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なつめっぐ 保管場所

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刹那の幻6

今年最後のUPでございます!
間に合ってよかった~><;

良いお年を!

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【刹那の幻】11


「あれが忍術…?分身って奴だろ?」

ヒジキが言うと、カカシが首を左右に振った

「あれは影分身…分身より遥かに高等忍術だよ。
敵は3人ナルトの影分身が5体も居れば楽勝だろうね
さて…アイジを貰い受けるよ?
君たちは…忍になりたいのか、侍に戻りたいのか…
答えを自分達で考えなくちゃならない。
いい加減な気持ちでなれる職業なんかじゃないんだよ
両方共ね」

スッと指を立てて、カカシがニッコリと笑った

「この場所は潰すから、お前達が修行するんであれば違う場所を探すんだね」

と、カカシが影分身を一体作り出し、アイジを背負うと
その場所から駆け出した。

カカシ本体もその場から離れようとした時だった。

「待って!…敵は…きっと、コショウを狙ってるんだと思う」

その言葉にカカシがチラリと視線を向けた。

「大名の子供とか?そう言う感じか…それとも、特別なものを持っているとかなのか?」

視線に答えるように、コショウが胸からネックレスを引き上げると
そこの先にぶら下がった金の…

「…どこから手に入れたのよ?金璽なんて大層なもの」

「…父から預かった」

その言葉に盛大なため息を落とした。

「父って事は、そう…君は血統書付きって事か」

「…はい」

「国は?」

「…土の国です」

「土の国…ねぇ…今護衛している人間は火の国の大名だから
君たちとは敵って事になるね?なぜアイジを助けたの?」

「敵も味方も…ないんじゃないかって…倒れた人間を助けないのは
人として間違っていると…イチミが」

へへへと頬を掻くイチミが前へ出てから緩んだ頬を引き戻しカカシに告げた。

「いい加減な気持ちではないです…私の父は城の檻に幽閉されています…
そして、ヒジキの父も、コショウの両親もです…
だから、大名の命令には逆らえなかった」

ぐっと握り締める手を横にいたヒジキが大事そうに上から包み込んだ。
唇を震わせて涙を堪えるイチミの横に出て、

「ごめんな…仲間は返す、俺らも住める場所を探すし
この場所は明け渡すよ」

ジッとカカシを見ながら告げるヒジキにカカシが苦笑いを漏らした。

「…ま、ここは見つかり易いからね、忍としては最悪の隠れ家だよ?
空気が流れる場所は、外からの攻撃に弱い…毒でも風に流されたら
一貫の終わりだよ?それに…匂いも漏れてる。
こんな場所より、もっといい場所を探すことを勧めるよ
ま、ナルトがどう思うかによるけどね…」

スッと横を見ると、その場に座ってあぐらを掻いていたナルト本体が
ゆっくりと目を開けた。

目の周りに浮かぶ隈取…遠くではクナイがぶつかり合う音が響いていた。

「複雑に入り組んだこの中は、どこかにきっと良い隠れ場所がある
オレはそれを探しに行くってばよ…
ここは潰さねぇし、お前らはアカデミーを卒業できなかった本当の理由を知った方がいい」

その言葉に三人が目を見開いた。

「…お人好しだねぇ…ったく」

と、ナルトの言葉に俄かに賛同したカカシが、止む終えなしに
説明を始め、ナルトはそれを横目にニッと微笑んでからその場所を飛び出した。

「「「どう言う事?」」」

三人がカカシに言葉を促すと、チラリと煙のくる方向を見やってから
ポリッと髪を掻いて、ナルトの消えた穴へ恨めしい視線を送った。

「あ~まぁね、お前達はまだ卒業出来るレベルに達してない…それが
卒業できない理由でしょ…
お前達は年齢だけ重ねて来た御蔭で、年下に抜かれると言う事が
ありえないと思わなかったか?」

その言葉に、確かにそうだと首を縦に振った。

「年齢じゃないんだよ…チャクラ量や技の質や勿論忍としての心
そんなものを総合しての、卒業なんだよね
確かに、ヒジキのチャクラ量は卒業レベルだけど、残りの二人は
全然足りてない。
実践でチャクラ切れで、倒れる者も居る程の場所に
そんな人を出せる訳ないよね?
このオレでさえ…チャクラ切れを起こすんだから、お前達ならあっという間
そして、プライドも何もかも捨てて一心不乱にアカデミーに残っていれば
いずれチャクラコントロールも覚えて卒業出来る…
けれど、その前にお前達は策略のせいで卒業できないと決め込んで
アカデミーを出たでしょ?
ナルトはねぇ…卒業試験2回も落ちてるんだよ?
それが何を意味するか解るか?」

「に、2回?」

「そ、3回目で合格した…けれども今は誰よりも強い最強の忍になった…」

呆気にとられている三人の前にズイっと身を乗り出して
カカシが腰をゆるりと曲げると、三人の視界に己の顔を入れ込んだ。

「覚悟が足りないんだよ」

そう…たった一言で三人は崩れるように地べたへと座り込んだ。


ナルトがすぐに戻ってきて、カカシに現在の位置と
見つけた、場所の話を終えるとそれ以外の穴は全て塞ぐ作業を
螺旋丸でやってしまう事を告げ
ヒジキを連れて二人で現地へと向かった。

カカシも十二分に伝えただろうと
逆側の場所を潰す作業に向かった。

「恐らくアイジの救出をしてくれたお礼ってとこかねぇ」

なんて苦笑いをしながらカカシが雷切で岩を削り落とし
入口を塞ぐと、先程まで立ち込めていた黒煙が行き場を失ってふわふわと
澱みを作っていた。
その場所を、二度目の雷切で綺麗に潰した後に
カカシは逆の穴を見遣った。

空気が流れているその場所に、違和感を感じながらカカシが雷切を打ち込む寸前
ふわりと鼻に届いた油の香りに、カカシの手にチャクラを送るのを止めた…が

チチチィ…と、弾かれた電流が空気中の香りに誘われるように
引火して、小さな穴がバチバチと音を立てて火を燃やして行く

「ちっ!天然ガスか!」

カカシが慌ててその場を飛び上がり、懸命に走ると
後ろで大規模の爆発が起きた。

地が揺らぎ、豪音と共に火柱が穴の中を蛇のように這い回る。
その速度に叶うわけもなくカカシは自分の身を守る為に
水遁を使用してその場を凌いだ…


だが、先ほど別れたイチミとコショウは身を守る術はない…

嫌な予感を持ちつつ先程の道を戻ろうとしたが
来た道は先ほどの爆風で塞がれてしまい、カカシが抜け穴を探すために
空いている他の穴へと足を進める事と成った。




「っ…今の爆風なんだってばよ?」

影分身が戻ってきて居て、敵は逃亡した情報は自分の中に還元されている。
すべての影分身は抜かりなく敵を倒したと言うのに
自分の中にある危機感がまだ、襲ってくる感覚に戸惑っていた。

横にいるヒジキも、何があったんだとキョトンとしている所を見れば
何が起きたのか分かっていないのだろう。

「ヒジキ…取り敢えず戻るってばよ」

「え?あ…うん、なんでこんな事に?」

「敵は倒した、何があったかはわかんねぇけど
戻ってみるしかねぇってば」

その言葉にコクンと首を上下させて、
二人は塞がった穴を螺旋丸でブチ抜きながら進んだ。

「なぁ、ナルトさん」

「…なんだってば?」

「アイツら無事かな?」

額にタラリと汗を滲ませて、ヒジキが問う。

「生きてはいる…」

ナルトは仙人モードを継続している為人のチャクラが解る。
いつもよりも確りと自然エネルギーを感じる事が出来る為
落ち着いて辺りを見回せば、天然ガスが原因だと言うのも難なく辿りついた。

(カカシ先生か…)

雷切でガスの道でも間違えて切ったのかもしれない。
カカシのチャクラも間違いなく感じてはいる、みんな命はあるのだと
最初に解っては居たものの…傷の具合までは解らない
ナルトの不安がチリチリと胸を焦がした。

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【刹那の幻】12


ガラリと音を立てて崩れる岩の下に
息も絶え絶えに、コショウが岩に挟まっていた。
逆側の空間にはイチミが気を失っている姿。

下には、充満したガスの香りが漂っていた。

「う…」

先に気を取り戻したコショウが現状を目だけで追って
自分の状況を悟ると、一つ二つと涙が落ちた。

…ミ――

 イチ…――

名を呼ばれ覚醒するイチミが目にしたのは、大きな岩に足を挟み込まれた姿。

「いやあぁああっ!コショウ!」

足をくじいたのだろう、立ち上がるとすぐに激痛に見舞われ
その場でガクリと膝を落とすイチミに涙ながらに言葉を紡いだ。

「大丈夫…オイラは大丈夫だから」

「でもっ!私をかばったから!」

「イチミ…これをヒジキに」

動かせる右手で首から下げた金璽を渡すと首を左右に降って涙をポタポタと地面に落とした。

「ダメだよ…こんなのダメだよ!」

「いいから!」

「嫌だ!ヒジキ!!助けてヒジキ!」

悲痛な声が、ナルトたちに届き、慌てて現場に戻ろうと道を探すが
どうにも周りの穴は落石により塞がっている状態。
二手に別れようと、言いだしたのはヒジキだった

「…解ったってばよ、オレはこっちから道を探してみる」

ナルトが向かった先は…先ほどの揺れで落石が多い場所。
チャクラを込めたクナイで石を砕きながら進むナルトを
暫く見つめた後に、ヒジキも目の前の道を進んだ。

ナルトが進んでいくと、腹から九尾のクラマの声が響いた

”戻れ”と…

それが何を意味しているのか分からず、ナルトはそのまま腹に問いかける

「どうしたんだ?」

”気付かないのか?”

「何をだってばよ?」

”お前のチャクラが急激に吸い取られている…早く逃げなければ
この場所でお前はチャクラ切れを起こすぞ”

その言葉を聞いて、右手に持ったチャクラを流しているクナイを見やると
不安定な青いチャクラが、濃くなっては薄くなり、薄くなっては濃くなっているのに気が付いて
慌ててクナイへチャクラを送るのをやめると、踵を返そうとして

「いてっ…」

転んでしまった。
それほどの消費をした覚えもなければ、戦闘をしたと言っても
結局は術も殆ど使っていない。

だったらこのチャクラの変動はなんなのか…

そう、考えた瞬間、意識が途切れた。



ガララッ…上から落ちてきた小石が泣いているイチミの体にパラパラと降り注いだ。
誰かが来たと目を上げてみれば…

「カカシ…さ…ん?」

穴の上から見下ろす二人が、昔の己を見ているようにフラッシュバックしてくる。

「リン…?」

不意に出た言葉に、その世界へ引き込まれる

「カカシさん!コショウが私を庇って!」

ワッと泣き出したイチミを見て、カカシはそのフラッシュバックから現実に意識を引き戻し
穴の中へと身を滑らせた。

石の下敷きになって、下半身を全て押しつぶされている状態で息を引き取っていた。

口から溢れる血液や、横で泣く少女に自分と重ね合わせてしまう。

(なんなんだ…)

違和感だけがカカシを包み込んでいた。

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