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なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

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天花 2

続きです

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3:出立

早朝、Sランクと言えば機密性も、秘密度合いも、全てにおいて
最上級のランク。
通常は、上忍のそれも、長年そう言う仕事に携わる人間が
やっている仕事をこなさなければならない。

カカシがしゅるり…と、額当てを巻き、椅子に無造作に置かれていた
ベストを着込むと、その中身を一つ一つ確認し、荷物を背負った。

「さて…行きますか」

補足ではあるが、カカシは遅刻を良くする物の…
本来は時間を正確に守る。
任務が過酷なほど、正確さを求められるほど、カカシの時間軸は
正確になるのだ。

「やぁ、諸君おはよう」

右手をふわりと上げるカカシにあんぐりと目を見開いたサクラが
パクパクと口を上下させ何かを言いたがっているのが見て取れる。

「先生、時間ぴったりだってばよ?」

「ん?そうか?ま、出立前にお前達と作戦会議をしなくちゃならないからね」

集まったそこで、軽く説明を終わらせ、サイとサクラが要人を警護する事と決まった。
ナルトは当たり障りなく、要人に深入りしないように申し付け個々に半径300mまでは
繋がる通信機を各自に渡した。

ある程度の説明を終えると、ナルトがもしかしたら狙われるかも知れない
危険性を伝え、サクラも、サイも聞いた状況からそれに同意した。

ただ、現時点では何が敵か…その正体は一体なんなのか
それが解らない状況で、ナルトを危険対象者の護衛には回せなかった。
基本は護衛任務なのだから、それを怠る事は出来ない。
なので、今回はサクラ、サイが二人でその護衛者を守りながら
後方部隊にカカシ、ナルトと言う形が望ましい。

それから一刻が過ぎた頃、”あん”の門の前で要人と対面を果たす事となる。

「よろしくお願いします。」

忍装束は着ては居ないものの、れっきとした霧の国の忍。
それも、チャクラから察するに上忍や暗部と言って間違いないだろう。

「私は、カンザと申します。」

ペコリと頭を上下させる男は、推定年齢は15・6歳位だろうか?
体は小さめで、身長が160センチほど…ナルトより少し小さく
細い線の人だと言うのが第一印象。

色白で、髪は赤く…女性であればうずまきクシナを思い起こすような
長い髪…。
その髪を、背中で一纏めに括り、カフスのような物で留められて
髪が乱雑に動き回るのを抑えている。

チャクラ量がかなり有るのが見て取れるが、恐らくはカカシと対等か
それより少し少ない。

チャクラと言うのは、面白いほどその人間の使える技の範囲を教えてくれる。
系統にもよるが…戦闘に置いて一番大事なのがチャクラ量。
使わずに戦う事も可能だが技の大きさは、さすがにチャクラである程度は推し量る。
ナルトの尋常じゃないチャクラ量を感じているのか
少年もナルトを見てゴクリと喉を鳴らすのがわかった。

「カンザ…君を霧の国まで送る事になった、隊長のはたけカカシです。
そこにいるのが…」

目の前に整列している3人を指差し、順を追って紹介をする。

「春野サクラ…」

「よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げるサクラに、カンザもペコリと頭を下げた。

「で、サイ…」

「どうも」

サイも同じように頭を下げると、同じようによろしくお願いします
と挨拶をしてすぐに視線をナルトへと向けた。

「という事は…貴方が?」

視線があったナルトが、ニシッと笑って

「うずまきナルトだってばよ!よろしくな」

と、何時ものように手を出すナルトに、カカシは大きな溜息を付いた。

(流石にここで派手な事は出来ないだろうけど…ホントこの子は
無防備だねぇ…後で言って聞かせないとな…)

握手を求めるナルトに苦笑いを向けて、出立の言葉を吐いたカカシ。

5人は”あん”の門を後にした。

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4:氷刀

普通の人間の護衛の時は、殆どチャクラを使わずに
要人と歩調を合わせるのだが今回は忍が相手。

移動手段は足に変わりはないが、チャクラを足に流しながらの移動となる。

常にこの動きをして居る忍には苦にはならないが、チャクラは消費していくモノ
なので、時折休憩を入れながら進むのが理想。

先頭は、サクラ、サイ、そして要人のカンザ。その後ろからカカシ、ナルトと
続く陣形で進んでいく。

不意に…ザザッとナルトの通信機に雑音が入り、その後に低く声が発された。

「ナルト…聞こえるか?」

「んぁ?あぁ、聞こえるってばよ?」

「お前にしか繋いでないからよく聞きなさいね?
さっきの…握手は危険だから注意しなさいよ?
あそこで術でも掛けられたら、どーするのよ」

「…う、そっか…そこまで考えてなかったってばよ」

「悪意を表に出す人間だったらわかりやすいけど、あの手の表情の読めない人間は
何をしてくるか解らない…お前はもう少し自分が狙われてると自覚してちょーだいね」

「…わ、わかったってばよ!」

プツリと切れた通信に、ナルトがカカシをそっと横目で見やると
弓なりに目が優しさを帯びていて、ナルトは気を引き締めた。

通信機は喉の振動で相手に言葉を伝えるもの。
なので言葉を発する時は、その通信機にチャクラを流し込み
声を出す場所を押さえなくてはならない。

サクラがその姿を視界に入れていたのだろう。

”なにかありましたか?”

と、状況の異変でも感じたのだろうかと通信をしてくると
カカシがスッと手を前に出して手を振りながら答える。

”流石サクラだね…辺りに異常があれば言うようにって
オレがナルトに言ってただけだから大丈夫よ。
お前達も、異変があればすぐに伝えなさいね?”

”了解”

水の国は、ナルトも、数回しか行ったことがない。
途中船を使わなくてはならないし、その航海中が一番
問題が起きやすいのは確かである。

港までは、1日で到着するだろうと昼に休憩を入れ
ナルトが昼食の魚を捕獲して戻り、一刻の時間を休憩とした。

「ナルト君」

サクラとサイの間に座っていたカンザが動き、ナルトの横に足を進めると

「なんらっへばにょ!?」

と、モゴモゴ返事を返す。
そんなナルトの横からサクラがゲンコツを落とした。

「こら!ナルト食べながら喋らないの!ったく、ごめんなさいね?
何か用事かしら?」

痛いってばよ~と、涙目で頭を摩りながら、ナルトが二人を見ると
カンザがスッと自分の胸元に手を滑り込ませた。

カカシもイチャイチャシリーズの隙間からその動きを黙って見ていると

カチャリ…と音を立てて出された、紫の包に入ったモノを取り出した。

「これが…氷刀です」

手のひらで、剥き出しにされたそれは
鞘に装飾が施され、中心部には水の国の紋章…
辺りに宝石のような石が散らばり、ゴツゴツとして居るが
中に収められた刀はアスマの持っていたチャクラ刀に似た形。

カカシも本を閉じてナルトの前に出ると
サイも寄ってきて全員でその刀を見遣った。

「なんか…この刀外見だけギラギラで中身は
随分きったねぇなぁ」

その言葉にゴンとサクラの鉄拳が落とされる。
見せたカンザも、苦笑いしか出来ずに、確かにそうですね…
なんて笑うもんだから

「だろ?だろ?だよなー」

と、もう一度ナルトが口に出す。

「触れても?」

そう口を開いたのはカカシだった。

「え?あぁ、どうぞ…」

そう言うとカカシの前に刀を差し出し
布ごと受け取ったカカシがスラリと中身を引き出した。

七色に輝く刃。

キラキラと光を跳ね返し、その光が刀を光らせる

「うっわぁ~すげーってば!しょぼく見えたのに
鞘から抜くとこっちのが、宝石みたいだってばよ!」

カカシの手を覗き込みながらナルトが言うと
カンザがニッコリと笑った。

「これが氷刀の謂れなんで…」

と、七色に光る刀は、その打ち込んだ鉄そのものが特殊なのだと
説明を始めた。
中に入っている鉱石はダイヤモンド石と言う硬い石と鉄を含んだもので
普通であればこんな刀は打てない。
そして、この石がとてつもなく高価であると同時に
国の守刀として名を馳せた…

それが数日前に盗み出され、奪還後それを持ち帰る道中に
抜け忍達から狙われ、3人の護衛は全て命の火を消してしまった。

仲間達が命を掛けて守った刀を、カンザが里へ持ち帰るために
木の葉に警護を依頼したのだと言う。

カカシはそこまで聞くと、パチリ…と刀を鞘に収め
そのまま、ありがとうと言いながらカンザにそれを手渡した。

布に包まれてまた、カンザの胸の中へと仕舞われた刀。
カカシはチラリと胸元を見やってから視線を空へと向けた。

別に術式が書かれている訳ではない…
何かが起きるような事も無さそうだった…
けれど、引っかかるのだ。

何に対して引っかかっているのかが、カカシ自身解らず
モヤモヤとしたものを胸に秘めた。

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