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≪ 金糸雀 13 | | HOME | | 天花 7 ≫ |
お待たせいたしました!
天花続きでございます!
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11:逃走
開けた空間に辿りついた覆面の男がきょろりと辺りを見渡し
指を立てると先に行くぞと言いおいて
姿を消した。
ホムラはそれにはついて行かず、ナルトの身体を
一度持ち直すと、スッと足を進めたが
不意に奥の方から獣の唸り声が響いた。
ヒューッと、甲高い口笛の音に 反応した白虎が
両手を広げてまるで獲物に食らいつくかのように
ホムラへと飛びかかった。
「ぐっ!」
体当たりをされてナルトの体がズルリとホムラの肩から滑り落ち
ソレを見計らっていたカンザがナルトの身体をその隙に奪還し
小高い岩へと駆け上がった。
グラリ…と体が傾くカンザの身体をスッと横から支えたのが白虎だった。
「悪いね…良くやってくれた」
スリッと、撫でるとグルグルと喉を鳴らし、キッと目を前へと向けた。
「もう少し付き合ってね?オレ達が逃げる間…この場を抑えてくれないか?」
首を一度縦に振った白虎が、ホムラへと奇襲を掛ける。
その隙に、カンザはナルトを抱え、岩場の奥へ体を滑り込ませ
奥へと消えていった。
「チッ…伏兵も良い所だな」
その後…ホムラと白虎が多少の接触をするも、ホムラの
首への一撃でその場で気を失ってしまい
目を覚ますと、カカシとサスケがそこには居たという事になる。
◆
「カカシ先生!」
自分たちが向かってきた穴の方向へ視線を向けると、サイ、サクラ、ヤマトが
次々と自分に駆け寄ってくる。
カカシは額当てを親指で押上げ、スッと3人を見やった。
「今サスケが追っているナルトは怪我を負ってる可能性が高く
カンザに至ってはどうなっているかは判らない。
もしかしたら、ナルトが操られてお前たちに攻撃を仕掛けてくる恐れもある
ソレを心得ていくように…オレはもうひとつの気配を追う」
「一人でですか?」
「や、サイ…一緒に来てくれ」
スッとサイが一歩前へ出ると、ハイと返事を返し
カカシの後に付いた。
サクラとヤマトは指された先。
洞窟の奥へと向かう道なのかはわからないがサスケを
追いかける事となった。
カカシはパックンに声を掛ける。
「どっちへ行った?」
「…恐らくは丑の方角」
「りょーかい」
ザンと地を蹴り上げ、敵へと向かっていくカカシとサイ
ナルトを追う、サクラ、ヤマト、サスケ
と言う形で各々のやるべき事を成し遂げるために前へと進んだ。
◆
「ナル…ト…大丈夫か?」
大きな岩の裂け目に身を潜めて、カンザが声を掛ける。
上着を脱ぎ、背中の傷からの出血を布で押さえると
もう一度服を着込み、ナルトの体に手を滑り込ませた。
「う…」
「痛むか?」
「痛てぇけど…どうにか、ってかチャクラが上手く練れねぇんだ」
「あぁ、その刀のせいだ…抜くから待って」
内蔵に傷は達していないはずだからと、カンザがクナイを抜き去ると
ナルトのくぐもった声が洞窟内に響かないようにカンザの胸に
ナルトの顔を押し付け、抜き去った。
痛みから、ナルトがカンザの腕を力一杯握り締めたが
カンザは何も言うことなく、その氷刀を鞘にしまった。
腹の中でざわついていた九尾の気配も、どうやら刀が抜かれた事で
落ち着いたらしく、チャクラの乱れもどうにかなりそうだと
ナルトは思った。
「ってて…ったくよーなぁんでオレが刺されなくちゃならねーんだってばよ!」
「悪かった…刀を取り戻すためには必要だったんだ」
解っている、あのやりとりを考えれば
それは十二分に理解できる…あの時…ナルトは表情を曇らせて
カンザの服の裾を引いた。
「ん?」
「わ、悪りぃ…オレさっきアンタのこと疑っちまった」
「……うん、そうだろうね、でも忍として生きるものは疑うことも大事だろ?」
クスッと笑ったカンザに苦笑いでもう一度、ごめんな?と謝ったナルト
確かに忍として…疑うことも大事。
だけど、この男は自分も逃げ出すことに成功している…
なんだか、自分だけ足でまといになってる気がして
ぷくっと頬を膨らました。
「カンザさんってば、誰かさんみたいに頭いいんだな!」
「ぷっ…誰かさんって…誰?」
「カカシ…先生」
「あぁ、あの人は頭で動く人だよね、凄い回転が早そうだと思った
それに…すごく仲間思いのいい先生だと思うよ」
「うん。」
「さて…この洞窟から出なければ事は始まらない…
それに、数人の知らないチャクラを感じるんだ、もしかしたら
向こうの増援かも知れないし、さっさと抜けよう」
その言葉にナルトも神経を尖らせ懐かしいチャクラを感じた。
「サスケ…?それにヤマト隊長か?」
「…知り合い?って事は木の葉の増援って事?」
「かも…でも、この状態のチャクラで感知しても
はっきりと解んねぇ…でも、あのデカ男が近くまで来てる」
ピシピシと感じる圧迫感のあるチャクラ
ナルトに肩を貸し、カンザが割れ目から出ると
ドン!と爆風と共に、その巨体が目の前に現れた。
「へへ…ちょーっと逃げるの遅かったんじゃねぇ?」
にぃ…と不敵な笑みを浮かべ、男が腕を振り上げた。
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12:救出
その振り上げた腕が、降りきる前に…
カンザが瞬身でナルトを抱えて移動すると、男の腕がドカリと
振り下ろされ、その場にピキピキと氷が張った。
「水遁か…」
「ふふふ…お前らは逃げられねぇよ」
指先が素早く印を結ぶ、その姿を視界に入れ
カンザも指先を組み換え、地に手を落とす。
「土遁!土龍壁!」
ズズズ…と地面が這い上がり、ホムラの攻撃がその壁にぶち当たった。
激しい水音と、それを防ぐ壁の奏でる音がピタリと止まると
次の攻撃をこの壁で耐えられるだろうか…と
思考を巡らせている時だった。
チチチチチ…と甲高い鳥の鳴き声のような
そんな音を耳にした途端
壁の上に人影が現れた。
「よぉ…大丈夫かよ?」
「サス…ケ?」
「なんだ、話せる位に回復はしてやがったのか…ったく
お前はいっつも、世話の焼ける…」
刀をパチリと背後に差し込んだ鞘へと戻し
サスケが土の壁を一気に蹴ると、ナルトの横へと降り立った。
「歩けるのか?」
「…おう」
「で…アンタは?」
ちらり…写輪眼で見られたカンザが一気に血の気を引かせた。
「だ、大丈夫だ…」
「なら、戻るぞ」
素っ気ない返事を返したあとに、ナルトの体に腕を滑り込ませ
今度はサスケがナルトの体を支え立たせようとした時だった
「うっ…」
腰に回した手にヌルりとした感触。サスケがその手を見てから
ナルトの体をもう一度元へと戻した。
「サクラも来てる…暫くここで待ってろ…
で、何があったか話してもらうぞ」
ちらり…再びカンザを見る目にゾクリと背筋を凍らせた。
水の国では写輪眼と言うものはない。
実際対峙するのも初めて。
火の国の助けだと解っていても、忍としての本性から
身震いを引き起こす。
「なんだ…アンタ…オレが怖いのか?」
「っ…あ、いや…」
口ごもるカンザにニィと薄く笑ってサスケが続ける
「オレを怖がってるようじゃ、九尾なんて操れねぇぜ?
それを操るナルトも…だ」
「……君たちのチャクラの量には恐れ入るよ」
溜息を一つ落とし、カンザが薄く微笑むと
これから向かう道を、サスケに説明しだした。
「ちょっと、待ってってばよ!なんで…カンザさん逃げ道知ってんだ?」
ジッと見てくるナルトに、ニッコリと微笑んで
「さっきの虎が調べてくれたんだ」
と、回答され、ナルトは納得が行ったようにホッと笑った。
直ぐに、出入り口あたりで声が聞こえ、ミシミシと音を鳴らして
地面が何かを這うような音に、カンザが土遁を解くと
入口側で、木の檻を作りその中に転がっていた男を閉じ込めたヤマトが目に入った。
「ヤマト隊長!」
「うん、皆無事だったみたいだね」
ニッコリと笑って言うヤマトの横から、サクラがスッと出てきて
ナルトの傷を見やった。
「治療するから…服脱ぎなさいよ」
その言葉に素直に従おうとしたナルトの手をパシリと止めたのは
カンザだった。
「今は時間がないから脱出してから傷の手当てを…
取り敢えずここから逃れなければ…」
と、言うカンザに従い、サスケとヤマトに支えられたナルトと共に
その場を離れた。
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