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なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

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天花 3

つづきでございます!


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5:船着場

予定通り、夜には船着場へと到着し、前もって木の葉が
用意してくれていた船を確認してから
民宿を借りて一晩泊まる事にした。

この後は3日間船旅が待っている。

サクラ、サイ、カカシ、ナルトで今後の作戦を話し合い
カンザを含めてこれから先に起こりうる危機を想定した話を進めている時だった。

「ねぇ、ナルト?」

サクラがナルトの顔色が気になって声をかけた。

声を掛けられて慌てて、振り向くナルトに違和感を感じたのは
現在七班として共に行動している人々。

「何だってばよ?」

「あんた体調悪いんじゃない?」

「ん~…なんか、胸のあたりがモヤモヤしてるだけで別にそれ以外は
何もないってばよ?ただの胸焼けじゃねぇの?」

のほほんと答えるナルトを見てる分には危機感は殆どなく
時間が過ぎれば治まるものだろうか?と思いながらも
カカシがすっと立ち上がった。

「……サクラ、悪いけどナルトを見てやって?
胸焼けするようなものを食べてないし、今日は走り通しだったから
逆に空腹でもおかしくないはずだから…ナルトも問診にしっかり答えてね?
オレは、カンザさんとお風呂でも行ってくるよ」

と、カカシがカンザを一度見やってからタオルを持つと、カンザもその言葉に従い立ち上がった。

カンザがサイに氷刀を渡すと、二人は連れ立って部屋から出て行った。

「…ナルト、何か変なものでも感じてるのか?」

サイがソっとナルトの横に足を進めて聞けば
サクラに横になれと言われて素直に従って寝てたナルトが首を左右に振った。

「何も感じねぇ…けど、なんか変なんだってばよ」

「ん~…拾い食いでもしたんじゃないの?」

と、サイが聞けば、プンスカ怒るいつものナルトと変化はなくて
サイもそれで少し安心したようにニッコリと笑った。

サクラが水の張った桶を持って戻ると、ナルトの頭に濡れた手を当てた。

「つめてっ!」

「我慢しなさい」

サクラの治療が始まったが、どこにも悪い所は見当たらず
すぐに離れるとフーっと息を吐き出した。

「アンタ、何か拾い食いしたんじゃないの?」

「サクラちゃんまでサイと同じ事言ってるってばよ~
ただの胸焼けだって!一晩寝れば治るってばよ!」

いつもの口調でニッシッシと笑えばサクラも安堵の息を漏らした。

この場所にたどり着くまでに変な気配もなかったし
逆に何かあったなら、カカシが無反応なのはおかしいのだ。
例え自分が気が付かなくても、ナルトの感知能力もかなり高くなっている
そうやすやすと、敵の攻撃を受けるような、下忍の頃とは違うのだと
サクラも安心したのだろう。

しっかり寝なさいと、言葉を残しサクラは自分の部屋へと帰っていったのだ。

一方カカシとカンザは岩風呂の中で空を見上げながら
会話もなく時間を過ごしていた。

「んじゃ、オレ先に上がりますね…脱衣場で待ってますんで」

と、カンザが風呂から上がると、カカシもそれに合わせて立ち上がると
体の水滴が筋肉に沿いながら下へと流れる。

月の光が二人を照らし、カカシの体に付いた雫がキラキラと反射を見せる。
銀の髪から落ちる雫はまるで、月の涙のように美しいと
カンザが息を飲んだ。

「カカシさんはおもてになるでしょうね?」

いきなり掛けられた言葉に、クエスチョンマークを散りばめながら
薄く微笑んで応えた。

「…いえ、そんな事ないですよ」

「ご謙遜を…」

と、ひとつ笑って脱衣場へと二人で戻ると、着替えを終え
部屋へと戻った。

待っていたサイがお茶を淹れて待っていてくれて
カカシはチラリとナルトの布団へと視線を向けた。

「何かあった?」

「いえ、ナルトは寝てれば治るそうで…サクラも大丈夫だと言ってました」

「そう…」

胸に渦巻く不安は消えないものの、その言葉に安堵し
明日の出立のために、4つ敷かれた布団の、ナルトの横に身を滑り込ませた。

「では…そろそろ寝ましょう…サイは風呂に行くなら行っておいで?」

「はい、では…お風呂に行ってきますね」

ニッコリと微笑んでサイが後ろ手で襖を締めると
カカシがゆるりと目を伏せた。

眠るのではなく…体や神経を休めるために。

その日、結局何事も起こらず翌朝目が覚めたカカシのバタバタとした
慌ただしい音にサイが目を覚ます事となる。

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6:失踪

「どう言う…事…?」

布団に今まで寝ていましたと、言っても過言ではない形。
ただ、その中身が居ないだけ。

起き上がって布団が捲れるとか、そう言うのが一切無く
音もなく…消えてしまった。

カカシがカンザの布団とナルトの布団を見やってから
影分身を数体出して捜索に当たらせた。
無論パックンも呼び出し、その旨を伝えている時にサイも
目覚めて状況を把握したのだろう。
墨でネズミの絵を数体描きあげ総動員での捜索となった。




カカシがユルリと目を覚ましたのは明け方。
ぐっすり眠り込むのは任務中には絶対にしないカカシが
気が付かないほどの無音状態で彼らは姿を消したのだ。

ナルトとカンザ…二人が声を掛け合ってるなら間違いなく
カカシは目覚めただろう。

気がつけば布団の中は蛻(モヌケ)のカラ

しかも、人型はそのままの状態で中身だけが突然消えた…
そんな感じで残された布団がそのまま置かれているのだ。

影分身の一人に、カカシは今日の出航を見送る旨を伝え
綱手に伝書文を書き鳥に託すと
その宿を拠点に、サイとサクラ、そしてカカシの忍犬と影分身で捜索を始めた。

奇襲を掛けられるのは想定していたが
突然消えてしまうなんて、想定外も良い所だ。

半日探してもやはり見つける事は叶わず
カカシも思いあぐねていたが、急に開かれた襖から聞こえた声に
カカシが視線を向けた。

「西でナルトらしい人間を見たって人が!」

その報告を持って戻ったのはサイだった。
氷刀も、無論失くなっていて恐らくはカンザが大事に抱え込んでいた為
一緒に無くなったのだろう。
この時点で任務は、ナルト達の奪還と言う事に切り替わる。

「詳しく話せ」

「早朝に、朝市に出かけた漁師が、金髪の男を見たって…
額当てをした4人の男がナルトとカンザを捕まえるように連れてて
西の鉱山跡に向かったんではないかと…」

カカシが一度その情報についてを考え、影分身に調査させる事にした。

西の鉱山跡に向け、影分身が消えると
カカシが深い溜息を付いた。
どうやってこの場所から…自分の横から姿を消したのか…
内通者がいないと、それは叶わないはず…だったらそれは
誰なのか。

「サイ…サクラとここで待機して増援を待ってくれるか?
オレはそれまで少し西の鉱山を調べてみる」

「はい」

頼んだよ…と、カカシはその場にサイを残して去った。

部屋に残されたサクラとサイ。
ナルトの荷物をゴソゴソと見てみるも、クナイの予備やら着替え
それ以外のものは何も入っていなく
サクラが溜息を漏らすと、カンザの荷物を見ていたサイが声を上げた。

「これ!」

陰…と書かれた巻物2本。
開けば何が起きるか解らない為、無理に開き見る事は出来ないが
チャクラが流れるそれは、どう見ても使った形跡が見て取れる。

「カカシ先生の写輪眼で見て貰えれば…何かわかるかも」

「…それと、これ…もしかして」

サイが取り出した紐の付いた巻物。

【尾獣捕獲要項】

と見出しに書かれているソレを、サクラは躊躇いもせずに開いた。

「サクラ!」

「チャクラが流れていないからこれは大丈夫!」

ずば抜けたチャクラコントロールの持ち主は、その巻物に流されている
トラップを見据えて先に見付かった二つの巻物は開けず
この巻物は、いとも簡単に開いてしまった。

長く書き綴られたそこには、尾獣の事に付いての記載があった。

●人に従う事はない為、力でねじ伏せる方法しかない。

●人柱力は器の大きさにより、死亡する恐れがある。

●尾獣は1尾から9尾までで成り立っている…

●一尾は狸の尾獣で…

●二尾は…

全ては…ナルトと共に行動し、同じ班で彼をずっと見てきている
サクラには既に理解出来ている事柄が書き綴られていた。

「紙に書くと…こんなに滑稽になってしまうのね」

「……?尾獣のことですか?」

サイがひょっこりと顔を覗かせると、苦しそうな顔をしたサクラが
首を上下にした。

「人に従わないって…ナルトは九尾と仲良しになったのに…
この巻物、情報が足りないわね…」

「あぁ、そうだね…ボク達は見てきてるから
ナルトの全てを横で見て感じてきてるから…それに勝るものはないよ」

「うん」

指先を巻物に這わし、サクラが文章を次々に読み進めながら
ナルトの狙われた理由を探した。

自由にならない九尾をコントロールしたって噂は
恐らくそこかしこの街に流れてるだろう。

それを狙われたのなら…

「ナルト…」

人柱力の運命を受け入れたナルト…
それを、何度も何度も胸を締め付けながら見守り続けた自分…
サクラがギュッと唇を噛み締めた。

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