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なつめっぐ 保管場所

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紫陽花5

なんだか、おかしいので作り直しです><;
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【紫陽花 8】


結界が歪んだ一瞬だった…

「しゃーんなろぉ!!!」

サクラの力強い声が響いた。

と、同時にふわりと辺りが歪み、亀裂が入った結界が崩れる事もなく
何かに守られているような…そんなゆるろとした優しい結界が包み込んで
人が一人通れるほどの空間を残し、その結界がゆるゆると均衡を取っているのが目に見える。

「やるな…」

チラリと結界を張ったイルカを見て口に出したのは、サスケだった。

カカシは無言のままその先へと足を進め、結界を通り抜けると
サクラに頼むねと一言残し、中へと己を押し進める。
その後ろ姿に溜息を吐き出しながらサスケも続くとサクラの肩にポンと手を置いた。

「サクラ、良くやった」

その声に、薄く頬を染めて笑ったサクラの顔を見ずに
サスケもその空間へと足を踏み入れ
二人の体が入りきると、ゆっくりと…時間をかけて空間の結界を広げ
結界自体の異常を悟られない様にイルカがチャクラコントロールをしながら
その空間を埋めていった。

戻る時は、パックンが連絡に現れる。

その時により状況は変わるからと言う事で、イルカとサクラがその場所にて待機する事となった。

「カカシ!」

「…なによ」

「大人気ねぇぞ」

「……何もしてないじゃない」

「ったく素直じゃねぇ、アンタはナルトの事になると余裕無くすんだから
気を付けた方が良いぜ?」

ニヤリと口角を上げるサスケに言葉に、返事も返さず
カカシはキョロリと辺りを一見し額あてを上へと押し上げ
何事も無かった様にナルトの形跡を探ろうと神経を尖らす。

「…ホント、大人気ねぇ」

ザッと足を踏み出しサスケは廃屋の屋根の上に身を登らせると
辺りを一度見やってから、一度カカシと視線を交わしてその場から姿を消した。

(大人気ない…ねぇ)

クスッと笑ってからカカシは目の前に聳え立っている塔へと視線を向けた。

(大人気ないんじゃなくて…時間がないんだよ…)

先程、己にだけ感じた感覚を
他の誰にも教えてはいない…
結界が破れる寸前だった。
心に響いて来た声…


『カカシのガキ…聞こえるか?』

そこから始まった言葉は一方的で、返事を返そうにも
こちらからの問い掛けには答えてはくれなかった

ただ、九尾の言葉によれば、ナルトは命を無くすほどのダメージは喰らってないが
九尾を剥がすために服用させられた薬は厄介で。

このままにしておけば、剥がれずとも、ナルトの中で眠りに付くしか出来ない
もしそうなればナルトの体を守る所か、逆に自分のチャクラも使えなくなってしまう恐れがある。

それに…ナルトの治癒力も下がってしまい普通の人間のようになってしまう。
今まで持っていた力を、急に失えばナルトの事だから無茶の限界も解らず
今迄の様に突っ込んで行くかもしれない…

今は動ける状態ではなく民家のどこかに捨て置かれている状態だから
助け出しやすいと…そう聞かされていたが、どこを探ってもナルトの気配は読み取れなかった。


仙人モードにでもなっているかのような…

「まさか、あいつ…」

カカシがキョロリと辺りを見回し、目の前に聳える塔を見やると
舌打ちを一つ落とした。

「サスケ…聞こえるか?」

「………」

ザーザーと音を拾わない無線機が喉元で音を伝えるが帰ってくる返事は無く
忍犬を呼び寄せ、サスケに伝言を渡して、カカシは塔へと足を進めた。





一方、ナルトは階段をゆるゆると登っていた。
切れる息…段々と重さを増す体…絶対にこれは薬のせいだと理解はしている
けれど、前へ進まなければとナルトは重たい足を前へ前へと進めた。

「クソッ…何だってこの階段ってば、こんなになげーんだよ…」

ギシッと音を立てて登っていく階段はかなり古びた階段で繋目などは既に変色を見せている所か
腐敗している部分は、既に崩れ落ちそうな程である。

その階段は中間に一本太い柱が立っていて、その周りを囲むように階段が螺旋状になって
張り巡らされている。

上から見下ろせば、蜘蛛の巣を想像出来るような、そんな作りになっていた。


階層を重ねれば奥に続く渡り橋が設置されているがそれも
正直忍者でなければ登って行く事は不可能に近いかもしれない。

それでも、ナルトはひたすら登り続けた。




「ここら辺だったよな…」

キョロリと見渡すと、小さな井戸があり、中を覗き込むと
そこには水がなみなみと満たされた水面が視界に入った。

「ふん」

鼻で息を吐き出すと、サスケは井戸の中に身を投じた。



そんなサスケの行動を知らないカカシは、塔の入り口でサスケを待っていたが
伝えたと言う忍犬の言葉にカカシは扉を押し広げた。

「ったく~…サスケも単独行動なんてね~…ウチの班員はオレを何だと思ってるんだか…」

ポリッと頬を一掻きしたカカシがスッと身を半開きの扉の中へと押し込んだ。

シンと静まった室内、真ん中に一本大きく立てられた柱は下から見上げると
足場すら見当たらずに辺りを見回した。

「……解っ!」

その言葉と共に歪んだ空間から、柱に沿った階段が現れ、カカシはその階段を一歩一歩と
足場を確かめる様に進み、時折折れそうな音を奏でる階段を見やってから
もう一度上を見上げた。

「どこまで登ったんだ…あのバカ」

カカシは指を立て瞬身を使い急いでナルトの後を追った。


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【紫陽花 9】

チヤポン…水が落ちる音が響き、その後に大きな水音を立てて水面に浮きあがった。
黒い塊が、ザパンと音を奏でて飛び出すと
辺りの壁がざわりと揺れ動いた…

「チッ…」

大きく息を肺へと引き込み頬を膨らませチャクラを口内に貯めこむと
印を結び終えた手が口元まで来るとそのまま
その手から押し出すように炎が噴き出す。

蠢く壁がざわざわとその火から逃れる様に道を開け
逃げ遅れた何かが…燃え終えるとポトポトと音を立てて地面に落ちていく。

黒で埋まっていた壁が、姿を現すと、濡れて滴った水をウザったそうに
頭を一振りし、そのまま落ちた燃えカスを見やった。

「吸血性のある…ヒルか」

指先で灰になり零れ落ちるそれを指先で最後まで潰しきると
スッと折った膝を立て前を見据えた。

「…やっぱり、こっちの道は通れねぇって事か
カカシの判断が正しかったって事だな」


溜息を一つ、そして再び水へと戻る姿を、ゆらりと揺れる水面に映った人型が
黙って見送っていた。




「ナルト!」

階段を駆け上がった先で、倒れこんでいたオレンジを見つけると
その姿を確認するように抱き上げて覗き込んだ。

シュン……

口布がピリリと亀裂が入りそのオレンジから体を離した。

「…ちょっと、余裕なかったね」

そう言いながら腰に備えたポーチから手裏剣を取り出し、素早く投げると
その手裏剣がオレンジの体に4つとも命中した。

が、苦しむ訳でもなく、うめき声一つ上がらないソレは姿を変え
パタリと倒れこむといつも見慣れていた姿が消え大きな木に姿を変えた。

「……変わり身じゃないって事は、幻影?」

キョロリと見回し、解を唱えるも何も風景は変わることはなかった。

もう一度辺りを見据えてからカカシは階段をゆっくりと登りだした

「いい加減…正体現したらどう?」

カカシがポツリと呟いて、カチャリと金属音が鈍く響き、階段を登る音が
いきなり音を消した。

シュンと、閃光が走り何かが交差しては金属音が響く中
その音に誘われるように、ナルトはその音のする方へと足を進めていた。




シンと静まった世界に取り残されたような、そんな孤独感が襲ってくる。
その闇を拭い去るように、もう一人の相手に声を掛けた

「サクラ…」

「イルカ先生大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」

下を向いて、青ざめたイルカがそのまま言葉を続けた。

「ごめんな、実地が久しぶりなのもあるけど…ナルトとサスケは大丈夫だろうか?
カカシさんは上忍で、実力もある人だとは知ってるけど、あの二人は…」

肩を落として、岩場の影で深くため息を落とすイルカの肩にポンポンと
サクラが手を乗せた。

「ナルトは強くなってます。もちろんサスケ君も…私も置いて行かれないために必死でした…。」

「うん、解ってるんだ…あの時のままじゃない、背だって伸びたし声だって…大人びてる
けれどオレの知ってるナルトがだんだん遠くなるようで…って、何言ってるんだろうな…」

ははは…と乾いた笑いを漏らしたイルカの横にサクラが腰を落とした。

「カカシ先生と…サスケ君が相手ですよ…?」

「…なに…が?」

「恋・敵」

「っ…サクラ!」

「やだ、怒らないで下さいよ?私なんて…ナルトが恋敵なんですから…」

スンと鼻を啜ったサクラだったが、涙を零している訳ではなかった。
ただ、遠く、結界の中に居る三人を思ってか…遠い視線を投げかけていた。

それぞれの思いが逡巡する中、サスケが結界の外に姿を現し
二人の会話はそこで途切れてしまった。

「「サスケ! サスケ君!」」

ガサリ…と、葉音を奏でると、サスケがぐったりと足を折った。

「どうしたの!?」

駆け寄ったサクラに、膝に抱え込まれる感覚に薄く微笑んで
サスケが言葉を綴った。

「あの井戸の結界…しちめんどくせぇ…オレを受け入れてから拒む、この結界
半端じゃ抜けれねぇぞ?」

「でも、さっきは!」

サクラの声にサスケがフッと笑った。

「受け入れて…拒むんだ…次はサクラの拳でも…開かねぇかもしれねぇ
早急に対策を練っておく必要があったから、ナルトは…カカシに任せた
それより、写輪眼とチャクラを使いすぎてるから、少しだけ眠らせてくれ」

サクラの膝にそのまま体重を預けたサスケに
サクラは薄く微笑んでゆっくり休んでと、手から自分のチャクラをサスケに流し込んでいるのが目に入った

イルカはサスケの言葉に苦虫を噛むような思いが込み上げてきている。
自分が中に入れれば…ナルトを助け出せれば…

何か変わるだろうか?

いや…何も変わらない。

サスケも、自分が帰られると思ってるなら間違いなくナルトを助けるだろう…
それが出来るのは…

「カカシさんだけって事か」

口に出すと苦々しい思いが込み上げてくるが
知らない振りでやり過ごそうと、イルカは頭を左右に振った。

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