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続きです
【贖罪】7 偽りの家族
パタン…閉じられた報告書はかなりの厚さを示すように
重厚な音と共に閉じられた。
「…サスケとナルトが見て来た通り…って事か」
「ハイ」
暗部が躊躇う事なく答えると綱手が深く息を付いた。
カカシの妻、ウズリに付いて調べていた。
無論、カカシの妻としての役割を果たし、子を齎した事は
大いに感謝したい所だが…。
カカシ一家が越してきた時に、ナルトとサスケが引越しを手伝い
その時にサスケから受けた報告がどうにも腑に落ちず、今までその
カカシの住んでいた村で調書を取って回っていた。
人口は50人程だろうか…そんな小さな村だけあって
殆どの人間がカカシの存在を知り、語ってくれた。
ウズリは、天涯孤独の身の上だった…ある日、上流から流れ着いたカカシを拾い上げた。
既に瀕死の重傷で左米神に3センチほどの深い傷があり
それを縫ったと言う医師が、カカシに付いてを語ってくれた。
忍に嘘を付く事が、どういう事か…
それを知る村人は全てを口に出し、言葉がおかしな所は一切なかった。
川から流れ着いたカカシを家へ連れ帰るのに、その医師も手伝ったとの事だった。
女ひとりで180センチもある意識のないカカシを自宅へ連れて行くなど
到底無理な話だろうと、調べたかいがあったと言う事になる。
カカシの身体的損傷は頭、頬、腰、腕と至る所にすり傷や切り傷
足はヒビが入っていて、暫くは生死を彷徨ったと言う話だった。
ウズリの献身的な看病により、目を覚ましたのは発見から10日程過ぎた時だと
検診に来た時にカカシ本人から聞いたらしい。
記憶がなく、自分の名前が言えない、自分の帰る場所をなくしたカカシは
半年ほどで畑仕事の手伝いと、漁などで収入を得
ウズリと共に生活をしているうちにウズリに見初られ、夫婦として生活を始めたのは
カカシが見付かってから9ヶ月程だったらしい。
式を挙げるわけでもなく、二人はただひっそりとその場で生活を送っていたそうだった。
子が出来た時は、絶対に知られないようにと口止めをされ、出産予定
4ヶ月前に腹が出てきてやっと、カカシにその事実を知られ、公に夫婦と認められたのだと言う。
それまで二人はひっそりと友も持たずに生活を続けていたが
カカシの職場で信頼を得た一人の人間には、時折そう言う話をしていたらしい。
そう言われた人間にも話を聞いたが、ほぼ一緒の内容で
これ以上は探るのは無駄と判断し、暗部が結果報告と言う形で火影の前へと姿を
現したという事になる。
「ウズリと言う女、うさん臭いにも程があるな…シズネ、ナルトにこの話をするか?」
「……ナルト君は、知りたいと思うんでしょうか?」
「カカシの事を思うと、女に何をするか解らんか?」
「いえ、それは…ないと思いますけど」
「全てを知ると言う事をもしナルトが選ぶなら…私は伝えようと思う」
綱手の言葉にコクっと頭を上下したシズネが、サスケとサイの判断を仰いでみようと
提案してきたので、ナルトの一番傍にいる人間として、カカシを見つけ出したサスケに
話してみる事に決め、一言伝言を伝えると任務待ちだったサスケがすぐに火影室へとやってきた。
「……はっ、なんだってそんなややこしい事になってんだよ」
と、苦しそうに言うサスケに、ナルトに切り出す方が良いかと問うと
迷う事なく当たり前だと返してきた。
「ナルトは受け止めれるだろうな…あいつは自分が苦しもうとも
一度絆を持った人間を見捨てる事はない。
オレがいい例じゃねぇか…カカシがこの先あの女と暮らしていく事も
ナルトは納得している。
気持ちが壊れそうで泣きそうになりながらも…だ
それだけ、カカシが大事で自分の半身だと信じて疑わねぇ…
だったら…カカシの全てを知る権利は、ナルトにはあるだろう?」
サスケがナルトの事に付いて語ること等殆どないに等しい。
心では、この里に戻れたことや、個人で抱く思いなど沢山の思いを抱えようとも
サスケは今までナルトに付いて…を多くは語ってなかったように思える。
「そうか…だったら話してみよう」
「あぁ、隠された方が、ナルトにしちゃ辛い事になるからな」
「そう言う奴だったな…」
珍しく、綱手とサスケがしんみり会話を終わらせると
サイとサクラが任務を終えて丁度戻ってきてその会話に加わると
皆でナルトをフォローしますと言うサクラの言葉に揃って首を上下させる。
(良い友に恵まれたな…カカシもナルトも…)
「と言う訳だ…ナルト、辛いだろうがこの事実をカカシに伝えるか否かは
お前が決めると良い…私達はそれに従う。」
執務室で、シンと静まった一瞬後、はっ…と、笑い出すナルトの声に刮目した。
「もう、先生は家庭を持った…荒波立てる事なんかしなくて良いってばよ…
奥さんが、怪しいってのは解ったけど、カカシ先生はその人を選んだんだ。
今更周りがなんて言おうと、面倒を抱え込むだけだし、そんな問題を家庭に持ち込めば
スイが可哀想だってばよ…
だから、奥さんってのが変な人間ではないんだったら、その事実は先生には
言わない方が良い…」
その言葉に、七班の人間と火影は頷いた。
=================================PIXIV
【贖罪】8 違和感
「あなた…」
妻は、自分の名を呼ばない。
呼ぶとしても、カカシではなく、昔通りにカワと呼ぶ。
「ごめーんね、ちょっと疲れてて、もう寝るよ」
こうやって背を向けるようになったのは何時だったか…
命を助けられたこの人を裏切る気はない。
ただ、違和感が日に日に大きくなっていくのだ。
この家で、横にいた人間は…この女ではないと。
ベットで横に眠っていたのは、この人ではないと
肌を重ねると、マザマザと思い起こされる骨ばった肉体。
今の妻ではない誰か…想像はつく。
だがそれは本当にあったことか、自分の妄想なのか…
ただ、その中が凄く安心出来て、今が不安と言う理由だけで
避けているのも申し訳なくて
横になっていた体を無理に動かし、彼女を抱きしめ
肌を重ねた。
チェストの中にあった、ローション。
確かに女性にも使用はするが…自分が一人で使うにしては
ボトルが大きすぎる。
何のために購入したのか…そんな事を考えてゴムだけを取り出し
パタンと締める。
「あぁ…」
と、自分の下で声を上げる彼女に、感情が付いていかなくて…
最近ベットの中で彼女にキスをする事も無くなっていた。
愛を囁く事も…自然となくなって、ただ、欲望の吐き出すものだけが
二人の繋がっている証となっていた。
◇
ランクは低いもののカカシはシッカリと忍としての仕事を身に付けていた。
日頃の鍛錬も欠かさなくなり、今では中忍程の実力はシッカリとあった。
任務も、D~Cだったものが、C~Bのランクまで上がり
大抵の忍は中忍と言う部署で留まる事が多い。
ナルトやサスケサクラやサイ…彼らはBやAやSが殆どの為、
カカシの任務に重なる事が希少だったが
今回、サクラとサイのチームにカカシが配属された。
「カカシ先生!」
「よっ」
時間通りに集合するとサクラが苦笑いで
昔っからそうだったら良かったのになんてボヤく。
自分が遅れて待ち合わせ場所に来るのは、パックンから聞いていた
自分の昔の仲間の慰霊碑に、必ず朝報告してから任務に出るため
カカシは遅刻魔となっていたのだ。
「ナルトは元気?」
サクラに聞くと、目を伏せて…1週間の任務に出てて会えてないと言う事を聞かされた。
今回は4マンセルでヤマトも一緒の1泊2日の泊まりがけの任務である。
今までのカカシは妻がダメだと言い張っていたが、給料の面から考えても
収入を得る事を優先するなら長期任務や宿泊任務もこなさなければならない
と言うのを理解してもらい、一週間以内であれば…と、やっと許可を得る事が出来たのだ。
今回の任務を封切りに、カカシもかなり実力を取り戻してきてると
報告され、これからは泊まりの任務も増える事を綱手から伝えられた。
「カカシ…まだ、思い出す事はなにもないのか?」
任務明け、綱手に聞かれて、一度頭を整理しながら
感覚だけは…時折、あぁ、こう言う感じがあったなって思い起こす事が出来る
それと、七班のメンバーに囲まれると何となく安心する事
その全てを吐露すると、綱手がそうか…と、声を吐き出した時だった
「綱手様!うずまきナルトが大怪我で戻りました!」
その声に、慌てて駆け出す綱手の後をカカシは無意識で追っていた。
任務内容は本来聞く事が出来ないのだが、現在カカシは綱手と共に
ナルトの容態を見に来ていた為
綱手への報告が耳へと入ってくる。
水の国の一歩手前、そこで抜け忍とやり合った。
木の葉の抜け忍でカカシの写輪眼を求めてこちらへ向かっていた。
その情報を暗部より仕入れ、綱手は
ナルトたちにその抜け忍の処理を任せたのだ。
写輪眼対策として、幻術には強化されていたが
カカシの雷切対策も成され、3人の抜け忍に、ナルトと上忍一人が立ち向かう
そう言う形になり、ナルトの方は難なく片付けたのだが
上忍への攻撃をナルトが身代わりになって受けたとの事。
そこまで聞いたカカシがゾクリと背筋を凍らせ
ナルトの収容されていた病室へと足を向けると
白い包帯に巻かれたナルトが、スウスウと寝息を立てて眠っていた。
「ナルト…」
包帯の下から滲む血液…
ポトリポトリと落とされる点滴は抗生剤とブドウ糖
スッと白い手を取ると、その手に残されたクナイで出来たような
鋭角な傷が、ユックリと治癒を始めていて
カカシは、ハッとした。
まるで、傷口を早送りで見ている…そんな感覚。
スゥ…とまるで傷が何事も無かったようにナルトの肌から消え失せ
目をパチパチと鳴らしながらもう一度みやった。
「ナルトは問題ない…回復力が凄いのは…昔からだから心配するな」
その声が背後から聞こえ、手に取っていたナルトの白い手を置くと
ギシッと椅子を軋ませて立ち上がった。
「この治り方…人間の範囲ではないでしょ…」
「あぁ…お前にはまだ知らせてなかったからな。
だが、オマエはそれを承知でナルトと共に戦ってきたんだ…
今見たものを忘れろとは言わぬが、異色の目では見ないでやってもらいたい」
「…はい」
見た目…全治一ヶ月程だろうと思っていたカカシを裏切るように
ナルトの退院は3日後だった。
どうにも気になる存在…
それがうずまきナルトであり、自分の家族に等しい者の正体を
知りたいと思い始めたとき
ナルトが、カカシの傍にやってきた。
「ナルト…」
演習場で修行をしていたカカシの前に現れたナルトに
連れられて、その場を後にし、ナルトが修行する場所という
奈良家の森へと足を踏み入れた。
「随分静かな場所だね…」
「この場所は、オレの特別な場所だった…
カカシ先生、この前オレの傷の治りの速さを見たんだってな」
悲しげな瞳が向けられてドキリと胸を鳴らした。
「あ、あぁ…」
湖がキラキラと水の反射をしている場所で
ナルトは腰を下ろして額当てをスルリと落とした。
目の前で、ジッ…と、ジャージのチャックを下ろし
パサリとジャージを脱ぎ捨てると、下から鎖帷子越しに白い肌が露になった。
ただ食い入るように見ていたカカシと一度視線を合わせると
ナルトはその鎖帷子を脱ぎ捨て
引き締まった上半身をカカシの前に曝け出した。
自分とは違い…傷一つない…その綺麗な体に眼も心までも奪われてしまう。
「オレは…傷が残らねぇから…」
スッと背中を見せられ、カカシはその綺麗な背中に
無意識で指先を伸ばした。
そっと、触れるとナルトの肌が指先に吸い付いてくる感覚に
慌てて手を引っ込めると、その行動で、ナルトが悲しそうに呟いた
「やっぱ、気持ちわりぃか?」
「え?あ…違う、そうじゃなく…」
だったらどうだと言うのか…
傷一つない綺麗な肌に、手を這わせたら自制が効かなくなりそうで
慌てて手を離しましたと素直に言えばいいのか?
否
それは、口にしてはいけない事。
「オレの中には…九尾って言う妖狐がいる…だから傷の治りも早ければ
こうやって傷を付けても…」
ナルトはクナイでギュッと掌で握るとポタタッと血を滴らせ
カカシの前にズイと手を広げて持っていくと、傷が綺麗に塞がっていった。
「直ぐに治っちまう」
痛そうな、苦しそうな告白に、カカシは目を細めた。
そっと、その手を取り、ゆるゆると撫ぜながら
「でも、傷が治ったとしても…オマエは痛みを感じるだろう?
バカだね…見せるために自分を傷付けるなんて」
ナルトの手が…一瞬震えて、何事かと視線を上げると
潤んだ瞳と視線が絡み合った。
あぁ…なんて綺麗な。
男相手にそんな事を思ったことなど今までに一度だってあった試しがない
けれど、本当に心でそう感じそう思ってしまった。
「昔…おんなじ事…先生に言われた」
今にも泣き出しそうな声と表情でナルトが口にすると
居た堪れなくなって、カカシがナルトの頭をすっぽりと抱えた。
「せん…せ…い?」
「ごめん…なんだか、お前消えちゃいそうで…そんな辛そうな顔を
して欲しくないんだよ…ナルト」
「うん…先生、オレは先生に認められて、オレをオレとして見てくれた
そんな先生にいっつも感謝してたんだ…
こんなオレでも、頑張れば出来る…心を強く持てば、信じる力が自分を
強くするって…教えて貰ったんだ」
自分の腕の中で、そう呟くように言うナルトをもう一度強く抱きしめた。
綺麗に反射する水面だとか、さわさわと揺れる木々だとか…
そんなのはどうでも良い程に…ナルトと言う人をもっと、深く知りたいと思った。
「ふ、服…着るから」
「え?あ…あぁ」
スッと離れると、ナルトは頬を赤らめながら
先ほど取り去った物を身に付け、カカシの横に腰を下ろした。
「拒絶しないでくれて…ありがとう」
視線を水に投げたまま投じられた言葉…
ナルトのその一言が胸を抉るように深く刺さりこんだ。
=======================================================
【贖罪】9 上忍待機所
一年が過ぎると、カカシは35と言う年齢になっていた。
ナルトは21歳、立派な大人とまではまだ言えずとも、忍としては
頭角を現していて、立派な火影候補として生きている。
無論カカシもそれに見合う努力を続け
家庭を大事にしながらも、回り方得た情報やパックン、ナルト、七班の
メンバーたちに支えられ記憶は戻らなくとも
多くの技や技術を叩き込まれ、今や立派にAランクを受ける所まで辿りついた。
妻は相変わらず、忍をやめろと言うが
それが通らないのも理解しているのか…帰る度にそれを言う事は無くなった。
子は成長し、まだ言葉は話せないものの、つかまり立ちをして
自分の所まで歩いてくると言う成長を見せていて
負けていられないな…なんて思っていた。
ある日綱手に言われ、初めて待機と言う事になった。
人生色々…なんて変わった名前の待機所で
ゲンマやイビキや紅とかとも会話が出来るようになった。
「カカシ!まだ記憶戻らねぇんだって?」
「…あぁ、そうね…」
苦笑いしかできない。
失った記憶の欠片の一つでも拾えれば
そこから、断片的にでも思い出せるかもしれないのだが…と
綱手が言ったのだが、未だ断片すら見えやしなかった。
「それにしても…うずまきがオマエの監視役だろ?」
「え?あぁ、そうだね」
「立場逆転だな?昔のお前はうずまきの監視役だったからな」
「え?そうなの?」
「あいつは特別なモノがあるから、お前が監視兼先生として
常に傍に居た…まぁ、それ以外でもいーっつもくっついてたけどな?」
と、ゲンマが笑う。
「オレが…監視してたんだ?」
「あ~ナルトが小さい時は、お前野菜をせっせと運んでいたんだぞ?」
「何で野菜?」
「……あいつ、今もだと思うけど…カップラーメンしか食わないからな」
その言葉に目を見開いた。
カップラーメンしか食わないとか…有り得ないでしょ?
と、カカシが言うと周りの表情が一気に暗くなった。
それが何を意味しているのかなど、全く理解できず
言葉を掛けようとしたが、それ以上は言えないようで一斉に口を閉じてしまう。
忍とは本当に厄介だ…
でも、上忍のレベルまで這い上がったのだ…。
もしかしたら前までは見せて貰えなかった任務報告書を
今度は見せて貰えるかもしれない…
「ちょっと、イルカさんの所行ってくる」
と言い残して、カカシはその場を後にした。
「……ナルト、辛いだろうね」
「だな…」
そんな会話が紅とゲンマの間で交わされていた。
◇
「と言う訳で…任務報告書の閲覧を許可して欲しいんですけど」
「ふむ、まぁ良かろう。Aランクまでの閲覧を許可する。
カカシ…お前には、辛い事実が書かれている物もある…
受け止める気持ちはしっかり持てよ?」
「…解っています」
命をどれだけ、奪ってきたか…
そんなもの、今更ではないだろうか?
過去に奪った命も、今現在奪った命も…どれも同じだけの重みはある。
明日は仕事も休みだから…家族には申し訳ないが
この報告書を読む為に一日を費やしたかった。
「許可をもらいましたので…」
と、申し出ると、イルカがニッコリと笑って良かった…と
二冊の厚いファイルを差し出してきた。
「え?」
「これが、貴方の報告書ですよ…カカシさん
どれだけ、貴方がこの里に、そしてナルトやサクラ…サスケに関わっていたか
それを読めば大体の流れは見えます。
俺はこれでナルトの成長を見てて…本当に嬉しかったんですよ」
「…そうですか、では、お借りしますね?」
「ええ、時間が余ったらナルトの他の人と任務に出た物も用意してますから
読んでやって下さい…」
どれだけ、ナルトフェチなんだ?と、心の底で思いながら
苦笑いしてハイ…とだけ返し、椅子に腰を掛けると一ページを捲った。
【任務報告書】はたけカカシ
班員:うちはサスケ、春野サクラ、うずまきナルト
3人の簡単な自己紹介とサバイバル演習に付いての説明及び下忍選抜の意を説明後解散。
翌朝より、任務として演習開始。
個々の能力は、うちはサスケが抜き出ているが、春野サクラの幻術に強い初見あり。
うずまきナルトは、現在は計り知れないが以後の彼の成長は気に掛かる所であり
高等忍術の影分身を使用する辺り、既に希望があると思われ
第七班として、この三人を下忍と認める。
「へぇ…ナルトにも、こんな時代あったんだ?」
そうして始まった、自分の班の班員の成長と自分の記した事での心理を
少しずつ取り入れながらペラリペラリとページを捲っていく。
サスケが里抜けをして、ナルトがそれを追った…
そして…
【報告書】はたけカカシ
対象人物:うちはサスケ、うずまきナルト
自分の班員から里抜けを出してしまった不甲斐なさを
全てナルトに託してしまった。
ナルトはそれを一身に纏い、サスケと終末の谷で戦い敗れました。
私が現地に到着した時は既にナルト一人が倒れている状態で
応急処置を済ませ里へと連れ帰りましたが、サスケの姿は
どこにも見当たりませんでした。
ペラリ…ペラリと
報告書が次々に捲られ、時折ナルトのドジについて書かれている場所では
笑い、サスケとの因縁に眉を下げると溜息を落としながら
ナルトの運命と言うのを知った。
あの綺麗な肌が…こう言う理由で出来ていたものなのかと
苦虫を噛み潰した表情で読み耽っていると
イルカが声を掛けて来て、そこで視線を上げた。
「もう、暗いですから…そろそろ帰りませんか?」
「あ…すいません、夢中になってしまって」
「いえ…ナルトの事少しでも解って頂けましたか?」
「……ええ、支える側の人間になっている自分に感謝すら覚えますよ」
「…そうですね、あの子は人の視線に凄く敏感なんです。
私も一度、まだちゃんと向き合えてない頃…彼に里の人間と同じような
視線を送った事があったんです…カカシさん、貴方に相談して
気づいたんですけどね?」
「え?オレに?ですか…?」
「ええ…まぁ、もう遅いのでその話は後日にでも」
「そうですね」
パタン…と、締められた書庫を後にし、自宅へと帰り着くと
妻が黙って座っていた。
「…ただいま」
「…おかえりなさい…カワ」
「オレの名は、カカシだよ?」
「…知り合った時はカワだったじゃない
私が貴方にあげた名前…その名前を大事にしてよ」
「あぁ…そうだったね、うん…ごめん、大事にするよ」
シュルっと額当てを外し上忍ベストを脱ぐと
妻が傍に来て、浮気は許さないから…と、告げてスイの眠る寝室へと行ってしまった。
「浮気って…する相手すらいないよ」
ハーっと息を吐きながら、彼を思う。
うずまきナルト…それが浮気だなんて思う訳もなく
ただ、彼の生い立ちがすごく気になった、そして
気が付けばナルトの事ばかりを考える毎日を送っていたのだ。
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