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なつめっぐ 保管場所

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孤城白蓮 5

最終話です。






「のお、カカシよ…いい加減素直にならぬか。」

ベタベタと身体を弄りながら、殿が声を掛けるが
カカシは、無言で触られるがままになっていた。
額当て、上忍ベスト、アンダー…そこら辺に
全て乱雑に散らされ、己より背の低い小太りの男に
何度も舌を這わされる。

忍の特徴とも言える写輪眼は閉じられたまま。
カカシは、1点を見つめる。

「ふん、あの小僧がそんなにいいのか?
あの薬を貰う為に、ここまで晒すとは。」

卓上に置かれた小瓶。
カカシの視線は、その一点に留まっていた。

裸の上半身に刻まれた過去の傷すら
その体を彩るようで、何度触れても
カカシの体は美しい筋肉に纏われていた。
見た目は、ひよろりとして然程筋肉も無さそうな
風貌なのに、脱いだ身体は
喉を鳴らすほど、魅惑的な身体付き。

殿は はぁ と、甘い息を吐き出しウットリとカカシの二の腕を撫でる。

「カカシ…のう、やはりお前が欲しい
たとえどんな手を使ってもだ」

「殿、お戯れをおっしゃいますな…
私の事は、木の葉の里、火影からもお断りを入れた筈ですが?
それとも…私とナルトを留まらせ、木の葉から、攻撃を受けて
耐え切る自信がおありですか?」

「お前達二人だけであれば…どうにかなろう?」

「やれやれ、困った殿ですね…
貴方はご自分の立場を、理解しなければなりませんね。
木の葉に、金銭的助力をしているからとて
あの、ナルトは時期火影と称されている子。
その、時期火影を…慰み者にしたと聞いたら
火影は黙っちゃぁ居ないでしょうな」

外された口布がない、綺麗な唇が
口角に沿って、ニッと笑った。

「さ、思う存分私に触れたんですから
約束通り、この瓶は頂きますよ。」

目の前にいたはずのカカシが既に
小瓶の置かれた机へと移動し、カタリと音を立てて小瓶を
持ち上げ、中の液体をチャポリと一度揺らした。

「まっ、待て!あのナルトがここに留まるなら…お主も
ここに残ってくれるのか?」

「ナルトが、残る道を選択するとは思いません。
例え子息と恋に落ちたとしても…あの子は火影を選びますよ。」

「何故だ!何故そんな事が言える!?」

「私も…いずれ火影になるあの子の邪魔だけは
したくありませんから。」

切なげに笑うカカシが、スッと、額当てを拾い上げ
次いで脱がされた服を拾い集めると
殿の前に膝ま付いた。

「これにて、任務終了です。
報告書には、全て書かさせて頂きますので…
その先の火影の判断に任せます。」

スッと、立ち上がり、殿に背を向けて
襖を、開くと背後から手裏剣が飛んで来る
それを、微動だにしないで襖に刺さったのを確認すると
カカシは薄く微笑んだ。

「忍の事を、甘く見ない方がいい。
それと、子息の為に、一言…あのナルトは
私より数倍強いですよ?」

その場に崩れ落ちるように座り込んだ殿を
見もせずに、カカシは服を片手に部屋を後にした。

部屋に戻る前に、触られた嫌悪感を拭いたくて
カカシはそのまま風呂の方へ向かおうと部屋とは逆に爪先を向けた。

「いい加減にしてくれ!」

バンと、襖が開かれると
カカシは服を抱えたまま立ち止まった。
そこから、逃げ出るように出て来たナルト
カカシは、寝ていたはずと一度頭を働かせた後、ズルリと
崩れるナルトを抱き抱えた。

「ヵ…カカシ先生?」

「ん? あぁ…そうだよ。」

ニッコリと笑うカカシに釘付けになるのも
無理は無いかもしれない。

見えそうで見たことの無い、ちゃんとした素顔が
目の前にあるのだ。

「カッコ…イイ…んだな?」

「は?あー…カッコイイと思ってくれるんだ?
ありがとな…で、何でお前はここに居るのよ?」

そう、何故この場所に居るのか…

部屋に、視線を向ければカカシにも理解できる相手。
親子揃って何してんだか…と
思いながらも、ナルトのチャクラの乱れが無いのを感じ
さほど酷いことはされていないだろうと
カカシは、ペコリと頭を下げた。

「コイツは連れ帰りますんで…
殿と、少しお話なされた方が良いと思いますよ?」

とだけ言い残し、カカシは、風呂に行くのを
断念しナルトを部屋まで運ぶと布団に押し込み
脱いでいた服のアンダーだけ着込んだ。

「なんで、カカシ先生裸だったんだよ…」

なにやら、ご立腹の様なナルトに
カカシは、目を丸くした。

「なに…オマエ、もしかして妬いてんの?」

両頬をプックリ膨らませて、頬を赤らめながら
何時もとは全く違う表情。

まさかな…なんて思いながらも
そんな質問が飛んで来るのは、嬉しい事で
カカシは、ついありのままの質問を投げ掛けた。

「いっ…一応、オレのコイビトなんだろ?
きいたって良いじゃねーか!」

赤くなって、ギャーギャーと叫び出したナルト。
けれど、カカシはそれがたまらなく嬉しかった。

スッと、立っていた身体を折り曲げ、ポケットから取り出した
薬をナルトの目の前につまんで出すと
その物体の中身が解らず首を傾げるナルトに
くすりと微笑んだ後に口を開く

「オレは、何もしてないよ?
ただ、この薬を手に入れる為に脱いだだけだから」

「くすり…!?」

「そ、痺れを取る薬…お前このままじゃ
2日は寝込むからね…」

「なんで、裸になる必要あるんだっ!」

「ま、それは気にしなーいの。
ほら、早く飲みなさいよ?」

はぐらかされた感名一杯の中
瓶を開けると、カカシが先に口を付け
毒見をしてから、そのままナルトへと渡した。

素直に受け取り、グイッと瓶の中身を一気に喉へ流し込むと
キッと、カカシを睨み付けた。

「なんで、オレのクスリのためにカカシ先生が
脱がなきゃならねえんだってばよ!
オレのクスリのタメに先生が脱いだってんなら
理由くらい聞いたっていいだろ!」

「いいよ、帰り道で…ちゃんと話すから
それまでは、大人しくしててね?
明日の昼には出立したいからね?
その道すがら、オマエのさっきのされた事とかも聞かなくちゃならないし
だから、今は、薬が効くように早く横になるんだ。」

でも!…と声にした所で、カカシの両目に睨まれた。
カカシは、基本仲間を睨んだりする事は少ないし、軽くはぐらかす事が多い
そんなカカシの、無言の圧力にナルトは口を開けなくなり
素直に布団に身を沈めた。

布団の中、ナルトは何故こんなに、ムキになってカカシに噛み付いたのかと
自問自答した。
ただの任務でのコイビトの座は
あまりに心地良かったのかも知れない。

この先、帰里してからは、普通の二人に戻るのだ。
上忍で、写輪眼の里の英雄、コピー忍者…
業師…並べたら数知れず。

カカシの噂なんて、嫌と言うほど聞いている。
好きだ、憧れる、恋人になりたい…モロモロの噂は
今迄なら気にも止めなかった…けれど…
そんな噂を今更平常心でなど…

「…今なら、聞けないかも」

「なに?聞きたい事あるの?」

「はえっ!?あ、口に出てた?」

慌てたナルトを横目に、クスリ、と笑って
声に出てたな…と、何事もなかったように本を読み出した。

この気持ちが、もし本当なら…
どうしよう?
カカシに告白をしなければならないのだろうか?
自分は…どうなるのだろうか?

男性に恋愛感情を抱いた事が無い。
それに、今までカッコイイとか、すごいと言う尊敬の念
それだけで彼の言葉を信じ守ってきたようにも思える。
けれど、この感情を知った今、自分はどうすればいいのか。

ただ、傍に居たいだけで彼を独占など出来るのだろうか?


気付かなければ良かったと、痛む心を見ないふりした。

「では、私達はこの辺で。」

ペコリと頭を下げ、回復したナルトと共に
里へと向かう。
半日程で到着するため、カカシが早速と口を開いた。

「あーなんだ…昨日の事だが…猫を助けただろ?
その猫が、まぁ…侵入者対策の為毒の塗られた爪を持ってるんだよねー
でだ…オマエは、それにやられた訳。
ま、そうなって来ると薬の調合も城でやるでしょ?
そこで、薬と交換にってのも変な話だが
鍛えた身体を見せろって言われてねぇ。
他の侍達にも、鍛錬方法を教えてくれとか
その手の話で、服を脱いだワケ。解った?」

カカシの説明に、首を縦に振り、ナルトも話を始める。
カカシが取り繕うのは、ナルトが自分を責めない為であり
なぜ、そこまでやったのか…と、追求させない為にも
その虚言を通すカカシ。
たが、虚言とは時に、自分をも貶めてしまう事だったと
後々後悔する事になる。

「オレ…カカシ先生が居なくなってから半刻位で、気になって迎えに行こうと思ったんだ…そしたら、
あの子息の兄ちゃんが来てカカシ先生が、オレのために嫌な事をさせられてっから
それを止めに行くって…
そしたらよー、言われた部屋には先生の気配もないし
戻ろうとしたら…いきなりさ、なんつーの…
お、オレには事故にしか思いたくねえんだけど…」

暗く陰るナルトの表情に、心乱されたのはカカシの方だった。
リュックを背負った肩を両方がっしりと掴まれ、いつになく真剣な視線が
ナルトを見やった。

「なに…されたの!?」

「な、何ってその…よ、良く付き合ってる奴らがする様な
……き…キスを…」

その言葉を聞いて、はーっと息を吐き出した。

「守ってやれなかったな…すまない。」

「なっ、なんでカカシ先生が謝んの?んなもん、事故に会ったと思えば
別にどーって事…ぶっ!!!!」

カカシの腕の中に閉じ込められ、数日間のコイビトの気分が返り咲く。

「それでも、嫌だったでしょ?」

「嫌…だった…カカシ先生とぶつかった時は何でもなかったのに…」

その言葉に、カカシが え? と、間の抜けた返事を返した。

「先生と、一瞬かすっただろ?
そん時は気持ち悪いとか無かったってばよ?」

その時の事を、思い返せば、己の心の中で満足し
ナルトは、気付いてないだろうと、そう思い込んでいたが…

「嫌じゃなかったなら…オレが消毒してあげようか?」

「…え?あ、っ…あのっ」

しどろもどろになるナルトに
笑って冗談だよってはぐらかすもんだから、
ナルトが、カカシの胸ぐらを掴んで自分の踵を、上へと上げた。
唇が触れる寸前でナルトが、口を開いた。

「消毒より、先生のキスが欲しい」

いきなり、男前に告白をして来て
その言葉にカカシもずっと願っていた絶対に有り得ない
そんな事が、今、叶えられると言うのか…
イタズラっ子のナルト…だからこそ、冗談だよって
逃げるかもしれない。
それも、解っているのに…数ミリ動かせば触れられる唇は
容易くカカシを、誘った。

首を傾け、一文字に結ばれた唇に
マスクを下げて唇はピタリと重なった。

チャクラの揺れが、伝わって来る。
かなり、動揺してるんだろうなと、キスをしながら思った。

思っていたよりも、甘い。

重なるだけの唇から、ナルトの震えが伝わる。
嫌なのか、嬉しいのか、どちらかも解らない状況で
カカシは、薄く唇を開き舌先でナルトの唇をなぞって見ると
予想外にも、ナルトの舌先がチロリとカカシの舌に触れた。

あぁ…

受け入れられたと…

勘違いしてしまいそうだと、カカシの胸中で
葛藤するものの、触れ合う舌はただの本能に従い
絡まり付いて行く。

気が付けば、どちらから口内へと誘ったのか。
互いの中を行ったり来たりを繰り返していた。

とれだけ…望んだだろう。
いずれ、彼は里を担う忍になり
その邪魔をするつもりなど無い。

けれど、傍に。

叶うならば、横に立って共に歩みたい。

はぁ…と、小さい吐息がカカシの脳内を駆け巡る。
んっ…と、声を堪える息遣いに
脳内が痺れて来る。

このまま…一つになりたい。
その願いは、叶わないのは解っているのに
一度叶わなかった事が叶うと、次を求めてしまいたくなる。

名残惜しそうに、カカシから唇を離すと、薄く開いたナルトの口がその
カカシを、追いかけるようにして再び重なった。

「ちょ、ナル…ト?」

「あっ!わっ、悪ぃ…つい、気持ち良くて…」

頬を赤らめながら、言うナルトに
くすっと笑い場の雰囲気を整えると
頭をグシャリと撫でた。


「帰ろうか…」

カカシの言葉に、素直に頷くと
ナルトは、一歩を踏み出した。

任務報告が終わるまで、待っててとカカシから
言われ、壁に背を預けてゆるりと唇をなぞる。
はぁ…甘い息が漏れ出て、ナルトは苦しく込み上げてくる
思いに胸の前で拳を握り締めた。

「苦しいってばよ…」

ポツリと呟き、窓の外を見やった。
空はこんなに青いのに、胸の中だけが
曇り空の様に、灰色がかり影を落とす。
カカシがする仕草、行動の全てが気になり
出来るなら、身体も心も重なって、1つに成れれば…
なんて事まで浮かんでくる。

「オレも大概だってばよ…」 


自分の思いは…カカシにとって迷惑でしか無いだろう…
そんな事を一つ思って、頭を左右に振った。

結局、カカシが珍しく一楽を奢ってくれ
家の前まで送ってもらい、そこで別れた。

何事も無かったように…

なのに

別れ際、路地に引き込まれて軽く唇を重ねて来たのは
カカシの方だった。

ナルトはパタリと、玄関を閉じると、口元を抑え赤面したまま
閉じた扉に背を預け、ズルズルとその場に座り込んでしまった。


孤城白蓮 END

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