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孤城白蓮 壱

何だかまったり風味ですが、ごゆるりと閲覧くださいませ^^





「もういい加減、諦めたい。」

そんな言葉を漏らした。

そんなの、何時も考えている。

苦しくて、持て余した感情は、得る事も出来ないモノを求め。

果てなく続く螺旋階段をひたすら登っている感覚に似ている…


【孤城白蓮】 kojyou-hakuren


「はぁー…オレも大概だな。」

行き付けの、酒酒屋にての一コマ。
その言葉を漏らしたのは、はたけカカシ、現在は木の葉隠れの里の上忍。
叶わない…いや、彼自身の思いは 不毛の恋。

いつから、目で追うようになったのか…
いつから、思いが育ちはじめたのか、気が付けば
部下と思っていた金色に心を占拠されていた。

ペインとの戦いで一度は終わった命
あの時は、すでに確信していたと思う。

「なぁ、カカシよ…あのナルトならばお前の気持ちを無下にはせんだろう?」

「…何よガイ、まさか…言えって言うの?」

チラリと横の緑に染まったオカッパ全身タイツ男を
軽く睨むと、慌てたように視線を背けその問に答えていく。

「そ、そうでは無いが…奴ならちゃんと考えて答えてくれるだろ?
諦めたいと思うなら、一縷の望みとやらに賭けてみても良いんじゃないのか?」

「一縷の望み…ねぇ。」

クイッと、グラスの中に入った薄茶の液体が、今の感情のように
喉を熱くさせながら、胃へと落ちていく。

それを飲み込み、深く息を吐きだした。

解っている…

彼は、いや、ナルトはサクラに思いを寄せている。
サスケを木の葉に戻し、サクラはそのサスケの身の回りの世話をしているのも
耳には入って来ている…しかし。

「ヒナタもいる、サクラもいる
アイツは火影になる男だからね…
オレなんかが、邪魔する事は出来ないでしょ。」

もう一度グラスを傾け、焼けるような熱を感じると
中身を飲み干して、席を立った。

「帰るわ…悪いね、ガイ」

薄く笑ったカカシの表情に
ガイが、苦笑いを向け
会計を済ませて、財布を仕舞う姿を目で追いながら
ガイが、ポツリと呟いた。

「やっと…自分から欲しいと願うモノが…ナルトとは…。
手に入れる気は、ナシって事か…全くアイツは不器用だな…」

そこまで呟いて、酒を煽った。

マイト.ガイ 彼が、唯一カカシと木の葉の里で
共に戦う同期生と成っていた。

翌朝、火影執務室にて、滅多に聞けないカカシの驚声が上がる。

「は!?」

「だーかーらー!お前とナルトのツーマンセルでの
任務だと言っている!」

女傑の胸の揺れと共に伝わる地響きのような
怒声にも、カカシは揺るぐことはない…のだが
今回は、そうではなかった。

「あ、いゃ…そこでは無く…」

「…向こうが指名してきたんだ、仕方あるまい!」

カカシは、その言葉に肩をガクリと下げた。
火影の言葉である以上、仕方のない事ではあるが…
今回の任務は、カカシが直接指名されナルトはその
補佐として、付き従う事になる。

「なぜ、同行者がナルトなんですか?」

赴く地は、火の国の大名家。
しかも、権力を持つその大名は、無類の男好き…
カカシも前回呼ばれた時は、撒くのに一苦労している。
だからこそ…

「アイツなら、お前の身を守る盾となるだろ?」

「…綱手様、ナルトはこの手の嘘は苦手です
出来れば、サイか、ヤマトを…」

「悪いが、既にナルトは、了解してるんだよ…
この任務の書簡を持ち帰った張本人だからな…」

「え!?ナルトがですか?」

「あぁ。大名家の子息が、痛くナルトを気に入ってな…
父はお前、息子はナルトを…って事だ。」

とうにも回答に困る事になってしまい
カカシは、頭をガリッと掻いた。

「せんせー…頭ハゲんぞ?」

その声に、ビクッと背を湿らせ声の方を振り返ると
苦笑いを向けるナルトと視線が絡み、なぜ気配を読めなかったかを理解する。

「なぁんで、仙人モードなのよ?しかも、地味にハゲるとか言わなかった!?

こんなに、フサフサなんだから、そんな切ない事言わないでちょーだいよ…」

溜息を付きながらナルトに話し掛けると、ニシシッと
いつもの笑顔が溢れた。

「オレとコイビトしてくれってばよ!」

あぁ…任務で無ければどれ程舞い上がっただろう?

そんな事を思いながら、首を縦に振るしかなかった。

そして、二人は日が頂点に昇った時、木の葉を出た。

「なあ、なぁ!カカシせんせーってば!」

カカシの頭の中は、いつもに無くフル回転していた。
ナルトとの任務での恋人役。
ソレは良い…と言うか、嬉しいくらいだ…
だが、相手は権力を持つ人間
しかも、木の葉の里に利益を十二分に齎せてくれている。

そんな場所で何事もなく、過ごせるだろうか…?

最低でも、ナルトだけは守らなければならない。

己の身を挺しても…

「だぁーかぁーらぁー!カカシっ!」

初めて、呼び捨てられた名に、振り返ると
頬を赤く染めて、その頬をポリポリと掻きながら照れ笑いする
そんなナルトと目が合った。

「…な、なによ?」

「先生こそ、何だってばよ!打合せ、すんだろ?
オレ、先生の彼氏役やりゃーいいの?」

何を言い出したかと思えば…やはり…
突拍子もない言葉に、ガックリと首を項垂らせた。

「…か、彼氏役っても、両方共男でしょ?」

「あっ、そっか…んー?でも、どっちかがナヨナヨしねーと
ダメなんじゃねーの?」

どんな、偏見を持ってるのだろうか…?
そう思うと、何だか、可笑しくなりゆるりと微笑むと

「んー、いつもよりくっ付いていてくれれば…良いかな…?
別にナヨナヨしろとは言わないから大丈夫だよ。」

多少…くっ付かれるのには不安もあるが
そんな事を、言っている場合ではないのも十分理解している
だからこそ、自制を効かせようと自分に言い聞かしたカカシだった。


城に到着すると、二人は別の部屋に案内されるらしく
この部屋は、はたけ様がお使いください…と、丁寧に襖を開かれ
カカシが、自分の部屋の前に立つと、ナルトの手を引いた。

「え?」

なんの打ち合わせもなかった行動に、ナルトが眼を大きく開くと
カカシは何事も無かったように、ナルトの腰に手を絡ませてニッコリと笑った。

「すみません、部屋は一つで良いですから…」

「しっ、しかしはたけ様!」

男の言葉を待たずして、カカシはニッコリと微笑みを向けた。

「コイツになんかあったら、さすがに温厚のオレでも、
何するか分からないからねぇ~一緒の方が都合がいいのよ」

口布の下がニヤリと口角をあげるのを見て取ると、案内して来た
男が、青ざめて身を屈め、頭を下げる形を取った。

「か、畏まりました!」

そう言うと、襖を閉め、失礼致しましたと去っていく男に深い溜息を落とす
とりあえず、ナルトの安全は一緒に居れば間違いない。
あえて、カカシは、そう指示したのだ。

まずは、成功だなと、部屋の隅に身を寄せたが、
ナルトが入って来た時の状態で固まっているのに不審に思い
肩を軽くポンポンと、叩いてみる。

「ナルト?」

「カ、カカシ先生…」

「ん?何かあった?」

なぜ、固まっているのか解らずに問いかけると、首を左右に振って
なんでもねぇ…と、蚊の泣くような声を発した。
が、まぁ…あまり気にしてもやり辛いだろうと
カカシは、部屋の隅を陣取り、ゆるりと腰を落とすといつもの本を、ペラリと捲った。


と、急に目の前が暗くなり、ナルトが目の前で仁王立ちしているのが視界に入り
やはり何か言いたいのか?と、カカシが口を開いた。

「…今度は、なーに?」

「あのさ…こっ、こっ…コイビトってのは、あんないきなり
抱き着いたりするもんなのか?」

ん?抱きついた?…と言うより…抱き寄せたってのが正しいんだが…
と、思いながらも、そうだねと答えておいた。

恐らくは、さっきもそうだが…しなやかな筋肉の付いた体。
その身体を引き寄せただけで、胸が苦しく高鳴っているのは
ナルトでは無く、オレの方なのに…

と、カカシは心で呟いて口を開いた。

「同じ部屋にしたのは、相手に隙を与えない為なのは解るよね?」

「え?あっ、あったりめーじゃねーか!」

驚いたような声に、苦笑いで解ってなかったのねと
呟いて、仁王立ちのナルトを座るように促した。

この地まで、来てしまったものを、どうすることも出来ない。
ならば、せめて注意事項だけでも叩き込もうと
ナルトへ説明を始めた。

「いいか?オレとお前…もし、別行動があった場合は
行く場所や、誰と行くのか…そう言うのを必ず伝える事。
それと…、お前のお得意の影分身で行動すること…」

「なっ、なんで!?」

「ここの、息子が、お前を手に入れようとしてるからだ。」

その言葉に、目が一段と大きく見開かれた。

「ちょ、ちょっ! 待てって、カカシ先生!
え?先生が狙われてて、オレはそれをソシする役なんじゃねーの?」

その言葉に、任務内容をしっかり聞いて来なかった
ナルトの頭に、手刀を落とした。

「ってー!!!! 何すんだってばよっ!」

涙目で訴えるナルトに、綱手から聞いた
任務内容をもう一度噛み砕いて説明するしか、道は残されていなかった。

「えええぇ!? んなの、知らねえって!
ばーちゃんは、オレを気に入った人がいて、その人の
とーちゃんが、カカシ先生を欲しがってるから、助けてやれって…」

そこで首を一つ傾げた。

「あ、オレも、気に入られてたのか…んで、って事は…ええええ!?
オレってば、男!オトコなんだぞ!?」

頭を抱えてジタバタと暴れだしたナルトに溜息を落としながら、カカシが声を掛ける。

「ハイハイ、まずは落ち着きなさいよ…
同性を好きになる事は悪い事か?」

ぢくぢくと、その質問を投げる度に痛くなる胸。
それに、気づかぬふりで、カカシはナルトに問い掛けた。

「あ、いや…そんな訳じゃ…」

頬を赤く染めたナルトが、モゴモゴと答えたモノに安堵すると
にっこりと笑ってカカシが続ける。

「だから、お前とオレが今恋人って事にして置くのが一番
お互いに安全で、里にも、そしてオレ達にも、害のない選択って事」

「お、おう!解ったってばよ!」

ニシシッと笑いなんとか、理解したナルトも荷物の整理を始めると
襖の向こうから声が掛かった。

「はたけ様うずまき様、殿がお会いされたいと申されております。」

読んでいた本を、パタリと閉じカカシが声を上げた。

「解りました、すぐに支度を済ませますので」

カカシが面倒臭そうに息を吐きだし、荷物の中に
本を仕舞うと、ナルトにこっそり耳打ちをする。

「オレが触れても、さっき見たいな顔はしちゃダメよ?」

クスッと、笑いながら囁かれた言葉に
顔を真っ赤にして、首を上下に振るだけの答えを返した。

それを確認すると、カカシは襖を開き、ナルトの手をそっと握ると
緊張気味なのだろう、ビクッと一度震えてから、握り返してくる。

そんな、些細な行動でさえ、愛しさが込み上げてくるが
今は、任務だと言い聞かせ、足を目的地へと進めた。


「はたけカカシ、うずまきナルト、面を上げてください」

柔らかな声に、カカシが顔を上げると、憂いを孕んだ瞳が

真っ直ぐナルトを射抜いていた。

言われなくても…解かる。
ナルトを欲しがる男は、この男だ…カカシは、そう確認すると
一向に頭を上げないナルトの背に手を回し

ゆるりと、背を撫でた。

「どうした?顔を上げなさいと仰られたよ?」

どうやら、緊張でそれどころでは無かったらしく、カカシの言葉に
慌てて頭を上げた。

普段なら、身分など気にするような子ではない。
だとすれば、自分が手を繋いできたり、触れてた事に
何らかの感情が働いているのかも知れない…
そう、考えるとカカシの心が浮き足立つ思いがした。

父、 息子共に男好きのこの家は、唯一の
弟が妻を娶り、父は子をなす為に妻こそは居るが
男色家。

血縁が途絶えないのかと不安になるが
そこは、気に留める事では無いとカカシは、頭を左右に振った。

血縁…四代目の血を継いだナルトは、次期火影候補でもある。
そんなナルトに、こんな感情を抱いてしまうとは…

カカシは、、不毛な思いにいい加減振り回されるのに
疲れていた。

けれど………好きな思いは、簡単には捨てられない。

カカシ先生…と、小声で呼ばれ、肘で腕を突かれ
はっと、我に返ったカカシは、ナルトを見やると
コホン…と、一つ咳払いを受け、その音の方へと顔を向ける
己に恋情を抱く男が、椅子に腰掛けて睨んできた。

「先生、聞いてなかったろ?」

「え?あ…スマン、ちょっと考え事を…」

「晩飯、二人で食わないかって聞いてたぞ?」

小声のやり取りで、カカシが現状を知ると、深くため息を吐き出し
頭をスッと下げた。

「殿、申し訳ありません…今日は、このナルトとこちらの城下で
夕食を取る約束ですので、お申し出は大変嬉しいのですが、どうぞ
お気になさらずに。」

そう伝えると、あからさまに眉間にシワを寄せる。
その姿を視界に入れると、ナルトもどうしていいのかと
目を泳がせた。

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