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すごく思い出しながら書いたモノなので…微妙にと言うかほとんど?
元のストーリーと離れてしまった感否めませんがw
皆様には初お目見えのはずなのでw
お許しください><;
復活祝い第一作目?w
6/4 続きUP
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単独行動などとる男ではないのに、相談もなしに何かをする兆候に
サスケが名を呼ぶ。
「カカシ!」
その声に視線だけを向けて、フッと笑うと
「ちょっと、探りを入れてみる…オレの影分身だったらやれる事もかなり多彩だからね」
千の技を持つ男が3人に分裂すれば、それなりに情報は収集できる。
ましてや、写輪眼と言う特異の眼も持ち、それを使いこなしている。
叫んだサスケが溜息を吐きながらその言葉を受け入れ
サクラとイルカの傍へ足を進めた。
「こっちはこっちで作戦を練らねぇとな」
コクリと頭を上下させる
二人の返事に、頭を突き合わせる形で会話を進めていく。
そんな中一人指先を組んだままのカカシがジッと見詰めていると一瞬…ほんの一瞬歪む結界に目を見張った。
「サクラ…頼みがある」
三人で話し合いをしている中、カカシが声を掛け
その声にサクラが顔を上げた。
「はい…カカシ先生どうしましたか?」
ちょいちょいと手招くと、サクラがカカシの横まで身を乗り出してくる。
「結界…ほら、あの結界の林に続く一部分…さっき歪んだように見えたんだ。
サクラはチャクラを上手に扱えるでしょう?悪いけど、そこの歪んだ場所を
監視してて欲しいんだよ…」
と、言葉を吐き出すとスッとカカシの横に並び、その場所に視線を向ける。
同じく赤い瞳が今度は両の眼から睨み付けられる結界…
けれども歪みは生まれなかった。
「歪むって事は、チャクラが一定じゃねぇって事か?」
腰に刺した刀を手で押さえ、片足を岩に乗せたサスケが問うと
カカシはその場で腕を組んで答えた。
「あぁ、恐らくは何かの拍子に歪みを生むのだと思う…
その歪むタイミングがもしも一定なら…その隙をつけるかもしれないでしょ?」
その言葉に、イルカも前方を見据える。
「あの中にナルトが…」
ポツリと呟くと、サスケが一瞬チラリとイルカを見やったが
カカシは一切視線を向けずに、結界をただ見つめていた。
その姿に、チッと苛立ちを乗せた舌打ちがされるが、それすらもカカシは反応を示さなかった。
「影分身が帰ってきた…ここから前方50m先に井戸があるらしい…そこが結界を緩めてると
報告があった…出来れば見て来た方が良いな…」
カカシが影分身から得た情報を口に乗せて説明すると、手袋をギュッと上に引き上げ
身支度を整える。
別段だらしなくしている訳ではないが、何かに挑もうとする時は
何かしら落ち着かないものがある。
恐らくカカシもそれなのだろうと、人間観察の得意なイルカが頭を過らせていた。
「あの…私が調査に向かってもよろしいでしょうか?」
イルカの声に一斉に皆の視線がイルカへと向かった。
◆
「くそぉ…んな所で野垂れ死って訳にはいかねぇってばよ…九喇嘛…聞こえるか?」
はぁ…と、短く息をつくと
ナルトはジッと答えを待った。
『あぁ、聞こえる…が、ワシにこの結界はどうにも出来ん…ワシの力を最大限まで
抑え込んでいるんだ。』
その言葉と、そしていつもよりも遠くで話しているような距離感にナルトが首を傾げる
「どういう事だ?」
『お前の飲んだ薬は、恐らくワシとお前の精神を切らせるもの…ワシをお前から引きずり出そうと
目論んでいる奴がいるって事だな…流石に、このワシでも気配が読めない程の結界…それを』
「おい?九喇嘛!?」
話の途中で途切れた声に話しかけても、返答は来なかった。
「くそっ!こうなりゃ意地でも自力で脱出するしかねぇってばよ!」
動かない体…滲み出る汗…何もかもがナルトにとって不利ではあったが
飛びそうな意識を唯一繋ぎ止めているのは、イルカに変化した男が刺した傷の痛み…。
「今しかねぇ…この機会を逃せばオレは、逃げる事も出来なくなるかもしれねぇってばよ」
グッと、動かない体を奮い立たせゆっくりと体を起こした。
石で出来たようなベットのような硬い場所からずり落ちる様に地面に尻を付き
手で体を支えながら、その場所から逃れるようにナルトはそこを離れた。
いつ戻るかわからない男の気配はまだ感じてはいなかったし
先ほど感じたカカシの気配…一瞬だが
必ず傍まで来てくれていると…そんな確信があった。
「ンな所でへばってたら、カカシ先生に笑われちまうってばよ…」
外へ出ると、漆黒の闇があたりを埋め尽くしていた。
そして、今が夜なんだと理解するとナルトはジッと人の気配を探る。
辺りは廃墟のような建物が点在し、そこからは人の気配を読み取る事が出来ない。
自分が今出来る事は、この場所からの脱出。
『ナルト…』
「九喇嘛か?」
『すまん、この村のことを思い出した…今から数十年程前に廃墟になったが
この場所は、火の国を守る結界の場所だ』
「結界の場所?」
『結界を火の国全体に一度張った事があった…その拠点とされていた場所がこの里。
結界術に長けた人間がこの場所で、ワシの侵入を抑えたんだ』
「は?」
『ワシが…この里を薙ぎ払ったんだ…』
「…お前が?」
『奴らの恨みは、恐らくワシに向けてだろう…ナルトお前は巻き込まれたんだ
ワシは当時、誰のモノでもなかった…そして誰もワシを止める者など居なかったのだ。
当時のワシはやんちゃでなぁ…少々反抗期だったんだよ』
「…狐の反抗期かよ、ったく性質のわりぃ」
歩きながら話していたが、どうも呼吸が落ち着かずナルトは少し入った竹藪に身を隠した。
忍者なのだ、多少の隠れ身など容易い。
だが、相手も忍者…簡単に見つからないようにチャクラを最小限まで抑える。
それからも九喇嘛の話は続いた。
目の前に見える塔。
石で積み上げられたかなりの高い塔…そこだけがこの里の中で唯一人の気配を持った場所でもあった。
その塔が、実際結界に使われた塔。
そこの頂上にある結界石と呼ばれる石が祭られていて
その石がかなりの力で結界を手助けしているとの事だった。
「うっし!あそこの塔へ登れば何か解るかもしれねぇ…カカシ先生達もきっとこっちに向かってるはずだ
あそこからなら、見渡しも良いし、結界石の場所でもある…絶好の場所だってばよ!」
『ただし、ワシの力は恐らくあそこでは発動させる事は出来ん…
あの場所ではワシの力が封じられる…』
その言葉にふーっと息を吐き捨て、ナルトは手を何度か握ったり開いたりを繰り返した。
「うっし!行けるってばよ!行くぞ九喇嘛!」
九喇嘛の答えを待たずして、ナルトは足を踏み出した。
覚束ない足取りではあるが、確実に前に進もうとしている。
そんなナルトに九喇嘛は声を掛けずにいた。
【紫陽花 7】
がさり…音を立てて茂みが揺れると
そこから黒い影が足音も立てずに、井戸の淵に手を掛けた。
パチリ…と音をたて指先がはじかれて溜息を落とす。
「ここも結界か…でもかなり緩い…少しチャクラを注げば…」
ふぉん 手から出されたチャクラが糸のように井戸の入り口を揺らめいた。
その糸が、結界をあっさりと通り抜け、井戸の中へと吸い込まれるように入っていく。
ゴクッ…飲み込んだ唾液が喉の奥へと流れていった。
「井戸に水が張られていない…となると、この井戸はもしかしたら町に繋がっているかもしれない
すぐにカカシさん達に伝えないと…」
プツリと糸を切ると、見る見る間にその糸が消え、イルカが足を翻し
来た道を戻った。
無理にこじ開ければ発見されるがあれほど細い糸を通した所で、あの結界の緩さであれば
揺らいだとしても気付かれないと言う判断でイルカが先に捜索をした
その捜索結果を持ち、カカシ達の待つ街の入り口側に向かった。
「…と言う訳です」
イルカが伝えると、サクラも同じくして声を上げる
「カカシ先生…一定の期間で結界が揺らいでます。」
「そう…どっちの道が正しいか…って所だな」
顎に手を当てふむと一つ考えると、サスケがスッと前へと足を踏み出した。
「同時に突っ込めばいいだろ?」
その提案に、カカシが一考すると口を開いた。
「…それだと、逆に結界に拒まれる可能性がある…
この里の事を思い出したんだよ…数十年前に、妖からの攻撃を防ぐために
この里を中心に結界を張った…結局その結界よりも妖の方が強く、この里は真っ先に攻撃を受けた
その時に、この場所の結界があったお蔭で木の葉の里まで影響を受けずにいたが
この里は壊滅…当時この里に居た者達は地方に散ったと聞かされている。
そこを考慮した上で、結論付けると生半可な攻撃や侵入方法では、
逆にこっちがやられる可能性を持ってるってこった…」
ハーっと息を吐き出しサスケが目に見える歪んだタイミングを潜るか
井戸の緩まった結界を壊すかと…ボソッと呟くと
イルカが一歩前に出てくる。
「なぁ、サクラ…あの歪みってのは弱い時でどれ位緩むか解るか?」
「…そうですね、恐らくは私のパンチ一つで壊れる位は緩みます」
その言葉を聞きながらイルカの視線はその結界へと向けられていた。
「だったら、井戸の中を通って何か仕掛けがしてある可能性のある危険な道より
こっちの結界を壊して進んだ方が良いのかもしれないですね…
サクラのチャクラを使い、私の結界を二重に掛ければ相手に結界を
壊した事を悟られる前に入り込める可能性がありますし…」
「そうね…それで行こうか、サクラとイルカさんはこちら側で結界を守る
その間にオレとサスケで中のナルトを救出すると言う手筈でどうだ?」
カカシの言葉に、イルカが何かを言おうとして、その言葉を飲み込んだ。
(今はダメだ…オレが行った所でカカシさんやサスケの邪魔になっては意味がない…
ナルト…傍に行ってやれないけど…お前を待ってるからな?)
グッと手を握り締め、イルカは結界の向こう側を睨み付けた。
◆
「くっ…」
吐く息が、荒くなっているのは自分でもわかる。
けれど前に進まなければと、ナルトは一歩一歩前へと足を推し進め
どうにか塔の少し手前までたどり着く事が出来た。
「なぁ…九喇嘛」
少しの期待を胸に告げた言葉に返事は帰ってこない。
ざぁぁ…と、揺れる草木の音だけが辺りを支配してるこの場所で
ナルトは呼吸を整え、前を見やった。
大きく聳え立つ、青白い建物。
首を大きく上に向けなければ見えてこない頂き。
「…アレを登るのか、チャクラはさほど切れてねぇにしろ
オレの感知能力はそこまで高くねぇし…九喇嘛はだんまりだし…」
そこまで言うと、一つ考え込んでから、ニッと笑いを浮かべて息を吸い込んだ
「仙人モードで突っ込むのが一番だってばよ!」
吐き出す息とともに告げた言葉…ドスンと、勢いを付けて座った地面。
ひんやりとした冷気を孕んだ草の上でスッと青い瞳が閉じられた。
「自然エネルギーを練ってる間、九喇嘛…この塔について教えてくれねぇか?」
『………』
「やっぱ、ダメか…くそっ」
舌打ちを一つして、ナルトはゆっくりと自然エネルギーを
自分の中へと取り込んでいく。
段々と感覚が鋭さを増し、その増してゆく鋭さと共に目の周りに隈取が現れて来る。
『ト…ナル…ト…』
微弱に聞こえて来る声にナルトがそちらへと神経を集中させる。
「九喇嘛か…?」
『主の、体内の薬が効いてて、ワシまで制御してる…
だからここから先の塔の中では恐らく一切話は出来ぬものと思え』
「……中が結界を張ってるって事か?」
『中は…結界の主たる場所…ナルトが入れるかも解らぬが
中では一切ワシの力は通用せぬ、それを心しておけ』
「おう、解った」
ナルトは、一度息を吸い込み目を見開くとギロリと金色の瞳を向けた。
眼の色が碧から金色に変色し、瞳孔が変化をまざまざと見せつけて来る
「ふぅ…やっぱ、まだ苦しいけど…ンなこと言ってらんねぇからな!」
ザッと地を踏みしめ塔の入り口へと足を向けた。
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