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風唄

サイト訪問をして頂けているお客様よりの
リクエスト作品です。
ちょっと、リク通りには行かなかったんですが^^;
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風唄


ふぉ…と、風が吹き抜けた。
生暖かいような風が、木の上に立つ男
はたけカカシの髪を揺らす。

「ジ…カカ…先生、2時の方向に3人」

「ん…りょーかい ジッ…」

「6時は人一人居ません」

「解った、サクラはサイと合流ね~」

「ジジッ…ジ…8時の方向に一人いますが一般人みたいですよ?」

「あら、だったらナルトの位置の3人だけって事か?
ん~了解、ナルトの所に行って合流ね…ジッ」


「「「了解」」」

木の上、頂点に立っているカカシが
周りの気配を読みながら目を弓なりに下げた

(優秀優秀、さてと…いきますかね)

タン…と、木を蹴り上げ
オレンジの姿を視界に捉えた。

どうやらサクラは既にナルトと合流を果たし
サイは自分の上空を墨鳥で飛んでいる。

今回の任務は、BランクではあるがCに程近いものだろう。

任務は護衛、しかも、対象者に気付かれないように護衛すると言う
任務で、Bランクと言う事になった。

その対象者は女性で、トコトコと普通に歩く。
忍でも、国の人間でもない。
一般人なのだ。

その女性が持っている、珠が今回狙われているので
陰ながら護衛をしてくれとの依頼だった。

それなら、オレらに珠を預ければいいのに!とナルトが
声高らかに言った。

確かにその通りなのだが、どうやら大名の腰入り(結婚)が関係しているらしく
その女性が珠を運ばなければならない…という事なのだ。

心配した大名は女の命よりも珠を守れ…と言う。
それに反発しないナルトではないが、サクラもそれを解っていたようで
依頼者の言葉は絶対なんだから!とナルトを窘めていた
そして、こうも言った。

”女性を守りきればいいだけじゃない”

サクラも、ナルトも、優しい…その心がなければ
ただの殺戮の機械と化してしまうだろう。

任務も大事だが…やはり命に変えられるものはない
暗殺と言う命のやりとり以外で、人を殺してしまうことを躊躇うのは
いい事であり…けれど

忍にとっては、命取りかも知れない

そこまで考えて、カカシはフルリと身震いを起こす。
ナルトが…もし、己の暗部の時代を知れば…きっと…

付き合いだして、然程時は過ぎてはいない。
告白をしたのはカカシからだった。

ふざけた感じで、修行中に始まった告白は
いとも簡単にナルトにOKを貰う事となってしまい
本人もかなり驚いている。

未だ信じられない…と言ったほうが正解か。



キン…ギリッ…
クナイがぶつかり合い、目がかち合うと
青い瞳に吸い込まれそうになる…。

「ナルト」

「ん?」

「付き合おっか?」

ギリッ…互いに力は抜いていない。
何故こんな事を口にしたのか…カカシは自分でも理解出来ていなかったが
思いが深すぎて、溢れ出てしまったのだろう。
もう、随分と片思いをし続けていた

その片思いの相手が、今二人きりで演習場でクナイをぶつけ合っている。

「…は?オレってば、男だぞ?」

「見ればわかるよ?」

「…本気?」

「うん、本気」

ナルトの力が緩み、バッと互いに離れた。
もう一度飛び掛ってくるかと思ったが、ナルトはスッとクナイを下げ
ジッと、カカシを見やった。

「カカシ先生はオレを好きなのか?」

少し遠い場所で吐き出された言葉に、あぁ…失敗した
と、持っていたクナイを握り締める。

「そう…だね」

「そっか、うん…いいってばよ」

「え?」

驚いた。
でも、こいつの思考は時折突拍子も無い事を考えるし、
しでかす…だから、不安に駆られてもう一度聞いた。

「オレと付き合うの?」

「…そう言ったの先生じゃん」

「あ、いや…そうなんだけどさ?オレ…若くないよ?」

「知ってる」

「それに、付き合うって買い物とかに行くの付き合うでも…
「だぁ~も~!知ってるって!」な…」

最後まで言葉は出せず、ナルトが懐に飛び込んできた。
クナイを構えていたら…確実に致命傷だっただろうな…

でも、ナルトがギュッと背中を抱きしめてくれるもんだから
嬉しくなって、カカシもナルトを抱きしめた。


そんな告白。



「ジ…ジジ…カカシ先生っ!あいつら罠しかけてる。
起爆札があったってばよ!」

その声にフッと視線を歩いている対象者に向ければ
かなり、進んできている。

「ナルト、サクラで起爆札の回収、オレが足止めする間に
他の罠を片付けてくれ!サイ!お前は前方の3人を」

その言葉に了解と返事を返してきたのを確認し
カカシは指先を立てた

「変化っ!」

ボン…と、煙が体を包み込み
老婆の姿で、地にへたり込んだ。

「あ、お婆さん?どうかしましたか?」

座り込んだカカシに問いかける対象者に、カカシが足を挫いてしまってと
右足を摩りながら、ナルト達に目配せをする。

それを捉えコクっと首を上下させたサクラとナルトがザザッと木の間を飛び出し
起爆札を剥がしていく。

「このタイプは、何かに引っかからなければ爆発しないから
気を付けて剥がすのよ?…ジッ」

「おう!わかってるって」

そんな返事をした矢先…
ナルトが影分身で剥がした起爆札が、ジジジ…と嫌な音を奏でた

「やべっ、一枚失敗…」

ドン…

「キャ!」

カカシの目の前で悲鳴を上げる少女…
チラリと視線を向ければ、音の方向から立ち上がった煙に
深い溜息を落とし、カカシが少女を見やった。

「なんでしょうかねぇ?」

一般人であれば…これが起爆札であると理解する事はまずない…

その場をやり過ごし、どうにか任務を終えたカカシ班が
里に到着するとカカシがジロリとナルトを見やった。

「う…わ、悪かったってば」

「お前ねぇ…起爆札ってバレなかったから良かったものの
もう少し忍者らしく、静かに行動できないの?」

サクラも、サイも、ハーっと息を吐き出しカカシの言葉に頷いた。

「いきなり…動き出したんだってばよ?あの起爆札…」

「あ~爆発前にそう言えば…あいつらの一人が変な動きしてたなぁ…」

サイが何かを思い出したように言うと
カカシが、ふむ と 1つ考えて、からナルトの頭に手を乗せた

「オレらの存在が知れて、あいつらの誰かが作動させたって事かもしれないね」

ぐしゃり…と一撫でするとカカシが報告に行くから解散と口にし
それぞれに自宅へと向かった。

今回はナルトは悪くはない…だが。
起爆札を音もなく沈める方法ならばいくらでもある
カカシであれば音もなく鎮める事は容易い事で、恐らくサクラもサイも
同じだろう。

カカシが報告を終え、ナルトの家の窓にたどり着くと
深い溜息を落としたナルトが視界に入った。

「何落ち込んでるの?」

「…カカシ、先生…」

スッと窓から入り込み、靴を玄関に置くと
ナルトの座っている場所の対になった場所から椅子を引っ張って来て
ナルトの前に置くと腰を掛けた。

「あの場合は、どうするか…解ってるよね?」

「…結界はるんだってばよ」

「そ、解ってるじゃない」

「うん」

「お前は、ドべでもなければ、馬鹿でもない…
戦闘に掛けては超が付くほど一流だけど、こう言う任務になると
途端に気を抜くんだから…」

「抜いてねぇってばよ!」

「抜いてるつもりがないだけで、抜けてるんだよ」

二人がジッと見合ってから深い溜息を互いに吐き出した。

「印…思い出すのに時間かかった」

「…そっか、だったらそれを何度も練習すればいい」

「おう…」

クスッと笑ってカカシがナルトの頭をふわりと撫でる。
その落ち込んだ肩をぐっと引き寄せて抱きしめた

「ほら…」

落ち込んだ時の温もり…付き合ってから初めてのそれは
すごく暖かくて、甘えて縋りたくなる。

「先生…」

「ん~?」

「なんで抱っこ?」

「…抱っこ?あ~…抱っこねぇ…」

抱きしめてるの?と聞けばいいものを…抱っこと言う言葉にしか出来ないナルト
小さな記憶は、抱っこ…と言う言葉で止まってしまっているのだろうか?

「おいで、抱っこって、こうやってするもんでしょ?」

「うわっ!ちょ…ぶっ!」

正面に座るナルトを抱き上げ
カカシは椅子からベットにナルトを持ち上げて移動し
そこに腰を掛けて己の膝の上にナルトを座らせた。

小さい子供ではない。
背だって伸びてカカシに抱きしめられれば顔の位置が
ほとんど同等の位置に来る。

「は、恥ずかしいんダケド」

「そ?オレは気にならないよ?
それに、ナルト暖かいし…」

「か、顔」

「ん?」

「近いって」

フイっと目を逸らすナルトにクスッと微笑んでやった。

「オレはもっと近付きたいんだけど?」

「え?」

「お前は…オレとどうなりたい?」

カッと血が一気に湧いた。
頬が紅潮し、眩暈が襲ってきそうな程
今までこんな触れ合いなんて皆無に等しかった…
そりゃー任務で倒れたり、傷付けば、これくらいの距離で
サクラも治療してくれるが…

そうではなく、カカシなのだ。

「ど…どうなりたいってなんだよ」

「オレは…このままキスしたいンだけど?」

カチリ…と、固まってしまう。
キスなんて未経験…否一度だけ有る…
ぶつかっただけで、痛みが有っただけのキス…

ナルトはギュッと唇を固く結んで、カカシの口布の上から
ぶつかるだけのキスをした。

「…ど、どうだってばよ!」

「…キス、してもいいんだ?」

「はえっ?」

「ナルト…ほら、とりあえず深呼吸して?」

スリッと背中を撫でられると、ハーッと固まった息を吐き出した。
そして大きく新鮮な空気を吸い込むと、息が…止まった

カカシの顔が…今まで何度も見ようと、策を練っては失敗した
この上忍の顔が…

「っ…」

「息止めたらダメ…ほら、上手に吐き出してごらん?」

「先生ちょ、ちけぇし、顔っ!見えてるっ!」

バタバタとカカシの上で上半身だけで訴えるナルトに
ギュッと抱きつき、耳たぶに触れる唇…

(うわーうわーうわーなんだこれー!)

真っ赤になって、焦ってるナルトを他所に
耳元で囁かれる。

低く通った声が…

ナルトの耳殻を狂わせる。

「キスの仕方を教えてあげるよ」

チュッと耳たぶにキスされ、それだけで血流が凄い事になっているのに
そっと手が顎に掛けられて、”ぶつかる”ではなく、”乗せる”キスを
ナルトに送った。

「あ…痛くねぇ」

「キスで痛いってどんだけお前が突っ込んでってるのよ?」

クックックと笑うカカシに真っ赤になったナルトが
今されたのと同じように、カカシに触れるキスを送った。

「あ…」

「えっへっへ…上手くできたってばよ!」

呆気に取られていたカカシが緩りと破顔した。
口を露にしたままのカカシの笑顔に、ナルトもドキリと胸を高鳴らせる。

けれど、緩んだ頬も、恥ずかしそうな表情も一気に消えて
ナルトの唇が尖った。

「…どうした?」

「なんか…先生ばっか、ずりぃ…」

「なにがよ?」

「だって!先生がそんなカッコイイ顔してるの知らねぇし
オレばっかりビックリしてて、つまんねぇってばよ!」

自尊心が傷ついたりでもしたのだろうか?
何も解ってないんだねぇ…と心で思ってクスッと笑う。

「なっ!笑う事ないだろ!」

「お前さ…オレばかりって言うけど
お前のキスした時の顔とか、抱きしめられてる時の顔とか…
オレが今日初めて見る表情ばかりしてるんだよ?
お互い様じゃないの?」

「うっ……」

そうだ、カカシにはと言うか…自分がキスする顔なんて
誰にも見せた事なんかない…それに
サスケとした時だって、押されてくっついただけであって…

言葉に詰まるがそれでも…

「カカシ先生の素顔がそんなんだったなんて…オレ知らねぇし」

「まぁ、誰にも見せないしねぇ…」

「だから、先生の方がずりぃ!」

何故ずるさで、競い合ってるのだか…とカカシはフッと微笑んで
その言葉を受け入れた
惚れたのは…こっちなんだからと

「そうだったね…ごめんね、ナルト」

「え?…あ、いや…謝って欲しいとかじゃ」

「解った、じゃ…もう一度キスをちょーだい?」

「なっ!なんでそーなるんだよ」

「だってオレ…お前にベタ惚れだし?
お前からキスしてくれた時、心臓発作起こすかと思った程
嬉しかったから」

「ぬわぁ!な、何恥ずかしいこと」

ベットの上、そんな戯言を何度も繰り返し
日が暮れた。

付き合うと言ってから、段々と近づく距離が、互いに甘く
そして恐ろしくもあった。
だが…今はそれでいいと…カカシはナルトを抱きしめた。


FIN

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