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こちらから続きになります。
中途半端な終わり方ですけどw
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【長月後編】
どっぷりと、既に踏み入れた未知の領域にカカシは少なからず困惑していた。
本当に彼でなければだめなのだろうか?
今迄欲望の処理に困った事はない…
望んで迎え入れてくれる女性が多かったのも確かで
己が行動に移さなくても、相手がなにかしらアクションを起こしてくる
それを見過ごさなければいいだけだった。
無論そう言う気分や相手を見る事も勿論だ。
彼女気取りで家に居座られてしまった若い過去もあったが
それはそれで、どうにか対処し、後腐れのない行為を行えるようにと
そういう相手を選んではいたが
まさかここにきて、己が恋したかもしれない人間が同性だったとは…しかも
「教え子ってねぇ~…それもまだはっきりと恋とは言い切れない
けど…このままじゃ確実にナルトに惚れるんだろうなぁ…」
グイッと煽った酒が口の中で甘く広がり熱を放つ。
自宅のシャワーでのんびりとしているのだろうナルトを待つ間
先程交わした目的のないキス
それに動揺をしたのはカカシだった。
確実にナルトは、そういう事をしたがらないと踏んでいたのもあるが
己もそれを進んでしようとは思ったことなどなかった。
先程のあの衝動が…今のカカシの脳内を悩ませている。
待っていれば良かったのだ。
直接肌に触れあわなければ、こんな感情が自分の中にあったのも
気付かないで居られたかもしれない。
そんな自分なりに作り上げた壁を次々に壊していく存在は
本当に厄介だった。
何故あの時、口布を下ろさなければならなかったのだろう…
女性とキスをする時も、己から下げる事は殆どしなかったのにだ。
「あー予測不能すぎて、考える気にもなれない」
はぁ、と溜息を落とすとやっとナルトが風呂から出て来た。
「カカシ先生…何やってんだ?」
「え?あ~…なんだろね?」
と、笑ったカカシは、気が付けばナルトの布団の上で寝転がり
肺一杯にナルトの香りを感じていた事…
それを自分でも今知った…
感情をコントロールできないと、カカシは己の頭を項垂れさせた。
「変なカカシ先生…」
「うん、そうね」
溜息で返すと、ギシッとベットが揺れた。
ナルトの体重が片側に掛かり、カカシの体にも重力が掛かる。
「どうしたの?」
首をぐるんと戻してナルトを見やると
髪からぽたぽたと滴を落とし、湯で紅潮した頬をそのままに
唇を尖らせたナルトが、いきなり驚くような事を言ってきた
「カカシ先生はオレと一か月付き合って、もう別れようと思ってるのか?」
「は?」
「オレさ…付き合うってこんな風じゃない気がするんだけど」
「…じゃあ、どんな風なのが付き合うって言うの?」
「う…それは!、うん、イヤそのぉ、なんてーの?デートしたり?キスなんかしたり?触れ合ったり…」
後半は凄く小さな声だったが、カカシはそれを拾い上げると
あぁ、この子は本気で自分と向き合ってくれてるんだと思えた。
「相手は男だよ?しかも年齢も結構離れてる…ナルトは嫌じゃないの?」
「え?あ~最初は抵抗あったってばよ?でも、なんだ…
カカシ先生、優しいしさ…良く一緒に居てくれるし、オレの知らないカカシ先生を
知っていく度になんか、カカシ先生と付き合ってくのも良いなって…言うか
うん、そう感じたって言うか?ん~オレってばカカシ先生の希望だからさっ!」
へへへと笑うナルトに、なんだか心が温かくなった。
「それにカカシ先生と付き合ってからさ、オレ変な夢も見なくなったし
それに、安心するしさ…」
その言葉にカカシが弓なりに目を細めた。
「そっか…じゃ~仮のお付き合いはもうこの辺にして
本格的に、と言うか本当にナルトを好きになっても良い?」
「は?」
「なによ…そのアホ面」
「アホって!ってか、何その本格的とか!それよか、オレの事好きじゃなかったのかよ!」
「…好きだよ」
「意味わかんねぇし!なんだってばよ!」
「…ねぇナルト?お前はオレが好きか?」
「う…まぁ、その、好き…になって来たってばよ?」
「オレはね、ビンゴブックの男でしょ?出来るだけ身内を作るのを避けてたのよ
だから好きだと思っても、それを深く入り込む前に忘れる事が
オレの中では得意なの…でもね、例外もあって、それがお前なんだと思う。」
ベットの上に寝転んで話すカカシを覗き込んでナルトが意味が解んねぇと呟くと
下から手がにゅっと伸びて来て、ナルトの首を捉えるとグッと引き寄せられて
カカシの胸の中に上半身が引き込まれた。
「うぉ!」
「お前いい匂いするね」
「ふ…風呂入ったんだから、いい匂いするの当たり前じゃねぇか」
「…お前香り付使ってないでしょ?この香りはオマエ独特の臭いだよ」
「…なんか、オレが臭いみたいな言い方するなってば!」
「誰もそんな事言ってないじゃない…」
ギュッと抱き締められて、ナルトは心臓が飛び出るのではないかと言うほど
脈を早め、秋の入り口に立った季節に、ピッタリなほど頬を赤く染めた。
カカシの顔が真横にあって、声が耳に直に響く。
カカシの鼓動は己の倍はゆっくりで、それに苛立ったナルトが
カカシに不意打ちのキスをした
「っ…」
「やった!カカシ先生も脈早まったってばよ!」
「なっ!お前その為にキスしたの?」
「…それ以外になんかあるのかよ」
と、キスをどうやら遊びに近い感情で捉えてるナルトに深く溜息を吐き出した。
「オレと、付き合っていくんだよね?」
「え?あ…おう!そのつもりだってばよ?でもカカシ先生はどうなんだよ」
「オレ?勿論お前と付き合っていくよ…けれど、付き合っていくんであれば
こんなキスじゃぁ物足りないねぇ」
その言葉に目を見開いたナルト。
上から被さってる形のナルトだが下から射抜いて来る紅瞳は嫌に心拍数を上げた。
「物足りねぇって…それって、どういう事だってばよ?」
「本当のキスを知らないの?」
「…嘘とか本当とかあんのか?」
小首を傾げるしぐさに頬が緩む。
女性なら、計算だとかすぐに先読みするが、この子は昔から知っている
計算でこんな行動が取れるほど女性を知ってる訳でもない。
「お前可愛いね…天然なんだか、わざとなんだか…オレがお前の一挙一動に
揺れてる事自体びっくりしてるよ」
「は?何訳解んねぇ事言ってるんだってばっ!っわあ!」
くすくすと笑ったカカシが己の腕の中に再度ナルトを引き込んで
今度はマウントを取ったのはカカシだった。
「本当のキス…今度オレが教えてあげるよ。
もしかしたらオレ、結構嫉妬深いかもしれないから、お前大変かもよ?」
「へ?」
「本気でお前に惚れるから…覚悟してちょうだいね?」
チュッとカカシがナルトの額にキスを落として
ナルトの体の上にカカシが体重を乗せクスクスと笑った。
何だかわからないと言う感情もあったが、カカシが何だかうれしそうにしている事に
ナルトも何だか嬉しくなってへへへ…なんて笑って見せた。
「あまり嫉妬深いと、オレってばカカシ先生と別れるからな!」
「あ~それ禁止ね、別れると口にするのは…本気で別れたい時だけにして」
「…お、おう解った」
「約束ね?」
「…うん」
そうして、一か月の長い期間を掛けて、二人は付き合う事となった。
既にカカシと闇ナルトの策略で二人は付き合っていると言う噂を流してあるため
今更…とも言えるが、カカシが心のカギを外し、ナルトとの未来に希望を乗せた9月が
もう終わりを告げようとしていた。
【長月 完】
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