら自分には声がかからないのか
と言う嫉妬に近い苛立ちが、捲し立てた。
「は?なんでお前に取りに来いって言うんだコレ!
カカシ上忍が、この試験官してるのも知らないぞコレ!」
と、勢いに押されたハヤトがタジタジになっていると
背後から声が響いた。
「よぉ…木の葉丸」
「うえぇええ!?ナルトの兄ちゃん!…って、仙人モードかコレ?」
目の前に現れたナルトの目には隈取が浮かび上がり、目の奥に縦に瞳孔が象られていた。
それが仙人モードだと知ったのは、後々の事ではあるが確かにあの時
ペインとの戦いの時の彼そのものだった。
「あぁ、ちょーっと厄介な上忍様探さなくちゃなんねぇからな」
と、会話が続けられる。
「仙人モード俺も習得したいぞコレ!」
「ハイハイ…お前は螺旋丸を教えただろ?もう少し待て…
それにこのモードは、ガマの契約が必要だかんな!お前にはまだ早いってばよ!」
「うーずるいぞコレえぇ!」
「はいはい・・・っと、み~っけ!んじゃーな、木の葉丸!俺と一緒に中忍試験受かるぞ!」
「あ、当たり前だコレ!」
「ナチ!ハヤト!子の方向だ、俺は先に行くから追ってこい!」
と、ナルトが影分身を残して飛び出していった。
「相変わらずドタバタ忍者めコレ!ハヤト、ナルト兄ちゃんをちゃんと見ておけ!
時期火影候補だから、ナルト兄ちゃんから盗める技は全部盗むぞコレ!」
その言葉に、ハヤトがフンと鼻を鳴らしナルトを追った。
☆
【恋蝶】=白銀の願い=Vo3
白い雪原を足跡を残さず走るのは、チャクラで出来る。
だが、中忍はその痕跡を探る事が出来ず、その場に立ち尽くしたところで
影分身のナルトが追い付いてきた。
立ち止まった二人を見て、影分身のナルトが声を掛ける
「あぁ、俺を探せないか?」
「…気配が掴めました!」
と言ったのは、ナチ。
追跡に有利な能力を持った彼女であれば十二分に見つけれて当たり前だろう。
ナチの先導で、チャクラを足に貯め、雪の上を足跡を残さずに進んだ。
キン…澄んだ寒い空の下に響く金属音に
はぁ…と息を付き、ナルトが身を翻した。
「俺を見付けるとは、上出来!」
「はっ!コレくらい朝飯前だってばよ!」
キン…ギリッ…
クナイ同士がギリギリと音を強め、バッと離れるとカカシが写輪眼を開いた。
「っ…げ、幻術は無しだってばよ!」
「…実践で何甘えた事言ってんのよっ!っと」
突っ込んできたナルトの肩にポンと軽く手を掛けふわりと体を浮かせると
ナルトの目標が一瞬で消えて体勢を崩す。
「ナルト、巻物は俺の懐だ…さて、お前ならどうやって取る?」
ギリっと、写輪眼の前にクナイを引き寄せニッと笑ってナルトの次の手を待つ。
「ってか、これ中忍試験じゃねぇってばよ!」
「ばーか、実力に見合った相手だからこそ良いんじゃないよ?
お前もなぁ~に、甘えてんだか」
「ちっ…しゃーねぇ、多重影分身!」
ポポポポーン!と数十人に増えた所で、ナチとハヤトの気配を感じた。
「はぁはぁ…見つけました!」
「あ…カカシ上忍が写輪眼開いてる」
「…いいか、良く見ておけよ?俺も全力で取りに行っから!」
と、その場を後にして、ナルト本体と合流すると
カカシのクナイがナルトの影分身を一人二人と消していく
「…すげー」
ゴクリと息を飲んだハヤトが、二人の戦いを見入っている間に
ナルトは木の陰に体を隠した。
真っ白な雪原の中佇むカカシは、目を閉じて気配を読む。
「取りに来ないと、上げないよ~?」
「うっせー!黙って待ってろってばよ!」
「はいはい」
そんな、緩やかな会話なのに、その場の空気は切迫を意味するほど息苦しい。
それが高揚感なのか、緊張なのかハヤトには解らなかったが
今目の前で繰り広げられる技と、戦いのスキルは間違いなく上忍以上のレベルのものだ
木の陰からザッとナルトのオレンジが走り抜けると、フッと姿を消し、カカシの背後から
二人のナルトが手に螺旋丸を作って走り込んできた。
「ちょ!俺を殺す気?」
「ふん!何弱いセリフ吐いてるんだってばよ!そんな気サラサラねぇくせにっ!」
螺旋丸がカカシの腹にグッと押し込まれると、ボヒュンと音を立てて木へと姿を変える
そして、ナルトがクナイを雪の上から下に突き刺して
「貰ったぁ!」
と叫ぶやいなや、雪下から走ってきた電撃でナルトの影分身が一つ消えていった。
「…ねぇこれって、私達が入り込むスキないよね?」
「…でも、行かないと!」
勇気を振り絞って、二人が木の陰に身を隠していたカカシに向かってクナイを投げつけ飛びかかった
「え?あれ…うわぁ!」
ザン!!!!
と、意表を付いた二人の攻撃にカカシの体が傾いてその上
木の上から降ってきた二人のナルトに押さえつけられて勝負が付いた。
カカシの右手にすがり付くように、捕まっていたハヤトが
冷やせを流しながら素直な感想を声にした。
「はぁ…はぁ…こえー!」
左手にはナチ。
上にはナルト…しかも二人ががりで乗っている。
「…良く飛び出してきたね?」
と、カカシに声を掛けられて、フッとナルトを見たハヤトの行動で
これが、ナルトの指示によってなされた事だと知り、笑いがこみ上げた。
ナルトがカカシのベストの中に無造作に手を押し込み、巻物を引き出して終了を告げた。
「お前ら、立派な忍びになれよ?」
と、二人の頭にポンと手を置くと、照れくさそうにエヘヘ…なんて二人が笑う
そして、カカシの足がナルトの前に行き、ギュッと体を抱きしめた
「せんせ…?」
「良くやった」
そして、ポンポンと抱きしめた背中を叩かれると、フッとナルトも
薄く微笑む。
それから、今回の作戦に付いての話と、どう言う経緯でどうなったか
という一連の動きを説明し、討論を半刻ほどする事となった。
作戦は、仙人モードでカカシの居場所を探り当てたナルトが特攻
先に突撃したナルトを追うのにナチ、そしてカカシの動きを止めるために
ハヤトを使ってのマンセルの動きを一通り説明し
カカシが電撃もしくは大きな技を使ったら、その後すぐに突っ込む事が
ナルトから言われた作戦。
大雑把ではあるが、大技の後は確かに気力体力共に、一瞬の気が抜けた所を作ってしまう。
それを狙った作戦は見事、カカシを捉える事と成ったのだ。
「ナルトさん…」
と、呼んだのはハヤトだった。
「へ?」
「さっき雪に埋まったのは何でですか?」
コロリと、手のひらを返したような態度にナルトが苦笑いをする。
「まぁ、仙人モードになるのに自然エネルギーを蓄える必要があったから
それで雪を避けるより自然と一体化する方が先だったんだってばよ」
なんて丁寧に説明をして、その場は解散となった。
ナルトの入ったチームは、脱出時間は中の上と言う結果だったが
はたけカカシからの巻物を奪った事は賞賛された。
ナルト一人では、取れたかどうかも定かではない。
その後、個人技で互いに力を出し合い
ナルトが仙人モード禁止令を食らっていたものの、一番でその試験を無事突破した。
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