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なつめっぐ 保管場所

倉庫です。

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師走

お待たせしました!
師走…ええ、師走です!12月ですよーw

ちょっと、前のと続きと言う風でもないような?
なんとなぁく?
と言うような

寒さが身に沁みて来たので、温かくしてみましたw

では、どうぞ








ぱりっ…

  ぱりっ…

氷の割れる音。


ミシッツミシッツ…木が寒さから身を守る音…

そんな音を奏でる森は静かに揺らいでいた。


【師走】

穏やかに日は過ぎ、12月の冷たい風が吹き抜ける。

風が頬を刺す様に通り抜けると白い息がはぁ…と舞った。

「風邪ひくぞ」

「ん…帰るってばよ」

片手を差し出したのは、はたけカカシ…
里の宝と言われ、木の葉の中に知らぬモノなど一人もいないだろう。
強さを誇示せず、飄々としているが戦闘となると周りが敬うほどの力の持ち主。

そして…その傍らにいる男
うずまきナルトも、彼と同様名を馳せている。

里の次期長候補…

そんな二人が連れだって、鉄の国を視察に来ていた。

と言うよりは…キラービーに呼ばれて来たと言うのが正しいか。

忍界大戦で、互いの里のわだかまりは消え
互いを認め許し、現在は友好関係にある…

それも全ては、ナルトを初めとする、里の人間たちの努力の証でもある。

「カカシ先生…手、つめてぇな」

「ま、冬だしね」

差しのべられた手を取り立ち上がるとその手を繋いだまま
その場で風を受けた二人の髪が揺れる。



執務室での談義に、いい加減飽きたとナルトが少し前に執務室を出た。
無論ビーも付いて来る予定だったが大事な会議中だと雷影にとめられてしまった。
到着したばかりのナルトには暇でしかなく、作業内容もある程度の事は既に聞かされていて
その作業も明日から…となった今、
里の案内でもしてもらおうと思ってたが、里を知るものが居なければそれは不可能。
だったら自分でとナルトは里の中を駆け回っていたが
ある程度見渡せば、今度は景色のいい場所を探した。

ゆらゆらと揺れる、草木に自然と体が吸い寄せられるように向かって
そこで休憩と腰を下ろし大きく肺に空気を取り込む。

ごろりと横たわればそこにカカシの足が見えた。

「風邪ひくぞ」

その言葉にも、嬉しかったが自分を真っ先に探してくれる存在が何より心を温めてくれる。
胸がホカホカと温かくなった気がしてナルトの頬が緩んだ。

「にっしっし」

追いかけて来たのが、ウザったかったか?と気に病んでいたカカシだったが
どうもそうと言う答えを導き出すほどナルトの表情は暗くは無くて
ホッとして声を掛けた。

「なぁに笑ってんの」

そう言いながら横に座ったカカシにナルトが見上げながら声を掛ける。

「良くここが解ったな?カカシ先生」

「あ~まぁ、お前のチャクラは嫌ってほど知ってるからね」

相変わらず飄々とした雰囲気で語るカカシにニッと頬を持ち上げナルトがカカシの足に
頭をグッと押し込み膝枕をすると、ごろりとカカシの体の方へと頭を向け覗き込んだ。

「ちょ…なによ?」

腕を少し上げ、自分の膝で膝枕しているナルトの顔が見える様にして声を掛けると

「べっつにぃ~?」

なんて、そっけない返事が帰って来るが…
全く…何年この子と一緒に居ると思ってるのか…

「……ナニ企んでるのよ」

企み顔をしたままのナルトが、グッと顔をカカシの腹へと押し込んだ。
甘えるような…そんな事を今まで一度も、いや…してくれてはいたが
これほど密着するのも珍しくてカカシが慌てた声を上げる

「ちょ…」

そんなカカシをよそに、ナルトがポツリと声を上げる。
ベストへ顔を押し込んでいるから、通る声がくぐもってはいるがカカシの耳へ声を届けた。

「なぁ、カカシ先生…」

「なに?どうしたのよ…」

何かあったのだろうかと思いながら聞き返すと、かなりの間を使い
ナルトは次の言葉を吐き出した。

「オ…レ、もう…良いってばよ?」

「は?」

その言葉のやり取りにカカシの方が困惑を隠せなかった。
何が良いのだろうか?
こんな野原で甘えて来るナルト…その金髪をスッと撫でた時にハタと気が付いた。

「良いって…ナルト?」

ただ、それは気付いて期待してはいけないと思ってた事…慌てて聞き直すと

「解んねぇならいいってば!」

その、頬を赤らめた怒り口調にカカシの頭がフルに回転する。
その言葉の先に何があるのかを確りと理解すると、ふにゃりと頬を緩めた。

「ん、解ったよ…お前、やっと答えだしたんだね?」

さらりと髪を撫で、微笑むカカシにナルトは顔を押し込んだままで告げる。

「…答えっつーか、さ…やっぱ、カカシ先生とそうなっても良いと思えるし
だから、早く先生に伝えないとと思ってたんだけどさ…その…」

その時だった…

『なんだ、言えなかったのはワシのせいだとでも言いたそうだな』

腹から聞こえる声に、ナルトがビクッと背中を震わせた。
カカシの膝から飛び起きていきなり腹に手を当てて叫んだ。

「何でこんな時に喋るんだってばよ!このアホ狐!」

『ええい、煩いわこのこわっぱが!』

と、頬を緩めているカカシの横で一人?喧嘩が始まってしまい
カカシは、ハハハ…と、薄い笑いを零すしか出来なかったが

ナルトが腹を括った…その思いに、カカシが今度は自分の世界で頬を緩めた。



遡る事数日前…
キスは何度も繰り返していたが、その雰囲気に従うまま
カカシはナルトの体を、壁に押しやり自分の足をナルトの足の間へ押し入れると
舌先をゆるゆると動かしてナルトの中を堪能した。

ナルトも何度も、カカシの舌先と出会うと絡め、軽く吸っては好意…と言うモノを
示せるようになったナルト。
それに気を良くして、もう少し先へ進んでも良いだろうとカカシは
ナルトの薄い腰へと空いた手を滑り込ませ、ゆるゆると撫で上げて
ナルトの体を調べる様に動かしていた…

その時の、ナルトの声

「ん…カカ…先、だ…ダメだってばよぉおおおお!」

ドンと、押し返された。
カカシも驚いたがナルトの目はうるりと潤んで、頬を真っ赤に染め上げ
先程まで奪い合っていた呼吸を、やっと自分のペースで出来ると
ナルトははぁはぁと荒い息を吐き出した。

年齢的にもまだまだ、知らない事が多いナルトに対して
カカシは、知ってる事が多いために自制と言うモノを使わなければ
この恋愛は成り立たなかった。

それも承知で付き合っていたはずなのに気が付けば
ナルトの何かに引き込まれるように、まるで今まで付けていた
鎖帷子を脱がされるかのようにひん剥かれる。

(オレの自制心…もう少し強いはずなんだけどねぇ…)

なんてカカシが心の中で呟いた所で、今しでかした事は無かった事には出来ない。

「その…悪かったよ、ナルト…」

髪をポリポリと掻きながら出来るだけナルトを脅えさせない様に…

そんな所には気配りできるくせにと自分で自分を諌める。
その時にナルトが吐き出したセリフ…

「その、あのさ…先生とそう言うコトしたくないって訳じゃねぇんだってばよ?
なんつーかさ、心の準備っつーの?ってか、そのさ、そう言うの知らねぇ訳じゃ
ないんだけどよぉ…」

とまぁ、とめどなく言い訳がましいセリフの羅列にカカシが苦笑いを零した。

「うん、嫌われなくて良かったよ…悪かったね、ちょっと盛っちゃったね?」

「盛っ…!!!!先生ストレートすぎるってばよ!」

「そ?…まぁ、まんまだし、ナルトに欲情したのは確かだしね?」

その言葉にウッと声を詰まらせたのはナルトだった。
真っ赤に染まって、下を向いて…恥ずかしさから逃げ出したいのだろう。

「……ってばよ。」

「え?」

「オレ決心付いたら先生に言うからもう少し待てってばよ!」

カ~ッと首筋まで真っ赤に染まったナルトが顔を隠しながら叫んだ言葉に
カカシがクスリと笑って、頬にキスを送った。

「ホント…お前可愛すぎ」

ギュッと抱き締めて、体温を感じるだけでカカシはそっとナルトを離した。
耳元で、男っぽい低い声でまるで周りを魅了するのではないだろうかと思うような
そんな声でカカシはナルトに待ってるからね?とだけ伝えた。

その声と吐息が耳にダイレクトに響くとナルトの腰のあたりがズンと重みを増したように感じた。

「う…なんか、カカシ先生ってば、エロイ」

だが、それが何なのか…言葉にしようと思っても表現できずに
エロイと言う率直な言葉で叫んでみると、いけしゃぁしゃぁとカカシは言葉を返す。

「ん?当たり前でしょ?お前の前なんだから」

その言葉に、真っ赤になったナルトがさらに赤みを増しながら一歩下がって
追い込まれた猛獣の様に食って掛かる。

「ひゃぁ~なんて事言うんだってばよ!そうやって女の子口説いてんだろう!カカシ先生のタラシ!」

その言葉に一瞬きょとんとしてから深い溜息を吐き出した。

「…何でそっちに変換するのよ、ったく。残念だけど誑し込みたいのは、オ・マ・エだけだから」

薄く笑うカカシ。
その表情にナルトがとうとう先程押し付けられた壁までジリジリと下がり
逃げ場がない事を悟ると、顔色が急に青褪める。

それを見て取ったカカシが、溜息を吐き出しながらナルトを追い詰めるのをやめて
雰囲気を変えようと飲み物を差し出して事なきを得た。



そんな前回の失敗談を思い出してその時に約束された…
あの言葉が今こんな場所で聞けるとは思ってもなかった。

――オレ、もう…良いってばよ?――

その言葉は別に無理やり言わせた訳でも無く自然とナルトが口に出した。
もう、それだけで心が温かくなるのは
今迄の恋愛でもほとんど経験のない事だった。

既にあの時の事は殆ど忘れてるかもしれないとまで思ってただけに
思い出すのに少しの時間を有した。

なにせ、期待していると裏切られたとか、そう言う思いに支配されそうで
だから…覚えていたい言葉にワザと封印をした。
その日が来ないかもしれないと…だったら違う方法で接すればいいと
まさかこんなに早くナルトの心が決まるとは思ってもなかったと思った途端

カカシが深く息を吐き出した。

「なぁるとぉ~」

「ん?」

「お前ねぇ…ここで言われても、お前を抱ける場所ないじゃない…」

本気で言ってるのだろう、きょろきょろと辺りを見回しながら言うカカシに
ナルトが真っ赤になって叫んだ。

「ぶっ!んなもん、帰るまで待てってばよ!」

ごもっとも…と言われるような自制を促すような言葉にカカシはあっさりと

「待てると思う?」

と、ナルトに問いかけた。

「は?」

驚いた表情のナルト…そして今現在は鉄の国…国内を見て回ってないカカシには
どこに何があるのかは一切わからない。
そんな中に告げられた嬉しい言葉は、欲望に従う事に従順だった。

「オレ結構我慢してるの!すっごーーーーーい、我慢してたの!」

子供じみたように叫ぶカカシにナルトが若干引き気味で声を掛ける。

「ちょ、カカシ先生?」

そんな焦ってるナルトにお構いもせずきょろきょろと辺りを見回したと思えば…

「どっかにホテルないかな?」

などと、ぶっ飛んだセリフを吐き出すではないか。
ナルトは慌ててカカシの前に出て前を遮り、真っ赤な照れた顔よりも貞操の危機
と言わんばかりの表情でカカシを止めに入る。

「ちょ、マジ先生盛りすぎ!帰るまで待てって!」

そう言いながらナルトがカカシの前に出ると

「だーかーらー待てないの!」

と、しゃがみ込んでナルトの両足を掴むとグッと担ぎ上げ
ナルトの体を肩の上に収めると木の上に飛躍した。

「ってうわぁああ!離せってばよ~!」

まるで、お持ち帰りされてるナニか…のように
カカシに担ぎ上げられ、どこかに消えて行った二人。

翌朝戻った二人には任務が与えられ、それぞれにそれをこなすと
その翌日には帰れる事が決まった。

思ったよりもナルトの影分身のお蔭で作業もはかどり
ビーの手伝いはあっと言う間に終わりを告げた。

数日前に立ったこの場所。
あれからカカシと会う事は有っても、然程会話もできる状態ではなかった。
なんだかんだと仕事を任され、お互いに走り回ってたと言うのもあるが
ナルトが照れから逃げ腰だったと言うのも含まれている。

カカシも任務中は追う事はしなかったが
最終日…流石に一人にしておきたくないと思っいナルトを迎えに出たのだ。

「風邪ひくぞ」

ザッと木々が歌うように葉を揺らす中、ナルトがゆるりと微笑んだ。

「ん…帰るってばよ」

その言葉にホッとしたようにカカシが右手を差し出し、その手にナルトが
己の手をそっと重ねた。


「カカシ先生…手、つめてぇな」

その一声にカカシがニッコリと笑って答えた。

「ま、冬だしね」

至極当たり前のこと。
冬は寒さが身を裂くように襲いかかて来る。
そんな中繋がれたてだけがジワリと温かくなってくる。

「木の葉に帰ろう」

その言葉にナルトが一つ頷き、鉄の国を後にした。






FIN

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