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なつめっぐ 保管場所

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霜月 後編

なんだかんだと続いちゃってますw
しかもなかなか、そっちの方へ行かない辺り・・・w
じれったいですか?
じれったいですよねーwwww








木の葉病院、真っ白い病室の中黄色い頭がフワフワと浮いては沈みを繰り返している。
病室の窓から見えるそれにサクラが手をピタリと止めた。
そして握りこまれた手がワナワナと震えていた。

「っく…ん…」

「ナル…も、いいから」

「っは、ダメだってばよ!」

「ね?やめよ…」

「っは…んっ…ヤダ」

そんな会話に、サクラが壊れるのではないかと思うほど戸を引き開けると
ポカンとしたナルトが、額から汗を流し両手を頭の後ろに置いて足はしゃがんだ格好。
カカシはベットの上で枕を背にしてあきれ顔を向けて来ていた。

「こんな場所で修業しないでとっととでてけー!!!!!!!」

サクラの怒声が響き渡るとカカシは苦笑いを向け
ナルトは青褪めて窓から飛び出して行ってしまった。

「カカシ先生もカカシ先生です!苦しいのにナルトの修行に付き合うなんて!」

「いや、見てただけだし…」

と、頭をかく始末。
サクラは深い溜息を落とし、カカシの横腹を診察し始めるが
口はどうにも止まらないらしい。

「あいつ…私の教えた治癒力使ったんですね」

「え?あ~うん、お蔭でオレは助かったようなもんだから、ありがとな?」

「…先生ナルトに大事にされてるんですね」

「は?」

サクラの話では、治癒力は人それぞれに持ってる訳ではなく
ナルトに至っては攻撃を主体とするモノの為、本来治癒に関しては
ナルトのチャクラではどうにもならないのだ。
けれど、唯一出来るのは…

「え?じゃーあれって…」

「チャクラを分け与えるのは、ナルトの生命力からです」

「…ちょ」

「一歩間違えば、ナルトが死に至ると…本人にも言ってありますし
それを了承して使ったんですから私は何も言いませんけど…」

その言葉に、カカシはフーッと息を吐き出した。

「サクラ、お前も随分な技を教えたもんだねぇ…」

「ナルトが、言い出したんですよ?守れる命をみすみす手放したくないと
禁術だと教えてあるし、チョばぁ様の手伝いをしたナルトだからこそ
習得できたんだけど…まさか、本当に使う事になるなんて」

深い溜息を落とすサクラにカカシもガックリと頭を下げた。

「ナルトの前でもう死ぬ事も出来なくなったねぇ」

「そんな事したら今度こそナルトの命と引き換えになるかも知れないですね」

その言葉はカカシに大きく圧し掛かった。
自分を助けるために、ナルトは己の生命力を削った…

「その術は習得させたくなかったねぇ」

「スミマセン…」

「あ~サクラが謝る事じゃぁないよ…オレの個人的感情だから
悪かったね、サクラを責めるつもりじゃ無かったんだ。
ナルトは感情で動く事が多いからね…」

その言葉に切なそうにサクラが首を振った。



数日の入院生活中ナルトは良く通ってくれてたが
あの別れ話はあのままで止まっていた。
ナルトはそれで納得したのだろうか?

傷口をチラリとみてからカカシはベットに置かれたバッグを持ち上げ
部屋を出た。

「退院ですか~?」

看護婦に問われ、長い事ありがとうございますと頭を下げ
カカシは自宅へと向かった。

けれど、やはりナルトが気に掛かり、カカシは踵を返すとナルトの部屋へと向かった。

まだ痛みはあるし、任務にはまだ就けない。
数日の休みと言う事で、カカシはナルトと話し合おうと思ったのだ。

ポケットに入っている己の家のカギと、ナルトの家の鍵が対になって付いて居るそれを
引き出すと鍵を開け、ナルトの部屋に己の荷物を置いた。

「ふぅ…少し動くだけで辛いねぇ…まぁ、死に掛けたんだし…しゃーないか」

ナルトのベットに腰を下ろし、家主が帰宅するのを待った。



「あれ?」

任務帰り、自分の家を見れば灯りが点っている。
ナルトは首を傾げた後、カカシの退院をおもいだし
部屋へと急ぐと戸を大きく開いた

「カカシ先生!」

「あ~お帰り。勝手に上がらせてもらってたよ」

「…傷はいいのか?」

「まだ痛むけど、動かないと本当になまっちゃうからね」

「…そっか、でも何でオレの家?」

「話の途中だったでしょ?
オレ中途半端にしときたくないの
お前が別れる事を撤回しない限りは、今日はとことん話そうと思ってね」

「…もう、別れるなんて言わねぇよ」

靴を脱いで部屋へあがってきたナルトに、そ?と答えて炊き立ての白い飯を置く。

「自分で用意できっから、カカシ先生こそ無理しねぇで座ってろって」

「いいからやらせて」

次々に並べる食事は野菜から魚からドンドンと出て来て
一種のパーティじゃないかと言うほどの量に目を丸くするナルト
カカシがそれを見て苦笑いし、やっぱり多い?と声を掛けて来た。

「多すぎるだろ…どう見ても」

「いやぁ~ナルトがまだ別れるって言い張ったらどうやって言いくるめようかと
そんなこと考えてたら量なんて気にできなくって…ごめんね」

「え?オレのせい」

「違うよ…オレが、どうやったらこのままナルトと居られるか
そればっかり考えてたって事。おまえのせいでもないし、お前が悪い訳じゃぁない」

「……うん」

食事を終え、カカシが荷物を持って帰ろうとしたのを
真っ赤な顔でナルトは引き止めた。

「か、カカシ先生」

「なに?」

「帰るのか?」

「…うん、そのつもり」

「家、居てくれねぇの?」

「…居ていいの?」

「…いていい…ってばよ」

「じゃ…泊まってこうかな?」

「お、おう!」

ナルトが風呂入れて来る!と慌てて家の中でバタバタと動く中
カカシがハーッと息を吐き出した。

「お前解ってないよね…今迄オレがなんで手を出さなかったか…」

歯止めが効かなくなりそうで…怖かった。
そしてナルトに拒否されるのも怖かった…
けれど、それよりも何よりも溺れ堕ちる自分が…怖かったのかもしれない。

一度肌を重ねれば…もっともっと求めてしまう。

それは、予感だけだったものが段々カカシの中に染み込んで
今は己の制御の為に働いていた

けれど…もう、彼を手放すなんて考えられなくなってる時点で腹を括れば良かったのかも知れない

「はぁ…ナルトはどう思ってるんだろうねぇ」

カカシもまた…触れあわない事に気持ちをゆら付かせていた。
ただ、制御心が人よりあるお蔭で、表情にも出さなければ態度にも出はしなかったが…
繋がりたいと言う思いは、カカシの心の中ですでに目覚めているのだと
ナルトに伝えるのが怖かった。

「せんせ~風呂沸いたぞ~」

「あ~うん…じゃー頂こうかな」

痛む脇腹を抑え、ナルトの促すまま初めてのお泊まり。
彼の命で、自分の命がここにある。

それを噛みしめてカカシはシャワーを浴びた。

「流石に浴槽には…入れないでしょうに」

クスッと笑って中に手を入れてパチャっとかき混ぜて苦笑いを漏らした。
良いお湯だったと、上がって来たカカシに変わり
ナルトも入浴を済ませると、シーンとした空間が出来上がり

ナルトがそわそわと、カカシを伺う。

「何よ…」

読んでいたイチャイチャを閉じると、ナルトを手招きする。

「な、なんだってばよ」

「お前何そんなに緊張してるのよ…」

「う…いや、あのさ…聞きたいことがあんだ!」

「いいよ…元々ゆっくり話そうと思ってたし、で、なに?」

ギシッとナルトに横になれと勧められたベットで上半身を起こし
カカシがナルトの腕を引き、そのベットに座らせた。

これまでゆっくり過ごす事が少なかった…
お互い任務に追われていることもあったが…やはり、カカシもナルトも
互いにどこか遠慮をしていたのかもしれない。

いや、ナルトに至ってはどこまで踏み込んで良いのかすら解らなかった。
カカシの表情に出さない所も解っているつもりだが
それでも不安は募るものである。

「オレさ、先生のコイビトでいいんだよな?」

「良いんだよ、と言うかそれ以外の呼び名なんていらないでしょ」

「え?」

「お前はオレの最愛の人だって、ちゃんとお前に伝える事を
ためらってたのもあるけど。お前に別れるって言われてさ…
情けなく成り下がった自分を見ちまったら、お前以外もう、恋人には出来ないでしょうよ」

その言葉に真っ赤に染まったナルトが小さくウン…と答えた。

「木の葉一の忍者とは良く言ったもんだな…オレはナルト、お前の一言で
こんなに簡単に崩れちまうのに」

苦笑いを零すカカシにナルトがギュッと抱き付いた。

「おい…ナルト?」

「先生が死んじまうと思った…」

その言葉に先日の事を思い起こす。
そして、ナルトの取った行動…

「お前ねぇ、幾らオレの為にって言っても、自分の命削って人を生きながらえさせるのは
止めなさいね?人には天命ってものがあるんだ…お前が天命を全うせずに
死ぬのはオレとしては頂けないんだよねぇ~
だから、これからはオレも簡単に命をくれてやらない…だからお前も
これだけは約束して?」

「オレカカシ先生死んじまったら、生きてられねぇもん…」

「もん…って」

「オレはカカシ先生が生き長らえるなら、オレの命を捨てても良い
けど、カカシ先生がオレのせいで命を削るのは嫌だから…先生の言いたいことも解る
でもさ、それは了承出来ねぇ…」

「そう…」

嬉しい事なのだろう…けれど、この忍びの世界は生が、死が常に付きまとう世界。
カカシの部下だった暗部の忍びも無論家族も恋人も…強くなればなっただけ
目の前から消えて行った。

「オレもナルトが居なければ…生きてられないかもね」

その言葉にナルトがへへへ…と照れ笑いを零す。

「あ~どうしよ」

「は?なんか忘れもんでもしたのか?」

「違うね…お前が可愛くて、凄くキスしたいんだけどさ」

「はぁ!!?なっ、し、したけりゃ…すりゃぁいいだろぉ」

「ん~それがさぁ~最近ずっと禁欲生活だったから
ちょーっと、オレの自制心が役にたたないんだよねぇ」

「何で…」

「え?」

「何で自制する必要あるんだってばよ!」

真っ赤になったナルトに言われて、プッと噴き出したのはカカシだった。
あぁ…今まで何のために我慢してたかなんて、今の一言で吹っ飛んでしまった。
それよりも、後悔が押し寄せて来る。

「そうだね、自制する必要なかったか…でもさ、今は自制しないと 傷がね…」

まだ、毒は綺麗に抜けたが傷は縫ったまま…糸が弾ければ
間違いなくあの白いベットの上に舞い戻る事になる。

「んなもん、コンジョーで治るってばよ!」

「…お前は根性で治るかも知れないけど、オレは治らないの。
ま、今日はナルトもそういう事をしたいってのが解ったし…
治ったら、抱くからね?」

「はえっ!?な、なんでそうなるんだってばよ!そ、それに…したいなんて一言も言ってねぇし!」

腕の中で挙動不審なナルトをクスクスと笑いながら見やって
耳元に声を届ける

小さく…

  掠れたような声で

愛を囁くように…

「自制、しなくっていいんでしょ?」


「っつ…!」

その声に腰がジンとしてくるのを自覚したナルトが
それを逃すために声を大きくする。

「ずりぃぞ!カカシ先生!ンな声で…言われたら…」

「ん?なに?」

「っ、もう知らねぇってばよ!」

抱き付いてた体を離し、そっぽを向いてしまったナルト。
背中を向けられたカカシがそっとナルトの腰に手を回し
顎を肩に乗せると耳の傍でクスクスと笑う。

「耳まで真っ赤だぞ?」

「んあぁ!うっせー!ほっとけってば!」

ジタバタともがくナルトを抑えてると、傷口がツキリと痛んだ。

「っつ…」

声にならない声が背後で発せられ、ナルトが慌てて振り向くと
カカシが脇腹を抑えながら苦笑いでこちらを見ていた。

「お前可愛すぎて、ちょっかい掛けたくなるんだよね~…これじゃぁ、傷も治らないかな?」

「ばっ!ばっかじゃねぇの!ほら、横になれって!」

ソッとカカシの体を布団へと寝かせ
ナルトはそこにポスンと座った。

「先生喋んなよ?」

「は?」

「いいから!」

「はいはい…」

布団に押し込められたカカシが、クスクスと笑いながらナルトの言葉に耳を傾けた。

「オレ…さ、家族ってどんなもんかも解んねぇし…カカシ先生みたいに頭いい訳でもねぇから
言わなきゃ解んねぇし、先生が何考えてるのとか…
オレの事………どう思ってるのかも、正直解んなかったんだ」

その告白にカカシが息を飲んだ。
最初は惰性に近かった気がする…ナルトと言う教え子を守ろうとはずっと思ってはいたが
それが恋心だったとは言い切れない。
ただ、彼を知っていくうちに引かれ胸が焦がれ…周りの言葉に翻弄されるほど
気になっていたのは確かで、その相手の男に己からナルトになり替わり
付き合ってないなんて事まで言った…
本来であれば、自分は好きな相手でもそういう事は自分でけじめを付けた方が良いと
やらなかっただろう事…。

色々と考えてるうちに、ナルトを好きだと自覚して…
そしてそれを伝える事を、怠ってた気もする。

「でな…まぁさ、男同士だしそう言うもんだって思ってたら
違うらしくってさぁ~カカシ先生とその…なんつーの?ホラ
あの…」

「セックス?」

「ぶっ!人がぼかしてるのに、単語で言うなっ!ってか、喋んな!」

突っかかって来るナルトが耳まで真っ赤にして、その言葉を探す姿も
凄く可愛い…抱きたい…そんな願望がどんどん芽吹くカカシの胸中など知らず
ナルトは話を続けようと、息を吸い込むもんだから仕方がなく返事を返した。

「はいはい」

「だから、そう言う事もしてねぇし…そりゃぁ、ちゅー位はしてたけど
でもさ…それ以上に先生は何もしてこなかったから…オレからすればいいのか?
それともカカシ先生は…なんて悩んでたらさ
カカシ先生が任務でオレと付き合ってるって…言われて。」

「…だから別れるって事になったの?」

「うん、だってオレはカカシ先生が好きになって来て
嬉しかったし楽しかったけど…任務でそういう事をしてるなら
楽しくもねぇし…先生は無理してんだって思ったらさ」

「無理…ねぇ」

「だから…それなら別れた方が良いって」

後ろから見ていると、見る見るうちに頭が項垂れて沈んでいくナルトに
カカシがクスッと笑った。

「喋んなって…しかも笑いやがって…」

「あ~はいはい、喋らないでーす!」

「バカにスンナって!」

「してないよ…聞かせてお前の気持ち」

その言葉に、ナルトはグッと手を握り締めた。

「オレ…カカシ先生が大好きなんだ」

その言葉で締めくくったナルトをグッと引いてカカシは己の寝転がってた
場所に引き込んだ。

「うわぁ!」

「オレの方が表情に出ない分、もっと好きかもよ?」

「なっ!」

それの方が好きだって!と互いに譲らない秋が
冬を迎えようとしていた。

FIN


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